SESの請求書テンプレートと書き方|精算の記載例とインボイス対応・送付前チェック10項目

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

SESの請求書とは?

SESの請求書とは、エンジニアがその月に働いた分の報酬を、SES企業が客先に請求するための書類のことです。多くの場合、月末で締めて、稼働報告書の時間をもとに金額を決めます。

ふつうの請求書と違うのは、精算幅による超過・控除が入る点です。精算幅とは、月額単価のまま請求する稼働時間の範囲(例:140〜180時間)のことです。

請求書は、次の3つの書類とつながっています。

書類請求書との関係
基本契約書・個別契約書単価・精算幅・割り方・支払期日を決める
稼働報告書その月に実際に働いた時間の根拠になる
請求書契約と稼働報告書をもとに金額を書く

SESの請求書テンプレートに入れる項目

SESの請求書テンプレートには、宛先・発行者・請求の中身・金額・支払いの5つのかたまりで項目を入れます。

かたまり入れる項目
宛先客先の会社名、担当部署・担当者名
発行者自社の会社名、住所、担当者、登録番号
請求の中身請求書番号、発行日、対象期間、案件名、要員名
金額月額単価、精算幅、実稼働時間、超過・控除、小計、消費税、合計
経費交通費など、契約で別に請求できると決めた費用
支払い支払期日、振込先、振込手数料の負担

ExcelやGoogleスプレッドシートで自作する場合は、この表の項目を上から並べれば1枚のテンプレートになります。精算の計算欄(時間×単価)は式で自動計算にすると、手入力のミスが減ります。

精算幅の超過・控除を含めた請求書の記載例

精算がある月は、要員ごとに「基本料金」「超過」または「控除」を別の行に分けて書きます。1行にまとめると、客先が計算を確かめられないからです。

次は、要員2名の9月分を請求する例です。

  • Aさん:月額60万円、140〜180時間、上下割、実稼働130時間(10時間不足)

  • Bさん:月額50万円、140〜180時間、上下割、実稼働185時間(5時間超過)

例文・テンプレート
請 求 書

株式会社〇〇 御中                     請求書番号:2026-09-001
                                     発行日:2026年10月2日
                                     株式会社△△
                                     登録番号:T1234567890123

件名:〇〇システム開発支援(2026年9月1日〜2026年9月30日)

| 内容                                   | 金額(税抜)  |
|----------------------------------------|---------------|
| Aさん 基本料金(精算幅140〜180h)      | 600,000円     |
| Aさん 控除 10h×4,285円(実稼働130h)   | −42,850円     |
| Bさん 基本料金(精算幅140〜180h)      | 500,000円     |
| Bさん 超過 5h×2,777円(実稼働185h)    | 13,885円      |
|----------------------------------------|---------------|
| 小計(10%対象)                        | 1,071,035円   |
| 消費税(10%)                          | 107,103円     |
| 合計                                    | 1,178,138円   |

お支払期日:2026年10月31日
お振込先:〇〇銀行 〇〇支店 普通 XXXXXXX 株式会社△△
※振込手数料は貴社にてご負担ください(基本契約書第〇条)
※精算方法:上下割、精算単位15分、1円未満切り捨て

控除単価4,285円は「600,000円÷140時間」です。超過単価2,777円は「500,000円÷180時間」です。どちらも1円未満を切り捨てています。

消費税は、小計1,071,035円×10%=107,103.5円の1円未満を1回だけ切り捨てています。

控除額や超過額の出し方は、SESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法と有給・固定の扱いで詳しく解説しています。精算幅そのものの決め方は、SESの稼働時間の上限・下限|精算幅140-180hの決め方と計算例を見てください。

記載のコツ

  • 実稼働時間をカッコで書く:客先が稼働報告書と照らし合わせやすくなる

  • 精算方法を注記する:割り方・精算単位・端数処理を書くと、問い合わせが減る

  • 控除はマイナスで書く:「値引き」ではなく「控除」と書き、契約どおりの精算だと示す

月の途中で入場・退場した月の書き方

月の途中で入場・退場した月は、「基本料金」の行を日割りの金額にし、計算式を内容欄に書きます。日割りの方法は、個別契約書で決めたとおりにします。

たとえば、月額60万円で、その月の営業日が20日、入場後の営業日が10日だったとします。営業日で日割りする契約なら、基本料金は600,000円×10日÷20日=300,000円です。

請求書には「Cさん 基本料金(日割り 10/20営業日)300,000円」のように書きます。日割りの月に精算幅も日割りするかは契約によって違うので、契約書で確認しましょう。

SESの請求書で必要なインボイスの項目

インボイス制度に対応した請求書(適格請求書)には、国税庁が定める6つの項目が必要です。適格請求書とは、売り手が買い手に、正しい消費税の額と税率を伝えるための請求書のことです。

#必須の項目SESの請求書での書き方
1発行者の名称と登録番号自社名と「T+13桁」の登録番号
2取引年月日対象期間(例:2026年9月1日〜30日)
3取引内容案件名・要員名・基本料金・超過・控除
4税率ごとの合計額と税率「10%対象 1,071,035円」
5税率ごとの消費税額「消費税(10%) 107,103円」
6受け取る会社の名称客先の会社名

