SESの支払いサイトの相場は?日数の一覧と60日上限、資金繰り対策と短縮交渉の例文

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESの支払いサイトとは?

支払いサイトとは、代金を締める日(締め日)から、実際にお金を払う日(支払日)までの期間のことです。「サイト」は英語の sight(期間)から来た言葉で、「支払サイト」とも書きます。

SESの準委任では、1か月分の稼働をまとめて精算します。準委任契約とは、成果物の完成ではなく、決まった業務を行うことに報酬を払う契約のことです。

たとえば「月末締め翌月末払い」なら、10月分の稼働を10月31日で締め、11月30日に払います。締め日から支払日までが、支払いサイトです。

締め日と支払日の決め方

締め日と支払日は、基本契約書や個別契約書(注文書)で決めます。SESでは、ほとんどが月末締めです。

支払日は「翌月末」「翌月25日」「翌々月10日」のように、締め日の何か月後の何日かで書きます。土日祝の扱いは「前営業日」か「翌営業日」かも、あわせて決めておきましょう。

SESの支払いサイトの相場・一般的な日数

SESの支払いサイトは、月末締め翌月末払いが基本の形です。長い場合でも翌々月20日払いまでに収める会社が多く見られます。ただし、業界全体の平均日数を示す公的な統計は見当たりません。

そこで、相場の幅を入金までの日数で比べます。2026年10月分(締め日は10月31日(土))で、締め日を1日目として数えた要約です。

支払条件締め日から何日目か相場での位置
月末締め翌月末払い31日目基本の形
月末締め翌々月10日〜20日払い41〜51日目やや長い(60日以内)
月末締め翌々月末払い62日目長い(60日を超えるおそれ)
月末締め3か月後末払い93日目60日を超える

支払サイトごとの支払日と、請求書への日付の書き方は、請求書の支払期限の書き方|末締めの記載例と記載なし・契約との優先に一覧でまとめています。

稼働を始めた日から数えると、差はもっと大きく見えます。10月1日(木)に稼働を始めた場合、翌月末払いなら60日後、翌々月末払いなら91日後に初めての入金です。

「翌月末」「翌々月末」は何日サイト?

現場では、翌月末払いを「30日サイト」、翌々月末払いを「60日サイト」と呼ぶことがあります。ただし、実際の日数は月の長さで変わります。

翌々月末払いは「60日サイト」と呼ばれていても、多くの月で61〜63日目になります。呼び方ではなく、日付で数えるのが安全です。

なお、フリーランス法では、31日の月のために61日目・62日目になる支払いを「2か月以内」として扱います(国のQ&A問48)。取適法の運用基準には同じ明記が見当たりません。BPとの取引では、翌々月20日払いより前にそろえておくと安心です。

取適法・フリーランス法の60日上限との関係

取適法かフリーランス法がかかる取引では、支払期日を役務の提供を受けた日から60日以内にします。できる限り短く決めるのが原則です。受け取った日を1日目に数えます。

取適法とは、2026年1月1日に下請法が改正されてできた「中小受託取引適正化法」のことです。資本金や従業員数の条件を満たす取引にかかります。フリーランス法とは、フリーランスへの発注で、条件の明示や支払期日などを守らせる法律のことです。

決まり取適法フリーランス法
かかる取引資本金・従業員数の条件を満たす委託フリーランスへの業務委託
支払期日の上限受け取った日から60日以内受け取った日から60日以内
例外―再委託なら元請けの支払期日から30日以内も可
その他手形払いは禁止、遅れたら年14.6%の遅延利息期日までに払う

毎月続くSESの準委任では、条件を満たせば稼働月の末日を1日目にできます。数え方の細かい条件は、取適法の支払期日60日とSESの支払サイト|計算例と手形禁止で解説しています。

60日を超える条件のままだとどうなる?

60日を超えて支払期日を決めていても、法律上の支払期日は60日目になります。取適法の対象なら、60日を過ぎた日から年14.6%の遅延利息がかかります。計算例は下請法の遅延利息14.6%とは|計算方法と請求・支払いの手順で紹介しています。

受け取る側から見ると、翌々月末払いの取引が取適法の対象なら、60日目までに払ってもらう根拠があるということです。短縮を交渉する材料になります。

支払いサイトの差で資金繰りが苦しくなる仕組み

SESの資金繰りが苦しくなる原因は、受け取るサイトより、払うサイトのほうが短いことです。社員の給与やBPへの支払いを先に払い、客先からの入金をあとで受け取るため、その間の資金を自社で立て替えます。

資金繰りとは、入ってくるお金と出ていくお金のタイミングを合わせ、手元のお金が足りなくならないようにすることです。

数字で見る立て替えの計算例

エンジニア10人が稼働するSES企業で、2026年10月分のお金の動きを考えます。

項目金額支払日・入金日
客先からの入金(月額70万円×10人)700万円12月31日(木)=翌々月末
社員5人の給与・社会保険料など250万円11月25日(水)=翌月25日
BP5人への支払い(月額60万円×5人)300万円11月30日(月)=翌月末

