SESの元請けとは?一次請け・エンドとの違いと、元請けかを見分ける質問例8つ

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

SESの元請けとは

SESの元請けとは、エンドから直接仕事を受け、プロジェクト全体をまとめる会社のことです。多くは大手や中堅のSIer(システムの企画から開発・運用までをまとめて請け負う会社)です。

元請けは、エンドと契約を結んだあと、足りない人数を協力会社に任せることがあります。この協力会社が一次請け、さらにその下が二次請けです。こうした会社のつながりを商流といいます。

→ 商流の全体像はSES業界とは?仕組みと商流構造で解説しています。

公正取引委員会は2022年6月にソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書を出しました。報告書は、取引の立場を「元請」「中間下請」「最終下請」に分けています。報告書の定義は次のとおりです。

立場報告書の定義(要約)
元請基本的にエンドユーザーから直接受注する者
中間下請同業者から受注し、自社も一部を外注することがある者
最終下請同業者から受注し、さらなる外注は基本的にしない者

この調査は、資本金3億円以下のソフトウェア業2万1,000社に依頼し、4,739社が回答しています。

元請け・一次請け・エンドの違いを図で整理

元請け・一次請け・エンドの違いは、エンドから数えて何番目の会社かです。ただし「一次請け」の数え方が会社によって違うため、同じ言葉でも位置がずれることがあります。

例文・テンプレート
【数え方A:元請け=一次請けとする場合】
エンド(発注元) → 元請け(=一次請け) → 二次請け → 三次請け

【数え方B:元請けの下を一次請けとする場合】
エンド(発注元) → 元請け → 一次請け → 二次請け
言葉意味注意点
エンドシステムを実際に使う会社契約上の発注者を「エンド」と呼ぶ人もいる
元請けエンドから直接受ける会社「プライム」と呼ばれることもある
一次請け数え方Aでは元請けと同じ。数え方Bでは元請けの1つ下相手がどちらの意味で使っているか確認する
二次請け以降一次請けのさらに下で受ける会社段が深いほど単価が下がりやすい

「一次請け」の数え方が2通りある理由

「一次請け」の数え方が2通りあるのは、数え始めを「エンド」にするか「元請け」にするかが決まっていないからです。建設業などでは元請けの下を一次下請けと呼ぶことが多く、SESでもこの呼び方が混ざっています。

営業の現場では、「一次請けです」と言われても安心しないことが大切です。「エンドから数えて何社目ですか」と、数字で聞き直しましょう。

→ 段ごとの単価の違いはSESの一次請け・二次請けの違い|単価差と商流を上げる方法で解説しています。

SESの元請け企業の種類

SESの元請けになる企業は、大手・中堅のSIerと、エンドと直接取引するSES企業の2つに大きく分かれます。SIerは、親会社や成り立ちでさらに4種類に分けられます。

種類どんな会社か営業のポイント
メーカー系SIerコンピューターメーカーの子会社親会社の製品を使う案件が多い
ユーザー系SIer銀行・商社などの情報システム部門が独立した会社親会社グループの案件が中心
独立系SIer親会社を持たない会社業界を問わず案件があり、協力会社を広く探す
外資系・コンサル系海外のIT企業やコンサル会社上流工程やPMO(プロジェクト管理の支援)が多い

中堅の独立系SIerは、パートナー募集ページで協力会社を広く集めていることが多いです。そのため、SES企業が最初に取引しやすい元請けです。

→ 種類別の会社名はSIerの種類別一覧と一次請け・二次請けSIer一覧で確認できます。

元請けと取引するメリット

元請けと取引するメリットは、単価が上がる・情報が早い・商流の説明がしやすい・支払いのルールがはっきりするの4つです。営業の立場から見ると、提案の幅そのものが広がります。

