準委任契約の印紙は必要?SESの基本契約書・個別契約書・注文書・電子契約ごとの判定表と、2号・7号文書の見分け方

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

準委任契約に印紙は必要?結論は「原則不要」

準委任契約だけを定めた契約書には、原則として印紙は要りません。 印紙税がかかるのは、印紙税法の「課税物件表」に書かれた文書だけです。委任や準委任の契約書は、課税物件表に入っていません。

印紙税とは、契約書や領収書など、法律で決められた文書を作ったときにかかる税金のことです。収入印紙を貼り、消印をして納めます。

課税文書とは、印紙税がかかる文書のことです。全部で20種類あり、「第1号文書」「第2号文書」のように番号で呼ばれます。

国税庁は、プログラムの作成を頼み、完成に報酬を払う契約は請負で、第2号文書になると回答しています。同じ回答の中で、相手の指揮監督のもとで労務だけを提供する支援業務などは委任で、課税文書にあたらないと補足しています。

ただし、契約書の名前ではなく中身で判断されます。 「準委任契約書」という題名でも、請負の内容がまざっていれば印紙が必要です。

印紙が必要になる2つの文書:2号文書と7号文書

SESの契約書で主に問題になるのは、第2号文書と第7号文書の2つです。どちらも、契約の中に請負の内容が入っているときに当てはまります。

文書どんな契約書か印紙税額
第2号文書請負に関する契約書記載された契約金額で決まる(200円〜60万円)
第7号文書継続的取引の基本となる契約書1通4,000円
準委任だけの契約書委任・準委任に関する契約書不要(課税文書ではない)

第2号文書とは

第2号文書とは、「請負に関する契約書」のことです。仕事の完成を約束する契約書が当てはまります。システム開発で「〇〇を完成させて納品する」と書く契約書は、第2号文書です。

印紙税額は、契約書に書かれた金額で決まります。

記載された契約金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下1,000円
300万円超500万円以下2,000円
500万円超1,000万円以下1万円
1,000万円超5,000万円以下2万円
契約金額の記載がない200円

5,000万円を超える金額は、6万円〜60万円です。建設工事の請負には軽減措置がありますが、システム開発などには当てはまりません。

国税庁は、警備・機械保守・清掃のような形のない結果を約束する契約も請負に含めています。「保守」「運用」という名前の契約でも、結果を約束する書き方なら第2号文書になりえます。

第7号文書とは

第7号文書とは、「継続的取引の基本となる契約書」のことです。会社どうしで、請負や売買などの取引を続けるための基本ルールを決めた契約書が当てはまります。印紙税額は1通4,000円です。

第7号文書になるのは、次の条件をすべて満たすときです。

  1. 営業者(会社など)どうしの契約である

  2. 売買・売買の委託・運送・運送取扱い・請負のどれかの取引を、2回以上続けて行う

  3. 目的物の種類・取扱数量・単価・支払い方法・損害賠償の方法・再販売価格のうち、1つ以上を決めている

  4. 契約期間が3か月以内で更新の定めがないもの、ではない

大事なのは、2番に委任(準委任)が入っていないことです。準委任だけの基本契約書は、第7号文書にはなりません。

見落としやすい第1号文書(著作権の譲渡)

第1号文書には、「無体財産権の譲渡に関する契約書」が含まれます。無体財産権とは、特許権・商標権・著作権などのことです。

SESの契約書には、「作ったプログラムの著作権は発注者に移る」という条文がよく入ります。準委任の契約書でも、この譲渡の条文があると第1号文書にあたる可能性があります。

第1号文書の印紙税額も、記載された金額で決まります(1万円以上10万円以下は200円など)。譲渡の対価を書かない場合の扱いも含め、迷ったら税務署に確認してください。

2号と7号の両方に当てはまるとき

請負の基本契約書は、2号と7号の両方に当てはまることがあります。そのときは契約金額が書いてあるかどうかで決まります。

  • 契約金額が書いてある → 第2号文書(金額に応じた印紙)

  • 契約金額が書いていない → 第7号文書(4,000円)

