SIerの協力会社登録の条件と流れ|申込み窓口の探し方、審査で見られる7項目と準備書類、登録後に案件が来ない理由と動き方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SIerの協力会社登録とは?

SIerの協力会社登録とは、SIerが案件を発注する取引先として、自社を正式に登録してもらうことです。SIerによって「ビジネスパートナー登録」「取引先登録」「口座開設」などと呼び方が違います。

SIerとは、企業のシステムの設計・開発・運用をまとめて請け負う会社のことです(くわしくはSIerとは?読み方・意味とSESとの関係を営業目線で解説)。一次請けとは、エンドから直接仕事を受けるSIerのことです。

一次請けのSIerに登録できると、商流が1段浅くなり、単価と情報の早さが上がります。商流とは、エンドから自社までに何社が間に入っているかという、取引のつながりのことです。商流を上げる全体の進め方は下請けからの脱却|SES・受託開発会社が商流を上げる5つの方法で解説しています。

比べること二次請けとして参画一次請けSIerの協力会社として参画
間に入る会社一次請け+もう1社一次請けだけ
案件情報の早さ一次請けから回ってきた後一次請けが募集を出した時点
単価間の会社の取り分が引かれる1社分の取り分が減る
求められること要員のスキル会社としての信用と体制

協力会社登録の流れ5段階

協力会社登録は、次の5段階で進みます。期間の目安は会社によって違いますが、申込みから基本契約まで1〜3か月かかることが多いです。

  1. 窓口を探す:パートナー募集のページ、問い合わせフォーム、紹介者を探す

  2. 申込み:会社の概要と得意領域を送り、面談の日程を決める

  3. 面談・書類提出:会社紹介と、決算書などの書類を出す

  4. 審査:購買・法務・情報セキュリティの担当が確認する

  5. 基本契約・口座開設:基本契約と秘密保持契約を結び、発注できる状態になる

口座開設とは、取引先として相手の社内システムに登録され、発注と支払いができる状態になることです。取引開始の審査で求められる書類はSESの取引開始の審査と必要書類|口座開設で求められる8点一覧で一覧にしています。

申込み窓口の探し方4つ

申込み窓口は、次の4つの方法で探します。上から順に試すと、早く担当者にたどり着けます。

方法探し方向いている相手
① パートナー募集のページSIerのサイトで「パートナー募集」「協力会社募集」「調達」「購買」と検索大手・中堅SIer
② 既存の取引先からの紹介そのSIerと取引している会社に紹介を頼むすべて
③ 問い合わせフォーム「協業・パートナーのご相談」の欄から申し込む募集ページがない会社
④ 交流会・展示会SIerの営業・購買の担当者と名刺交換する中堅・中小SIer

① パートナー募集のページを探す

大手・中堅のSIerには、協力会社を募集するページや、調達・購買の方針を載せたページがあることが多いです。検索エンジンで「会社名+パートナー募集」「会社名+協力会社」「会社名+調達方針」と調べます。

ページがある場合は、申込みフォームの項目を先に見ておきます。フォームの項目が、そのまま審査で見られる項目になっていることが多いからです。

② 既存の取引先から紹介してもらう

一番通りやすいのは、すでにそのSIerと取引している会社からの紹介です。紹介があると、面談までの時間が短くなり、審査でも取引の実績として見てもらえることがあります。

狙うSIerの探し方は中堅SIer一覧とランキング22社|SES営業が狙いやすい理由と探し方で紹介しています。一次請け・二次請けSIer一覧|商流を上げる営業先の探し方もあわせて使えます。

審査で見られる7項目

協力会社登録の審査では、主に次の7項目が見られます。基準は会社ごとに違い、公開されていないことも多いため、面談のときに「審査で確認される項目」を直接聞くのが確実です。

#審査の項目よく確認される内容
1会社の基本情報設立年・資本金・所在地・役員・登記の内容
2財務決算書(2〜3期分)、売上・利益、債務超過でないか
3技術者の人数と得意領域社員数・技術者数、得意な技術・業界、BPの人数
4情報セキュリティPマーク・ISMSの有無、社内規程、教育の実施
5反社会的勢力との関係反社チェック、表明・確約の書面
6契約・許可・税務契約形態、派遣で受ける場合の許可、インボイスの登録番号
7取引の実績主な取引業界、継続している取引、紹介者