  1. 単価が上がりやすい:間の会社が減るので、同じエンジニアでも高い単価で提案できることがあります。

  2. 案件の情報が早く届く:エンドの計画を知っている会社なので、募集が広く出回る前に相談が来ます。

  3. エンジニアに商流を説明しやすい:「エンドの1つ下」とはっきり言えるので、エンジニアの安心と定着につながります。

  4. 支払いのルールがはっきりしている:大きな会社ほど、取引の書類や支払いの手順が決まっています。

支払いのルールでは、法律の改正にも注意します。2026年1月1日から、下請法が改正されて「取適法」になりました(政府広報オンライン)。

正式名は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。資本金や従業員数の条件に当てはまる取引では、支払期日を60日以内に決める義務があります。

60日は、給付を受け取った日(サービスなら提供を受けた日)から数えます。手形での支払いも禁止されました。

元請けと取引するデメリットと注意点

元請けと取引するデメリットは、審査が厳しい・責任が重い・1社に頼りやすいの3つです。メリットだけを見て取引を始めると、トラブルのときに自社が矢面に立ちます。

デメリット何が起きるか対策
審査が厳しい実績・財務・体制を細かく見られ、口座開設まで時間がかかる資料と書類を先にそろえる
責任が重い人材の質やトラブル対応を、自社が直接問われる提案前の面談と、稼働後の定期フォローを徹底する
1社に頼りやすい契約終了や予算削減の影響を、まとめて受けるパートナー経由の取引も並行して続ける

おすすめは、1社の元請けへの売上が大きくなりすぎないように、取引先を分けておくことです。元請けとの取引は利益を伸ばしますが、売上の土台はパートナー経由の取引で支えます。

案件メールで元請けかどうかを見分ける方法

案件メールで元請けかどうかは、「元請け直」「エンド直」「プライム」などの表記からある程度わかります。ただしメールの表記だけでは確定できないので、最後は必ず質問で確認します。

メールの表記よくある意味確認すること
エンド直・エンド直請け送り主がエンドと直接契約している本当にエンドと契約しているか
元請け直・プライム直送り主が元請けと直接契約している送り主はエンドから何社目か
一社先・二社先送り主の先に、さらに何社かある「先」がどちら向きを指すか
商流制限あり(例:貴社まで)自社の下の会社は提案できない制限の起点と終点はどこか

「一社先」などの言い方は、会社によって意味がずれます。「エンドから数えて御社は何社目ですか」と聞き直すと、誤解がなくなります。

面談で元請けかを見分ける質問例8つ

面談や電話で相手が元請けかを見分けるには、契約の相手・会社の数・現場の体制を具体的に聞きます。言葉の定義に頼らず、事実を聞くのがコツです。

  1. 御社は、エンド企業と直接契約を結んでいますか。

  2. エンドから数えて、御社は何社目ですか。

  3. 御社の上に、何社の会社がありますか。

  4. 現場でエンジニアに作業の指示を出すのは、どの会社の方ですか。

  5. このプロジェクトで、御社の社員は何名参画していますか。

  6. 提案した人材の面談には、どの会社の方が出ますか。

  7. 契約書(注文書)は、どの会社と取り交わしますか。

  8. 再委託(仕事をさらに別の会社に任せること)について、エンドの許可は取れていますか。

相手が元請けなら、1〜3に迷わず答えられるはずです。答えがあいまいな場合は、間にさらに会社が入っている可能性があります。

→ 面談で使える質問はSES面談の質問内容|営業が聞くべき深掘り質問27にもまとめています。

公的なサイトで相手の会社を確かめる

相手の会社の基本情報は、国などが運営する無料のサイトで確かめられます。元請けかどうかは直接わかりませんが、会社の規模や国との取引の記録が判断の材料になります。

使うサイトわかること
国税庁 法人番号公表サイト正式な社名・所在地・法人番号
経済産業省 gBizINFO従業員数・資本金・補助金や調達などの公的な記録

元請けと取引するための条件

元請けと取引するための条件は、実績・体制・信用・すぐ出せる人材の4つです。どれか1つでも欠けると、口座開設(相手の会社に取引先として正式に登録してもらうこと)の審査で止まりやすくなります。

