SESのエンド開拓のやり方|元請け・直案件を取る7ステップと、実績の少ない会社が狙う相手の順番

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

SESのエンド開拓とは

SESのエンド開拓とは、エンドや元請けから直接案件をもらえるように、新しい取引先をつくる営業活動のことです。エンドとは、システムを実際に使う会社、つまり発注の出発点のことです。

SESの案件は、エンドから元請け、一次請け、二次請けと、いくつもの会社を通って届くことがあります。この流れを商流といいます。間の会社が減るほど、1人あたりの単価は上がりやすくなります。

公正取引委員会は2022年6月にソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書を出しました。報告書では、元請を「基本的にエンドユーザーから直接受注する者」としています。そのため、SES営業の言う「エンド開拓」は、エンド企業との直接取引と元請けSIerとの取引の両方を含むことが多いです。

商流の段の数え方は、SESの元請けとは|一次請けとの違いでくわしく解説しています。

エンド開拓とパートナー経由の新規開拓の違い

エンド開拓とパートナー経由の新規開拓は、相手・スピード・もらえる案件が大きく違います。どちらか一方ではなく、両方を並行して進めるのが基本です。

比べる点パートナー経由の新規開拓エンド直の開拓
相手SES企業・SIer(同業)ユーザー企業・元請けSIer
取引開始までの期間早い(数日〜数週間)遅い(数か月かかることも)
単価間の会社の分だけ低め高めになりやすい
求められること人材をすぐ出せるか実績・体制・信用

パートナー経由の開拓は、案件と人材の数を早く増やせます。エンド開拓は、単価と案件の質を上げられます。売上の土台はパートナー、利益の伸びしろはエンドと役割を分けて考えましょう。

→ パートナー側の開拓はSESパートナー募集企業の一覧と探し方7選で解説しています。

エンド開拓のメリットと注意点

エンド開拓のメリットは、単価・情報の早さ・エンジニアの定着の3つです。一方で、審査の厳しさと責任の重さという注意点があります。

メリット

  1. 単価が上がりやすい:間の会社が受け取る分が減るので、同じ人材でも単価を高くできることがあります。

  2. 案件の情報が早く届く:エンドの計画を直接聞けるので、募集が出回る前に提案できます。

  3. エンジニアが定着しやすい:上流の工程や長く続く案件に入れると、エンジニアの満足度も上がります。

注意点

  1. 取引開始の審査が厳しい:会社の実績、財務、体制を確認されます。

  2. 責任が重い:人材の質やトラブル対応を、自社が直接問われます。

  3. 支払い条件が合わないことがある:大手は支払いサイト(締め日から入金までの期間)が長い場合があります。

実績の少ない会社が最初に狙う相手の順番

実績の少ない会社は、商流を1段ずつ上げる順番で相手を選ぶと、取引につながりやすくなります。いきなり大手エンドを狙っても、口座開設の審査で止まることが多いからです。

順番狙う相手ねらう理由
①今のBPの上にいる会社自社の実績を知る人が紹介してくれる
②中堅の元請けSIer人手が足りず、新しい協力会社を探している
③中小のユーザー企業社内にIT担当が少なく、直接相談が来やすい
④大手エンド企業審査は厳しいが、①〜③の実績で通りやすくなる

① 今のBPの上にいる会社
今の取引先に「上の会社を紹介してもらえないか」と相談します。すでに一緒に仕事をした実績があるので、話が早く進みます。

② 中堅の元請けSIer
SIerとは、システムの企画から開発・運用までをまとめて請け負う会社のことです。中堅の元請けSIerは、協力会社を常に探していることが多いです。公式サイトの「パートナー募集」ページから申し込めます。

③ 中小のユーザー企業
社員数が数十〜数百人の会社は、情報システム担当が1〜2人ということもあります。「人を1人入れたい」という相談が、直接来やすい相手です。自社サービスを開発しているWebサービス企業も、エンジニアを直接探していることが多い相手です。

