SESの二重提案が発覚したら|どちらのルートを残すかの判断表と、上位・BPへの連絡順と謝罪例文

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

SESの二重提案とは?なぜ問題になるのか

SESの二重提案とは、同じエンジニアが、複数の会社のルートから同じ客先に提案されることです。重複提案ともいいます。客先から見ると、同じ人のスキルシートが違う会社から2枚届く状態です。

上位とは、商流で自社のひとつ上にいる発注元の会社のことです。BPとは、ビジネスパートナーの略で、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。ほかの業界の言葉はSES用語一覧|営業が現場で使う用語60と意味・例文つきでまとめています。

二重提案が問題になるのは、次の3つの理由からです。

  1. 客先がどの会社と契約すればよいか困る:同じ人なのに、単価や商流が違うことがある

  2. 情報の管理を疑われる:本人やBPが提案先を把握していないと見られる

  3. 両方とも見送りになりやすい:客先がトラブルを避けるため、その人自体を外すことがある

同じ人を複数の案件に出すこと(並行営業)自体は、SESではよくあります。問題になるのは、同じ客先・同じ案件に、違うルートで届いたときです。並行営業のルールはSESの並行営業のルール|トラブルを防ぐ5つの決まり事と伝え方の例文で解説しています。

二重提案はどうして起きる?主な4つの原因

二重提案の多くは、エンジニアかBPが、提案先を全部把握していないことから起きます。原因がわかると、次に何を直すかが決まります。

原因起きること誰の問題か
BPが複数の会社に同じ人を流している別の2社から同じ客先に届くBPの提案先の管理
エンジニアが複数のBP・エージェントに登録している本人が知らないうちに複数ルートで出る本人の登録先の管理
同じ社内で担当者が別々に提案した自社から同じ人が2回出る自社の提案履歴の管理
上位が同じ案件を複数の会社に流している違う商流から同じ案件に届く案件の出どころの確認

特に多いのは、1つ目と2つ目です。どちらも、提案する前に本人とBPに「この案件に出してよいか」を確認していないことが根本の原因です。

どちらのルートを残すか:判断表

どちらのルートを残すかは、先に提案が客先に届いた方を残すのが業界で多い考え方です。いわゆる「先着順」です。ただし、これは法律で決まったルールではなく、例外もあります。

状況残すルートの目安理由
どちらも本人の許可を取って提案した先に客先に届いた方先に動いた会社の手間を尊重する
片方が本人の許可なく提案していた許可を取っていた方許可のない提案は、本人の意思に反する
客先・上位が決めたルールがあるそのルールに従う客先のルールが最優先
すでに片方で面談が決まっている面談が決まっている方客先の手間を増やさない
片方の商流が深すぎる・商流制限に反している条件に合う方客先が受けられるルートに限られる

「先に届いた」は、メールの送信日時で確認します。 口頭で「先に話していた」は、証拠にならないことが多いです。

自社が後だった場合は、自社から取り下げる

自社のルートが後だとわかったら、自社から取り下げを申し出るのが一番信用を守れます。単価の高い方や、自社に有利な方を残そうと交渉すると、客先は「揉めている人」としてその人自体を外しがちです。

商流の深さや商流制限の書き方はSESの商流制限の書き方|案件メールの表記例と意味・守らせ方でくわしく解説しています。

発覚したときの連絡の順番

二重提案が発覚したら、社内の事実確認 → BPへの確認 → 上位への報告の順に動きます。上位への報告を後にするのは、事実がわからないまま謝ると、話がさらに混乱するからです。ただし、確認は半日以内に済ませます。

  1. 社内で事実確認する(30分以内):自社がいつ、どの案件に、誰の許可で提案したかを、提案メールで確認する

  2. BPまたは本人に経緯を聞く(2時間以内):ほかにどの会社に出しているか、許可を出したかを確認する

  3. 自社の方針を決める:残すのか、取り下げるのかを社内で決める

  4. 上位に報告する(当日中):事実と自社の方針を伝え、お詫びする

  5. 記録と再発防止(1週間以内):原因を記録し、BP・本人とルールを決め直す

上位へのお詫びと報告の例文

上位へのメールでは、事実・自社の方針・再発防止の3つを伝えます。どちらが悪いかを長く説明するより、客先の手間をどう減らすかを先に書きます。

例文1:自社が後から提案していた場合(取り下げる)

件名:【お詫び】10/2ご提案のK.Mについて(重複のご報告と取り下げ)

株式会社〇〇 △△様

いつもお世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
10月2日にご提案したK.Mについて、別の会社さまから先に同じ案件へご提案が届いていたことがわかりました。
確認が足りず、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

先にご提案された会社さまのルートを優先いただくため、弊社からのご提案は取り下げます。
今後は、提案の前に本人と所属会社に提案先を確認してからお送りします。

同じ案件に合う別の候補がいれば、改めてご提案させてください。

例文2:自社が先に提案していた場合(判断をお願いする)

件名:K.Mのご提案について(重複のご報告)

株式会社〇〇 △△様

いつもお世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
弊社から9月28日にご提案したK.Mについて、別の会社さまからも同じ案件にご提案が届いていると伺いました。
ご確認のお手間をおかけし、申し訳ございません。

