SESのBPのみ営業のリスクとは?弱点4つと商流を上げる対策5つ【依存度チェック付き】

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESの「BPのみ営業」とは?

BPのみ営業とは、エンドや元請けと直接の取引を持たず、BP経由の案件だけで売上を作る営業のことです。中小のSES企業では、ごく普通の形です。

BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。エンドとは、システムを使う発注元の会社のことです。元請けとは、エンドから直接仕事を受ける会社のことで、大手SIer(システム開発を請け負う会社)が多いです。

商流とは、仕事がエンドから何社を通って自社に届くかという流れのことです。BPのみ営業の会社は、この流れの下のほうにいることが多くなります。

位置どんな会社かBPのみ営業の会社の例
エンドシステムを使う発注元直接の取引なし
元請けエンドから直接受ける会社直接の取引なし
一次請け元請けから受ける会社ここがBPのことがある
二次請け以降一次請けの下で受ける会社自社がここにいることが多い

BPのみ営業そのものは、違法でも悪いことでもありません。問題は、売上のほとんどを一部のBPに頼りきっている状態です。

用語の確認:SESのプロパーとBPの違い|営業が使い分ける意味と提案時の注意点

BPのみ営業のリスク4つ

BPのみ営業のリスクは、単価・案件数・情報の早さ・交渉力の4つが、自社ではなく上の会社に決められてしまうことです。

リスク何が起きるか影響
1. 単価が低い間の会社のマージンが引かれる粗利が薄い
2. 案件数が相手次第BPの受注が減ると自社も減る待機が出やすい
3. 情報が遅い案件が届くころには枠が埋まる提案しても決まらない
4. 交渉力が弱い条件は上の会社が決める単価・精算幅を動かせない

リスク1:間の会社の数だけ単価が下がる

商流が深いほど、自社が受け取る単価は下がります。エンドが払うお金から、間の会社がそれぞれマージン(取り分)を引くためです。

次は仮の数字での計算例です。実際のマージンは会社や案件ごとに違います。

流れ受け取る月額単価(例)間で引かれる額(例)
元請け(エンドから)100万円―
一次請け85万円15万円
二次請け75万円10万円
三次請け(自社)70万円5万円

この例で自社が一次請けになれれば、1人あたり月15万円、年180万円の差になります。エンジニア5人なら、年900万円です。

→ 階層ごとの違いはSESの一次請け・二次請けの違い|単価差と商流を上げる方法で詳しく解説しています。

リスク2:案件の数がBPの受注に左右される

BPのみ営業では、自社の案件数は取引先BPの受注量で決まります。BPが元請けとの取引を失えば、その先の案件も一緒になくなります。

特に、売上の多くを1〜2社のBPに頼る会社は要注意です。年度末の3月などに案件がまとめて終わると、待機が一気に増えます。

リスク3:案件情報が届くのが遅い

商流が深いほど、案件の情報は遅れて届きます。1社ずつ転送されるたびに、確認と社内共有の時間がかかるためです。

情報が届いたころには、上の会社がすでに候補者を出していることもあります。提案の数は多いのに決まらない会社は、情報の遅さが原因のことがあります。

リスク4:条件を決める力がない

BPのみ営業では、単価・精算幅・支払いサイトは上の会社が決めた条件を受けるだけになりがちです。

商流制限とは、「貴社まで」「一社先まで」のように、案件を何社先まで回してよいかを決めたルールのことです。深い位置にいるほど、商流制限で提案できない案件が増えます。

法律でも、仕事を受けた側が勝手に次の会社へ回すことは制限されています。民法第644条の2は、再委託(復受任者の選任)を、委任者の許諾があるときかやむを得ない事由があるときに限っています。この規定は、民法第656条により準委任のSESにも当てはまります。

→ 表記の読み方はSESの商流制限の書き方|案件メールの表記例と意味・守らせ方で確認できます。

公的な調査でも、下の階層ほど不満が大きい

公正取引委員会は2022年6月29日、ソフトウェア業の取引の調査結果を公表しました。資本金3億円以下の事業者約2万1,000社を対象にしたアンケート調査です。

商流に形だけ入って利益を得る「中抜き」事業者の存在を感じたことがある企業は、全体で25.9%でした。最終下請けに限ると33.5%に上ります。

出典:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」

自社のBP依存度をはかるチェックリスト10項目

BP依存度とは、売上や案件をどれだけ特定のBPに頼っているかの度合いのことです。次の10項目のうち、当てはまる数を数えてください。

#確認すること当てはまる目安
1売上の半分以上が、上位2社のBPから来ているはい
2エンドの社名を知らない案件があるはい
3元請けと直接話したことがある営業がいないはい
4「エンドから何社目か」を記録していないはい
5商流制限で提案できない案件が月に何件もあるはい
6単価交渉を、ここ1年で1回もしていないはい
7案件情報の多くが、転送の転送で届くはい
8過去1年で、新しい上位の取引先が0社はい
9自社の実績をまとめた資料がないはい
10取引先の数はわかるが、実際に動いている数がわからないはい

