SESのBP登録管理方法|BP台帳に入れる管理項目15と、取引開始時・年1回の更新手順

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

BP登録管理とは?なぜ台帳が必要か

BP登録管理とは、取引するBPの会社情報・契約状況・得意分野を1か所に記録し、最新に保つことです。台帳がないと、「NDAを結んだか」「再委託してよい会社か」を毎回だれかに聞くことになります。

BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。SESでは、自社の案件に他社の要員を出してもらったり、他社の案件に自社の要員を出したりします。

BP台帳とは、BPごとに1行で情報をまとめた一覧表のことです。Excelやスプレッドシートで作る会社が多いです。

台帳がないと、SES営業の現場では次のような困りごとが起きます。

困りごと起きる場面台帳で防げること
契約前に提案してしまう基本契約が未締結のBPに人材を出す締結日の欄で確認できる
再委託NGの案件に出す「再委託不可」のBPの人材を別の会社に流す再委託可否の欄で確認できる
担当者が辞めて連絡が途切れる前任の営業だけがBPの窓口を知っていた担当者欄と自社担当欄で引き継げる
得意なBPを思い出せないJava案件の人材を急いで探す得意領域の欄で絞り込める

特に「契約」と「再委託」は、確認漏れがトラブルに直結します。台帳は営業のためのメモではなく、事故を防ぐ仕組みと考えましょう。

BP台帳に入れる管理項目15

BP台帳には、契約5項目・会社確認5項目・営業5項目の合計15項目を入れます。多すぎると更新されなくなるので、この15個から始めて、使わない項目は消すのがおすすめです。

契約の項目(5つ)

契約の項目は、「このBPと取引してよいか」をすぐ判断するための欄です。更新するのは営業事務か営業責任者が向いています。

No.項目書き方の例見る場面
1基本契約締結日2026/10/15(未締結なら空欄)提案の前
2NDA締結日2026/10/08人材情報を送る前
3再委託可否可/承諾が必要/不可人材を他社へ出す前
4契約形態準委任のみ/派遣も可案件の契約形態を見るとき
5支払いサイト月末締め翌月末払い(30日)条件交渉・資金繰りのとき

基本契約とは、取引全体に共通するルールを先に決めておく契約のことです。案件ごとの条件は、個別契約や注文書で決めます。ひな形と条項の確認点はSES基本契約書のテンプレートと条項チェック15を見てください。

NDA(秘密保持契約)とは、取引で知った秘密を外に出さないと約束する契約のことです。SESではスキルシートなど個人の情報をやりとりするので、人材を送る前に結んでおくと安心です。

再委託とは、受けた仕事を、さらに別の会社や個人に任せることです。民法では、準委任で受けた仕事を別の人に任せるには、原則として依頼した側の許諾が必要です(民法第644条の2)。だからこそ、BPごとに「可・承諾が必要・不可」を記録しておきます。条項の書き方はSESの再委託禁止条項の書き方|承諾条件と個人事業主の扱いで確認できます。

再委託の記録が役に立つのは、BPが無断で商流を増やしたときです。発覚したときの動き方は、SESでBPが無断で商流を増やしていたら|発覚時の対応と再発防止にまとめています。

会社確認の項目(5つ)

会社確認の項目は、「実在する、取引して問題ない会社か」の記録です。取引開始時に1回調べ、年1回見直します。

No.項目書き方の例確認する場所
6法人番号13桁の数字国税庁 法人番号公表サイト
7派遣許可番号派13-XXXXXX(派遣しないなら「なし」)厚生労働省 人材サービス総合サイト
8インボイス登録番号T+13桁国税庁 インボイス公表サイト
9反社チェック日2026/10/05 実施・問題なし自社の調べ方で実施
10与信メモ設立年・従業員数・気になる点相手の会社案内など

法人番号とは、国税庁が会社ごとに付ける13桁の番号のことです。社名や住所が変わっても番号は変わりません。台帳のキーにすると、同じ会社の重複登録を防げます。

インボイス登録番号とは、適格請求書を出せる事業者に付く「T+13桁」の番号のことです。BPから届く請求書の確認に使います。

反社チェックの手順は、SESの反社チェックの方法|新規取引の前にやる手順と条項例にまとめています。

営業の項目(5つ)

営業の項目は、「どのBPに何を頼めばよいか」を探すための欄です。更新するのは、そのBPを担当する営業です。

No.項目書き方の例使い方
11得意領域Java/インフラ(AWS)/PMO急ぎの人材探しで絞り込む
12商流の位置エンド直・元請け・二次請け案件の出どころを判断する
13先方担当者氏名・メール・電話連絡先をすぐ出す
14自社担当者自社の営業の氏名窓口の重複を防ぐ
15最終取引日・状態2026/09/30・取引中休眠BPを見つける

