SESパートナー(BP)の選び方と注意点|取引前に見る10項目チェック表と避けたい会社のサイン8つ

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESパートナーの選び方とは?

SESパートナーの選び方とは、案件や人材を紹介し合う取引先(BP)を、取引を始める前に一定の基準で見極めることです。BP(ビジネスパートナー)とは、SESで案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。

BP選びで失敗すると、次のような問題が起きます。

失敗の例起きること自社への影響
商流が深すぎた単価が低く、粗利が残らないエンジニアの給与を払うと赤字になる
支払いが遅い入金が約束の日より遅れる資金繰りが苦しくなる
再委託のルールがあいまい自社の人材が知らない会社に出される契約違反や偽装請負の心配が出る
情報が不正確単価や開始日が後から変わる面談や提案がむだになる

どれも、取引の前に確認していれば防げたものです。確認は「調べればわかること」と「聞かないとわからないこと」に分けると、短い時間で終わります。

取引前に見る10項目チェック表

取引前に見るのは、公的サイトで調べる4項目と、情報交換で聞く6項目の合計10項目です。先に公的サイトで調べ、問題がなければ情報交換に進みます。

#確認すること確認の方法見るポイント
1会社が実在するか公的サイト社名・所在地が名刺や公式サイトと一致するか
2インボイスの登録公的サイト請求書に書かれる登録番号があるか
3派遣の許可公的サイト派遣で取引するなら許可番号があるか
4情報管理の認証公的サイトプライバシーマーク・ISMSの有無
5商流の深さ情報交換自社は何次請けになるか。答えてくれるか
6再委託・商流制限のルール情報交換自社の人材をさらに別の会社へ出さないか
7支払いサイト情報交換締め日から入金まで何日か
8精算条件情報交換精算幅・精算単位・控除と超過の計算方法
9返信の速さ情報交換質問への返事が1営業日以内に来るか
10情報の正確さ情報交換単価・場所・開始日が後から変わらないか

※ 項目4の認証は、持っていないと取引できないものではありません。個人情報を多く扱う案件で、判断の材料にします。

公的サイトで確認できる4項目

会社の実在・インボイス登録・派遣の許可・情報管理の認証は、無料の公的サイトで、相手に聞かずに確かめられます。1社あたり10分ほどで終わるので、情報交換の前に済ませましょう。

確認すること使うサイトわかること
1. 会社の実在国税庁 法人番号公表サイト正式な社名・所在地・法人番号・変更の履歴
2. インボイスの登録国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト登録番号と登録の状況
3. 派遣の許可厚生労働省 人材サービス総合サイト労働者派遣事業の許可番号・事業所
4. 情報管理の認証プライバシーマーク付与事業者検索/ISMS認証組織の検索認証を受けているかどうか

1. 会社の実在(法人番号)

法人番号とは、国税庁が会社ごとに割り当てる13桁の番号のことです。法人番号公表サイトで社名を検索すると、正式な社名と所在地が出てきます。名刺や公式サイトの住所と違う場合は、理由を聞いてみましょう。社名や所在地を何度も変えている会社も、事情を確かめておくと安心です。

さらに詳しく知りたいときは、経済産業省のgBizINFOで、補助金や表彰などの公的な記録を調べられます。

2. インボイスの登録

適格請求書発行事業者とは、税務署に登録して、インボイス(消費税の控除に使える請求書)を出せる事業者のことです。登録番号は「T」と13桁の数字で、公表サイトで番号を入れると確認できます。

相手が登録していないと、支払った消費税を全額は控除できません。経過措置で控除できる割合は、2026年9月30日までの取引が80%です。2026年10月1日から2028年9月30日までは70%になります。粗利の計算が変わるので、単価を決める前に確認します。

登録していないBPとの取引の注意点はインボイスで免税事業者に値下げは違反?SESの取引と単価交渉で解説しています。

3. 派遣の許可

SESの多くは準委任契約ですが、派遣契約で人を受け入れる取引もあります。労働者派遣法第24条の2は、許可を受けた派遣元以外から派遣を受け入れることを禁じています。派遣で取引するなら、許可番号を必ず確かめます。

調べ方は労働者派遣の許可番号を検索する方法|取引前の確認手順3つで手順にしています。

4. 情報管理の認証

プライバシーマークとは、個人情報を適切に扱う体制があると認められた会社が使えるマークのことです。ISMSとは、情報セキュリティの管理の仕組みについての認証のことです。スキルシートには個人情報が多く含まれるので、扱いが丁寧な会社かどうかの目安になります。

情報交換で聞く6項目

商流・再委託・支払いサイト・精算条件・返信の速さ・情報の正確さの6項目は、情報交換で聞いて確かめます。公的サイトでは調べられない項目です。

情報交換とは、BPの営業担当と打ち合わせをして、お互いの案件・人材や取引の条件を共有することです。

5. 商流の深さ

商流とは、案件がエンド(システムを使う発注元)から、何社を通って届くかという流れのことです。「主な取引先はどこか」「自社は通常何次請けになるか」を聞きます。答えを濁す会社は、商流が深いか、自社も把握していない可能性があります。

