SESの顧客リスト管理方法|Excelに入れる項目20と、見込み客のランク分け・追客ルール

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

SESの顧客リストとは?一般的な顧客名簿との違い

SESの顧客リストとは、案件や人材をやり取りする会社と、これから取引したい会社を一覧にした表のことです。一般的な顧客名簿との一番の違いは、相手が「お客さん」にも「仕入れ先」にもなる点です。

SESでは、ある会社から案件をもらい、同じ会社に自社のエンジニアを出すことがあります。反対に、その会社のエンジニア(BP要員)を、自社の案件に入れてもらうこともあります。そのため、「何をもらえる相手か」まで記録しないと、リストが営業に使えません。

比べる点一般的な顧客名簿SESの顧客リスト
相手の役割買ってくれるお客さん案件をくれる会社・人材をくれる会社の両方
大事な情報購入履歴・連絡先商流・得意スキル・単価帯・支払いサイト
連絡のきっかけ新商品・キャンペーン営業中の案件・人材が出たとき
情報の古くなり方ゆっくり速い(案件・人材は毎週入れかわる)

見込み客とは

見込み客とは、まだ取引はしていないが、これから案件や人材をやり取りできそうな会社のことです。交流会で名刺交換した会社、問い合わせフォームから連絡した会社、BPから紹介された会社などが当てはまります。

見込み客は、1回連絡しただけでは取引になりません。何度か情報を送り合い、相手が困ったときに思い出してもらうことで、初めて案件や人材の相談が来ます。この「何度も連絡して関係を育てること」を追客といいます。

BP台帳とは分けて考える

顧客リストは「営業を進めるための表」、BP台帳は「取引の条件を正しく残すための表」です。基本契約の締結日や口座情報など、取引開始後の細かい情報はBP台帳に入れます。BP台帳の項目は、SESのBP登録管理方法|取引先情報の管理項目15と更新の仕組みでくわしく説明しています。

SESの顧客リストに入れる項目20

SESの顧客リストに入れる項目は、基本情報6つ・SESの取引条件8つ・営業の進み具合6つの合計20個です。Excelの1行目にこの20個を列の見出しとして並べ、1社を1行に入れます。

基本情報(6項目)

No列の名前入れる内容の例なぜ必要か
1会社名株式会社〇〇システム正式名で入れ、重複を防ぐ
2法人番号13桁の番号社名変更や同名の会社と区別できる
3先方担当者山田太郎(営業部・課長)誰に連絡すればよいかわかる
4連絡先メールアドレス・電話番号案件・人材情報を送る先
5自社の担当営業佐藤誰が追いかけるか決める
6入手経路交流会・紹介・問い合わせどの開拓方法が効くかわかる

法人番号とは、国税庁が会社ごとに付けている13桁の番号のことです。国税庁の「法人番号公表サイト」で、会社名から無料で調べられます。

SESの取引条件(8項目)

ここがSESの顧客リストで一番大事な部分です。一般的な顧客管理ツールの初期設定には、こうした列がありません。

No列の名前入れる内容の例なぜ必要か
7商流上の位置エンド/元請け/一次請け/二次以下単価と提案の通りやすさがわかる
8取引の向き案件をくれる/人材をくれる/両方何を送ればよいか決まる
9得意スキル・領域Java・金融系、インフラ・AWS合う案件・人材が出たときに探せる
10案件の単価帯60〜80万円自社の人材を出せるか判断できる
11支払いサイト月末締め翌月末払い(30日)資金繰りと取引の優先度に響く
12再委託の条件二次まで可・個人事業主不可出せない人材を提案しないため
13契約書類の状況基本契約済み・NDAのみ・未締結すぐ提案できるかがわかる
14エリア・働き方東京・リモート併用人材の住まいと合わせるため

商流とは、エンド(システムを使う会社)から仕事が何社を通って流れてくるかという経路のことです。支払いサイトとは、月の締め日から実際にお金が支払われるまでの日数のことです。

どちらも、1回聞けばしばらく変わらない情報です。初めての情報交換で聞き、その日のうちにリストへ入れましょう。商流の聞き方は、SESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文にまとめています。

営業の進み具合(6項目)