SESでよく使う書類別の印紙の判定表

SES営業がよく扱う書類ごとに、印紙が要るかを表にまとめました。判定のカギは、準委任だけか、請負がまざっているかです。

書類中身判定印紙
SES基本契約書準委任だけを定める課税文書ではない不要
基本契約書請負を含み、単価や支払い方法を決め、3か月超または更新あり第7号文書(金額なし)4,000円
個別契約書準委任(月額単価・精算幅)課税文書ではない不要
個別契約書請負(納品物と金額)第2号文書金額に応じて
注文書基本契約に基づき、申し込みだけで契約が成立する契約書として扱われる中身が請負なら必要
注文請書請負の注文を受ける第2号文書金額に応じて
電子契約PDFに電子署名・クラウドで締結文書ではない不要
契約書のコピー署名・押印・証明のない単なるコピー課税文書ではない不要
準委任+著作権譲渡の条文成果物の著作権を発注者に移す第1号文書の可能性金額に応じて

判定表は、国税庁のタックスアンサーと質疑応答事例をもとにしています(2026年9月28日確認)。実際の契約書は条文がまざっていることが多いので、迷ったら税務署か税理士に確認してください。

基本契約書の注意点

SESの基本契約書は、準委任と請負の両方を扱えるように作ることがよくあります。「個別契約で準委任または請負を定める」と書くと、請負の取引も基本契約に入ります。

条文の中身によっては、第7号文書になる可能性があります。基本契約書の作り方は「SES基本契約書のテンプレート|条項チェック15」も参考にしてください。

注文書・注文請書の注意点

注文書は、ふつうは申し込みの文書なので契約書にはあたりません。ただし国税庁は、次のどれかに当てはまる注文書は契約書として扱うとしています。

  1. 基本契約書などに基づく申し込みだと書かれ、申し込むだけで自動的に契約が成立する

  2. 相手の見積書などに基づく申し込みだと書かれている

  3. 契約する双方の署名または押印がある

1と2は、相手が別に請書を作る場合は除かれます。契約書として扱われた注文書の中身が請負なら、第2号文書として印紙が必要です。中身が準委任だけなら、契約書として扱われても印紙は要りません。

電子契約なら印紙は不要

電子契約にすれば、請負の契約でも印紙は要りません。 印紙税は、紙の「文書」を作ったときにかかる税金だからです。

国税庁は、電子署名つきの電磁的記録をメールで送る方法について回答しています。「電磁的記録は文書に含まれない」ので、印紙税はかからないという内容です。電磁的記録とは、紙ではなくデータで作られた記録のことです。

注意したいのは、データを紙に印刷して、署名や押印をして渡す場合です。紙の文書を作ったことになり、中身によっては印紙が必要になります。

印紙を貼り忘れたらどうなる?

課税文書に印紙を貼り忘れると、過怠税がかかります。過怠税とは、印紙税を納めなかったときに罰として取られるお金のことです。

ケース過怠税の額
印紙を貼らなかった本来の印紙税額の3倍
調査の前に自分から申し出た本来の印紙税額の1.1倍
印紙を貼ったが消印をしなかった消していない印紙の額面と同じ額

過怠税の合計が1,000円に満たないときは、1,000円になります(印紙税法20条4項)。ただし、自分から申し出て1.1倍になった分には、この1,000円の決まりは使われません(20条5項)。

過怠税は、法人税の計算で経費(損金)にできません。

印紙を貼り忘れても、契約そのものは有効です。印紙税は税金のルールで、契約が成り立つかどうかとは別の話です。

印紙代はどちらが払う?

