SESの顧客管理CRMおすすめの選び方|汎用SFAが合わない理由5つと設定例・選定チェックリスト

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SES営業の顧客管理CRMとは?

SES営業の顧客管理CRMとは、客先やBP(取引先パートナー)との取引の記録を、チームで共有するための仕組みのことです。CRMは Customer Relationship Management の略で、「顧客との関係の管理」という意味です。

一般的な会社では、CRMの「顧客」は商品を買ってくれる会社だけです。SES営業では、客先・BP・案件・人材の4つを同時に管理します。

管理するものSES営業での意味変わる速さ
客先エンジニアを受け入れる会社ゆっくり(年単位)
BP案件や人材を紹介し合う取引先ゆっくり(年単位)
案件客先がエンジニアを募集している仕事の枠速い(日〜週単位)
人材提案できるエンジニア(自社・BP・フリーランス)速い(日〜週単位)

BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。BPは「お客さん」でもあり「仕入れ先」でもあります。この点が、一般的なCRMの考え方と大きく違います。

→ CRMそのものの意味やSFAとの違いはCRMとは?SES営業が顧客管理で押さえる機能とSFAとの違いで詳しく解説しています。

汎用CRM・SFAがSES営業に合わない理由5つ

汎用のCRM・SFAが合わないのは、「自社の商品を、1社の顧客に、1つの商談で売る」形を前提に作られているからです。SES営業はこの前提から5つの点で外れます。

SFAとは、商談の進み具合や営業担当者の活動を管理する営業支援システムのことです。Sales Force Automation の略です。

理由汎用CRM・SFAの前提SES営業の実際
1. 商談の形1商談=1顧客=1受注1案件に数人、1人を数案件に提案
2. 商品自社の商品は決まっている人材が毎日入れ替わる
3. 取引先の向き顧客は「買う側」だけBPは売る側にも買う側にもなる
4. 情報の入口営業が自分で入力するBPから1日に何十通もメールで届く
5. 情報の寿命商談は数か月続く案件は数日で埋まることがある

理由1:案件と人材は「多対多」で掛け合わさる

SES営業では、1つの案件に複数の人材を出し、1人の人材を複数の案件に出します。この関係を「多対多」と呼びます。

汎用SFAの「商談」は、1つの顧客にひも付く1本の線です。SESの提案を記録しようとすると、同じ人材の情報を商談ごとにコピーすることになります。人材の稼働可能日が変わると、全部の商談を直す必要が出ます。

たとえば、Aさん(Java・5年)を2026年10月1日に3つの案件へ同時に提案したとします。

  1. X社の案件:書類選考中

  2. Y社の案件:10月6日に面談予定

  3. Z社の案件:見送り

Y社で決まったら、X社への提案はすぐに取り下げる必要があります。汎用SFAでは商談が3本バラバラなので、取り下げ漏れが起きやすくなります。同じ人材を別ルートから重ねて出してしまったときの対応は、SESの二重提案が発覚したら|どちらを残すかの判断と謝罪例文で解説しています。

理由2:「商品」である人材が毎日入れ替わる

汎用CRMには、営業中の人材を「在庫」として持つ仕組みがありません。自社の商品は、製品マスタに一度登録すれば終わりです。

SES営業の「商品」は人材です。スキル・単価・稼働可能日・勤務地の希望が、人ごとに違います。しかもBPから毎日、新しい人材情報が届きます。この入れ替わりの速さに、汎用CRMの製品マスタは向いていません。

理由3:BPが「顧客」と「仕入れ先」の両方になる

汎用CRMは、取引先を「顧客」として1方向で管理します。SESのBPは、案件をくれる日もあれば、人材をくれる日もあります。

同じBPとの取引を、「案件をもらう」「人材をもらう」「人材を出す」の3つの向きで見分ける必要があります。取引先の区分を1つしか選べない設定だと、ここが記録できません。