No列の名前入れる内容の例なぜ必要か
15ランクA/B/C/D連絡の頻度を決める
16ステータス情報交換済み・提案中・取引中今どの段階かわかる
17最終やり取り日2026/9/24放置している会社を見つける
18次回アクション日・内容2026/10/1 人材情報を送る次にやることを忘れない
19取引実績提案5件・成約1件・稼働中1名力を入れる相手を選べる
20メール配信の可否配信OK・配信停止送ってはいけない相手に送らない

特に大事なのは、17番の最終やり取り日と18番の次回アクション日です。この2列が空いている会社は、ほぼ確実に放置されています。

Excelで顧客リストを作る手順

Excelで顧客リストを作るときは、入力のゆれを防ぐ設定を最初に入れておくのがコツです。人によって「一次」「1次」「一次請け」と書き方が変わると、あとで絞り込めなくなります。

  1. 1行目に20項目の見出しを並べる
    A列から順に、20個の列名を入れます。1行目は「表示」→「ウィンドウ枠の固定」で固定します。

  2. 表をテーブルにする
    表の中を選び、Ctrl+Tでテーブルにします。行を足しても書式や関数が自動で広がります。

  3. 選ぶだけの列はプルダウンにする
    商流・取引の向き・ランク・ステータス・配信の可否は、「データの入力規則」でリストから選ぶ形にします。

  4. 日付の列は日付形式にそろえる
    最終やり取り日と次回アクション日は、「2026/9/24」の形で入れます。文字で入れると計算できません。

  5. 経過日数の列を足す
    21列目に「経過日数」を作り、=IF(Q2="","",TODAY()-Q2) と入れます(Q列が最終やり取り日の場合)。

  6. 期限切れを色で目立たせる
    「条件付き書式」で、次回アクション日が今日より前の行を赤くします。式は =AND($R2<>"",$R2<TODAY()) です(R列が次回アクション日の場合)。

  7. 共有の場所と編集ルールを決める
    ファイルは共有フォルダに1つだけ置きます。コピーを作らないことを、チーム全員で約束します。

案件表や人材表もあわせて作るなら、法人番号の列を共通のキーにすると、表どうしをつなげられます。

見込み客のランク分けと追客ルール

見込み客は、「今どれだけ取引に近いか」でA〜Dの4ランクに分けます。ランクを分ける目的は、限られた営業の時間を、取引に近い会社から順に使うためです。

ランクの決め方

ランク状態の目安連絡の頻度主な連絡内容
A月1回以上、案件・人材をやり取りしている週1回営業中の人材・案件を個別に送る
B情報交換を済ませ、得意領域がわかっている2週間に1回得意領域に合う情報を個別に送る
C名刺交換や資料送付だけで止まっている月1回一斉配信メール+短い近況確認
D90日以上やり取りがない3か月に1回近況確認メール・交流会の誘い

頻度はあくまで目安です。自社の営業の人数と、リストの社数に合わせて調整してください。大事なのは、ランクと頻度を表にして、チームで同じルールを使うことです。

ランクを上げ下げするルール

ランクは一度決めたら終わりではありません。次のルールで、月に1回まとめて見直します。

  1. 提案や面談が1件でも動いたら、Bの会社はAに上げる

  2. 情報交換の面談をしたら、Cの会社はBに上げる

  3. 経過日数が60日を超えたら、1つ下げる(AならB、BならC)

  4. 経過日数が90日を超えたら、Dにする

  5. 配信停止の連絡を受けたら、ランクに関係なく配信の可否を「停止」にする

追客のメール例文(Cランクの会社向け)

Cランクの会社には、相手の得意領域に合わせた一言を添えると返信が来やすくなります。次の例文は、交流会で名刺交換した会社への2回目の連絡を想定しています。

件名:【〇〇株式会社】Javaの営業中人材2名のご紹介(10月入場可)

株式会社△△ 山田様

いつもお世話になっております。〇〇株式会社の佐藤です。
9月の交流会ではありがとうございました。
金融系のJava案件が多いと伺っていたため、10月から入場できる人材を2名ご紹介します。