公正取引委員会は2022年6月29日に、ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書を公表しました。報告書は、多重下請構造の中で、買いたたきや仕様変更への無償対応といった問題が心配されていると取り上げています。

聞き方の例文はSESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文にあります。

6. 再委託・商流制限のルール

再委託とは、受けた仕事を、さらに別の会社に任せることです。民法第644条の2は、受任者は委任者の許諾か、やむを得ない事由がなければ代わりの人(復受任者)を選べないと定めています。SESの準委任契約にもこの考え方が当てはまるので、「自社の人材を、承諾なしに別の会社へ出さないか」を確かめます。

7. 支払いサイト

支払いサイトとは、請求の締め日から、実際に入金されるまでの期間のことです。「月末締め翌月末払い」なら約30日です。

2026年1月1日に下請法は取適法(中小受託取引適正化法)に改正されました。対象の取引では、支払期日を60日以内のできる限り短い期間で決めます(取適法第3条)。起算日は、物を受け取った日、またはサービスの提供を受けた日です。手形での支払いも禁止されました。対象かどうかは取引の中身と両社の規模で変わるので、公正取引委員会の資料で確認しましょう。

相場と交渉のコツはSESの支払いサイトの相場は?一般的な日数と短縮交渉のコツで解説しています。

8. 精算条件

精算幅とは、月額単価のまま払われる稼働時間の範囲のことです(例:140〜180時間)。精算単位とは、稼働時間を何分ごとに数えるかの決まりです(例:15分単位)。自社がBPに払う条件と、上位の会社から受け取る条件がずれると、差額を自社がかぶることになります。

9. 返信の速さ

質問へのメールに、1営業日以内に返事が来るかを見ます。SESの提案は速さの勝負なので、返事が遅いBPと組むと、自社の提案も遅れます。最初の数回のやりとりで、担当者が不在のときの代わりの窓口も聞いておきましょう。

10. 情報の正確さ

案件メールの単価・場所・開始日・面談回数が、問い合わせたあとに変わらないかを見ます。3回に1回以上、条件が食い違う会社は、提案のたびに確認の手間が増えるので注意が必要です。

情報交換で使う確認メールの例文

聞きにくい条件は、最初の情報交換の前にメールで送っておくと、相手も準備でき、答えがはっきりします。次の例文をそのまま使えます。

例文・テンプレート
件名:10月7日(水)情報交換の件|事前に確認したい事項(株式会社△△)

株式会社〇〇
□□様

お世話になっております。株式会社△△の◇◇です。
2026年10月7日(水)15時からの情報交換、よろしくお願いいたします。

当日、次の点をお伺いできれば幸いです。
1. 主なお取引先と、弊社が通常何次請けになるか
2. 弊社人材を貴社のお取引先へ再委託される場合の承諾の手順
3. 支払いサイト(締め日と支払日)
4. 精算幅・精算単位と、控除・超過の計算方法
5. 基本契約書と秘密保持契約(NDA)のひな形の有無

お答えいただける範囲で構いません。
どうぞよろしくお願いいたします。

当日の質問は、初回面談で聞く質問15をまとめた情報交換の記事(次に読む・使うに掲載)でさらに詳しく紹介しています。

10項目を点数にしてA・B・Cに分ける方法

10項目をそれぞれ2点・1点・0点で採点し、合計でA・B・Cに分けると、担当者が変わっても同じ基準で判断できます。判断を1人の営業の感覚に任せないことが大切です。

評価基準(1項目あたり)
2点確認でき、問題がない
1点答えがあいまい、または一部だけ確認できた
0点確認できない、または問題がある
合計点ランク対応
16〜20点A取引を始め、優先して情報交換する
10〜15点B取引はするが、最初は1案件ずつ様子を見る
9点以下C取引を見送るか、足りない項目を確かめてから再判定する

