SESの案件・要員情報をチームで共有する方法|二重提案・見落としを防ぐ共有ルールと一元管理に移る5手順
公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日
SESの情報共有で起きる3つの事故
SESの情報共有がうまくいかないと、二重提案・案件の見落とし・情報の古さの3つの事故が起きます。どれも取引先の信用を下げ、決まるはずの案件を逃す原因になります。
二重提案とは、同じ要員を、別々の営業が同じ案件や同じ取引先に提案してしまうことです。要員とは、案件に提案するエンジニアのことです。自社社員(プロパー)もBPの人材も含みます。
| 事故 | 現場で起きること | 主な原因 |
|---|---|---|
| 二重提案 | 営業Aと営業Bが同じ要員を同じ元請けに送る | 誰がどこに提案中か見えない |
| 案件の見落とし | 合う要員がいるのに、案件メールが埋もれて提案しない | 案件メールが個人の受信箱にある |
| 古い情報で提案 | すでに決まった要員を「空きあり」で出してしまう | 要員の状況が更新されない |
事故の例:同じ要員を2人の営業が提案した
たとえば2026年10月5日(月)の朝に、BPからJavaエンジニアの人材メールが届いたとします。営業Aはその要員を元請けX社の案件に提案しました。同じ日の午後、営業Bも同じメールを見て、X社の別部署の案件に同じ要員を出しました。
X社から見ると、同じ人の経歴書が別の窓口から2通届きます。「この会社は社内で情報が回っていない」と受け取られます。要員を出したBPにも確認の連絡が行き、関係が気まずくなります。
並行して提案するときのルールは、SESの並行営業のルール|トラブルを防ぐ5つの決まり事と伝え方の例文でくわしく解説しています。発覚した後の動き方は、SESの二重提案が発覚したら|どちらを残すかの判断と謝罪例文にあります。
一元管理とは?共有がうまくいく状態
一元管理とは、案件と要員の情報を1か所に集め、チーム全員が同じ最新情報を見られるようにすることです。「全員が同じ表を見ている」だけでなく、「表がいつも最新である」ことまでを含みます。
共有がうまくいっているチームは、次の3つがそろっています。
置き場所が1つ:案件と要員の情報は、決まった1つの表やツールにしかない
書き方が同じ:単価・期間・スキルの書き方が営業ごとにずれていない
更新の決まりがある:誰がいつ登録し、いつ直すかが決まっている
反対に、個人のExcelや個人の受信箱に情報がある状態を属人化と呼びます。属人化とは、仕事のやり方や情報が特定の人にしかわからない状態のことです。担当者が休むと、その人の案件や要員の状況が誰にもわからなくなります。
営業のやり方そのものの属人化については、SES営業の属人化を解消する方法|マニュアル作りと共有の5手順もあわせて読んでください。
共有ルール:誰が・いつ・何を登録するか
共有ルールは、「誰が・いつ・何を」の3点を表にして、チーム全員に配るのが基本です。置き場所を決めても、登録する人とタイミングが決まっていないと、表はすぐに古くなります。
おすすめの共有ルールの例です。自社の人数に合わせて調整してください。
| 情報 | 誰が登録するか | いつ登録するか | 何を書くか |
|---|---|---|---|
| 新しい案件 | メールを受けた営業(または営業事務) | 受信から2時間以内 | 案件名・スキル・単価・期間・商流 |
| 新しい要員 | 人材メールを受けた営業 | 受信から2時間以内 | スキル・希望単価・稼働開始日・所属 |
| 提案した記録 | 提案した営業 | 提案メールを送ったその場で | 要員名・提案先・提案日・担当者 |
| 状況の変化 | 変化を知った営業 | 知った当日中 | 面談中・決定・見送り・終了 |
「誰が」を決めるときは、案件担当と要員担当を分けるかどうかも決めます。担当の分け方の型は、SES営業の分業体制の作り方|案件・人材・事務の担当分けの型で紹介しています。
ルールを決めるときの3つのコツ
「提案前に表を見る」を必須にする:提案する前に、その要員の「提案中」欄を確認してから送ります。二重提案はこの1手でほぼ防げます。
状況は選択式にする:「空き」「提案中」「面談中」「決定」「見送り」など、決まった言葉から選ばせます。自由に書くと、人によって言い方がずれます。
登録者と更新日を必ず残す:誰がいつ書いたかがわかれば、古い情報かどうかを判断できます。
なお、要員の経歴や連絡先は個人情報です。社内で共有する範囲を決め、見られる人を絞る設定(アクセス権限)もルールに入れましょう。スキルシートの保管のしかたは、SESのスキルシート管理方法|探せる保管ルールと更新・同意の手順で解説しています。
そのまま使える共有ルールのひな形
次の文を、社内のチャットや表の1枚目に貼って使えます。数字は自社に合わせて直してください。
【案件・要員情報の共有ルール】(2026年10月1日から) 1. 案件・人材メールは、受け取った営業が2時間以内に共有表へ登録する 2. 要員を提案する前に、共有表の「提案中」欄を必ず確認する 3. 提案したら、その場で「提案先・提案日・担当者」を書き込む 4. 面談・決定・見送りは、知った当日中に状況の列を選び直す 5. 毎週月曜10時から15分、更新日が2週間より古い行を全員で直す 6. 個人のExcelや受信箱に、案件・要員の一覧を持たない
Excelで一元管理に移る5手順
Excelで一元管理に移るには、「棚卸し→項目統一→ルール決め→置き場所を1つに→週1回の見直し」の5手順で進めます。いきなり新しい表を作るより、今ある情報を集めるところから始めたほうが失敗しません。
今ある情報を棚卸しする(1日)
各営業が持っている案件・要員の表や、メールのフォルダを書き出します。「どこに・何件・いつ更新したか」を一覧にします。項目と書き方をそろえる(半日)
列名と単位を決めます。「単価(万円/月)」「稼働開始日(2026/11/01の形)」のように、列名に単位を入れます。共有ルールを決めて配る(半日)
