SESの勤怠管理の方法をSES営業向けに解説|誰が管理するかの線引き・注意点5つ・契約とひも付ける管理表の項目例

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

SESの勤怠管理とは?

SESの勤怠管理とは、客先に常駐するエンジニアの出勤・退勤・休憩・休暇・残業を、雇用主が記録して管理することです。記録した時間は、給与の計算と、客先への請求の両方に使います。

客先常駐とは、エンジニアが自社ではなく、取引先(客先)のオフィスで働く形のことです。SESでは多くの場合、準委任契約を結びます。準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決められた作業を行うことを約束する契約のことです。

客先常駐では、エンジニアが自社の目の届かない場所で働きます。そのため、ふつうの会社よりも勤怠管理の仕組みを意識して作る必要があります。

SESの勤怠は誰が管理する?客先と自社の役割分担

SESの勤怠を管理するのは、エンジニアを雇っている自社(SES企業)です。客先は、勤務時間を「知る」ことはできても、「指示する・承認する」ことはできません。

根拠は、厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(通称37号告示)です。37号告示とは、請負や業務委託が、実は派遣(偽装請負)になっていないかを見分けるための国の基準のことです。

37号告示は、始業・終業の時刻や休憩、休日、休暇について定めています。請負側の会社が指示その他の管理を自ら行うことを求めています。残業や休日出勤の指示も同じです。ただし「単なる把握」は、この管理から除かれています。

勤怠の場面客先(発注者)自社(SES企業)
勤務時間を知る○ 把握してよい○ 記録・集計する
始業・終業時刻を決める× 指示しない○ 契約をもとに決める
休暇を承認する× 承認しない○ 申請を受けて承認する
残業・休日出勤を命じる× 直接命じない○ 必要性を確認して指示する
勤務表に押印・承認する△ 稼働の確認のみ○ 勤怠として確定させる

客先が勤務表を確認する場合は、「稼働時間の確認」という位置づけにします。勤怠の承認そのものは、自社の管理者が行うのが安全です。

客先に出すのは、請求の根拠になる稼働時間の報告だけに絞ります。遅刻や早退の理由など、労務管理の情報まで共有する運用は避けましょう。

→ 現場のOK・NGの細かい例は準委任契約の指揮命令はどこまで?SES現場のOK・NG具体例20で解説しています。

SESの管理責任者とは?契約形態ごとの役割

SESの管理責任者とは、常駐するエンジニアへの指示や勤怠の管理を、自社側で引き受ける担当者のことです。準委任契約では、契約書で業務責任者などの名前で決めるのが一般的です。

業務責任者とは、準委任契約で、エンジニアへの作業の指示や勤怠・服務の管理を行う、自社側の責任者のことです。客先はエンジニア本人ではなく、業務責任者に要望を伝えます。

契約形態によって、法律で決められた責任者の名前と役割が変わります。

契約形態自社側の責任者客先側の責任者勤怠を誰が記録するか
準委任(SES)業務責任者など(契約で定める)窓口担当(契約で定める)自社
労働者派遣派遣元責任者派遣先責任者派遣先も管理台帳に記録し、派遣元に通知

派遣の場合は、労働者派遣法で派遣先の記録義務が決められています。派遣先は派遣先管理台帳に就業した日や始業・終業の時刻を書き、派遣元に通知します。準委任(SES)で客先が同じことをすると、派遣と同じ働き方に近づいてしまいます。

業務責任者を置くときは、次の3点を決めておきます。

  1. 誰が業務責任者か(氏名・連絡先を契約書や体制表に書く)

  2. 常駐するか、自社から定期的に通うか

  3. 客先からの要望を、誰がどの方法で受けるか

SESの勤怠管理の方法|月次の4工程

SESの勤怠管理は、「毎日の記録」「自社での確認」「契約との照合」「請求と給与への反映」の4工程を毎月くり返します。自社の担当者が、4工程のすべてに責任を持ちます。