ただし、項目1(実在)と項目6(再委託のルール)が0点なら、合計点に関係なく取引を見送ります。この2つは、あとから取り返しがつかない問題につながるからです。

取引を始めるまでの手順

  1. 公的サイトで項目1〜4を調べ、結果を一覧に記録する

  2. 確認メールを送り、情報交換の日を決める

  3. 情報交換で項目5〜8を聞き、最初のやりとりで項目9〜10を見る

  4. 10項目を採点し、ランクを決める

  5. AかBなら、基本契約書と秘密保持契約(NDA)を結んでから取引を始める

反社会的勢力の確認と与信は、SESの取引先の与信チェック方法|反社チェックと確認手順5ステップを参考にしてください。

避けたほうがよい会社のサイン8つ

次の8つのサインが2つ以上当てはまる会社とは、取引を急がないほうが安全です。1つだけなら、理由を聞いて納得できるかで判断します。

  1. 商流を聞いても答えない:自社が何次請けになるかを言わない

  2. 契約書を出さずに人を出そうとする:「まずは口約束で」「契約書はあとで」と言う

  3. 支払いサイトが極端に長い:締め日から60日を超える条件を当然のように出す

  4. 同じ案件の条件が毎回変わる:単価・開始日・場所が問い合わせのたびに違う

  5. スキルシートを本人の同意なしに回している:他社の人材情報を、同意の有無を言わずに大量に送ってくる

  6. エンジニアに直接連絡する:自社を飛ばして、エンジニアに契約を持ちかける

  7. 社名や所在地が公的サイトと一致しない:名刺の住所と法人番号の所在地が違い、理由も説明しない

  8. 返事がいつも数日後:急ぎの案件でも、質問の答えが3営業日以上来ない

支払いが危ないときの前兆は、SES企業の倒産の原因と前兆|取引先の危ないサイン10個と確認法で解説しています。

取引後にサインが出てきた場合は、段階を踏んで取引を縮めます。やめ方はBPとの取引停止の判断基準と伝え方|SESの連絡例文と注意点を参考にしてください。

チョータツでBPの候補集めとやりとりを楽にする

自分で選ぶ方法の弱点は、そもそも候補のBPが少ないと、基準に合う会社が残らないことです。DrivenXのツールを使うと、候補を増やす作業と、取引を始めたあとの情報の整理を軽くできます。

場面自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
候補のBPを集める検索・交流会・紹介で1社ずつ探すチョータツブーストで、新しいパートナー企業を開拓する
取引先の案件・人材を把握する届いたメールを読み、Excelに写すチョータツで連携すると、相手の営業中案件・人材がデータベースになる
社内で取引先の情報を共有する担当者ごとの受信箱に散らばるチョータツで案件・人材の情報を管理・共有する

チョータツでできること

チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能のことです。候補が増えるほど、10項目の基準を満たす会社を選べるようになります。

チョータツとは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールのことです。3,000社以上が利用していて、無料で始められます。

  • 案件・人材の情報を管理し、チームで共有できる

  • 他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる

  • パートナーへ、自社の案件・人材の情報をメールで配信できる

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. チョータツブーストで、新しいパートナー企業の候補を集める

  3. 候補ごとに、公的サイトの4項目と情報交換の6項目を確認する

  4. AかBと判断した会社と連携し、営業中案件・人材を共有する

BPの選び方の基準は自社で持ち、候補集めと情報の整理をツールに任せるのが、少ない人数で取引先を増やすコツです。

よくある質問

Q. 優良なSES企業はどうやって見分ければいいですか?
公的サイトで実在・インボイス・派遣の許可・認証を確かめ、情報交換で商流・再委託・支払いサイト・精算条件を聞きます。そのうえで、返信の速さと情報の正確さを数回のやりとりで見ると、見分けやすくなります。
Q. 新しいBPとは、最初から複数の案件で取引してもいいですか?
10項目の点数がBランクなら、最初は1案件だけで様子を見るのがおすすめです。支払いが約束どおりか、条件が変わらないかを1〜2か月確かめてから広げましょう。
Q. 支払いサイトは何日までなら取引してよいですか?
取適法の対象になる取引では、サービスの提供を受けた日から60日以内で支払期日を決める必要があります。対象外の取引でも、エンジニアへの給与の支払日より入金が遅いと、資金繰りが苦しくなります。
Q. 派遣の許可がないBPとは取引できませんか?
準委任契約で取引するなら、派遣の許可は必須ではありません。ただし、派遣契約で人を受け入れるなら、許可番号の確認が必要です。
Q. インボイス登録をしていないBPとは取引できませんか?
取引はできます。ただし2026年10月1日からは、支払った消費税のうち控除できるのが70%になります。控除できない分を自社の粗利から引いて、単価が合うか計算してから決めましょう。
Q. 一度取引したBPも、定期的に見直すべきですか?
はい。年に1回を目安に、10項目を採点し直しましょう。取引後の評価のしかたはSESのBP評価の指標と管理方法|取引先を絞る5社ルールの考え方で解説しています。

まとめ

  • SESパートナーは、公的サイトで調べる4項目と、情報交換で聞く6項目の合計10項目で選ぶ

  • 実在は法人番号公表サイト、インボイスは適格請求書発行事業者公表サイト、派遣の許可は人材サービス総合サイトで確認できる

  • 情報交換では、商流・再委託・支払いサイト・精算条件を聞き、返信の速さと情報の正確さを見る

  • 10項目を2点・1点・0点で採点し、A・B・Cで取引の進め方を決める

  • 商流を言わない、契約書を出さない、条件が毎回変わる会社は取引を急がない

  • 候補集めはチョータツブースト、取引を始めた後の情報整理はチョータツで楽にできる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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