→ BPとプロパー(自社社員)の違いはSESのプロパーとBPの違い|営業が使い分ける意味と提案時の注意点で解説しています。

理由4:情報の入口が「メール」

SES営業の情報の多くは、BPからの案件メール・人材メールとして届きます。汎用CRMは、営業担当者が商談の内容を自分で入力する前提です。

メールの本文を読み、案件か人材かを見分け、CRMに転記する作業が毎日発生します。1通2分でも、1日50通なら100分です。この転記が続かず、結局メールボックスが「本当のデータベース」になる会社が少なくありません。

理由5:情報の寿命が短い

SESの案件は、募集が始まってから数日で埋まることがあります。汎用SFAは、数週間から数か月かけて商談を進める前提で作られています。

入力が1日遅れるだけで、提案のチャンスを逃します。SES営業のツールには、「入力が速いこと」と「古い情報が自然に消えること」が求められます。

SES営業の顧客管理ツール5タイプの比較

おすすめの選び方は、「どこまでを1つのツールで管理したいか」で決めることです。大きく5つのタイプがあります。

タイプ向いている会社よい点注意点
Excel・スプレッドシート営業1〜3人、取引先が数十社まで無料ですぐ始められる同時編集と履歴が弱い
汎用CRM・SFA(そのまま)客先への直接営業が中心名簿・履歴・更新日の管理に強い案件×人材の提案を表しにくい
汎用CRM+カスタマイズ社内に設定できる人がいる自社のやり方に合わせられる設定と保守に時間がかかる
業務アプリ作成ツール自社で項目を細かく作りたい自由度が高い作った人が辞めると止まりやすい
SES特化ツール案件・人材メールが多い案件と人材を最初から持てる汎用の名簿機能は製品による

おすすめの組み合わせは、会社の状況によって次のように変わります。

  • 営業1〜3人:Excelで名簿を持ち、案件・人材はSES特化ツールへ

  • 営業4〜10人:汎用CRMで客先・BPの名簿と接触履歴、SES特化ツールで案件・人材・提案

  • 10人以上で社内に設定担当がいる:汎用CRMのカスタマイズも選択肢。ただし、メール取り込みの仕組みは別に用意する

業務アプリ作成ツールとは、プログラムを書かずに、自社専用の入力画面やデータベースを作れるツールのことです。自由度は高いですが、SES向けの設計を自分たちで考える必要があります。

→ 業務ごとのツールの組み合わせはSES営業ツールの種類と選び方|業務別のおすすめ構成と導入手順でも整理しています。

汎用CRMを使う場合の設定例

汎用CRMをSES営業に使うなら、「提案」を独立した記録(まとまり)として作ることが一番大事です。案件と人材をつなぐ「提案」があると、多対多を表せます。

このように2つのまとまりの間に置く記録を、中間テーブルと呼びます。中間テーブルとは、「どの案件に、どの人材を出したか」の組み合わせだけを記録する表のことです。

作る5つのまとまりと主な項目

まとまり主な項目ひも付け先
会社会社名、区分(客先/BP/両方)、商流の位置、支払いサイト担当者・案件・人材
担当者氏名、部署、メール、最終接触日会社
案件案件名、スキル、単価、開始日、勤務地、募集状態会社(出し元)
人材イニシャル、スキル、希望単価、稼働可能日、所属区分会社(所属元)
提案提案日、提案単価、進み具合、見送り理由案件・人材の両方

「会社」の区分には、客先・BP・両方の3つを用意します。3つの区分があれば、理由3の「向きが2つある」問題に対応できます。

設定の手順

  1. 会社の区分を3つにする:客先/BP/両方。商流の位置(元請け・一次請けなど)も選択式で持つ

  2. 案件と人材を別のまとまりにする:どちらも「出し元の会社」にひも付ける

  3. 「提案」のまとまりを作る:1件の提案に、案件1つと人材1人をひも付ける

  4. 提案の進み具合を段階にする:提案済み→書類通過→面談調整→面談済み→決定/見送り

  5. 人材の画面に「提案中の案件一覧」を出す:取り下げ漏れを防ぐ

  6. 案件と人材に「募集状態」を付ける:営業中/決定/終了。終了は一覧に出さない

  7. 更新日で並ぶ一覧を作る:7日以上更新がない案件・人材を毎週見直す

会社名の書き方をそろえるルールも、最初に決めておきます。「株式会社」の前後や全角・半角がバラバラだと、同じ会社が2件登録されてしまいます。

汎用CRMで残る課題

設定をしても、メールからの取り込みは残ります。汎用CRMのメール連携は、多くの場合「やりとりの記録」を残す機能です。案件メールの本文から、案件の記録を自動で作るわけではありません。