登録番号とは、適格請求書を出せる事業者として税務署に登録したときの番号のことです。法人の場合は「T」のあとに法人番号の13桁が続きます。

SESの取引は、ほとんどが消費税10%の対象です。そのため、「10%対象」の合計と消費税額を1つずつ書けば足ります。

端数処理は1枚につき税率ごとに1回

消費税の1円未満の端数は、1枚の適格請求書につき、税率ごとに1回だけ処理します。要員ごとの行で消費税を計算して足し合わせる方法は認められていません。

切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれを使うかは、事業者が決めてかまいません。社内でルールを1つに決め、テンプレートの計算式に入れておきましょう。

請求書の控えは7年間保存する

発行した適格請求書の控え(写し)は、保存する必要があります。保存期間は、発行した日が入る課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日から7年間です。

PDFで送った請求書はデータのまま保存する

メールでPDFの請求書を送った・受け取った場合は、電子取引のデータとして保存します。電子帳簿保存法では、電子取引でやりとりした請求書などは、紙に印刷するのではなくデータで残すことが求められています。

保存のしかた(検索できるようにする方法など)は、国税庁の電子帳簿保存法のページで確認できます。送った控えのPDFも、受け取ったPDFも消さずに残しましょう。

フリーランスから請求書を受け取るときの注意点

フリーランスのエンジニアやBPから請求書を受け取る側は、相手がインボイスの登録をしているかを確認します。登録していない免税事業者の請求書では、消費税の一部しか差し引けないからです。

免税事業者から仕入れたときに差し引ける割合は、次のように下がっていきます。国税庁の令和8年度税制改正の資料による、2026年9月時点の内容です。

期間差し引ける割合
2023年10月〜2026年9月80%
2026年10月〜2028年9月70%
2028年10月〜2030年9月50%
2030年10月〜2031年9月30%

2026年10月1日からは、割合が80%から70%に下がります。フリーランスへの支払いが多い会社ほど、粗利への影響が大きくなります。粗利の考え方は、SESの粗利率の平均は?利益率の計算式と上げる方法5つで解説しています。

なお、改正後は、1つの免税事業者などからの仕入れが年間税込1億円を超えると、超えた部分にはこの経過措置を使えません。

相手が登録しているかどうかは、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで、登録番号を入れて確認できます。

フリーランスへの支払いと源泉徴収

個人のフリーランスに報酬を払うときは、源泉徴収が要る報酬かどうかも確かめます。源泉徴収とは、支払う側が所得税を差し引いて、代わりに国へ納める仕組みのことです。

所得税法第204条で源泉徴収の対象に挙がっているのは、原稿料・講演料・デザイン料などです。プログラム作成の報酬は、この一覧に入っていません。

ただし、1つの請求にデザイン料などが含まれると、その部分は対象になることがあります。明細で作業ごとに分けてもらい、迷ったら税理士や税務署に確認しましょう。

BPの請求書と自社の請求書で控除をそろえる

自社が客先から控除された月は、BPやフリーランスから届く請求書の控除も同じ時間で計算されているかを確かめます。上流と下流で精算条件がずれていると、自社だけが差額をかぶるからです。

月末には、「客先に出す請求書」と「BPから届く請求書」を要員ごとに並べます。そして、実稼働時間・精算幅・割り方の3つを見比べます。ずれていたら、請求書を受け取る前にBPへ連絡します。

SESの請求書の支払期日の決め方

支払期日は、基本契約書で決めた支払いサイトに合わせて書きます。支払いサイトとは、締め日から入金日までの期間のことで、「月末締め翌月末払い」がよく使われます。

支払期日には、法律で上限が決まっている場合があります。

法律支払期日のルール
取適法(旧下請法)対象の取引では、給付を受け取った日から60日以内。手形払いは禁止
フリーランス法フリーランスへの発注では、給付を受け取った日から原則60日以内

取適法とは、2026年1月1日に下請法が改正されてできた「中小受託取引適正化法」のことです。資本金に加えて、従業員数でも対象が決まるようになりました。

従業員数の基準は、取引の種類によって300人(製造委託など)か100人(役務提供委託など)です。SESの取引がどちらに当たるかは契約の中身で変わるので、公正取引委員会の資料で確かめましょう。