1. 会社の基本情報

設立からの年数(社歴)は、多くの会社で確認されます。社歴が短い場合は、代表や営業担当の経歴、紹介者で補います。登記の内容は、国税庁の法人番号公表サイトで相手が確認することもあります。

2. 財務

決算書は、2〜3期分を求められることが多いです。赤字や債務超過があると、登録を見送られることがあります。債務超過とは、会社の負債が資産を上回っている状態のことです。

3. 技術者の人数と得意領域

社員数・技術者数は、社員とBPの内訳と、得意な技術・業界をあわせて伝えます。人数が少なくても、SIerの足りない領域に合っていれば評価されます。

4. 情報セキュリティ

Pマークとは、個人情報を適切に扱う会社を認める制度のことです。ISMSとは、情報セキュリティの管理の仕組みを認証する制度のことです。どちらも法律で必須ではありませんが、取引の条件として求められることがあります。

取得していない場合は、情報セキュリティの社内規程、社員への教育の記録、スキルシートの扱いのルールで補います。スキルシートを他社へ送るのは、原則として本人の同意が必要な第三者提供に当たります(個人情報保護法第27条第1項)。同意の取り方まで説明できると、評価されやすくなります。許可・認証の全体像はSESに派遣免許やPマークは必要?事業に要る許可・認証一覧で解説しています。

5. 反社会的勢力との関係

多くのSIerは、取引の前に反社チェックを行い、反社会的勢力でないことの表明・確約を求めます。自社でも同じチェックをしていることを伝えると、信頼につながります。

6. 契約・許可・税務

準委任(SES)で受けるなら、許可は要りません。派遣契約で受ける場合は、労働者派遣事業の許可(労働者派遣法第5条)の番号を確認されます。

インボイスの登録番号も確認されることが多いです。インボイスとは、消費税の額などを書いた、決められた形式の請求書のことです。登録番号は、国税庁のインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトで確認されます。

7. 取引の実績

取引先の名前を出せない場合は、業界・工程・期間・人数で実績を伝えます。「大手損害保険会社の保守、Java 5名、2023年から継続中」のような書き方です。

準備する書類と、そろえる日数の目安

申込みの前に、次の書類をそろえておくと、審査が早く進みます。

書類取り寄せ先・作り方目安
会社紹介資料自社で作成(10枚前後)3〜5日
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)法務局・オンライン請求1〜3日
決算書(2〜3期分)税理士・経理1日
納税証明書税務署・e-Tax1週間前後
会社案内に載せる技術者数の内訳自社で集計(社員・BP・得意領域)1日
情報セキュリティの規程・認証の写し自社で準備1日
反社会的勢力でないことの表明・確約書相手の書式に記入1日

会社紹介資料の作り方はSESの会社紹介資料の作り方|BP・エンド向けの構成10枚で紹介しています。

協力会社登録の申込みメール例文

申込みのメールでは、得意領域・人数・相手の役に立てる点を短く書き、面談を依頼します。

件名:協力会社登録のご相談(Java・AWSの技術者52名/株式会社□□)

〇〇株式会社 パートナー窓口ご担当者様

はじめてご連絡いたします。株式会社□□の××と申します。
貴社の協力会社募集のページを拝見し、ご連絡いたしました。

弊社は、Java開発とAWS構築を得意とするSES企業です。
技術者52名(社員38名・BP14名、2026年9月時点)が、金融・製造の開発・保守に参画しています。

貴社の〇〇領域の案件で、要員のご提案ができると考えております。
協力会社登録の手続きと、審査で必要な書類をご教示いただけますでしょうか。
あわせて、30分ほど会社のご紹介のお時間をいただけますと幸いです。

会社紹介資料(1枚)を添付いたします。よろしくお願いいたします。

返信が来ない場合は、2週間後に1回だけ、別の切り口(空いている要員の情報など)で再送します。何度も送ると、かえって印象が悪くなります。

登録後に案件が来ない3つの理由と動き方

協力会社に登録しても、案件が自動で来るわけではありません。登録はあくまで「発注できる状態」になっただけです。案件が来ない理由は、主に次の3つです。

理由起きていること動き方
部署の担当者が自社を知らない登録したのは購買部門で、案件を持つ事業部は知らない事業部の担当者を紹介してもらい、会いに行く
得意領域が伝わっていない登録情報の一覧に埋もれている得意領域の要員を、毎週決まった曜日に提案する
既存の協力会社で足りている長く付き合う会社に先に声がかかる既存の会社が苦手な領域・急ぎの案件で入る

