SESのBP評価の指標10個と管理方法|点数表の計算例と、取引先を絞る「5社ルール」の注意点

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESのBP評価とは?

BP評価とは、取引先の会社(BP)ごとに、案件や人材のやりとりの成果を数字で記録し、付き合い方を決めることです。BPはビジネスパートナーの略で、案件や人材を紹介し合う取引先を指します。

評価が必要になる理由は、取引先が増えるほど1社あたりの手間が薄くなるからです。名刺交換やメール配信の登録だけの会社が増えると、本当に決まる会社への返信が遅れます。

評価の目的は、取引先を切ることではありません。「どの会社に時間を使うか」を決めることです。点数が低い会社にも、改善の話をしてから判断します。

BP・商流・精算幅などの用語はSES用語一覧|営業が現場で使う用語60と意味・例文つきで確認できます。

BP評価の指標10個【一覧表】

BPを評価する指標は、次の10個です。量・質・速さ・安全の4つの軸に分けています。量はどれだけ来るか、質はどれだけ決まるか、速さはどれだけ早いか、安全は安心して取引できるかを見ます。

軸指標測り方
量1. 案件・人材の紹介数3か月でBPから届いた、自社に合う案件・人材の件数
量2. 自社からの提案数3か月で自社がそのBPへ提案した件数
質3. 書類通過率面談に進んだ件数 ÷ 提案した件数
質4. 成約数・成約率参画が決まった件数と、面談からの決定の割合
質5. 延長率契約が更新された件数 ÷ 更新時期が来た件数
速さ6. 返信の速さ提案や質問を送ってから返事が来るまでの時間
速さ7. 面談結果の速さ面談から結果の連絡までの日数
安全8. 支払い遅延の有無約束した支払期日に入金されたか
安全9. 情報の正確さ・商流の開示単価・開始日・商流が後から変わった回数
安全10. トラブルの件数途中退場・引き抜き・書類の遅れなどの件数

量の指標(1・2)

紹介数とは、BPから届いた案件・人材のうち、自社に関係があるものの件数のことです。配信メールの総数ではなく、「自社の人材や案件に合いそうなもの」だけを数えます。

自社からの提案数も記録します。提案数が少ないのに成約がゼロでも、相手のせいとは言えないからです。

質の指標(3〜5)

書類通過率とは、提案した件数のうち、面談まで進んだ割合のことです。10件提案して4件が面談に進めば、書類通過率は40%です。

成約数は、最も大事な指標です。ただし件数が少ない時期は、成約率がぶれやすくなります。3か月で提案が5件未満のBPは、成約率を参考程度にとどめるのがおすすめです。

延長率とは、契約の更新時期が来た件数のうち、実際に更新された割合のことです。延長率が高いBPは、案件の中身と人材の紹介が正確な会社といえます。

速さの指標(6・7)

返信の速さは、提案の決まりやすさに直結します。SESでは、よい案件ほど複数の会社から同時に提案が入るためです。

記録の仕方は簡単です。「当日中」「翌営業日」「2営業日以上」の3つで分けて、どれが多いかを見ます。

安全の指標(8〜10)

支払い遅延は、1回でも起きたら必ず記録します。遅れが続く会社は、資金繰りが苦しいサインのことがあるからです。

商流とは、仕事がエンド(発注元)から何社を通って届くかという流れのことです。商流を聞いても答えない会社や、後から「実は一つ上に会社がいた」と変わる会社は、安全の点数を下げます。

→ 取引前の見極めはSESパートナーの選び方と注意点|取引前に見る10項目チェック表で詳しく解説しています。

BP評価の点数表の作り方と計算例

点数表は、10個の指標に配点を決め、3か月ごとに合計点を出して作ります。合計が80点以上ならA、60〜79点ならB、59点以下ならCのように分けると、誰が見ても同じ判断になります。