  1. 毎日の記録:エンジニアが、出勤・退勤・休憩・作業内容をその日のうちに入力する

  2. 週1回の確認:業務責任者や営業が、入力もれと長時間労働がないかを確認する

  3. 月末の締め:月の合計時間を出し、案件ごとの精算幅(例:140〜180時間)と照らし合わせる

  4. 請求と給与への反映:確定した時間で、客先への請求書と、自社の給与計算を行う

始業・終業時刻の確認方法は、厚生労働省のガイドラインが示しています。正式名は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」です。

ガイドラインの原則は、使用者が自分で確認するか、客観的な記録をもとにすることです。客観的な記録とは、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間などを指します。

客先常駐では、自社の人が毎日立ち会えません。そのため、自己申告(エンジニア本人が入力する方法)が中心になります。自己申告にする場合、ガイドラインは次のような対応を求めています。

  • エンジニア本人と管理者に、正しく申告するよう十分に説明する

  • 申告と実際の時間がずれていないか、必要に応じて実態を調べて直す

  • 正しい申告をさまたげるような上限の設定などをしない

記録の方法ごとの比較

方法手間正確さ向いている規模
Excelの勤務表を月末に回収月末に集中する低い(まとめ書きが起きる)エンジニア数名まで
クラウドの勤怠システムに毎日打刻少ない高い(打刻時刻が残る)人数が増えてきた会社
SES向けの業務管理システム少ない高い(契約・請求とつながる)案件と請求が多い会社

月末にまとめて勤務表を回収するだけだと、長時間労働に気づくのが遅れます。週1回は途中の時間を確認するのが、編集部のおすすめです。

営業が押さえる注意点5つ

SES営業が勤怠で押さえる注意点は、次の5つです。「指示の線引き」「精算幅の月中チェック」「長時間労働」「請求用と給与用の区別」「記録の保存」です。どれも、放っておくと契約トラブルや法令違反につながります。

注意点1:客先に勤怠の指示・承認をさせない

客先の担当者が、エンジニアに直接「明日は9時に来て」「今日は残業して」と言うのは避けます。休暇の申請先が客先になっている場合も、見直しが必要です。

案件を受ける前に、「勤怠の申請・承認は自社で行う」と客先に伝えておきましょう。→ 偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選

注意点2:精算幅を月の途中でチェックする

精算幅とは、月の稼働時間の下限と上限(例:140〜180時間)のことです。範囲を外れると、請求額が増えたり減ったりします。

月の半ばで、残りの営業日から着地の時間を予想します。下回りそうなら、早めにエンジニアや客先と作業の予定を相談します。→ SESの稼働時間の上限・下限|精算幅140-180hの決め方と計算例

注意点3:長時間労働を自社で止める

客先で残業をするときも、適用されるのは自社の36協定です。36協定とは、法律で決められた時間を超えて働かせるために、会社と従業員の代表が結ぶ協定のことです。

36協定を結んでも、残業は原則として月45時間・年360時間までです(労働基準法第36条第4項)。精算幅の上限を超えそうなときは、請求だけでなく健康と法令の問題でもあります。自社の業務責任者が、客先と作業量を調整します。

注意点4:「請求用の時間」と「給与用の時間」を分けて考える

同じ勤怠の記録でも、請求に使う時間と、給与に使う時間は一致しないことがあります。たとえば、自社の研修や帰社日の時間は、給与には入っても客先への請求には入りません。

勤務表の中で、客先の作業時間と自社の用事の時間を分けて記録してもらうと、月末の集計が楽になります。

注意点5:勤怠の記録を保存する

出勤簿やタイムカードなどの記録は、労働基準法第109条で保存が決められています。法律上は5年ですが、経過措置で当分の間は3年とされています(2026年9月時点)。

客先の勤務表しか残っていない状態は危険です。自社のシステムやフォルダに、月ごとの確定版を残しましょう。

偽装請負にならない勤怠管理の線引き

勤怠で偽装請負と見られやすいのは、客先がエンジニア本人に、時間や休みについて直接指示・承認している場合です。自社が決めたルールを、自社の担当者を通して運用していれば、線引きは守れます。

