SES営業の分業体制の作り方|顧客担当型・案件担当/人材担当型・BP担当型の比較と人数別のおすすめ、情報の受け渡しルール
公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日
SES営業の分業とは?
SES営業の分業とは、案件探し・人材集め・提案・契約や請求を、担当者ごとに分けて受け持つことです。1人がすべてを受け持つやり方は「一気通貫型」と呼ばれます。
SES営業の仕事は、大きく次の5つに分かれます。
| 仕事 | 中身 | 向いている担当 |
|---|---|---|
| 案件を集める | エンド・BPから案件を受け取り、条件を聞く | 案件担当・顧客担当 |
| 人材を集める | 自社エンジニアの空き状況、BP人材の情報を集める | 人材担当・BP担当 |
| 組み合わせて提案する | 案件に合う人材を選び、提案メールを送る | 案件担当・人材担当 |
| 面談・契約 | 面談に同席し、単価や開始日を決める | 案件担当・顧客担当 |
| 事務 | 注文書・稼働報告・請求の回収 | 営業事務 |
ここでいうBPとは、ビジネスパートナーの略で、案件や人材を紹介し合う取引先のSES企業のことです。エンドとは、実際に仕事を発注している会社のことです。自社エンジニアとBP人材の呼び分けはSESのプロパーとBPの違い|営業が使い分ける意味と提案時の注意点で確認できます。
分業の3つの型と比較
分業の型は、顧客担当型・案件担当/人材担当型・BP担当型の3つです。1つを選ぶというより、人数が増えるにつれて組み合わせていきます。
| 型 | 分け方 | 良い点 | 弱い点 |
|---|---|---|---|
| 顧客担当型 | エンド・元請けの会社ごとに担当を決める | 客先との関係が深くなる | 人材探しが担当ごとにばらばら |
| 案件担当/人材担当型 | 案件を追う人と、人材を追う人に分ける | 提案の数と速さが上がる | 受け渡しのルールがないと事故が増える |
| BP担当型 | BPとのやりとりを専任の人に集める | BPとの信頼が積み上がる | BP担当が休むと止まる |
顧客担当型
顧客担当型とは、取引先の会社ごとに1人の営業が、案件の受付から更新までを受け持つ型です。少人数の会社で多く、客先から見ると「窓口が1人」でわかりやすいのが強みです。
弱い点は、人材の情報が担当ごとに分かれることです。Aさんの客先に合う人材を、Bさんが抱えているのに気づかない、ということが起きます。
案件担当/人材担当型
案件担当/人材担当型とは、案件と客先を受け持つ「案件担当」と、人材とBPを受け持つ「人材担当」に分ける型です。求人の世界では「両面型」「片面型」と呼ぶこともあります。
案件担当は客先に、人材担当はエンジニアとBPに集中できます。提案の数が増えやすい一方で、受け渡しのルールがないと、二重提案や連絡漏れが一気に増えます。
BP担当型
BP担当型とは、BPとのやりとり(人材情報の受け取り、案件の配信、条件の確認)を専任の担当に集める型です。BP人材の割合が高い会社ほど効果が出ます。
BPとの関係づくりはSESのBPとの関係構築|継続取引につながる7つの習慣と連絡頻度でくわしく解説しています。
人数別のおすすめの分け方
分け方は、営業の人数で決めるのがいちばん失敗しません。編集部のおすすめは次のとおりです。
| 営業の人数 | おすすめの形 | 最初に分ける仕事 |
|---|---|---|
| 1人 | 一気通貫+事務は外部や経理と分担 | 請求・注文書の管理 |
| 2〜3人 | 顧客担当型+営業事務(兼任でも可) | 事務と、メールの仕分け |
| 4〜6人 | 案件担当/人材担当型+営業事務 | 人材の空き状況の管理 |
| 7人以上 | 案件担当・人材担当・BP担当の3分け+事務 | BPとのやりとり |
2〜3人のうちは、無理に案件と人材を分けないほうが回ります。先に事務と、届いたメールの仕分けを切り出します。営業が1日の半分をメール処理に使っているなら、そこを分けるだけで提案の時間が増えます。