判定の目安(編集部の考え方)

  • 0〜3個:バランスがよい状態。今の取引を保ちながら、上位の取引を少しずつ増やす

  • 4〜6個:BP依存が強め。対策1と2から始める

  • 7個以上:主要BPが1社抜けるだけで経営に響く。対策1〜3を同時に進める

BPのみ営業でも困りにくい会社・困る会社

BPのみ営業でも、取引先が分散していて商流が浅ければ、大きな問題にはなりにくいです。困るのは、少ないBPに深い商流で頼っている会社です。

状態困りにくい会社困る会社
取引先の数実際に動くBPが5社以上動いているBPが1〜2社
商流の位置一次請けのBPが中心二次・三次請けのBPが中心
情報の管理案件ごとに商流を記録メールを読んで終わり
強み得意な技術・業界がある何でも受けるが特徴がない

BP営業を続けながら商流を上げる対策5つ

商流を上げるには、BP営業をやめるのではなく、BPで数を確保しながら上位の取引を段階的に足すのが近道です。対策は、手を付けやすい順に並べています。

対策1:取引するBPを「商流の浅い会社」に寄せる

最初にやるのは、今のBPを商流の位置で分けることです。同じBP営業でも、一次請けのBPと組めば自社は二次請けになり、単価も情報の早さも上がります。

  1. 過去6か月の案件を一覧にする

  2. 案件ごとに「エンドから何社目か」を記入する

  3. BPごとに、平均の商流の位置と決まった件数を出す

  4. 浅い商流の案件をよく出すBPに、提案の優先度を上げる

→ 商流の聞き方はSESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文で解説しています。BPの絞り方はSESのBP評価の指標と管理方法|取引先を絞る5社ルールの考え方で解説しています。

対策2:元請け・一次請けのSIerにパートナー登録を申し込む

大手や中堅のSIerの多くは、公式サイトにビジネスパートナーの募集ページを置いています。ここから取引を申し込むのが、エンドより先に狙いやすい上位の取引先です。

申し込みの前に、会社概要・得意技術・エンジニア数・取引実績をまとめておきます。取引開始の審査では、決算書や反社会的勢力でないことの確認を求められることもあります。

→ 登録の条件と審査の流れはSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目で確認できます。

対策3:今の現場の実績を「提案資料」にする

上位の会社が取引先を選ぶときに見るのは、会社の規模より任せて大丈夫な実績です。今BP経由で入っている現場の実績も、立派な材料になります。

  • どんな業界の、どんな工程を担当したか(例:金融系の基本設計)

  • 何名を、何か月続けて出しているか

  • 追加の増員を頼まれたことがあるか

ただし、エンドの社名を出してよいかは、契約の秘密保持の条件を必ず確認します。出せない場合は「大手銀行の勘定系」のように業種で書きます。

対策4:得意分野にしぼってエンドを直接開拓する

エンドの直接開拓は、得意な業界や地域にしぼると成功しやすくなります。「何でもできます」より「物流の倉庫システムの保守なら任せてください」のほうが、担当者に響きます。

  1. 自社の実績が多い業界を1つ決める

  2. その業界で、情報システム部門が小さい中堅企業をリストにする

  3. 問い合わせフォームやテレアポで、課題を聞く面談を申し込む

  4. 最初は1名・短期の小さな案件から始める

→ 手順の全体はSESのエンド開拓のやり方|元請け・直案件を取る7ステップで解説しています。

対策5:案件・人材の情報が自社に集まる仕組みを作る

商流が上がっても、案件と人材を早く合わせられなければ取引は続きません。取引先から届く情報をすぐ探せる形で残し、上位の会社に早く、正確に提案できる状態を作ります。

自分でやるなら、Excelなどで案件と人材の一覧を作り、毎日更新します。項目は「商流の位置」「商流制限」「単価」「開始時期」を必ず入れます。

商流を上げる90日の進め方

商流を上げる動きは、90日を3つに分けると続けやすくなります。目標は「上位の会社と1件の取引を決めること」です。

  1. 1〜30日目:今の状態を知る。依存度チェックを行い、過去6か月の案件の商流を一覧にする

  2. 31〜60日目:上位に申し込む。実績資料を作り、元請け・一次請けのSIerに5社以上申し込む

  3. 61〜90日目:1件決める。つながった上位の会社に、条件の合う人材を最優先で提案する

1件決まったら、その会社との取引を深めます。月1回の近況連絡と、交代要員をすぐ出せる準備が信頼につながります。

商流を上げるときにやってはいけないこと3つ

商流を上げたいときほど、今のBPとの信頼を壊す動きは避けます。業界は狭く、悪い評判はすぐに広がるからです。

  • 紹介元を飛ばしてエンドに直接営業する:「商流飛ばし」と呼ばれ、契約違反や損害賠償の問題になることがあります。→ SESの商流飛ばしは違法?営業が知るべきリスクと防ぎ方5つ