点数表を作る5つの手順

  1. 配点を決める:10個の指標に、合計100点になるよう点数を割り振る。自社が重視する軸に多く配点する

  2. 採点の基準を決める:段階ごとの点数を決める。例は「返信が当日中なら10点、翌営業日なら6点、2営業日以上なら2点」

  3. 3か月分を集計する:メールや管理表から、BPごとに件数と日数を数える

  4. A・B・Cに分ける:合計点でランクを決め、ランクごとの付き合い方を決める

  5. 社内で共有する:営業全員が同じ表を見て、誰に優先して提案するかをそろえる

配点の例

次の配点は、当研究所が営業の現場の意見をもとに作った一例です。自社の方針に合わせて変えてください。

軸指標配点
量紹介数・提案数20点
質書類通過率・成約数・延長率35点
速さ返信の速さ・面談結果の速さ20点
安全支払い遅延・情報の正確さ・トラブル25点

質に一番多く配点しているのは、決まらない紹介がいくら多くても売上にならないからです。安全を2番目にしているのは、支払い遅延は1回で利益が消えることがあるからです。

計算例:A社とB社を比べる

2026年7月〜9月の3か月で、2社を採点した例です。

軸(配点)A社B社差が出た理由
量(20点)18点10点A社は週3件、B社は週1件の紹介
質(35点)20点30点B社は提案6件で3件成約
速さ(20点)16点18点どちらも当日中の返信が多い
安全(25点)10点25点A社は支払いが1回、5日遅れた
合計64点(B)83点(A)―

紹介の数だけを見ると、A社のほうが「よい取引先」に見えます。しかし点数にすると、成約が多く支払いも確実なB社が上になります。点数表の価値は、印象と実際のずれに気づけることにあります。

ランクごとの付き合い方

ランク付き合い方連絡の頻度の目安
A(80点以上)優先して人材・案件を出す。月1回は情報交換週1回以上
B(60〜79点)通常どおり。弱い指標を相手と話し合う2週に1回
C(59点以下)新しい提案は控えめに。理由を確認する月1回

C社でも、担当者が変わって改善することがあります。次の3か月で点数が上がれば、ランクを戻します。

BP登録の管理方法と記録する項目

BPを評価するには、まず取引先の情報を1か所にまとめる必要があります。会社の基本情報、取引の条件、評価の数字の3種類を、同じ表で管理するのが基本です。

種類記録する項目の例更新のタイミング
基本情報社名・法人番号・担当者・得意分野・商流の位置担当者が変わったとき
取引の条件基本契約・NDAの締結日、支払いサイト、再委託の可否契約を結んだ・変えたとき
評価の数字紹介数・提案数・成約数・返信の速さ・遅延の記録案件ごとに記録し、3か月ごとに集計

支払いサイトとは、月末などの締め日から、実際にお金が支払われるまでの期間のことです。「月末締め翌月末払い」なら、支払いサイトは30日前後です。

管理表で大事なのは、営業が1人で抱え込まないことです。担当者の頭の中にしかない評価は、異動や退職で消えてしまいます。

項目の詳しい一覧はSESのBP登録管理方法|取引先情報の管理項目15と更新の仕組みを見てください。

SESの「5社ルール」とは?

5社ルールとは、主要な取引先を5社前後に絞り、その会社と深く付き合うという考え方を指す、SES業界の俗称です。法律や公的なガイドラインで決められたものではありません。

呼び方や中身は、会社や人によって違います。「売上の大半を5社でつくる」という意味で使う人もいます。「毎週連絡する相手を5社に決める」という意味で使う人もいます。

この記事では、「優先して情報交換するBPを、5社前後に決めておくこと」という意味で扱います。5という数字に根拠があるわけではなく、営業1人が深く付き合える数の目安として語られることが多い数字です。

5社ルールと点数表の関係

5社ルールは、点数表と組み合わせると使いやすくなります。Aランクの会社を「主要5社」の候補にするだけで、誰を選ぶかの説明がつきます。

営業が複数いる会社では、会社全体で5社にする必要はありません。営業1人ごとに主要な相手を決めると、担当の重なりも防げます。

5社ルールの利点3つ

取引先を絞る利点は、情報が早く届く、決まる件数が増える、管理の手間が減るの3つです。

1. よい情報が早く届く
何度も一緒に決めた相手には、よい案件や人材を先に回そうという気持ちが生まれます。一斉配信の前に個別で連絡が来るようになれば、提案の競争で有利になります。