社内に内勤の担当を置く考え方はインサイドセールスとは|SESの内勤営業の役割と仕事5つも参考になります。
営業アシスタント(営業事務)に任せる仕事
営業アシスタントとは、営業のかわりに書類づくりや連絡の下準備を受け持つ担当のことです。SES企業では「営業事務」と呼ぶことも多く、分業の最初の一歩になります。
任せやすい仕事と、営業に残す仕事は次のとおりです。
| 任せやすい仕事 | 営業に残す仕事 |
|---|---|
| 注文書・注文請書の発行と回収 | 単価・条件の交渉 |
| 稼働報告の回収と請求書の作成 | 面談の同席 |
| 届いた案件・人材メールの仕分け | どの人材をどの案件に出すかの判断 |
| 面談日程の調整 | 客先からの苦情の一次対応 |
| 一斉配信の送信作業 | 取引を始めるBPの判断 |
判断が必要な仕事は営業に残し、決まった手順でできる仕事から移すのがコツです。採用で見るポイントは営業事務に向いてない人は?SES企業が採用で見極める5つの特徴にまとめています。
情報の受け渡しルール(そのまま使えるひな形)
分業を成功させるいちばんの条件は、「誰が・いつ・どこに・何を書くか」を先に決めることです。口頭やチャットの流れだけで受け渡すと、1か月以内に事故が起きます。
社内ルールのひな形です。自社に合わせて書き換えて使ってください。
【SES営業 分業ルール】(2026年10月版) 1. 一覧は1つだけ ・案件と人材は、チーム共有の一覧にだけ書く ・個人のExcelやメモ帳に「自分だけの一覧」を作らない 2. 案件の受付(案件担当) ・受け取った当日中に、一覧へ登録する ・必須項目:スキル、単価、精算幅、商流、場所、開始日、面談回数、締切 3. 人材の登録(人材担当) ・空き予定がわかった日に一覧へ登録する ・必須項目:スキル、希望単価、参画可能日、提案中の案件、本人同意の有無 4. 提案する前(案件担当・人材担当どちらでも) ・人材の「提案中の案件」欄に、案件名と提案日を先に書く ・書いてある人材を、ほかの案件に出すときは人材担当に確認する 5. 結果の記録(提案した人) ・面談日、結果、見送り理由を、わかった日に書く 6. 週1回の確認(マネージャー) ・月曜の営業会議で、締切が近い案件と、空きが近い人材を読み合わせる
ルール4が、二重提案を防ぐいちばん大事な決まりです。二重提案とは、同じエンジニアを、同じ案件に別々のルートから提案してしまうことです。客先からの信用を大きく落とします。
一覧を1か所にまとめる手順はSESの案件・要員情報をチームで共有する方法|一元管理の5手順で解説しています。
分業でよく起きる事故と防ぎ方
分業で起きる事故は、ほとんどが「知っている人と動く人が違う」ことから生まれます。よくある5つと、防ぎ方をまとめました。
| 起きること | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 二重提案 | 人材担当と案件担当が別々に同じ人を出した | 提案前に「提案中の案件」欄へ書く |
| 面談結果の連絡漏れ | 案件担当が聞いた結果を人材担当に伝えていない | 結果は一覧に書き、チャットでは知らせるだけ |
| 並行状況の食い違い | エンジニアが他社でも面談中なのを知らなかった | 人材の登録項目に「他社の面談状況」を入れる |
| 更新の見落とし | 誰が更新の打診をするか決めていない | 更新月の2か月前に、案件担当へ自動で知らせる |
| BPへの二重連絡 | 案件担当とBP担当が同じBPに別々に連絡した | BPへの連絡はBP担当に一本化する |
二重提案が起きてしまったときの対応はSESの二重提案が発覚したら|どちらを残すかの判断と謝罪例文を見てください。
分業体制を作る5ステップ
分業体制は、今の仕事の記録→型を選ぶ→ルールを書く→一覧をまとめる→2週間後に見直すの5ステップで作ります。
1週間、全員の仕事を記録する:何の仕事に何時間使ったかを30分単位で書く
型を選ぶ:人数別のおすすめ表から型を決め、誰が何を受け持つか1枚に書く
受け渡しルールを書く:上のひな形を自社用に直し、全員で読み合わせる