④ 大手エンド企業
大手は取引先を限っていることが多く、新しい会社との口座開設には時間がかかります。①〜③で「どこで何人が働いているか」という実績を作ってから狙いましょう。

→ 元請けに近いSIerの探し方は一次請け・二次請けSIer一覧|商流を上げる営業先の探し方も参考になります。

SESのエンド開拓のやり方7ステップ

SESのエンド開拓は、次の7ステップで進めます。ステップ1〜3は準備、4〜7は相手とのやりとりです。

  1. 自社の売りを1枚にまとめる

  2. 狙う相手の条件を決める

  3. ターゲットリストを作る

  4. アプローチする

  5. 初回面談で課題を聞く

  6. 初回提案で1件目を決める

  7. 取引口座を開設する

ステップ1:自社の売りを1枚にまとめる

エンドに会う前に、自社が何を得意とするかを1枚の資料にまとめます。エンドは「この会社に頼むと何が楽になるか」を知りたいからです。

資料に入れる項目は、次の5つです。

  • 得意な技術(例:Java、AWS、インフラ運用)

  • 得意な業界(例:金融、流通、製造)

  • エンジニアの人数と、すぐ出せる人数

  • これまでの参画実績(社名を出せない場合は「大手金融機関の基幹システム」など)

  • 会社の基本情報(設立年、所在地、資本金、許可の有無)

ステップ2:狙う相手の条件を決める

狙う相手は、会社の大きさより「自社の得意と合うか」で決めます。条件がはっきりすると、リスト作りとアプローチの文面がぶれません。

条件の例は次のとおりです。

  • 業界:自社の実績が多い業界

  • 地域:自社のエンジニアが通える範囲(リモート可なら全国)

  • 規模:社員数50〜1,000人など、商流を1段上げられる大きさ

  • きっかけ:システムの入れ替え、新しいサービスの立ち上げ、IT人材の求人を出している

ステップ3:ターゲットリストを作る

ターゲットリストとは、アプローチする会社の名前と、連絡先・きっかけをまとめた表のことです。最初は50社前後を目安にすると、1社ずつ丁寧に連絡できます。

リスト作りに使える、無料の公的サイトがあります。

使うサイトわかること使い方
国税庁 法人番号公表サイト正式な社名・所在地・法人番号会社が実在するかを確かめる
経済産業省 gBizINFO設立年、従業員数、補助金・調達などの公的な記録規模や国との取引の有無を見る
各社の採用ページ社内SEや開発者の求人人手が足りていない部署を知る

リストの列は「社名/業界/規模/きっかけ/接点(紹介・交流会など)/次にやること」の6つにすると、管理しやすくなります。

ステップ4:アプローチする

アプローチは、紹介→交流会→問い合わせフォーム→電話の順に、返事が来やすい方法から試します。まったく知らない会社に電話するより、共通の知り合いがいる方が会ってもらいやすいからです。

方法返事の来やすさ向いている相手
今の取引先からの紹介高い①BPの上の会社、②元請けSIer
交流会・商談会中くらい②元請けSIer、③中小ユーザー企業
企業同士のマッチングサービス中くらい③中小ユーザー企業
問い合わせフォーム・メール低め②元請けSIer(パートナー募集ページ)
電話(テレアポ)低い③中小ユーザー企業

問い合わせフォームやメールでは、「何ができるか」を1行目に書きます。長い会社紹介から始めると、最後まで読まれません。

問い合わせフォームに送る文面の例です。

例文・テンプレート
件名:Java・AWSのエンジニアを1名からご提案できます(株式会社△△)