弊社では、9月28日14時に本人と所属会社の了承を得てご提案しております(送信メールを保存しています)。
どちらのルートで進めるかは、御社のご判断に従います。
弊社で進める場合、面談は最短で10月5日から設定できます。

自社が先でも、「当社が先なので当社で」と押し切らないのがポイントです。判断は上位に任せ、証拠があることだけを伝えます。

BPへの確認と、再発防止のお願いの例文

BPへの連絡は、責めずに経緯を聞くことから始めます。BPも、所属のエンジニアやさらに先のBPから流れてきた情報で動いていることがあります。

件名:K.Mさんのご提案先についての確認

株式会社◇◇ ●●様

いつもお世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
9月28日にご紹介いただいたK.Mさんについて、〇〇社の案件に、別の会社さまからも提案が届いていると上位から連絡がありました。

お手数ですが、次の2点を教えていただけますか。
① K.Mさんを、ほかにどの会社さま経由で〇〇社の案件に出されていますか
② 弊社への提案許可は、いつ本人に確認されましたか

上位には本日中に報告するため、15時までにご返信いただけると助かります。
今後は、提案前に提案先をお知らせし合うルールにできればと考えています。

BPとの関係を長く続けるための連絡の仕方は、SESのBPとの関係構築|継続取引につながる7つの習慣と連絡頻度も参考にしてください。

BPの無断並行を防ぐ「提案許諾」の取り方

BPの無断の並行提案を防ぐには、提案の前に「どの案件(エンド)に出すか」をBPに伝え、許可をもらってから出すルールにします。この許可を、この記事では提案許諾と呼びます。

提案許諾を取るときのルールのひな形です。

ルール中身
許可を取るタイミングスキルシートを客先に送る前
許可の中身エンド名(言えなければ業種・場所)、案件名、単価、面談の予定
許可の方法メールかチャットで、文字として残す
許可の期限回答がない場合は提案しない
重複がわかったとき先に許可を取った方を優先し、後の方は取り下げる

BPに許可をもらうメッセージの例です。

K.Mさんを、次の案件にご提案してよろしいでしょうか。
・エンド:金融系(東京都港区)
・案件:Java追加開発
・単価:〇〇万円
同じ案件にすでにご提案済みの場合は、お知らせください。

スキルシートを社外に送ることは、多くの場合「個人データの第三者提供」に当たります。原則として本人の同意が必要です(個人情報保護法第27条第1項)。提案許諾とあわせて、本人がその提案先に同意しているかもBPに確認しておくと安心です。くわしくはスキルシートの個人情報と第三者提供の同意|SES提案で守る手順と文例で解説しています。

BPを通さずに客先と直接話を進める「商流飛ばし」との違いは、SESの商流飛ばしは違法?営業が知るべきリスクと防ぎ方5つで確認してください。

提案履歴で重複を事前に見つける:自分でやる方法と、楽にする方法

二重提案は、提案ごとに1行の記録を残し、提案前に検索するだけで大きく減らせます。自分でやる場合は、次の項目を表に残します。

項目記入例
提案日時・担当2026/9/28 14:00・佐藤
人材・所属・提案許可K.M・BP◇◇社・9/28 11:00メールで許可
提案先・案件・エンド㈱〇〇・Java追加開発・金融系A社
状況提案中/面談確定/決定/取り下げ/見送り

提案する前に、人材名とエンド名で表を検索するのがルールです。担当者ごとに表を分けると、社内での重複が見つかりません。チームで一つの表を共有する方法はSESの案件・要員情報をチームで共有する方法|一元管理の5手順で紹介しています。

チョータツとチョータツメールAIで管理を楽にする

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。チョータツメールAIとは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分ける機能のことです。メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。

やること自分でやる場合チョータツを使う場合
案件・人材の情報をチームで見る担当者ごとのExcel1か所で管理・共有でき、AIが入力を手伝う
BPから届く人材メールを整理する受信箱を目で探すメールAIが案件メールと人材メールに切り分ける
同じ人を別の担当者が扱っていないか見る口頭で確認する共有された人材情報で確かめられる

よくある質問

Q. SESで二重提案になったら、どちらが優先されますか?
先に提案が客先に届いたルートを優先するのが、業界で多い考え方です。ただし法律のルールではないため、客先や上位が決めたルールがあればそちらに従います。
Q. 同じ要員を2社に提案するのは違反ですか?
別々の案件に出す並行営業は、SESではよくあります。同じ客先・同じ案件に違うルートで出すと、二重提案として問題になります。
Q. 二重提案で、要員が両方とも見送りになることはありますか?
あります。客先がトラブルを避けるため、その人自体を外すことがあります。自社が後なら早めに取り下げると、ほかの案件で信用を保てます。
Q. BPが無断で並行提案していたら、取引をやめるべきですか?
1回で取引をやめる必要はありません。まず提案許諾のルールを決め、同じことが続くようなら取引の条件を見直します。

まとめ

  • 二重提案とは、同じ要員が違うルートで同じ客先・同じ案件に提案されること

  • 残すルートは先着順が多い。ただし客先・上位のルールが優先

  • 連絡は、社内の事実確認 → BPへの確認 → 上位への報告の順に、当日中に済ませる

  • 自社が後なら、自社から取り下げると信用を守れる

  • BPとは提案許諾のルールを決め、メールで記録を残す

  • 提案履歴を1行ずつ残し、提案前に人材名とエンド名で検索する

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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