印紙税を納める義務は、課税文書を作った人にあります(印紙税法3条)。2社で1通の契約書を作ったときは、2社が連帯して納める義務を負います。

実務では、それぞれが自分の保管する1通に印紙を貼るのが一般的です。どちらが負担するかは、契約前に決めておくと揉めません。

契約書を送る前の印紙チェック手順

契約書や注文書を送る前に、次の順番で確認します。

  1. 紙か電子かを確かめる:電子契約なら印紙は不要

  2. 中身が準委任だけかを確かめる:目的・報酬・検収の条文を見る

  3. 請負がまざっていたら号を決める:個別の契約で金額があれば2号、基本契約で金額がなければ7号

  4. 金額を確かめる:消費税額がはっきり分けて書かれていれば、税抜の金額で判断できる

  5. 負担と貼る場所を決める:どちらの1通に誰が貼るかを相手と決め、消印を忘れない

準委任か請負かの見分け方は「準委任と請負の違い|契約書で見分ける6点」で詳しく説明しています。

自社でやるなら:印紙の判断を仕組みにする方法

印紙の判断は、契約のたびに調べ直すと時間がかかります。自社でできる工夫は3つです。

  1. 契約書のひな形を分ける:準委任用と請負用のひな形を分け、まぜない

  2. 電子契約に切り替える:相手の同意が取れれば、印紙の判断がほぼ要らなくなる

  3. 案件管理表に契約形態を残す:案件ごとに「準委任」「請負」を記録し、契約書を作るときに確認する

案件管理表の作り方は「SESの案件・人材管理をExcelで行う方法」で紹介しています。
協業先との契約で気をつける点は「SES協業の進め方|契約の注意点」でも紹介しています。

チョータツで案件の契約形態をまとめて管理する

印紙の判断に必要なのは、その案件が準委任か請負かという情報です。チョータツを使うと、案件の情報を1か所で管理・共有できます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
案件の契約形態を残すメールを読んでExcelに転記案件情報をチョータツで管理。AIが入力を手伝う
契約書を作る前に確認する過去のメールを探し直す案件の条件をすぐ開いて確認
社内で共有する営業と事務で口頭のやりとり案件・人材の情報を社内で共有
パートナーの案件を把握する届くメールを1通ずつ確認連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化

印紙が要るかどうかの最終判断は、人が契約書の中身を見て行います。チョータツは、その判断に必要な案件の情報をすぐ出せる状態にするための道具です。無料で始められます。

よくある質問

Q. SESの基本契約書に印紙は必要ですか?
準委任だけを定めた基本契約書なら不要です。請負の取引も含み、単価などを決めて3か月を超えて続く場合は、第7号文書として4,000円の印紙が必要です。
Q. 準委任契約の印紙について、国税庁はどう説明していますか?
国税庁の質疑応答事例で説明されています。相手の指揮監督のもとで労務だけを提供する契約は委任にあたり、課税文書ではありません。
Q. 準委任契約書に印紙を貼ってしまったら、返してもらえますか?
課税文書でない書類に誤って貼った印紙は、還付の対象になります。税務署に「印紙税過誤納確認申請書」と現物を出します。請求できるのは5年以内です。
Q. 成果完成型の準委任契約に印紙は必要ですか?
条文次第です。成果物の完成に報酬を払う書き方だと、請負として第2号文書と判断される可能性があります。成果完成型の考え方は「準委任契約の成果完成型とは」を見てください。
Q. 注文書に印紙は必要ですか?
ふつうの注文書は不要です。基本契約に基づき申し込むだけで契約が成立する注文書などは契約書として扱われ、中身が請負なら印紙が必要です。
Q. 電子契約で結んだ契約書を印刷したら、印紙は必要ですか?
保管用に印刷しただけなら、単なるコピーとして印紙は要りません。印刷した紙に署名や押印をして正本として渡すと、印紙が必要になることがあります。
Q. 契約金額に消費税が入っている場合、どの金額で判断しますか?
第2号文書では、消費税額がはっきり分けて書かれていれば、税抜の金額で判断します。消費税額がはっきりしない書き方だと、税込の金額で判断されます。

まとめ

  • 準委任だけの契約書は、課税文書ではないので原則として印紙は不要

  • 請負の内容がまざると、第2号文書(金額に応じて200円〜)として印紙が必要

  • 請負を含む基本契約書で金額の記載がないものは、第7号文書(4,000円)

  • 準委任でも、著作権を譲渡する条文があると第1号文書になることがある

  • 注文書は、基本契約に基づき自動で成立するものなどが契約書として扱われる

  • 電子契約なら印紙は不要。紙に印刷して署名・押印すると必要になることがある

  • 貼り忘れると、本来の3倍の過怠税。調査前に自分から申し出れば1.1倍

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料(2026年9月28日確認)

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