SESの案件・人材管理をExcelで無料で行う方法|案件表・人材表の列設計テンプレと移行の目安
公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日
SESの案件・人材管理とは?
SESの案件・人材管理とは、案件(仕事)と人材(エンジニア)の条件を一覧にして管理することです。組み合わせを早く見つけ、提案のスピードと正確さを上げることが目的です。
SES営業には、取引先から毎日たくさんの案件メールと人材メールが届きます。BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。BPの情報も含めて一覧にしておくと、条件の合う組み合わせをすぐに探せます。
小さな組織なら、Excelで十分に始められます。大切なのは道具より、どの列を持つかとだれがいつ更新するかです。
無料で使える道具の比較|Excel・スプレッドシート・無料ツール
無料で始めるなら、1人で使うならExcel、2人以上ならGoogleスプレッドシートがおすすめです。メールからの転記が負担になったら、無料で始められる管理ツールを検討します。
| 道具 | よいところ | 気をつけるところ | 向いている体制 |
|---|---|---|---|
| Excel | 使い慣れている。関数や絞り込みが強い | ファイルのコピーが増え、最新版がわからなくなりやすい | 営業1〜2人 |
| Googleスプレッドシート | 複数人で同時に編集できる。無料で使える | 共有の範囲を間違えると、情報が外に出る | 営業2〜3人 |
| 無料で始められる管理ツール | 入力の補助、検索、共有が最初からある | 使い方を社内でそろえる必要がある | 営業3人以上、メールが多い |
表の大きさの上限は、ふつうの使い方なら気にしなくて大丈夫です。Excelは1シートで1,048,576行、Googleスプレッドシートは1ファイルで1,000万セルまで扱えます。困るのは行数ではなく、更新の手間と同時編集です。
案件表のテンプレート(列設計)
案件表は、「どんな仕事か」「いくらか」「いつからか」「どの経路で来たか」の4つがわかる列を持たせます。1件の案件を1行に書きます。
| 列名 | 入力例 | ポイント |
|---|---|---|
| 案件ID | A-0931 | 人材表・提案記録とつなぐ番号 |
| 受信日 | 2026/09/28 | 古い案件を見分ける |
| 案件名 | 金融系 Java開発 | 20文字程度で要約 |
| 必須スキル | Java 3年以上、Spring | 「必須」と「尚可」を分ける |
| 尚可スキル | AWS | あると有利な条件 |
| 単価(上限) | 70万円 | 税抜きか税込みかを列名に書く |
| 精算幅 | 140〜180h | 固定・上下割・中割も書く |
| 稼働開始日 | 2026/11/01 | 「即日」も日付に直す |
| 期間 | 3か月〜長期 | 更新の見込み |
| 勤務地・リモート | 東京都港区/週2リモート | 通勤の可否の判断に使う |
| 商流 | エンド→元請け→A社→自社 | 何社目の案件かがわかる |
| 再委託の可否 | BP可/1社先まで | BPの人材を出せるか |
| 面談回数 | 2回 | 提案の段取りに使う |
| 出元の会社・担当 | A社 田中様 | 問い合わせ先 |
| ステータス | 募集中/提案中/決定/終了 | 選択肢を固定する |
| 最終更新日 | 2026/09/28 | 情報の鮮度を見る |
商流とは、SESの仕事が、エンド(発注元)からいくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。商流が深いほど単価は下がりやすく、再委託の制限も増えます。→ SESの一次請け・二次請けの違い|単価差と商流を上げる方法
精算幅とは、月の稼働時間の下限と上限(例:140〜180時間)のことです。範囲を外れると請求額が変わるため、案件表の時点で残しておきます。→ SESの稼働時間の上限・下限|精算幅140-180hの決め方と計算例
Excelの1行目に貼り付けて使える見出しは次のとおりです。