登録後の最初の90日の動き方

  1. 1〜2週目:購買部門に、案件を持つ事業部の担当者を紹介してもらう

  2. 3〜4週目:事業部の担当者と面談し、募集の多い職種と時期を聞く

  3. 5〜8週目:得意領域の空いている要員を、毎週決まった曜日にメールで提案する

  4. 9〜12週目:急ぎの案件・少人数の案件で、最初の1件を取りに行く

最初の1件は、単価より「頼んだらすぐ出てきた」という実績を優先します。元請けとの付き合い方はSESの元請けとは|一次請けとの違いと元請け企業の見分け方も参考にしてください。

協力会社登録の前のチェックリスト

申込みの前に、次の10項目を確認します。

  • 申込み先のSIerの得意業界・技術と、自社の得意領域が合っている

  • パートナー募集のページ、または紹介者を見つけた

  • 会社紹介資料(10枚前後と1枚版)を作った

  • 決算書2〜3期分と、登記簿謄本・納税証明書をそろえた

  • 技術者数を、社員・BPの内訳と「いつ時点か」で書けるようにした

  • Pマーク・ISMSがない場合、情報セキュリティの規程と教育の記録を用意した

  • 自社の反社チェックの方法を説明できる

  • インボイスの登録番号を確認した

  • 取引先名を出さずに実績を説明できる(業界・工程・期間・人数)

  • 登録後に提案する要員と、提案する曜日を決めた

登録を待つ間に、取引の入り口を増やす

協力会社登録は、審査に1〜3か月かかります。その間も、取引できる相手を増やし、案件の情報を集め続けることが大切です。

自分でやる方法

  1. 狙うSIerを10社選び、表に「窓口・申込み日・返信・次の行動」を書く

  2. 交流会や紹介で、同じSIerと取引している会社を探す

  3. 届く案件メールから、狙うSIerが上位にいる案件を探し、商流を確かめる

もっと楽にするなら

チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能のことです。協力会社登録を待つ間も、取引の入り口を広げられます。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。

やること自分でやる場合チョータツ・チョータツブーストを使う場合
取引先の候補を増やす交流会・フォーム営業チョータツブーストで新しいパートナー企業を開拓できる
上位の案件を見つける案件メールを1通ずつ読む連携した会社の営業中案件がデータベースになる
提案する要員をそろえる担当者ごとのExcel案件・人材の情報を1か所で管理・共有できる

よくある質問

Q. SIerの協力会社登録に必要な条件は何ですか?
会社ごとに違い、公開されていないことも多いです。社歴・財務・技術者数・情報セキュリティ・反社チェック・インボイスの登録番号・取引の実績がよく確認されます。
Q. 協力会社登録の審査にはどれくらいかかりますか?
申込みから基本契約まで、1〜3か月かかることが多いです。書類を先にそろえておくと、審査の期間を短くできます。
Q. 設立1年目の会社でもSIerに協力会社登録できますか?
申し込むことはできます。決算書がそろわない場合は、代表や営業の経歴、得意領域の要員、紹介者で信用を補います。紹介のある会社から始めると通りやすくなります。
Q. PマークやISMSがないと登録できませんか?
必須とするSIerもありますが、すべてではありません。取得していない場合は、情報セキュリティの社内規程と教育の記録を用意して説明します。
Q. 協力会社に登録したのに案件が来ないのはなぜですか?
登録は発注できる状態になっただけで、事業部の担当者が自社を知らないことが多いからです。担当者を紹介してもらい、得意領域の要員を毎週提案します。

まとめ

  • SIerの協力会社登録は、窓口探し→申込み→書類提出→審査→基本契約の5段階で、1〜3か月かかる

  • 窓口は、パートナー募集のページと、既存の取引先からの紹介が見つけやすい

  • 審査の7項目は、基本情報・財務・技術者・情報セキュリティ・反社・契約と許可と税務・実績。基準は会社ごとに違う

  • 登録後は、事業部の担当者に会い、得意領域の要員を毎週提案して最初の1件を取る

  • 登録を待つ間も、取引の入り口を増やし続ける

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

関連する記事