条件元請けが見るポイント準備すること
実績どの業界・技術で、何人がどこで働いているか参画実績を1枚の資料にまとめる
体制営業の窓口、トラブル時の対応者がいるか担当営業と責任者を決めておく
信用会社の財務、契約・法令を守れるか決算書・登記事項証明書・基本契約書を用意する
すぐ出せる人材急な依頼に何日で候補を出せるか自社とパートナーの人材をいつでも探せる状態にする

契約面では、偽装請負にならないことも強く求められます。準委任契約なのに、元請けやエンドの社員がエンジニアに直接指示を出すと、偽装請負と判断されるおそれがあります。

→ 偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選

やってはいけないこと

元請けと取引したいからといって、今の取引先を飛ばしてエンドや元請けに直接営業するのは避けます。基本契約書で禁止されていることが多い「商流飛ばし」にあたり、契約違反を問われることがあります。

※この記事の法律・契約に関する内容は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の契約や判断は、弁護士などの専門家に確認してください。

→ SESの商流飛ばしは違法?営業が知るべきリスクと防ぎ方5つ

チョータツで「元請けに選ばれる会社」になる

元請けに選ばれる会社になるには、急な依頼にすぐ候補を出せることが欠かせません。自分でやる場合、パートナーから届くメールを1通ずつ読み、Excelに転記して探すことになります。チョータツを使うと、この探す手間を減らせます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
元請けに出す候補を探す届いたメールとExcelを見比べる連携した他社の営業中人材がデータベースになる
元請けに近い取引先を増やす募集ページや交流会で1社ずつチョータツブーストで新しいパートナーを開拓
自社の人材を知らせるBCCで一斉送信メール配信機能でパートナーに配信

チョータツとは、SES営業の案件・人材を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。案件・人材の登録はAIが手伝います。

チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能のことです。元請けに近い位置の会社とつながれば、商流を1段ずつ上げていけます。

よくある質問

Q. SESの元請けと一次請けは同じ意味ですか?
同じ意味で使う会社と、元請けの1つ下を一次請けと呼ぶ会社があります。言葉だけで判断せず、「エンドから数えて何社目か」を確認しましょう。
Q. SESの元請け企業にはどんな会社がありますか?
大手・中堅のSIerが中心です。メーカー系、ユーザー系、独立系、外資系・コンサル系に分けられます。エンドと直接取引するSES企業が元請けになることもあります。
Q. SESで元請けと取引するメリットは何ですか?
単価が上がりやすいこと、案件の情報が早く届くこと、エンジニアに商流を説明しやすいことです。一方で、審査が厳しく、トラブル時の責任も重くなります。
Q. 案件メールの「エンド直」は本当に信じていいですか?
目安にはなりますが、確定ではありません。「エンドと直接契約していますか」「契約書はどの会社と交わしますか」と聞いて確かめましょう。
Q. 小さなSES企業でも元請けと取引できますか?
できます。中堅の独立系SIerは、パートナー募集ページで協力会社を広く集めています。参画実績の資料と、すぐ出せる人材を用意して申し込みましょう。→ SESパートナー募集企業の一覧と探し方7選
Q. 元請けに近いパートナーを効率よく増やす方法はありますか?
募集ページや交流会で自分で探す方法に加え、チョータツブーストで新しいパートナー企業を開拓する方法があります。

まとめ

  • SESの元請けとは、エンドから直接仕事を受け、プロジェクトをまとめる会社のこと

  • 「一次請け」は元請けと同じ意味と、元請けの1つ下の意味の2通りがある。エンドから何社目かを数字で確認する

  • 元請け企業は大手・中堅SIerが中心。最初に取引しやすいのは中堅の独立系SIer

  • 見分けるときは、契約の相手・上にいる会社の数・指示を出す会社を具体的に聞く

  • デメリットは審査・責任・1社への依存。パートナー経由の取引も並行する

  • 元請けと取引する条件は、実績・体制・信用・すぐ出せる人材の4つ

  • チョータツで他社と連携し、元請けの急な依頼にすぐ候補を出せる状態をつくる

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料(2026年9月28日確認)

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