・Java・Spring Boot 6年/金融系の保守経験あり/単価65万円
・Java 3年/テスト工程から参画可/単価50万円

御社で人材をお探しの案件がありましたら、ご返信いただけると幸いです。
今後、この種のご案内が不要でしたら、下記の配信停止用アドレスまでご連絡ください。

―――――――――――――――
〇〇株式会社 営業部 佐藤
東京都〇〇区〇〇 1-2-3
電話:03-XXXX-XXXX
配信停止・お問い合わせ:stop@example.co.jp

最後の署名には、送信者の名前・住所・問い合わせ先と、配信停止の受け付け先を入れています。一斉配信のメールには、法律で表示が求められる項目があるためです。表示が必要な項目は、この記事の「顧客リストで気をつけたい2つの法律」で説明します。ほかの例文は、SES営業メールの例文10選にもあります。

顧客リストを放置させない運用ルール5つ

顧客リストが使われなくなる一番の原因は、更新の担当と日が決まっていないことです。作ったときは完璧でも、3か月たつと半分以上の行が古くなっているのはよくある話です。次の5つのルールを決めておきましょう。

Noルール具体的なやり方
1やり取りしたら当日に更新最終やり取り日と次回アクション日だけは、その日のうちに入れる
2週1回、期限切れを確認月曜の朝に、赤くなった行を担当者ごとに確認する
3月1回、ランクを見直すランクの上げ下げのルールを、全行に当てる
4半年に1回、担当者を確認異動・退職していないか、近況確認メールで確かめる
51社1行を守る新しく入れる前に、会社名と法人番号で検索する

営業が抜けても引き継げる形にする

SESでは、担当営業の異動や退職で、取引先との関係が途切れることがあります。顧客リストに「最終やり取りの内容」を一言でも残しておけば、次の担当者がすぐに連絡を再開できます。担当が変わるときは、リストの先方担当者あてに挨拶メールを送ります。文面は営業担当者変更の挨拶メール例文|SESの取引先・BP・要員向けを使えます。チームでの共有の仕方は、SESの案件・要員情報をチームで共有する方法|一元管理の5手順で説明しています。

顧客リストで気をつけたい2つの法律

顧客リストで特に気をつけたい法律は、個人情報保護法と特定電子メール法の2つです。どちらも、名刺やメールアドレスを扱うSES営業に関係があります。

個人情報保護法:担当者の名前やメールは個人情報

個人情報とは、生きている個人を特定できる情報のことです。取引先の会社名だけなら個人情報ではありません。しかし、担当者の氏名・メールアドレスが入った顧客リストは、個人情報を扱う表になります。

個人情報保護法は、利用目的をできる限り特定することを求めています(第17条)。情報が漏れないよう安全に管理することも必要です(第23条)。顧客リストのファイルには、パスワードや閲覧できる人の制限をかけましょう。

特定電子メール法:一斉配信の相手と表示に注意

特定電子メール法とは、広告や宣伝のためのメールの送り方を定めた法律のことです。原則として、あらかじめ同意を得た相手にだけ広告宣伝メールを送れます(第3条)。これを「オプトイン規制」といいます。

ただし、例外もあります(第3条第1項第2号〜第4号)。名刺などの書面でアドレスを知らせてくれた相手、取引関係にある相手、Webサイトでアドレスを公表している会社などです。サイトに「広告メールお断り」と書いてある会社は、公表の例外に入りません。例外に当たっても、広告・宣伝のメールには表示が必要な項目があります(第4条と施行規則第9条)。送信者の名前・住所、配信停止を受け付けるメールアドレスかURL、問い合わせ先などです。停止の連絡を受けたら、20番の「メール配信の可否」を必ず「停止」にしてください。停止依頼への返信の文面は、営業メールの配信停止依頼への対応|特定電子メール法と返信例文で紹介しています。

Excelの顧客リストの限界と、ツールに移る目安

Excelの顧客リストは、社数が少なく、見る人が数人のうちはとても便利です。一方で、案件・人材のやり取りが増えると、次のような困りごとが出てきます。

困りごとよくある場面
転記が増える顧客リスト・案件表・人材表に同じ会社名を何度も入れる
最新版がわからない誰かがコピーを作り、別々に更新してしまう
相手の営業中案件が見えない届いたメールを読み返さないと、今の案件・人材がわからない
開拓先が尽きる名刺交換した会社を回り終え、新しい見込み客が増えない