商流とは、SESの仕事がエンド(発注元)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。BPがどこにいるかを書いておくと、案件の条件を読むときに役立ちます。

先方担当者の氏名やメールアドレスは、個人情報にあたります。社内で使う目的をはっきりさせ、必要な人だけが見られるようにしましょう。

取引開始時にBPを登録する5ステップ

BPの登録は、「契約前に仮登録 → 書類がそろったら本登録」の2段階で行います。仮登録の段階では、提案や人材の送付はしません。

  1. 仮登録する:社名・法人番号・先方担当者・自社担当者だけを入れ、状態を「審査中」にする

  2. 会社を確認する:法人番号・派遣許可・インボイス登録を公的サイトで調べ、反社チェックを行う

  3. 契約を結ぶ:NDAと基本契約を結び、締結日・再委託可否・支払いサイトを記入する

  4. 営業情報を聞く:初回の情報交換で、得意領域と商流の位置を聞いて記入する

  5. 本登録にする:15項目がそろったら、状態を「取引中」に変え、チームに共有する

取引開始の審査で相手から求められる書類は、SESの取引開始の審査と必要書類|口座開設で求められる8点一覧にまとめています。自社が求める側のときも、同じ一覧を使えます。

登録の日程の例

2026年10月1日(木)に初めて連絡したBPなら、次のような流れになります。

日付やること台帳の状態
10月1日(木)仮登録・会社確認審査中
10月5日(月)反社チェック完了審査中
10月8日(木)NDA締結審査中
10月15日(木)基本契約締結・本登録取引中

大手企業との取引では、社内の審査に1か月以上かかることもあります。台帳の「状態」を見れば、どのBPが何待ちなのかがすぐにわかります。

年1回の更新手順(毎年4月の例)

BP台帳は、年1回まとめて更新します。おすすめは、新年度が始まる4月です。期末の忙しさが落ち着き、人事異動で担当者が変わる時期と重なるからです。

  1. 更新日を決める:例として、毎年4月の第1週を「BP台帳の見直し週」にする

  2. 休眠BPを抜き出す:最終取引日が1年以上前のBPを「休眠」に変える

  3. 会社情報を調べ直す:法人番号公表サイトで社名・所在地の変更を確認し、派遣許可の有効期間も見る

  4. 契約を確かめる:基本契約の自動更新条項と、NDAの有効期間が切れていないか確認する

  5. 担当者に確認メールを送る:先方担当者・請求の窓口に変更がないか聞く

  6. 反社チェックをやり直す:取引中のBPについて、年1回の再チェックを記録する

たとえば2027年4月1日(木)から見直すなら、次のメールをBPに送ると返信が集まりやすいです。

件名:【ご確認のお願い】ご担当者様・ご請求先の情報について

いつもお世話になっております。株式会社〇〇の△△です。
年度はじめにあたり、取引先情報の見直しをしております。
ご担当者様・ご請求先・ご住所に変更がございましたら、4月9日(金)までにご返信いただけますと幸いです。
変更がない場合、ご返信は不要です。

「変更がない場合は返信不要」と書くと、相手の手間が減り、変更があるBPだけが返信してきます。

年1回を待たずに更新するとき

次のことが起きたら、その日のうちに台帳を直します。

  • 先方担当者が変わった、または退職した

  • 社名・住所が変わったという連絡が来た

  • 新しく案件・人材の取引が決まった(最終取引日を更新)

  • 支払いの遅れや、再委託のルール違反があった(与信メモに記録)

トラブルが続くBPとは、取引を止める判断も必要です。判断の基準と伝え方は、BPとの取引停止の判断基準と伝え方|SESの連絡例文と注意点で解説しています。台帳の状態を「取引停止」に変え、理由を与信メモに残しておきましょう。

Excelで管理するときのコツと限界

BPが30社くらいまでなら、Excelやスプレッドシートの台帳で十分回せます。ただし、BPが増えるほど「更新されない」「探せない」問題が出てきます。

Excel台帳のコツ

  • 1社1行にし、列は15項目で固定する

  • 法人番号の列で重複をチェックする(同じ番号が2行あれば重複)

