SESの一次請け・二次請けの違いとは?営業が得られる単価・情報・発言力の比較と、一次請けに上がる6つの方法

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

SESの一次請け・二次請けとは?

一次請けとは、元請けから直接仕事を受ける会社のことです。二次請けとは、一次請けから仕事を受ける会社のことで、その下は三次請け、四次請けと続きます。

元請けとは、エンド(システムを使う発注元)から直接仕事を受ける会社のことです。大手のSIer(システムの開発をまとめて請け負う会社)がこの位置にいることが多いです。

位置どんな会社か契約する相手
エンドシステムを使う会社(発注の出発点)元請け
元請けエンドから直接仕事を受ける会社エンド・一次請け
一次請け元請けから仕事を受ける会社元請け・二次請け
二次請け以降さらにその下で仕事を受ける会社一次請け・三次請け

案件票でよく見る「プライム案件」とは、エンドや元請けから直接受ける案件のことです。「直請け」「元請け直」も、ほぼ同じ意味で使われます。

注意したいのは、数え方が会社によって違う点です。エンドと直接契約する会社を「一次請け」と呼ぶ会社もあります。取引先と話すときは「エンドから数えて何社目か」で確認すると、食い違いが起きません。

→ 元請けとの違いはSESの元請けとは|一次請けとの違いと元請け企業の見分け方で詳しく解説しています。

一次請けと二次請けの違いを比較

一次請けと二次請けの違いは、営業から見ると単価・情報・発言力の3つです。どれも、商流が深くなるほど弱くなります。

比べる点一次請け二次請け三次請け以降
受け取る単価高い(引かれるマージンが少ない)一次請けの取り分だけ下がるさらに下がる
案件情報の早さ早い。募集前の相談も来る一次請けが出した後に届く複数の会社を経て遅れて届く
条件の発言力単価・開始日を直接話し合える一次請けを通して伝えるほぼ決まった条件で受けるだけ
求められること取引審査・実績・責任の重さ人材を早く出す力人数を集める力

単価の違い

商流の単価差は、間に入る会社の数 × それぞれのマージンで決まります。マージンとは、間の会社が手数料として受け取る金額のことです。

ここでは、仮の数字で計算の仕組みを示します(実際の金額は会社や案件で違います)。

位置受け取る月額単価引かれる金額
元請け100万円―
一次請け90万円元請けが10万円
二次請け80万円一次請けが10万円
三次請け72万円二次請けが8万円

この例では、エンドが払う金額は同じでも、三次請けは元請けより28万円低い単価で同じ人を出していることになります。

→ SESのマージン率の平均と相場|適正ラインと説明のしかた
→ SESの単価相場|職種・スキル別の月額目安と相場の調べ方3つ

情報の違い

一次請けには、エンドや元請けの「来月こんな人が欲しい」という募集前の相談が届きます。二次請け以降は、一次請けが自社で埋められなかった案件が回ってくるため、条件が固まった後になります。

発言力の違い

一次請けは、単価や開始日、面談の回数を元請けと直接話し合えます。二次請け以降は、上の会社を通して伝えるため、希望が届くまでに時間がかかり、途中で変わることもあります。

二次請け・三次請けにもメリットはある

二次請け以降にもメリットはあります。取引の審査が比較的ゆるく、案件の数が多いことです。

  • 始めやすい:会社の規模や実績が小さくても、取引を始めやすい

  • 案件の数が多い:一次請けが埋められなかった案件が、いくつもの会社から届く

  • 責任が軽い:エンドとの調整や契約上の責任は、上の会社が負うことが多い

そのため、すべてを一次請けにする必要はありません。おすすめは、二次請けの取引で数を確保しながら、一次請けの取引を少しずつ増やす進め方です。

SESの多重下請けは何次まで許される?