2. 決まる件数が増える
相手の案件の好みや、面談で見られる点がわかるので、提案の精度が上がります。書類通過率が上がれば、同じ提案数でも成約が増えます。

3. 管理の手間が減る
やりとりの相手が減るぶん、メールの確認や条件の調整にかかる時間が減ります。空いた時間を、主要な相手との情報交換に使えます。

→ 深い関係のつくり方はSESのBPとの関係構築|継続取引につながる7つの習慣と連絡頻度にまとめています。

5社ルールの注意点4つ

取引先を絞るときの一番の注意点は、1社に頼りすぎると、相手の都合で自社の売上が止まることです。絞る前に、次の4つを確認してください。

注意点起きること対策
1社への依存相手の案件終了や方針変更で、待機が一気に増える1社の売上の割合に上限を決める(例:3割まで)
取引先の倒産売掛金が回収できなくなる与信チェックを年1回やり直す
商流が固まる同じ位置の案件ばかりになり、単価が上がらない絞る相手に、商流の浅い会社を1社は入れる
開拓が止まる入れ替えの候補がいなくなる毎月1〜2社は新しいBPと情報交換する

売掛金とは、仕事をしたのに、まだ支払われていないお金のことです。SESでは1〜2か月分の売上が売掛金になっていることが多く、相手が倒産すると大きな損になります。

特に気をつけたいのが、5社の中に支払いの遅れがある会社を残してしまうことです。成約が多い相手でも、遅延が続くなら主要な相手から外すことを考えます。

確認の方法はSESの取引先の与信チェック方法|反社チェックと確認手順5ステップで解説しています。

支払い遅延と取適法の関係

2026年1月1日から、下請法は取適法(中小受託取引適正化法)に変わりました。取適法とは、発注する側の会社が、立場の弱い受託側の会社に不利な取引をしないよう定めた法律のことです。

取適法の対象になる取引では、発注側は支払期日を60日以内のできるだけ短い期間で決めます。起算日は受領日で、SESなどの役務では役務の提供を受けた日です(取適法第3条)。手形での支払いも禁止されました(第5条第1項第2号)。対象になるかどうかは、資本金や従業員数、取引の内容で決まります。(2026年9月時点の制度です。この記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の取引は専門家に確認してください。)

BPからの入金が約束の日より遅れたら、まず事実を記録し、丁寧に確認の連絡を入れます。対応の流れはSESの支払い遅延への対応|督促メール例文と入金までの6ステップを見てください。

取引先を見直す手順とタイミング

取引先の見直しは、3か月ごとに行うのがおすすめです。SESでは3か月ごとに契約を更新する取引がよく見られ、評価と契約の区切りをそろえやすいからです。

評価の結果は、社内の営業担当の評価とは分けて扱います。営業個人の評価の作り方はSES営業の評価シートの作り方|数字と行動の評価項目と記入例で解説しています。

見直しの6ステップ

  1. 3か月分の数字を集める:管理表から、BPごとの紹介数・提案数・成約数・返信の速さ・遅延を集める

  2. 点数表で採点する:配点どおりに合計点を出し、A・B・Cに分ける

  3. 1社への依存度を見る:売上の割合が上限を超えている会社がないかを確認する

  4. Cランクの会社に理由を聞く:担当者の変更や、案件の減少などの事情がないかを確かめる

  5. 主要5社を決め直す:Aランクから選び、足りなければBランクの上位から選ぶ

  6. 新しいBPの候補を足す:外した会社と同じ数以上、新しい情報交換の予定を入れる

優先度を下げるときの連絡例文

取引をやめるのではなく、連絡の頻度を下げるときの伝え方の例です。関係を切らない言い方にするのがコツです。

例文・テンプレート
件名:今後の情報共有について(株式会社△△)

株式会社〇〇
□□様

いつもお世話になっております。株式会社△△の◇◇です。

弊社では2026年10月1日(木)から、
案件・人材の情報共有の方法を見直すことになりました。

今後は、貴社の得意な領域(インフラ運用)に合う情報を
中心にお送りする形にさせていただきます。
配信の頻度は下がりますが、
該当する案件・人材が出た際は、個別にご連絡いたします。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