この部分を手で転記するか、メールを案件・人材に切り分けるツールを組み合わせるかを決めておきましょう。

→ 名簿の項目はSESの顧客リスト管理方法|必要な項目20と見込み客の育て方が参考になります。BPの項目はSESのBP登録管理方法|取引先情報の管理項目15と更新の仕組みにまとめています。

SES特化ツールを選ぶ10の基準(チェックリスト)

SES特化ツールは、最初に3点を確かめます。「案件と人材を両方持てるか」「メールから取り込めるか」「BPと情報を共有できるか」です。そのうえで、次の10項目を無料期間や説明会で確認しましょう。

#確認することなぜ大事か
1案件と人材を両方、別々に登録できる片方だけのツールでは提案が組めない
21人の人材を複数の案件に提案した記録を残せる取り下げ漏れを防ぐ
3届いたメールを取り込める転記の時間を減らす
4案件メールと人材メールを見分けられる仕分けの手間を減らす
5BP(他社)と情報を共有・連携できる他社の営業中の情報を早くつかむ
6パートナーへメールを配信できる自社の案件・人材を届ける
7終わった案件・人材が一覧から消える古い情報で提案しない
8見られる人を絞れる人材情報は個人情報を含む
9既存のExcelから移せる移行の手間を減らす
10無料で試せる期間・プランがある現場で使えるか先に確かめる

やってはいけない選び方は、機能の数だけで選ぶことです。営業担当者が毎日開かないツールは、どれだけ高機能でも情報が古くなります。「入力が一番楽なもの」を優先しましょう。

→ 案件管理ツールの比べ方はSES案件管理ツールの比較ポイント5つ|Excelから移る目安と手順で解説しています。

CRM・SFAを導入して定着させる6ステップ

導入は、「困りごとを1つに決める」ことから始めます。全部を一度に移すと、現場が混乱して使われなくなります。

  1. 一番の困りごとを1つ決める:例「提案の取り下げ漏れ」「BPメールの転記が多い」

  2. 今のデータを集める:Excel・メール・名刺の情報を1か所に出す

  3. 会社名の書き方をそろえる:重複を消してから移す

  4. 1チームで2週間試す:2026年なら、10月の第2週から2週間など期間を決める

  5. 毎週の会議でツールの画面を使う:会議資料をツールの一覧画面にする

  6. 使われない項目を消す:入力されていない項目は、1か月後に見直す

ステップ5が特に大切です。会議でツールの画面を見る習慣ができると、入力しないと話ができない状態になり、自然に定着します。

SES営業でSFA・CRMを活用するコツ

SES営業でSFA・CRMを活かすコツは、「商談の数」ではなく「提案の組み合わせ」と「情報の鮮度」を見ることです。一般的なSFAの見方をそのまま使うと、SES営業の実態とずれます。

見る数字一般的なSFASES営業での見方
活動の量商談件数1週間の提案数(案件×人材の組み合わせ数)
進み具合受注確度面談に進んだ提案の割合
取引先顧客別の売上BP別の決定数(どのBPとよく決まるか)
鮮度―7日以上更新のない案件・人材の数

BP別の決定数を毎月見ると、注力するBPが見えてきます。よく決まるBPには自社の人材情報を先に送る、といった打ち手につながります。逆に半年決まらず、トラブルも多いBPは、BPとの取引停止の判断基準と伝え方|SESの連絡例文と注意点を参考に整理を検討します。