自社が支払う側になる場合は、BPやフリーランスへの支払期日が60日を超えていないか確認しましょう。

SESの請求書を送る前のチェック10項目

請求書を送る前に、次の10項目を確認します。上から順に確認すれば、よくある再発行の原因を防げます。

  1. 稼働報告書と時間が合っているか:実稼働時間が、客先の確認済みの稼働報告書と一致している

  2. 精算幅と割り方が契約どおりか:個別契約書の精算幅・上下割か中間割かを見直した

  3. 精算単位と端数処理が契約どおりか:15分単位・1円未満切り捨てなど、契約の決まりで計算した

  4. 超過・控除の計算が正しいか:時間×単価の結果を、電卓で1回確かめた

  5. 月の途中の入場・退場を反映したか:日割りの計算式が契約どおりになっている

  6. 対象期間と要員名が正しいか:前月のデータが残っていない

  7. 登録番号が入っているか:「T+13桁」が自社の番号と一致している

  8. 消費税の端数処理が1回か:行ごとではなく、10%対象の合計で1回だけ処理した

  9. 支払期日・振込先が正しいか:支払いサイトどおりの日付で、口座番号に誤りがない

  10. 宛先と送り先が正しいか:客先の会社名・担当者と、送るメールアドレスが一致している

特に「稼働報告書との突き合わせ」と「月の途中の入場・退場」は、ミスが起きやすい項目です。稼働報告書の回収の流れは、稼働報告書のテンプレート|SES・業務委託の書き方と精算前チェックで解説しています。

請求書を間違えたときの直し方

送った請求書に誤りがあったら、正しい内容の請求書を作り直して送るのが基本です。インボイスの記載に誤りがあった場合、発行した側は修正した適格請求書を交付する必要があります。

送ったあとで金額を下げる場合(返品・値引きなど)は、適格返還請求書が必要になることがあります。ただし、返す金額が税込1万円未満なら、交付しなくてよいとされています。

SESの請求書テンプレートの作り方

自分でテンプレートを作るなら、ExcelやGoogleスプレッドシートで次の順に進めます。

  1. 「テンプレートに入れる項目」の表を、上から順に並べる

  2. 要員ごとに「基本料金」「超過」「控除」の3行を用意する

  3. 超過・控除の欄に「時間×単価」の式を入れる

  4. 小計に、10%対象の合計を出す式を入れる

  5. 消費税の欄に、小計×10%を1回だけ切り捨てる式を入れる

  6. 下の注記欄に、割り方・精算単位・端数処理を書く

  7. 1か月分をテストで作り、手計算と一致するか確かめる

エンジニアの勤怠の集め方は、SESの勤怠管理の方法|営業が押さえる注意点5つとツールも参考にしてください。

チョータツで案件ごとの精算条件を管理する

請求書のミスは、「この案件の精算幅は?」「上下割だった?」という条件の確認漏れから起きがちです。自分で管理する場合は、案件ごとの条件をExcelの1枚にまとめ、請求のたびに見返します。

案件が増えてくると、条件がメールやファイルに散らばります。そこで役に立つのがチョータツです。チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことで、3,000社以上が使っています。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
案件の条件を残すExcelやメールに散らばる案件の情報としてまとめて管理できる
営業と事務で共有するファイルを送り合うチームで同じ情報を共有できる
情報を入れる1件ずつ手で書き写すAIが入力を手伝う
次の提案をする別の管理表を開く他社と連携し、営業中案件・人材をデータベース化

請求書の作成そのものは、会計ソフトや自社のテンプレートで行います。チョータツは、その前の案件の条件をそろえておく場所として使うと、営業と事務の確認がスムーズになります。

よくある質問

Q. SESの請求書の書き方で、精算はどう記載しますか?
要員ごとに「基本料金」と「超過」または「控除」を別の行に書きます。「控除 10h×4,285円 −42,850円」のように、時間・単価・金額を並べると、客先が確認しやすくなります。
Q. SESの請求書はインボイス対応が必要ですか?
客先が消費税の仕入税額控除を受けるには、適格請求書が必要です。登録番号など6つの必須項目を入れましょう。
Q. SESの請求書の消費税は、要員ごとに計算しますか?
いいえ。1枚の請求書につき、税率ごとに1回だけ端数処理をします。10%対象の小計に10%をかけ、1回だけ切り捨てなどを行います。
Q. SESの請求書テンプレートは無料で作れますか?
作れます。ExcelやGoogleスプレッドシートに、この記事の項目表を並べます。超過・控除と消費税に計算式を入れれば、無料のテンプレートになります。
Q. 請求書の取引年月日は、1日ずつ書く必要がありますか?
SESのように1か月分をまとめて請求する場合は、「2026年9月1日〜30日」のように対象期間を書きます。
Q. SESの請求書に収入印紙は必要ですか?
請求書そのものは、通常は印紙税の課税文書に当たりません。ただし、請求書に「代済」「相済」などと書くと、受取書として印紙税がかかります。契約書の印紙は、準委任契約の印紙は必要?不要な場合と2号・7号文書の判定表で整理しています。
Q. フリーランスが免税事業者の場合、請求書はどうなりますか?
登録番号のない請求書になります。受け取る側が差し引ける消費税は、2026年10月から2028年9月までは70%です。

まとめ

  • SESの請求書は、要員ごとに基本料金・超過・控除を分けて書く

  • 控除・超過は「時間×単価=金額」の形で書き、精算方法を注記する

  • 適格請求書には6つの必須項目が要る。端数処理は1枚につき税率ごとに1回

  • 2026年10月から、免税事業者の請求書で差し引ける割合は70%に下がる

  • 支払期日は、取適法やフリーランス法の60日ルールも確認する

  • 送る前に、稼働報告書との突き合わせを含む10項目をチェックする

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料(2026年9月28日確認)

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