場面問題になりやすい例安全な進め方
出社時刻客先がエンジニアに毎日の出社時刻を指示する契約で作業時間帯を決め、自社がエンジニアに伝える
休暇客先の上司が休暇を承認する自社に申請し、自社が承認。客先には業務責任者が連絡する
残業客先がエンジニアに直接残業を命じる客先は業務責任者に相談し、自社が判断して指示する
勤務表客先の承認がないと勤怠が確定しない客先は稼働時間を確認するだけ。確定は自社が行う
遅刻・早退客先がエンジニアを注意・評価する客先は業務責任者に伝え、自社が本人と話す

線引きの考え方は、偽装請負の37号告示をやさしく解説|厚労省Q&AのSES該当箇所も参考にしてください。

契約条件と稼働実績をひも付ける管理表の項目例

勤怠の記録は、契約条件の表と同じキー(案件番号とエンジニア名)でつなぐと、請求ミスが減ります。勤怠だけを別の表で管理すると、月末に「どの単価・どの精算幅だったか」を探す手間が生まれます。

次の項目を1行にまとめた「稼働管理表」を作るのがおすすめです。

項目入力例使いみち
案件番号A-2026-031契約表・勤怠表をつなぐキー
エンジニア名山田 太郎人材表とつなぐ
所属自社/BP(取引先の社員)支払い先を分ける
商流エンド→元請け→自社請求先と契約の確認
契約形態準委任勤怠の線引きの確認
契約期間2026/10/1〜12/31更新の確認時期を決める
月額単価70万円請求額の計算
精算幅140〜180時間超過・控除の判定
精算方法上下割/中割超過・控除の単価の計算
当月の稼働時間162.5時間勤怠システムから転記
判定範囲内/超過/控除請求書への反映
うち自社の用事の時間4時間請求から除く
勤怠の確定日2026/11/2締めの遅れを防ぐ
客先の稼働確認日2026/11/3稼働報告書の送付管理
業務責任者佐々木連絡先と責任の所在

上下割とは、1時間あたりの精算額を、超過なら上限時間、控除なら下限時間で単価を割って出す方法のことです。中割とは、上限と下限の真ん中の時間で割り、同じ金額を使う方法です。

月末には、次の順番で確認します。

  1. 当月の稼働時間が、勤怠システムの確定値と合っているか

  2. 精算幅の判定(範囲内・超過・控除)が正しいか

  3. 自社の用事の時間を、請求から除いているか

  4. 客先に稼働報告書を送り、確認をもらったか

  5. 請求書の金額が、単価と判定から計算した金額と合っているか

請求書の記載例は、SESの請求書テンプレート|精算の記載例と送付前チェック10項目で確認できます。

稼働報告書のひな形は、稼働報告書のテンプレート|SES・業務委託の書き方と精算前チェックで紹介しています。Excelでの表の作り方は、SESの案件・人材管理をExcelで無料で行う方法が参考になります。

SESの勤怠管理システム・契約管理システムの選び方

SESの勤怠管理システムは、「勤怠だけを管理するもの」と「契約・請求まで一緒に管理するもの」に分かれます。エンジニアが数名ならExcelでも回りますが、案件と請求が増えたら、契約とつながるシステムを選ぶと手間が減ります。

SESの契約管理システムとは、案件ごとの契約期間・単価・精算幅・商流を記録するシステムのことです。記録を更新や請求につなげます。勤怠のシステムとは役割が違うため、何を楽にしたいかで選びます。

種類得意なこと向いている会社
一般的なクラウド勤怠システム打刻、残業の集計、給与計算との連携まず勤怠を正確にしたい
SES向けの業務管理システム勤怠・精算・請求書作成をまとめる毎月の請求書が多い
案件・人材の管理ツール営業中の案件・人材、契約条件の共有提案から契約までの情報を整理したい