契約の更新日も汎用CRMで管理しやすい項目です。更新の判断日の1か月前に通知が出るようにしておくと、更新漏れや次の案件探しの遅れを防げます。

人材情報を扱うときの注意

人材のスキルシートや氏名は個人情報です。個人情報保護法では、個人データを第三者に渡すとき、原則として本人の同意が必要とされています(第27条)。安全管理のための措置も求められます(第23条)。

ツールでは、見られる人を絞る設定を使いましょう。BPに人材を提案するときは、イニシャル表記にするなど、社内ルールを決めておくと安心です。

チョータツで案件・人材・BPの管理を楽にする

汎用CRMで足りない「案件・人材・提案・メール取り込み」の部分は、SES営業向けのチョータツで補えます。会社・担当者の名簿は、今の汎用CRMやExcelのままでもかまいません。

困りごと自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
案件・人材の管理汎用CRMに項目を足して設定チョータツで案件・人材の情報を管理・共有。AIが入力を手伝う
BPからのメールの転記1通ずつ読んで転記チョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分け
BPの営業中の情報の把握配信メールを読んで記録チョータツで他社と連携し、他社の営業中案件・人材をデータベース化
自社の案件・人材の配信BCCで一斉送信チョータツのメール配信機能でパートナーへ配信
取引先のBPを増やす検索・交流会で1社ずつチョータツブーストで新しいパートナー企業を開拓

チョータツメールAIは、転送設定でメールを取り込めます。案件・人材以外のメールはデータに残りません。請求や社内連絡のメールが混ざっていても、取り込むのは案件と人材の情報だけです。

チョータツは3,000社以上が利用しており、無料で始められます。まずは1チームで2週間試し、汎用CRMとどちらが入力しやすいかを比べてみましょう。

顧客管理で見えてきた「よく決まるBP」を、もっと増やしたい方へ:無料で登録してブーストを使う

よくある質問

Q. SESの顧客管理におすすめのCRMはどれですか?
1つに決めるより、分けて使うのがおすすめです。客先・BPの名簿と接触履歴は汎用CRMかExcel、案件・人材・提案はSES特化ツールで管理すると、入力が続きやすくなります。
Q. なぜ汎用のSFAはSES営業に合わないのですか?
汎用SFAは「1つの商談に1つの顧客」が前提だからです。SES営業は1つの案件に複数の人材、1人の人材を複数の案件に提案する「多対多」なので、そのままでは記録しにくくなります。
Q. 汎用CRMでもSESの案件管理はできますか?
設定すればできます。会社・担当者・案件・人材・提案の5つのまとまりを作り、「提案」で案件と人材をつなぎます。ただし、メールからの取り込みは別の仕組みが必要です。
Q. SES営業でSFAの数字は何を見ればいいですか?
商談件数より、1週間の提案数、面談に進んだ割合、BP別の決定数、更新が止まった案件・人材の数を見ましょう。SES営業の成果に直結する数字です。
Q. Excelから顧客管理ツールに移る目安はありますか?
次のどれかが起きたら移る時期です。同時に編集する人が増えた、提案の取り下げ漏れが起きた、BPメールの転記に毎日1時間以上かかる、の3つです。
Q. 人材情報をCRMで管理するときの注意点は?
スキルシートや氏名は個人情報です。見られる人を絞り、BPに渡すときは本人の同意を確認しましょう。イニシャル表記を社内ルールにすると安心です。

まとめ

  • SES営業の顧客管理では、客先・BP・案件・人材の4つを同時に管理する

  • 汎用CRM・SFAが合わない理由は、多対多の提案、入れ替わる人材、BPの2つの向き、メールが入口、情報の寿命の短さの5つ

  • おすすめは「名簿は汎用CRMかExcel、案件・人材・提案はSES特化ツール」の分け方

  • 汎用CRMを使うなら、「提案」を独立した記録にして案件と人材をつなぐ

  • SES特化ツールは、案件と人材を両方持てるか、メール取り込み、BPとの共有の3点を最初に確かめる

  • SFA・CRMは、提案数・面談率・BP別の決定数・情報の鮮度で活用する

  • 案件・人材・メールの部分は、チョータツとチョータツメールAIで入力の手間を減らせる

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)