株式会社〇〇
システム部門ご担当者様

Java・AWSの開発エンジニアを、1名から常駐・リモートでご提案できます。
株式会社△△の□□と申します。

貴社の採用ページで、社内SEを募集されていることを拝見しました。
弊社は金融・流通系の開発を中心に、エンジニア〇名が参画しています。

・すぐにご提案できる人数:〇名(Java、AWS)
・これまでの参画例:大手金融機関の基幹システム開発 など

人手が足りていない時期やプロジェクトがあれば、
15分ほどお話を伺えないでしょうか。

→ ほかの文面はSES営業メールの例文10選にまとめています。

→ 交流会の使い方はSES交流会の選び方と活用法で解説しています。

ステップ5:初回面談で課題を聞く

初回面談の目的は、売り込むことではなく、相手の困りごとを聞くことです。困りごとがわかれば、提案する人材と時期が決まります。

初回面談で聞く質問の例です。

  1. 今、IT人材が足りていない部署やプロジェクトはありますか。

  2. 今の協力会社には、どんな不満がありますか。

  3. 新しい協力会社を入れるときの条件(審査・書類)は何ですか。

  4. 次に人を増やす予定はいつ頃ですか。

  5. 常駐とリモートは、どちらを希望しますか。

  6. 単価はどのくらいを想定していますか。

ステップ6:初回提案で1件目を決める

最初の提案は、1名から、確実に決まる人材で行います。1件目で信頼を得ると、2件目からは相手の方から相談が来るようになるからです。

提案書には、スキルシートに加えて「この人が入ると何が解決するか」を書きます。単価は、SESの単価相場を見て、相場から外れない金額にします。

→ 提案書の書き方は要員提案書のサンプルと書き方で解説しています。

ステップ7:取引口座を開設する

取引口座の開設とは、相手の会社に「取引先」として正式に登録してもらう手続きのことです。口座がないと、提案が決まっても契約できません。

よく求められる書類は次のとおりです。

書類内容用意のコツ
会社概要設立年・資本金・人数・事業内容ステップ1の資料を流用する
登記事項証明書法務局が発行する会社の登記の写し発行から3か月以内を求められることが多い
決算書直近2〜3期分出せない場合は理由を先に伝える
反社会的勢力でない旨の誓約暴力団などと関係がないことの確認相手の書式に合わせて署名する
基本契約書・秘密保持契約取引のルールと情報の扱い相手のひな形を使うことが多い

契約書では、再委託(受けた仕事をさらに別の会社に任せること)ができるかを必ず確認します。準委任契約では、民法第644条の2(第656条で準用)により、発注元の許諾がないと原則として再委託できません。

→ 契約書の条項はSES基本契約書のテンプレート|条項チェック15で確認できます。

1件目が決まった後に取引を広げる方法

1件目が決まった後は、「稼働の報告」と「次の相談を聞く場」を定期的につくることで、2件目以降につなげます。エンドは、1件目の働きぶりを見て次の発注先を決めるからです。

  1. 月1回、現場の様子を報告する:エンジニアの稼働状況と、困りごとがないかを伝えます。

  2. 次の増員や新しいプロジェクトの予定を聞く:「来期に人を増やす予定はありますか」と具体的に聞きます。

  3. 営業の記録を社内で共有する:誰と、いつ、何を話したかを残します。担当者が変わっても関係が途切れません。

  4. 契約更新の前に条件を見直す:単価や稼働時間の変更は、更新の1〜2か月前に相談します。

おすすめは、1件目の現場でエンジニア本人に困りごとを聞いておくことです。現場の小さな不満に早く気づけると、エンドからの信頼が深まります。

→ 更新の時期はSESの契約更新はいつ決まる?で解説しています。

エンド開拓でやってはいけないこと

エンド開拓でやってはいけないのは、今の取引先を飛ばしてエンドと直接取引することです。信頼を失うだけでなく、契約違反として損害を請求されることがあります。

  • 商流飛ばし:今の現場のエンドに、元請けを通さず直接営業する。基本契約書で禁止されていることが多い行為です。→ SESの商流飛ばしのリスクと防ぎ方

  • 無断の再委託:エンドから受けた仕事を、許可なくBPに出す。

  • 偽装請負になる働き方:契約は準委任なのに、エンドの社員がエンジニアに直接指示を出す。→ 偽装請負の判断基準

  • できない約束:人材がいないのに「すぐ出せます」と答える。1回の失敗で、口座が止まることもあります。

※この記事の法律・契約に関する内容は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の契約や判断は、弁護士などの専門家に確認してください。