IT業界のSESには、「何次請けまで」という法律の上限はありません。ただし、契約と法律の両方でルールがあります。

多重下請けとは、1つの仕事が何社もの会社を通って、下へ下へと流れていく仕組みのことです。

ルール内容根拠
再委託の許諾準委任で受けた仕事を別の会社に任せるには、発注者の許諾かやむを得ない事由が必要民法第644条の2・第656条
契約上の制限基本契約で「再委託禁止」「1社先まで」と決めることがある各社の基本契約書
二重派遣の禁止他社から供給された労働者を、自社の指揮命令で働かせてはいけない職業安定法第44条

準委任契約とは、「仕事の完成」ではなく「作業をすること」を約束する契約のことです。SESの多くは準委任契約で結ばれています。

民法の再委託のルールは、契約で別の定めをすることもできます。そのため、実際に何社先まで許されるかは、基本契約書の再委託条項で決まります。

実際の現場でも、商流の深さは問題になっています。

公正取引委員会は2022年6月、ソフトウェア業4,321社(資本金3億円以下)の調査結果を公表しました。「中抜き」をする事業者の存在を感じた企業は全体の25.9%です。元請けでは18.5%、最終下請けでは33.5%に上ります。

出典:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」

また、2026年1月1日からは下請法が改正され、取適法(中小受託取引適正化法)になりました。取適法とは、立場の弱い受注側の中小企業を守るための法律のことです。対象の取引では、協議に応じない一方的な代金の決定などが禁止されています(政府広報オンライン)。

→ SESの二重派遣(多重派遣)は違法?罰則と避ける契約の組み方

自社が何次請けかを確認する方法

自社の位置は、案件を受けるたびに「エンドから何社目か」を聞くことで確認できます。聞いても教えてくれない案件は、商流が深い可能性があります。

確認の手順は次の4ステップです。

  1. 案件を受けたら、「エンドと元請けはどこですか」「御社は何社目ですか」と聞く

  2. 案件票の「商流」欄や「エンド直」「元請け直」といった表記を見る

  3. 再委託の条件(「1社先まで」「再委託不可」など)を確認する

  4. 取引先ごとに、平均して何次請けになっているかを表にまとめる

4番目の表をつくると、どの取引先から来る案件が深いかがひと目でわかります。商流を上げるときに、どこから手をつけるかの判断材料になります。

二次・三次から一次請けへ商流を上げる6つの方法

商流を上げるには、直接取引したいと思われる実績をつくり、自社のルートで申し込むことが必要です。具体的な方法は次の6つです。

1. 実績を1枚の資料にまとめる

一次請けや元請けは、取引を始める前に会社の審査をします。審査で見られやすい情報を、あらかじめ資料にしておきましょう。

  • 自社のエンジニアの人数と、得意な技術

  • 今稼働している案件の数と業界

  • エンジニアの継続期間(1つの現場で平均何か月続くか)

  • 会社の基本情報(設立年、資本金、所在地)

2. 同じ元請けの案件に人を集中させる

1つの元請けの案件に、二次請けの立場でも複数名を出していると、元請けから名前を覚えてもらえます。「この会社の人は評価が高い」と思われれば、直接取引の声がかかりやすくなります。

3. 強みのある技術に絞る

「Javaならこの会社」「AWSのインフラならこの会社」と覚えてもらえる分野をつくります。上位の会社は、自社で足りないスキルを持つ会社と直接取引したいと考えるからです。

4. 上位のパートナーを選んで申し込む

パートナーを選ぶときは、次の3点を見ます。

見る点確認すること
商流の位置元請けか、元請けに近い一次請けか
自社との相性自社の得意な技術の案件が多いか
取引の条件支払いサイト、再委託の条件、審査の内容

→ 一次請け・二次請けSIer一覧|商流を上げる営業先の探し方
→ SESのエンド開拓のやり方|元請け・直案件を取る7ステップ

5. 交流会で上位の会社の担当者とつながる

SESの交流会には、元請けや一次請けの担当者も参加します。名刺交換で終わらせず、「今どんな人を探しているか」を聞き、その週のうちに人材を提案しましょう。

→ SES交流会の選び方と活用法|名刺を取引に変える7つのコツ

6. 紹介元を飛ばさない

商流を上げたいあまり、紹介してもらった上位の会社と勝手に直接取引すると、商流飛ばしになります。契約違反として違約金を求められたり、業界で信用を失ったりするおそれがあります。上位の会社とは、必ず自社の営業で知り合ったルートで取引を始めましょう。