案件ID,受信日,案件名,必須スキル,尚可スキル,単価上限(税抜・万円),精算幅,精算方法,稼働開始日,期間,勤務地,リモート,商流,再委託の可否,面談回数,出元の会社,出元の担当,ステータス,最終更新日,メモ
人材表のテンプレート(列設計)
人材表は、「どんなスキルか」「いくらで出せるか」「いつから出られるか」「どこの所属か」の4つがわかる列を持たせます。1人を1行に書き、スキルシートのファイル名や保存場所もあわせて残します。
| 列名 | 入力例 | ポイント |
|---|---|---|
| 人材ID | P-0412 | 案件表・提案記録とつなぐ番号 |
| イニシャル | Y.T | 氏名は必要な人だけが見られる場所に |
| 所属 | 自社/BP(B社)/フリーランス | 支払い先と商流を分ける |
| 所属の会社・担当 | B社 鈴木様 | 問い合わせ先 |
| 主なスキル | Java 5年、Spring、Oracle | 年数を必ず書く |
| 工程 | 詳細設計〜テスト | 上流か下流かがわかる |
| 希望単価 | 65万円 | 税抜きで統一する |
| 稼働開始可能日 | 2026/11/01 | 「即日」も日付に直す |
| 希望の勤務地・リモート | 東京23区/フルリモート希望 | 案件との照合に使う |
| 稼働率 | 100%/週3日 | 週の稼働日数 |
| 商流の条件 | 所属先から1社先まで | 出せる商流の深さ |
| 面談の可能日時 | 平日18時以降 | 提案の段取りに使う |
| スキルシート | P-0412_skill.xlsx | 最新版の保存場所 |
| ステータス | 営業中/提案中/稼働中/停止 | 選択肢を固定する |
| 最終更新日 | 2026/09/28 | 情報の鮮度を見る |
人材表は、エンジニアの個人データを含みます。個人データとは、特定の人がわかる情報を、検索できるように整理した一覧に入っている情報のことです。個人情報保護法第23条は、個人データがもれないよう安全管理措置をとることを求めています。
人材の情報を他社に送って提案することは、個人データの第三者提供にあたる場合があります。個人情報保護法第27条では、第三者提供には原則として本人の同意が必要です。提案に使うことを、エンジニア本人から事前に了承してもらいましょう。
Excelの1行目に貼り付けて使える見出しは次のとおりです。
人材ID,イニシャル,所属区分,所属の会社,所属の担当,主なスキル,経験年数,工程,希望単価(税抜・万円),稼働開始可能日,希望勤務地,リモート希望,稼働率,商流の条件,面談可能日時,スキルシートの保存場所,ステータス,最終更新日,メモ
スキルシートの整え方は、SESスキルシートのフォーマットと書き方|営業用テンプレ付きで解説しています。
Excelで案件・人材管理表を作る7ステップ
案件・人材管理表は、次の7ステップで1時間ほどあれば作れます。最初に選択肢と入力のルールを決めておくと、あとで集計や絞り込みがしやすくなります。
シートを4枚作る:「案件」「人材」「提案記録」「選択肢」の4枚にする
見出しを貼る:この記事の各表の見出し行を、それぞれ1行目に貼り付ける
テーブルにする:見出しを含めて範囲を選び、「テーブルとして書式設定」をする。行を足しても書式と絞り込みが続く
選択肢を固定する:ステータスや所属区分は「データの入力規則」のリストにし、自由入力をやめる
日付と金額の形式をそろえる:日付は「2026/11/01」、単価は「万円・税抜き」の数字だけにする
期限を色で知らせる:「条件付き書式」で、稼働開始日が14日以内の行に色を付ける
置き場所を1つに決める:共有フォルダかスプレッドシートのリンクを1つだけにし、コピーを作らない
Googleスプレッドシートでも、同じ手順で作れます。スプレッドシートでは、4の入力規則は「データの入力規則」、6は「条件付き書式」から設定します。
提案記録表で二重提案を防ぐ
提案記録表とは、「どの人材を、どの案件に、いつ、どの会社経由で提案したか」を1提案1行で残す表のことです。案件表と人材表を案件IDと人材IDでつなぐ役割をします。
SESでは、同じエンジニアが別の会社から同じ案件に提案されることがあります。これを二重提案(重複提案)と呼び、取引先の信用を落とします。提案前に、提案記録表を人材IDで検索すれば防げます。
提案ID,提案日,案件ID,人材ID,提案先の会社,提案先の担当,提案単価(税抜・万円),結果,面談日,メモ