  • BPの人材を自社社員と偽って提案する:所属を偽ると、発覚したときに取引を失います。

  • 今のBPへの提案を急に減らす:上位の取引が安定するまでは、BPからの売上が会社を支えます。

チョータツで上位の取引先探しと情報の整理を楽にする

ここまでの対策は、自分の手でも進められます。ただ、上位の取引先を1社ずつ探し、届く大量のメールを整理する作業には時間がかかります。DrivenXのチョータツを使うと、この2つを楽にできます。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。

対策自分でやる場合チョータツを使う場合
1・2 新しい取引先を探す募集ページを検索して1社ずつ連絡チョータツブーストで新しいパートナーを開拓
5 他社の案件・人材を把握するメールを読んでExcelに転記他社と連携すると、営業中案件・人材をデータベース化
5 自社の情報を届けるBCCで一斉にメール送信パートナーへのメール配信機能を使う
5 情報を登録する手で1件ずつ入力AIが入力を手伝う

チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能のことです。新しい取引先と出会う入口を、募集ページの検索だけに頼らず増やせます。

つながった会社と連携すると、相手の営業中案件・営業中人材を自社のデータベースとして見られます。情報を転送の転送で待つ状態から、自分で探しにいける状態に変わります。

上位のSIerにパートナー登録を申し込むメール例文

元請け・一次請けのSIerの募集ページや問い合わせフォームから送る例文です。得意分野・実績・出せる人材を具体的に書くのがコツです。

例文・テンプレート
件名:ビジネスパートナー登録のご相談(株式会社△△)

株式会社〇〇
パートナー推進ご担当者様

はじめまして。株式会社△△の□□と申します。
貴社のビジネスパートナー募集ページを拝見し、ご連絡しました。

弊社はJava・AWSの開発を中心にSES事業を行っております。
・自社エンジニア:〇名(うちリーダー経験者〇名)
・実績:金融系の基本設計〜テストに、3年以上継続参画
・2026年11月から参画できる人材:Java経験5年 1名

貴社の取引開始の審査に必要な書類がございましたら、
ご案内いただけますと幸いです。

10月13日(火)〜15日(木)のいずれかで、
30分ほどオンラインでお話しできれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

よくある質問

Q. BPのみの営業は悪いことですか?
悪いことではありません。中小のSES企業では一般的な形です。問題は少ないBPに頼りきることなので、取引先の分散と上位の取引の追加で対策します。
Q. エンドを持たないSES企業のリスクは何ですか?
単価が低くなりやすい、案件数がBPの受注に左右される、情報が遅い、条件を決める力が弱い、の4つです。主要なBPが1社抜けると待機が一気に増えることがあります。
Q. BP依存度はどのくらいなら危ないですか?
決まった基準はありません。編集部では、上位2社のBPで売上の半分以上を占める状態を1つの目安にしています。
Q. 小さなSES企業でも商流を上げられますか?
上げられます。規模より、得意な技術と早く人材を出せる力が見られます。まず一次請けのBPと組み、次に元請けへの申し込みと進めましょう。
Q. エンド開拓と元請け開拓は、どちらを先にやるべきですか?
多くの会社では元請け・一次請けへの申し込みが先です。募集ページがあり、申し込みの窓口がはっきりしているためです。エンドは得意分野が固まってから狙うと成功しやすくなります。
Q. 紹介してもらったエンドに、次から直接営業してもいいですか?
紹介元のBPとの契約で禁止されていることが多く、商流飛ばしになるおそれがあります。契約の条項を確認し、必要なら紹介元の了承を得てください。

まとめ

  • BPのみ営業とは、エンド・元請けと直接取引せず、BP経由の案件だけで売上を作る営業

  • 弱点は、単価・案件数・情報の早さ・交渉力の4つを上の会社に決められること

  • 公取委の2022年の調査では、「中抜き」を感じた企業が最終下請けで33.5%

  • 依存度チェック10項目で、今の状態を数字で知る

  • 対策は、①商流の浅いBPへ寄せる②元請けに申し込む③実績を資料化④得意分野でエンド開拓⑤情報が集まる仕組み

  • 商流飛ばしはせず、BPからの売上を保ちながら上位の取引を1件ずつ足す

調査結果・法令の記述は2026年9月30日時点で確認した情報です。計算例の単価・マージンは説明のための仮の数字です。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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