→ SESの商流飛ばしは違法?営業が知るべきリスクと防ぎ方5つ

チョータツで上位の取引先を増やす

上位の取引先を効率よく増やすなら、チョータツブーストで新しいパートナー企業を開拓する方法があります。

自分で上位の会社を探す場合、募集ページを探し、1社ずつ問い合わせて返事を待つ作業をくり返します。取引が始まった後も、各社から届く案件・人材のメールを読んで整理する手間がかかります。DrivenXのツールを使うと、この流れをまとめて進められます。

場面自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
上位のパートナーを探す検索・交流会で1社ずつチョータツブーストで新しいパートナー企業を開拓
相手の案件・人材を知る届いたメールを読んで転記チョータツで連携すると、相手の営業中案件・営業中人材がデータベースになる
自社の人材を知らせるBCCでメールを一斉送信チョータツのメール配信機能でパートナーに配信

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓する機能のことです。

一次請けに上がるには、上位の会社に素早く人材を出せることが大切です。チョータツで連携先の営業中人材をデータベースにしておくと、上位の会社から相談が来たときにすぐ提案できます。

使い始める流れは次のとおりです。

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の案件・人材の情報を登録する(AIが入力を手伝う)

  3. チョータツブーストで、新しいパートナー企業を開拓する

  4. つながった会社と連携し、お互いの営業中案件・人材を共有する

よくある質問

Q. SESの一次請け企業はどうやって見分けますか?
取引先に大手のSIerや事業会社が並んでいるか、案件票に「元請け直」と書かれているかで見分けます。いちばん確実なのは、「エンドから何社目ですか」と直接聞くことです。
Q. SESの二次請けの単価は、一次請けとどれくらい違いますか?
間に入る一次請けのマージンの分だけ下がります。マージンは会社や案件で違うため、決まった差はありません。取引先ごとに実際の単価を記録して比べましょう。
Q. 多重下請けは違法ではないのですか?
何次まで、という法律の上限はありません。ただし、準委任の再委託には原則として発注者の許諾が必要です。また、二重派遣にあたる働かせ方は職業安定法で禁止されています。
Q. 小さな会社でも一次請けになれますか?
なれます。規模より、得意な技術と人材を早く出せる力が見られます。実績を資料にまとめ、元請けや一次請けに自社の営業で取引を申し込みましょう。
Q. 一次請けになると、どんな大変さがありますか?
取引の審査があり、エンドや元請けへの説明の責任も重くなります。人材が抜けたときに代わりを早く出す力も求められます。
Q. 商流を上げるには、どれくらいの期間がかかりますか?
決まった期間はありません。まずは1社の上位の会社と1件の取引を決めることを目標にし、実績を少しずつ積み上げましょう。

まとめ

  • 一次請けは元請けから、二次請けは一次請けから仕事を受ける会社。数え方は会社で違うので「エンドから何社目か」で確認する

  • 商流が深くなるほど、単価・情報の早さ・発言力の3つが弱くなる

  • 多重下請けに法律の上限はないが、準委任の再委託には原則として発注者の許諾が必要

  • 二次請けで数を確保しつつ、一次請けの取引を少しずつ増やすのがおすすめ

  • 商流を上げるには、実績の資料化・得意分野づくり・上位パートナーへの申し込みが近道

  • 紹介元を飛ばさず、自社のルートで上位の会社とつながる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士などの専門家にご相談ください。法令・取適法・調査結果の記述は2026年9月時点で確認した情報です。

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料

関連する記事