  • 再委託可否や状態は、入力規則で選択式にして表記ゆれを防ぐ

  • 締結日が空欄の行は、条件付き書式で色を付ける

  • 編集できる人を決め、ほかの人は閲覧だけにする

台帳の列を決めたら、最初の1か月は「締結日が空欄なのに提案した行」がないかを週1回確かめます。空欄のまま提案していれば、仮登録の段階で提案を止めるルールが守られていない合図です。

Excel台帳の限界

限界起きること
案件・人材とつながらない台帳を見ても、今どのBPに何の案件があるかわからない
最新の情報が入らないBPからのメールは各営業の受信箱に残るだけ
同時に直せない共有ファイルの上書きや、コピーの乱立が起きる

BP台帳は「会社の情報」を管理するものです。しかし営業が本当に知りたいのは、「このBPに今どんな案件・人材があるか」です。ここがExcelでは埋めにくい部分です。

BPの営業中案件・人材をDB化する方法

台帳の「会社情報」とあわせて、BPの営業中案件・人材を1か所に集めると、BP管理が売上につながります。自分でやる方法と、ツールで楽にする方法があります。

自分でやる方法

  1. BPから届く案件メール・人材メールを、フォルダで振り分ける

  2. 週1回、案件・人材の一覧表に転記する(BP名・スキル・単価・開始時期)

  3. 台帳の「最終取引日」「得意領域」を、転記した内容で更新する

メールの振り分け方はSESの案件メール整理方法|Outlook振り分けと見落とし防止策が参考になります。ただし転記には時間がかかり、写し間違いも起きます。

チョータツで楽にする方法

チョータツは、SES営業の案件・人材を管理・共有するツールです。BP管理に関係する機能は次のとおりです。

機能できることBP管理での使い方
チョータツ(連携)他社と連携すると、他社の営業中案件・人材をDB化できるBPの「今ある案件・人材」を一覧で見る
チョータツ(メール配信)パートナーへメールを配信できる年1回の確認メールや、案件の共有に使う
チョータツブーストチョータツの中で、新しいパートナー企業を開拓できる台帳に載せる新しいBPを増やす

おすすめの使い方は、会社の確認や契約の記録はBP台帳で、案件・人材はチョータツでと役割を分けることです。台帳の「得意領域」を、チョータツに集まった案件・人材を見て更新すると、情報が古くなりにくくなります。

BPの数自体が少ない場合は、先にチョータツブーストで開拓すると、台帳に載せる相手を増やせます。

よくある質問

Q. BP台帳と顧客リストは分けるべきですか?
分けるのがおすすめです。顧客リストは案件をくれる会社への営業の記録で、BP台帳は契約と取引条件の記録です。1社が両方を兼ねる場合は、法人番号で2つを結びます。顧客リストの項目はSESの顧客リスト管理方法|必要な項目20と見込み客の育て方で紹介しています。
Q. 取引開始の審査では、どんな書類が必要ですか?
履歴事項全部証明書・会社案内・派遣許可証の写し・インボイス登録番号・NDA・基本契約書などです。派遣をしない会社なら、派遣許可証の欄は「なし」と記録します。
Q. 休眠しているBPは台帳から消してよいですか?
消さずに「休眠」にしておきましょう。契約の締結日や過去のトラブルの記録は、取引を再開するときに必要になります。
Q. 個人事業主(フリーランス)のBPも同じ台帳でよいですか?
同じ台帳で管理できますが、法人番号の欄は空欄になります。個人との取引では、発注のたびにフリーランス法第3条の取引条件の明示が必要です。別の列で「個人」と印を付けておくと、明示の漏れを防げます。
Q. BP台帳は誰が更新すべきですか?
契約と会社確認の10項目は営業事務か営業責任者、営業の5項目は担当営業が更新します。更新する人を項目ごとに決めると、台帳が古くなりません。
Q. チョータツを使えば、BP台帳は要らなくなりますか?
チョータツは案件・人材の管理・共有ツールです。契約の締結日や反社チェックの記録は、自社のBP台帳で管理を続けましょう。案件・人材の情報はチョータツ、契約の情報は台帳と分けるのがおすすめです。

まとめ

  • BP登録管理は、全員が同じ「BP台帳」を見ることから始める

  • 項目は、契約5・会社確認5・営業5の合計15個

  • 取引開始時は「仮登録 → 会社確認 → 契約 → 営業情報 → 本登録」の5ステップ

  • 年1回(例:毎年4月)に、休眠BP・会社情報・契約期限・担当者をまとめて見直す

  • 案件・人材の情報は、チョータツの連携でBPの営業中案件・人材をDB化すると、台帳が提案に直結する

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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