選ぶときは、次の5点を確認します。

  1. スマートフォンから打刻や修正の申請ができるか

  2. 案件ごとに、精算幅や精算方法を登録できるか

  3. 客先の作業時間と、自社の用事の時間を分けられるか

  4. 請求用と給与用に、別々に集計できるか

  5. 記録を3年以上、あとから取り出せるか

ツール全体の比べ方は、SES案件管理ツールの比較ポイント|Excelから移る基準5つでまとめています。

チョータツで契約条件の管理を楽にする

勤怠の打刻そのものは、勤怠システムや勤務表で行います。そのうえで、照らし合わせる側の「案件と契約の条件」を整理するのに、SES営業向けツール「チョータツ」が使えます。

月末の照合で困るのは、「この案件の単価と条件は、どのメールに書いてあったか」を探す時間です。案件の条件がメールやExcelに散らばっていると、精算幅の確認に時間がかかります。

場面自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
案件・人材の条件を残すメールを読んでExcelに転記チョータツで案件・人材の情報を管理・共有。AIが入力を手伝う
届く案件・人材メールを整理する1通ずつ目で仕分けチョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分ける
パートナーと情報をやりとりするBCCで一斉送信チョータツのメール配信機能で配信

チョータツは、3,000社以上が利用している、SES営業の案件・人材の管理・共有ツールです。無料で始められます。

チョータツメールAIは、転送設定で取り込んだメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けます。案件・人材以外のメールはデータに残りません。

おすすめの使い分けは次のとおりです。

  1. 案件と人材の情報を、チョータツで1か所にまとめる

  2. 取引先から届くメールは、チョータツメールAIで切り分けて取り込む

  3. 勤怠は勤怠システムで記録し、月末に案件の条件と照らし合わせる

よくある質問

Q. SESの勤怠は誰が管理するのですか?
エンジニアを雇っている自社(SES企業)です。客先は稼働時間を把握してよいですが、始業・終業時刻や休暇、残業の指示・承認は自社が行います。
Q. 客先の勤怠システムに打刻してもよいですか?
客先が入館や稼働の記録として把握するだけなら、ただちに問題とはいえません。ただし、その記録で客先が残業や休暇を承認しているなら要注意です。自社でも勤怠を記録し、確定は自社で行いましょう。
Q. リモート勤務のエンジニアの勤怠は、どう管理しますか?
客先常駐と同じく、自社の勤怠システムに打刻してもらい、自社が確認します。パソコンの使用時間など客観的な記録と照らし合わせると、申告とのずれに気づけます。
Q. SESで残業が必要になったら、誰が判断しますか?
客先は自社の業務責任者に相談し、自社が判断してエンジニアに指示します。残業は自社の36協定の範囲で行い、原則は月45時間・年360時間までです。
Q. SESの管理責任者は、客先に常駐しないといけませんか?
法律で常駐が決まっているわけではありません。契約書で業務責任者を決め、客先の要望を受ける方法と、エンジニアに伝える方法をはっきりさせることが大切です。
Q. 勤怠の記録は何年保存すればよいですか?
労働基準法第109条では5年ですが、経過措置で当分の間は3年とされています(2026年9月時点)。月ごとの確定版を自社で保存しましょう。
Q. 有給休暇を取った月は、稼働時間をどう扱いますか?
契約で扱いが変わります。休んだ分を稼働に含めない場合、精算幅を下回ることがあります。→ SESで有給を取ると稼働時間はどうなる?精算の扱い3パターン

まとめ

  • SESの勤怠を管理するのは、雇用主である自社(SES企業)

  • 客先は「単なる把握」まで。時刻・休暇・残業の指示と承認は自社が行う

  • 準委任では業務責任者を決め、客先の要望は業務責任者が受ける

  • 毎日の記録→週1回の確認→月末の締めと精算幅の照合→請求と給与、の順で回す

  • 注意点は、指示の線引き・精算幅の月中チェック・長時間労働・請求用と給与用の区別・記録の保存の5つ

  • 勤怠は、案件番号でつないだ稼働管理表で契約条件とひも付ける

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料

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