ツールを考える目安は、取引中と見込み客を合わせて100社を超えたころか、営業が3人以上になったころです。汎用のCRM(顧客管理ツール)を使う方法もありますが、SES特有の列を自分で作る手間がかかります。選び方はSESの顧客管理CRMおすすめ|汎用SFAが合わない理由と選び方で比べています。

チョータツで顧客リストの管理を楽にする方法

ここまでの方法は、すべてExcelだけで始められます。そのうえで、取引先との案件・人材のやり取りの部分をもっと楽にしたい場合は、チョータツが使えます。チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールで、3,000社以上が利用しています。

取引先と連携して、営業中の案件・人材をデータベースにする

チョータツでは、他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できます。顧客リストの「得意スキル」や「単価帯」を手で更新しなくても、今どんな案件・人材が動いているかを確認しやすくなります。

自社の案件・人材の情報も、チョータツで管理・共有できます。入力はAIが手伝ってくれるので、Excelへの転記の手間を減らせます。パートナーへのメール配信機能もあるため、ランクごとの追客メールをまとめて送るときにも使えます。

チョータツブーストで、新しい見込み客を増やす

顧客リストを育てても、見込み客が増えなければ取引は広がりません。チョータツブーストは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能です。名刺交換や交流会だけに頼らず、Cランク・Dランクの見込み客を増やす入り口として使えます。

自分でリストを作る方法は、SESの開拓リストの作り方|検索コマンドと優良企業の見分け方7点で紹介しています。

よくある質問

Q. SESの顧客リストで管理すべき項目は何ですか?
会社名・担当者・連絡先などの基本情報が必要です。加えて、商流・取引の向き・得意スキル・単価帯・支払いサイト・再委託の条件を入れます。さらに、ランク・最終やり取り日・次回アクション日を入れると、追客の漏れを防げます。
Q. SESの見込み客はどう管理すればいいですか?
取引への近さでA〜Dの4ランクに分け、ランクごとに連絡の頻度を決めます。目安はAが週1回、Bが2週間に1回、Cが月1回、Dが3か月に1回です。月1回、ランクを見直しましょう。
Q. SESの見込み客管理にツールは必要ですか?
数十社のうちはExcelで十分です。100社を超えたり、営業が3人以上になったりしたら、ツールを考えましょう。案件・人材のやり取りまでまとめたいなら、チョータツのようなSES営業向けツールが合います。
Q. 顧客リストとBP台帳は同じファイルでいいですか?
分けるのがおすすめです。顧客リストは営業を進めるための表、BP台帳は契約や口座などの取引条件を残す表です。会社名と法人番号で2つをつなげておけば、行き来できます。
Q. 名刺交換した相手に、案件・人材の一斉配信を送ってもいいですか?
送れます。名刺などの書面でアドレスを知らせてくれた相手は、特定電子メール法の同意の例外です(第3条第1項第2号)。ただし、送信者名・住所、配信停止の受け付け先、問い合わせ先の表示は必要です。停止の連絡には必ず従いましょう。
Q. 休眠しているDランクの会社は、リストから消すべきですか?
すぐに消す必要はありません。3か月に1回の近況確認で、担当者が変わって再び取引が始まることもあります。ただし、配信停止の連絡を受けた会社や、廃業した会社は、送信の対象から外しましょう。

まとめ

  • SESの顧客リストは、案件をくれる会社と人材をくれる会社の両方を1社1行で管理する表

  • 入れる項目は20個。商流・取引の向き・得意スキル・単価帯・支払いサイト・再委託の条件がSESならではの列

  • 最終やり取り日と次回アクション日を必ず埋め、Excelの関数と色付けで放置を見つける

  • 見込み客はA〜Dの4ランクに分け、週1回〜3か月に1回の頻度で追客する

  • ランクは月1回見直し、60日やり取りがなければ1つ下げる

  • 担当者の氏名やメールは個人情報。一斉配信は特定電子メール法の表示と配信停止に気をつける

  • 100社・営業3人を超えたら、ツールへの移行を考える

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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