案件と人材を照らし合わせる方法
案件と人材の照合は、稼働開始日・単価・スキルの3つで絞り込むのが基本です。
案件表で、ステータスを「募集中」に絞り込む
人材表で、稼働開始可能日が案件の稼働開始日より前の人に絞り込む
希望単価が、案件の単価上限から自社の取り分を引いた金額以下の人に絞る
主なスキルの列を、案件の必須スキルの言葉(例:Java)で検索する
Excel 2021以降(Microsoft 365を含む)とスプレッドシートでは、FILTER関数が使えます。条件に合う行だけを、別の場所に出す関数です。たとえば、人材表から「営業中」かつ「希望単価65万円以下」の人を出す式は次のとおりです。
=FILTER(人材!A2:S500,(人材!Q2:Q500="営業中")*(人材!I2:I500<=65))
単価の考え方は、SESのマージン率の平均と相場|適正ラインと説明のしかたも参考にしてください。人日・人月の計算式は、エクセルの工数計算の関数|人日・人月を出す式とテンプレ付きで紹介しています。
Excel運用を長持ちさせるルール5つ
Excelの案件・人材管理が続かない一番の原因は、情報が古くなることです。次の5つのルールを、使い始める前にチームで決めておきます。
1件1行を守る:同じ案件を別の行に書かない。再送された案件は、受信日と最終更新日だけ直す
更新する人を決める:案件は受け取った営業、人材は担当の営業が更新する
週1回、棚卸しをする:最終更新日が14日以上前の行は、ステータスを確認して「終了」か「停止」にする
見られる人を限る:人材表は社内の必要な人だけに共有し、社外に送るときはイニシャルと必要な項目だけにする
メモ欄に大事な条件を書かない:単価や精算幅をメモ欄に書くと、絞り込みで見つからなくなる
やってはいけないことは、案件メールの本文をそのままセルに貼り付けることです。あとで検索や絞り込みができず、表を作った意味がなくなります。
Excel運用が破綻する目安|件数・担当者数・メール量
Excel運用は、件数・担当者数・メール量のどれかが増えたときに回らなくなります。次の表は、SES営業の現場の流れをもとにした編集部の目安です。どれか1つでも当てはまったら、ツールへ移る準備を始めましょう。
| 見るもの | Excelで回る範囲 | 移る準備を始める目安 | 起きやすい困りごと |
|---|---|---|---|
| 営業中の案件・人材の件数 | 合わせて100件くらいまで | 合わせて300件前後 | 古い行が混ざり、提案済みか探せない |
| 同時に編集する担当者 | 1〜2人 | 3人以上 | 上書き、重複登録、最新版の迷子 |
| 案件・人材メールの量 | 1日30通くらいまで | 1日100通以上 | 転記が追いつかず、見落としが出る |
| 更新もれ | ほとんどない | 週に何度も起きる | 終わった案件に提案してしまう |
SESでは、件数や人数に加えてメールの量が大きな目安になります。案件・人材の情報の多くが、メールで届くからです。
ツールの比べ方は、SES案件管理ツールの比較ポイント|Excelから移る基準5つで解説しています。マッチングに強いツールは、SESマッチングツールの選び方|無料・有料の違いと比較ポイント7つで比べられます。
無料ツールへ移るタイミングと手順
無料ツールへ移るのは、「転記に1日30分以上かかる」と感じたときがよいタイミングです。案件・人材の数が増える前に移ると、移すデータが少なく済みます。
移るときは、次の4ステップで進めます。
営業中の行だけを残す:ステータスが「終了」「停止」の行は、別のシートに分ける
表記をそろえる:単価の単位、日付の形式、所属区分の書き方を統一する
ツールに登録する:営業中の案件・人材から先に登録し、過去のデータはあとにする
2週間は並行して使う:Excelは読むだけにして、新しい情報はツールにだけ入れる
Excelの表は、移ったあとも過去の記録の保管用として残しておけます。
チョータツでExcelの転記と共有を楽にする
Excelで管理するときに一番時間がかかるのは、メールを読んで表に転記する作業です。SES営業向けツール「チョータツ」と「チョータツメールAI」を使うと、転記と共有の手間を減らせます。
| 場面 | Excelでやる場合 | DrivenXのツールを使う場合 |
|---|---|---|