10月分の原価550万円は、11月末までに出ていきます。一方、700万円の入金は12月31日です。11月25日から給与の250万円、11月30日からはBP分も加えた合計550万円を、12月31日まで自社で立て替えます。

客先の支払条件が翌月末払いに変われば、入金は11月30日です。立て替えは給与を払ってからの5日間だけになり、資金繰りはぐっと楽になります。

エンジニアが増えるほど立て替えも増える

立て替える額は、稼働人数が増えるほど大きくなります。利益が出ていても手元のお金が尽きて払えなくなる「黒字倒産」は、この差が原因の1つです。

新しいエンジニアが参画した初月は、給与を払ってから入金まで2か月近く空きます。人数を急に増やす月ほど、手元資金を確かめましょう。黒字倒産を防ぐ考え方は、SESの黒字倒産を防ぐ資金繰り|支払いサイトの差と対策6つでも解説しています。

立て替え額をすぐ出す計算式

立て替える額は、次の式で見積もれます。月末の資金計画に、この数字を入れておきましょう。

立て替え額 = 1か月の原価(給与・社会保険料・BPへの支払い)×(客先の入金月数 − 自社の支払月数)

例:原価550万円、客先は翌々月末(2)、自社の支払いは翌月(1)なら、550万円×(2−1)=550万円です。

受け取る側と払う側で見るポイント

同じ支払いサイトでも、受け取る側か払う側かで、気をつける点が変わります。

立場長いサイトの影響営業が確認すること
客先から受け取る側入金が遅れ、立て替えが増える60日を超えていないか、短縮できないか
BP・フリーランスに払う側自社の資金は楽になる法律の60日上限を守れているか
両方に立つ中間の会社受け取りと支払いの差が出る上流と下流のサイトの差が何日か

支払いサイトが長いときの資金繰り対策6つ

支払いサイトが長いときは、まず交渉で短くし、足りない分を資金の準備で埋める順番で考えます。すぐにできる対策は次の6つです。

  1. 客先に短縮を交渉する:取適法の対象なら60日以内が前提。新規の取引なら契約前に条件を出す

  2. 請求を早く出す:稼働報告書を月末翌日に集め、締め後すぐに請求書を送る。請求の遅れで入金が1か月ずれるのを防ぐ。報告書が遅れるときはSESの稼働報告書が遅れる・出ないときの対応|請求を間に合わせる手順を参照

  3. 上流と下流のサイトをそろえる:BPへの支払いを、法律の範囲内で客先の入金に近い日にする

  4. 銀行の融資枠を先に作る:資金が足りなくなってからではなく、余裕のあるうちに相談する

  5. 支払いサイトの短い客先を増やす:新規開拓のときに、支払条件も取引先を選ぶ基準に入れる

  6. ファクタリングは慎重に使う:手数料が高く、違法な業者もいるため、最後の手段と考える

ファクタリングとは、まだ入金されていない売掛金を、専門の会社に売って先に現金にすることです。金融庁は、ファクタリングをよそおった違法な貸付けに注意するよう呼びかけています。

3の「BPへの支払いを遅らせる」ときは、法律の上限を必ず守ります。フリーランスへの再委託なら、元請けの支払期日から30日以内にできる例外があります。条件はフリーランス法の再委託30日ルール|SESの支払期日と例外条件で確認してください。

取引開始前に支払いサイト短縮を交渉するコツ

支払いサイトの交渉は、取引を始める前、口座開設や基本契約の段階で行うのが最もうまくいきます。取引が始まってから変えてもらうのは、相手の社内ルールを変えることになり、難しくなるためです。

口座開設とは、新しい取引先として登録してもらう手続きのことです。このとき、支払条件の書かれた書類が届くことが多いので、見落とさずに確認します。必要な書類は、SESの取引開始の審査と必要書類|口座開設で求められる8点一覧で整理しています。

交渉を進める5ステップ

  1. 相手の支払条件を早めに聞く:案件の話が出た段階で「御社の支払条件は?」と確かめる

  2. 締め日から何日目かに換算する:2026年の暦で、60日を超えないかを数える

  3. 自社の希望を1つに絞る:「翌月末払い」など、相手が判断しやすい形にする

  4. 選べる案を2つ用意する:「翌月末」が無理なら「翌々月20日」など、60日以内の代わりの案を出す

  5. 決まった条件を書面に残す:基本契約書と注文書に、締め日・支払日・支払方法を書く

交渉メールの例文

例文・テンプレート
件名:お支払い条件についてのご相談(〇〇案件)

株式会社〇〇
〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社△△の鈴木です。
このたびは〇〇案件のお話をいただき、ありがとうございます。

ご契約の前に、お支払い条件について1点ご相談させてください。
いただいた条件は「月末締め翌々月末払い」と拝見しました。
弊社はエンジニアの給与を翌月25日に支払っており、
翌月末払いでご対応いただけると大変助かります。