「誰が・いつ・何を」の表を作り、チームの会議で確認します。提案前に表を見ることも、ここで決めます。置き場所を1つにする(1日)
個人の表をすべて1つのファイルに移し、古い表は「使用禁止」と名前を変えます。複数人で同時に開けるように、クラウドに置きます。週1回、見直しの時間を取る(毎週15分)
毎週決まった曜日に、状況が古い行を洗い出します。「更新日が2週間前より古い要員」を優先して確認します。
複数人で同時に編集するときの注意
Excelで複数人が同時に書き込む機能を共同編集といいます。Microsoftの案内では、デスクトップ版のExcelで共同編集するには、Microsoft 365の契約が必要です。ブラウザで使うExcel for the webでも共同編集できます。どちらも、ファイルはOneDriveかSharePoint Onlineに置きます。デスクトップ版では自動保存をオンにします(2026年9月時点)。
共有フォルダにファイルを置くだけでは、同時に開いた人の変更がぶつかることがあります。「誰かが開いていて編集できない」という状態も起きます。Googleスプレッドシートを使う場合も、編集できる人と見るだけの人を分けて設定しましょう。
表の列の作り方は、SESの案件・人材管理をExcelで無料で行う方法|テンプレ付きで具体的に紹介しています。
Excel共有の限界とツールに移る目安
Excelでの共有は、登録する件数と人数が増えると続かなくなります。表の作りが正しくても、メールから表へ手で写す作業が追いつかなくなるためです。
次のうち2つ以上当てはまったら、ツールに移ることを考える時期です。
| チェック項目 | 当てはまるときに起きること |
|---|---|
| 1日の案件・人材メールが数百通を超える | 登録が追いつかず、表が常に古い |
| 営業が3人以上いる | 同時編集のぶつかりや二重提案が増える |
| 月に1回以上、二重提案が起きている | 取引先からの信用が下がる |
| 表の転記ミスで単価や期間を間違えた | 条件違いの提案で手戻りが出る |
特に転記(写し書き)のミスは、写す回数が増えるほど起きやすくなります。原因と防ぎ方は、SESの案件確認を効率化|転記ミスが起きる5原因と防ぐ仕組みにまとめています。
チョータツで案件・要員の共有を楽にする方法
自分たちで表とルールを整えたうえで、登録と共有の手間を減らしたいなら、チョータツとチョータツメールAIが使えます。どちらもDrivenXが提供するSES営業向けの機能です。
| 機能 | できること | 解決する事故 |
|---|---|---|
| チョータツ | 案件・人材の情報をチームで管理・共有できる | 二重提案・古い情報での提案 |
| チョータツ(入力支援) | AIが情報の入力を手伝う | 登録の遅れ・書き方のずれ |
| チョータツメールAI | 届いたメールをAIが案件メールと人材メールに切り分ける | 案件の見落とし |
チョータツ:情報を1か所で管理・共有する
チョータツでは、案件と人材の情報をチームで管理・共有できます。AIが入力を手伝うので、メールの内容を1項目ずつ打ち直す手間を減らせます。パートナーへのメール配信機能もあり、提案の連絡もチョータツの中で進められます。
他社と連携すると、他社の営業中の案件・人材をデータベースにできます。営業中人材とは、今まさに案件を探しているエンジニアのことです。自社の要員が足りないときに、候補を探す場所が増えます。
チョータツメールAI:メールを案件と人材に切り分ける
チョータツメールAIは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けます。メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。転送設定をするだけで取り込めます。案件・人材以外のメールは、データに残りません。
個人の受信箱に埋もれていた案件メールが、チーム全員の見る場所に集まります。「メールを見た人しか案件を知らない」という状態をなくせます。
よくある質問
- Q. SESの案件・要員情報は、何で共有するのがいいですか?
- 営業が2〜3人で件数が少ないなら、クラウドに置いたExcelやスプレッドシートで十分です。メールの件数や営業の人数が増えたら、案件・人材の管理に向いたツールに移りましょう。
- Q. 二重提案を防ぐいちばん簡単な方法は?
- 提案する前に、共有の表でその要員の「提案中」欄を必ず見ることです。提案したらその場で、提案先と提案日を書き込みます。
- Q. 共有ルールを決めても、営業が表を更新してくれません。
- 更新の手間を減らすことと、見直しの時間を決めることが大切です。週1回15分、全員で古い行を直す時間を取ると、更新の習慣がつきます。
- Q. 案件の一元管理と、営業の属人化の解消は同じですか?
- 一元管理は属人化を解消する手段の1つです。情報を1か所に集めることで、担当者が休んでも他の営業が状況を引き継げます。
- Q. 要員のスキルシートもチーム全員に見せてよいですか?
- 経歴や連絡先は個人情報なので、見られる人を業務に必要な範囲に絞りましょう。個人情報保護委員会のガイドラインでも、アクセス制御などの安全管理措置が求められています。
まとめ
SESの情報共有の事故は、二重提案・案件の見落とし・古い情報での提案の3つ
原因は、案件・要員の情報が営業ごとにバラバラの場所にあること
対策は一元管理と、「誰が・いつ・何を登録するか」の共有ルール
Excelで移るなら、棚卸し→項目統一→ルール決め→置き場所を1つに→週1回の見直しの5手順
件数や人数が増えたら、チョータツとチョータツメールAIで登録と共有の手間を減らす
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日
参考資料(2026年9月30日確認)
Microsoft サポート「Excel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業を行う」
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」