相手を責める言葉は入れません。「得意な領域に絞って送る」と伝えれば、相手も受け入れやすくなります。

支払い遅延や引き抜きが続き、取引そのものをやめる場合は、判断と伝え方が変わります。BPとの取引停止の判断基準と伝え方|SESの連絡例文と注意点で手順を確認してください。

チョータツ・チョータツブーストで評価と入れ替えを楽にする

ここまでの評価と見直しは、Excelとメールで自分でもできます。ただ、取引先が20社を超えると、BPごとの紹介の記録や集計が大きな手間になります。DrivenXのチョータツを使うと、BPとのやりとりの記録と、入れ替えの候補探しをまとめて進められます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
BPの案件・人材を把握する届いたメールを読んで、Excelに転記連携した会社の営業中案件・営業中人材がデータベースになる
自社の情報を届けるBCCで一斉にメールを送るパートナーへのメール配信機能で届ける
案件・人材の情報を社内で共有する担当者ごとのファイルやメールに散らばる案件・人材の情報を1か所で管理・共有できる
入れ替えの候補を探す検索・交流会・紹介で1社ずつチョータツブーストで新しいパートナーを開拓する

チョータツとは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。他社と連携すると、その会社の営業中案件・営業中人材を自社のデータベースとして見られます。

チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能のことです。5社ルールで取引先を絞るほど、入れ替えの候補を持っておくことが大切になります。ブーストで候補を増やしておけば、評価の低い会社を外す判断をしやすくなります。

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の案件・人材の情報を登録する(AIが入力を手伝う)

  3. 今の主要なBPと連携し、お互いの営業中案件・人材を共有する

  4. チョータツブーストで、入れ替えの候補になる新しいパートナーを開拓する

  5. 3か月ごとに点数表で見直し、主要な相手を決め直す

よくある質問

Q. SESのBP評価で一番大事な指標は何ですか?
成約数です。紹介の数が多くても、決まらなければ売上になりません。ただし支払い遅延が1回でもあれば、成約数に関係なく注意が必要です。
Q. SESの5社ルールは守らないといけない決まりですか?
決まりではありません。主要な取引先を5社前後に絞る考え方を指す、業界の俗称です。自社の営業の人数や事業の規模に合わせて、数を決めてください。
Q. 取引先の見直しはどのくらいの頻度でやればいいですか?
3か月ごとがおすすめです。3か月ごとに更新するSES契約がよく見られるため、契約と評価の区切りをそろえやすくなります。
Q. 評価の低いBPとは取引をやめるべきですか?
すぐにやめる必要はありません。まず理由を聞き、連絡の頻度を下げて様子を見ます。支払い遅延や引き抜きなど、信頼に関わる問題があるときは取引の停止も考えます。停止する場合も、参画中のエンジニアの契約期間は守って進めます。
Q. BP評価の結果を相手に伝えてもいいですか?
点数そのものを伝える必要はありません。「返信をもう少し早くいただけると提案しやすい」のように、改善してほしい点を具体的に伝えると関係がよくなります。
Q. SESのBP登録の管理はExcelで十分ですか?
取引先が20社前後までなら、Excelでも管理できます。それ以上になり、案件・人材の情報も一緒に扱うなら、チョータツのような管理・共有ツールを使うと手間が減ります。

まとめ

  • BP評価は、量・質・速さ・安全の4つの軸、10個の指標で行う

  • 3か月ごとに100点満点で採点し、A・B・Cに分けて付き合い方を決める

  • 点数にすると、紹介が多いだけの会社と、実際に決まる会社の違いがわかる

  • 5社ルールは、主要な取引先を5社前後に絞る考え方を指す業界の俗称で、決まりではない

  • 絞る利点は、情報が早く届き、決まる件数が増え、手間が減ること

  • 注意点は1社への依存。売上の割合に上限を決め、新しいBPを毎月少しずつ足す

  • 支払い遅延は必ず記録し、取適法の対象かどうかも確認する

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)