翌月末払いが難しい場合は、
「月末締め翌々月20日払い」ではいかがでしょうか。

ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

メールでは、理由を1文で伝え、代わりの案を1つ添えるのがコツです。「法律違反です」と強く書くより、相手の担当者が社内で相談しやすい書き方にしましょう。

断られたときの返し方

相手の社内ルールで変えられないと言われたら、次のような代わりの案を出します。

  • 「初月だけ、翌月末にお支払いいただくことはできますか」

  • 「請求書を締め後3営業日以内にお送りしますので、支払日の前倒しは可能でしょうか」

  • 「来年4月の契約更新のときに、あらためてご相談させてください」

取適法の対象になる取引で、60日を超える条件のままなら、公正取引委員会の資料を示して相談する方法もあります。相手との関係を大切にしながら、根拠を持って話すことが大事です。

すでに取引中で入金が遅れたときは

約束の支払日を過ぎても入金がないのは、支払いサイトの問題ではなく支払い遅延です。対応の順番と督促メールの例文は、SESの支払い遅延への対応|督促メール例文と入金までの6ステップで紹介しています。

BPやフリーランスに払う側の支払いサイトの決め方

自社がBPやフリーランスに払う側なら、締め日から60日以内で、できるだけ短く決めるのが基本です。自社の資金繰りを楽にしたくても、法律の上限は超えられません。

おすすめは、客先からの入金日と同じか、少し後に支払日を置くことです。ただし、客先の入金が遅い場合でも、フリーランスへの支払期日は自社で守る必要があります。

月末締めでの数え方は、フリーランス法の支払期日60日|月末締めの起算日と計算例で確認できます。

チョータツで取引先ごとの条件を見える化する

自分で管理する場合は、Excelに取引先ごとの締め日・支払日・支払方法を一覧にして、提案のたびに見返します。ただ、案件が増えると、どの客先が翌々月払いだったかを覚えきれなくなります。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
案件の条件を残すExcelやメールに散らばる案件の情報としてまとめて管理できる
提案前に条件を確かめるメールを探して読み返す案件情報を開いて確認できる
社内で共有するファイルを送り合うチームで同じ情報を共有できる
情報を入れる1件ずつ手で書き写すAIが入力を手伝う

支払いサイトの長い案件ばかり決まると、売上が増えるほど資金が苦しくなります。案件の条件を提案前に確かめ、チームで共有すると、決める案件を選べるようになります。

他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材もデータベースとして見られます。支払条件のよい取引先の案件を探すときにも役立ちます。

よくある質問

Q. SESの支払いサイトは一般的に何日ですか?
月末締め翌月末払い(締め日から31日目前後)を基本とする会社が多く見られます。翌々月10日〜20日払いもあります。公的な統計はないため、目安として考えてください。
Q. SESの支払いサイトの目安として、長すぎるのは何日からですか?
取適法やフリーランス法がかかる取引では、締め日を1日目として60日を超えると問題になります。月末締め翌々月末払いは、多くの月で61〜63日目になるので注意が必要です。フリーランス法では31日の月による61・62日目を「2か月以内」として扱いますが、63日目になる月もあります。
Q. 支払いサイトが長いときの資金繰り対策は?
まず客先に短縮を交渉し、請求を早く出します。そのうえで、BPへの支払い日を法律の範囲でそろえ、銀行の融資枠を先に作っておきます。ファクタリングは最後の手段です。
Q. SESの支払いサイトの短縮は交渉できますか?
交渉できます。口座開設や基本契約の前が最もしやすい時期です。理由を1文で伝え、「翌月末払い」と「翌々月20日払い」のように選べる案を出すと、相手が判断しやすくなります。
Q. 翌々月末払いは違法ですか?
取適法やフリーランス法がかからない取引なら、それだけで違法とはいえません。対象の取引では、60日を超えた日を決めても、法律上の支払期日は60日目とみなされます。
Q. BPへの支払いを客先の入金より後にしてもよいですか?
締め日から60日以内なら決められます。フリーランスへの再委託なら、条件を満たせば元請けの支払期日から30日以内にできる例外もあります。

まとめ

  • 支払いサイトは、締め日から支払日までの期間。日数は呼び方ではなく日付で数える

  • SESでは月末締め翌月末払いを基本とする会社が多く、翌々月10日〜20日払いも見られる

  • 取適法・フリーランス法の対象なら、60日以内。2026年10月分の60日目は12月29日(火)

  • 月末締め翌々月末払いは、10月分で62日目。60日を超えるおそれがあり、見直すのが安全

  • 受け取りが遅く支払いが早いと、1か月分の原価を立て替える。人数が増えるほど額も増える

  • 短縮の交渉は取引開始前に。理由を1文で伝え、60日以内の代わりの案を添える

  • BPやフリーランスへの支払いは、60日以内でできるだけ短く決める

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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