パートナー取引を土台にして、チョータツでエンド開拓を支える

エンド開拓は、1件目が決まるまで数か月かかることがあります。その間の売上を保ち、エンドの相談にすぐ人を出すには、パートナー側の案件・人材を切らさない仕組みが必要です。自分でやる場合と、チョータツを使う場合を比べます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
エンドに出せる人材を探すBPから届くメールを読み、Excelに転記連携した他社の営業中人材がデータベースになる
商流の上の取引先を増やす募集ページや交流会で1社ずつチョータツブーストで新しいパートナーを開拓
自社の案件・人材を知らせるBCCで一斉送信メール配信機能でパートナーに配信

チョータツでできること

チョータツとは、SES営業の案件・人材を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。

  • 他社との連携:連携した会社の営業中案件・営業中人材を、自社のデータベースとして見られる

  • メール配信:自社の案件・人材の情報を、パートナーへまとめて配信できる

  • AIの入力補助:案件・人材の登録をAIが手伝う

  • チョータツブースト:チョータツの中で、新しいパートナー企業を開拓できる

エンドの面談で「こんな人はいますか」と聞かれたとき、その場でデータベースを見て答えられることが強みになります。反応の早さは、新しい取引先としての信用につながります。

よくある質問

Q. SESのエンド開拓は、何から始めればいいですか?
自社の得意な技術・業界・人数を1枚の資料にまとめることから始めます。そのうえで、今の取引先に「上の会社」を紹介してもらうのが、一番早い方法です。
Q. 元請けの開拓とエンドの開拓は、どちらを先にやるべきですか?
実績が少ないうちは、元請けSIerの開拓を先にしましょう。元請けは協力会社を探していることが多く、エンドより審査に通りやすいからです。
Q. SES営業の新規開拓で、テレアポは効果がありますか?
中小のユーザー企業には効果がある場合もあります。ただし返事が来る割合は低めです。紹介や交流会で接点を作ってから連絡する方が、面談につながりやすくなります。
Q. 今の現場のエンドに、直接営業してもいいですか?
基本的に避けましょう。元請けを通さない直接営業は「商流飛ばし」と呼ばれ、契約書で禁止されていることが多いです。契約違反になると、損害を請求されることもあります。
Q. 口座開設の審査に落ちたら、もう取引できませんか?
時間をおけば、再び申し込める場合があります。落ちた理由(実績・財務・体制)を聞き、別の会社で実績を作ってから再挑戦しましょう。
Q. エンドから急に人材を頼まれたら、どうすればいいですか?
自社に合う人がいなければ、パートナーの人材を提案します。ただし再委託の許可を先に確認します。チョータツで連携しておくと、他社の営業中人材をすぐに探せます。

まとめ

  • エンド開拓とは、エンドや元請けから直接案件をもらえる取引先をつくる営業のこと

  • パートナー経由の開拓は「売上の土台」、エンド開拓は「利益の伸びしろ」。両方を並行する

  • 実績が少ないうちは、BPの上の会社→中堅の元請けSIer→中小ユーザー企業→大手エンドの順に狙う

  • 進め方は、売りを1枚に→条件決め→リスト→アプローチ→初回面談→初回提案→口座開設の7ステップ

  • 商流飛ばし・無断の再委託・偽装請負は絶対に避ける

  • 1件目が決まったら、月1回の報告と次の相談で2件目につなげる

  • チョータツで他社と連携し、エンドに出せる人材をいつでも探せる状態にしておく

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料(2026年9月28日確認)

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