| 案件・人材を登録する | メールを読み、列ごとに手で入力 | チョータツで管理。AIが入力を手伝う |
| 届くメールを整理する | 案件か人材か、1通ずつ目で仕分け | チョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分け |
| 社内で共有する | ファイルを送るか、リンクを共有 | チョータツで案件・人材の情報を共有 |
| 取引先の情報を集める | 取引先のメールを待って転記 | チョータツで他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化 |
| 自社の情報を届ける | BCCでメールを一斉送信 | チョータツのメール配信機能でパートナーに配信 |
チョータツは、3,000社以上が利用している、SES営業の案件・人材の管理・共有ツールです。無料で始められます。
チョータツメールAIは、メールインポート機能です。転送設定で取り込んだメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けます。案件・人材以外のメールはデータに残りません。
こんな会社に向いています。
Excelへの転記に、毎日30分以上かかっている
担当者ごとに表があり、最新の情報がどれかわからない
取引先から届く案件・人材メールを見落としている
よくある質問
- Q. SESの案件管理に使える無料のテンプレートはありますか?
- この記事の「案件表」「人材表」の見出しを、Excelやスプレッドシートの1行目に貼り付ければ、そのまま使えます。列は自社の提案に使う項目だけに絞りましょう。
- Q. ExcelとGoogleスプレッドシートは、どちらがよいですか?
- 1人で使うならExcel、2人以上で同時に更新するならスプレッドシートがおすすめです。ExcelもOneDriveなどに保存すれば共同編集できます。どちらも、共有する範囲は社内の必要な人だけにしてください。
- Q. SESの人材管理で、エンジニアの氏名を載せてもよいですか?
- 社内の管理表に載せること自体はできますが、見られる人を限る必要があります。社外に送る一覧はイニシャルにし、必要な項目だけを出しましょう。他社への提案に使うことは、本人の了承を得ておきます。
- Q. 無料のSES管理ツールはありますか?
- 無料で始められるツールがあります。チョータツは無料で始められ、案件・人材の管理・共有、メール配信、他社との連携によるデータベース化ができます。
- Q. Excelからツールに移るのは、いつがよいですか?
- 次のどれかに当てはまったら、準備を始めるのが目安です。営業中の案件・人材が合わせて300件前後、同時に編集する人が3人以上、案件・人材メールが1日100通以上です。
- Q. 勤怠や稼働時間も、同じExcelで管理できますか?
- 案件IDでつなげば同じファイルで管理できます。ただし、勤怠は給与と請求に使う大事な記録なので、別のシートに分けましょう。→ SESの勤怠管理の方法|営業が押さえる注意点5つとツール
まとめ
SESの案件・人材管理は、案件表と人材表の2枚で無料で始められる
列は、単価・商流・稼働開始日・精算幅・スキル・所属・最終更新日など、提案の判断に使うものに絞る
選択肢の固定、1件1行、週1回の棚卸し、見られる人の制限でExcelを長持ちさせる
件数300件前後、担当者3人以上、メール1日100通以上のどれかで、ツールへ移る準備を始める
転記と仕分けの手間は、チョータツとチョータツメールAIで減らせる
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。個人情報の扱いの具体的な判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日
参考資料
Microsoft サポート「Excel の仕様と制限」
Google Workspace Updates「Google スプレッドシートのセル数の上限が 2 倍に」(2022年3月)
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第23条 安全管理措置、第27条 第三者提供の制限)
Microsoft サポート「FILTER 関数」