一覧を1つにまとめる:個人のExcelをなくし、チームの一覧に移す
2週間後に見直す:事故の件数と、提案数が増えたかを確かめ、ルールを直す
見直しで見る数字は、1人あたりの提案数と、二重提案・連絡漏れの件数の2つで十分です。担当の数字の立て方は営業マネージャーの仕事8つ|SES営業チームのマネジメント術も参考にしてください。
チョータツとチョータツメールAIで分業の受け渡しを楽にする
分業の受け渡しを楽にする方法は、自分でルールと一覧を整える方法と、ツールで一覧と仕分けを任せる方法の2つです。
自分でやる方法
共有のExcelやスプレッドシートを1つ作り、案件シートと人材シートを分けます。上のルールを守れば、5人前後までは回せます。ただし、同時に編集したときの上書きや、メールからの転記ミスが起きやすくなります。
もっと楽にするなら
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。チョータツメールAIは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分ける機能です。メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。
| 分業で困ること | 自分でやる場合 | チョータツ/チョータツメールAIを使う場合 |
|---|---|---|
| 案件と人材の一覧がばらばら | 共有Excelを作り、転記を続ける | チョータツで案件・人材をチームで管理・共有できる |
| 届いたメールの仕分け | 事務や内勤が1通ずつ読んで分ける | メールAIが案件メールと人材メールに切り分ける |
| BPへの案件・人材の配信 | 担当ごとに別々に送る | チョータツのメール配信機能でまとめて送れる |
| 他社の営業中の案件・人材を探す | BPに1社ずつ問い合わせる | 連携した他社の営業中案件・人材がデータベースになる |
メールAIは転送設定で取り込めます。案件・人材以外のメールはデータに残りません。仕分けの作業が減ると、分業の最初の一歩である「事務とメール処理の切り出し」を、人を増やさずに進められます。
よくある質問
- Q. SES営業の担当の分け方は、何人から考えればいいですか?
- 2人になった時点で、事務とメールの仕分けから分けるのがおすすめです。案件担当と人材担当に分けるのは、4人前後が目安です。
- Q. 案件担当と人材担当は、どちらを先に置くべきですか?
- 自社エンジニアの待機が多いなら人材担当を、案件が足りないなら案件担当を先に置きます。困っている方を先に厚くします。
- Q. SESの営業アシスタントには、どんな役割を任せますか?
- 注文書・請求・稼働報告の回収、メールの仕分け、面談日程の調整など、決まった手順でできる仕事を任せます。単価の交渉などの判断は営業に残します。
- Q. 分業すると二重提案が増えるのはなぜですか?
- 同じ人材を、案件担当と人材担当が別々に扱うからです。提案する前に、人材の一覧の「提案中の案件」欄に書くルールで防げます。
まとめ
SES営業の分業には、顧客担当型・案件担当/人材担当型・BP担当型の3つの型がある
2〜3人は顧客担当型+事務、4〜6人は案件担当/人材担当型、7人以上はBP担当を加えた3分けが目安
最初に分けるのは、事務と届いたメールの仕分け
受け渡しは「一覧は1つ」「提案前に提案中欄へ書く」のルールで事故の大半を防げる
一覧の共有はチョータツ、メールの仕分けはチョータツメールAIに任せると、人を増やさずに分業できる
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日
参考資料(2026年9月30日確認)
厚生労働省「職業能力評価基準について」(仕事に必要な知識・技術と職務行動例を職種・職務別に整理した基準。担当ごとの仕事の書き出しの参考)
e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第27条第1項 第三者提供の制限。人材の一覧に「本人同意の有無」を持たせる理由)