エンド直案件の提案書の作り方|SESの体制提案の構成9枚と見本、準委任・請負の書き分け
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
エンド直案件の提案書とは?要員提案書との違い
エンド直案件の提案書とは、システムを使う会社(エンド)に、課題を解く体制・進め方・費用をまとめて示す資料のことです。1人ずつの経歴を送る要員提案書とは、目的も読む人も違います。
エンドとは、システムを実際に使う発注元の会社のことです。直案件とは、元請けや二次請けを通さず、エンドから直接受ける案件のことです。業界の言葉はSES用語一覧|営業が現場で使う用語60と意味・例文つきでまとめています。
| 比べる点 | 要員提案書 | エンド直案件の提案書 |
|---|---|---|
| 誰が読むか | 元請けの現場担当・PM | エンドの情報システム部門・事業部長・決裁者 |
| 何を見せるか | 候補者のスキルと経歴 | 課題の解き方・体制・費用 |
| 比べられる相手 | 他社の候補者 | 他のSIer・SES企業・内製 |
| 決め手 | スキルの合い方と単価 | 課題の理解と、任せて安心か |
エンドの担当者は、社内で上司や決裁者に説明する必要があります。提案書はそのまま社内の稟議に回せる形で作ると、通りやすくなります。人を1人ずつ出す要員提案書の書き方は要員提案書のサンプルと書き方|SES営業が押さえる項目7つで解説しています。
提案書を作る前にヒアリングで聞く8項目
提案書の中身は、ヒアリングで聞いた答えで8割が決まります。聞けていない項目は、提案書を作る前に電話かメールで確認します。
| # | 聞くこと | 提案書のどこに使うか |
|---|---|---|
| 1 | 今、困っていること(なぜ今か) | 課題の整理 |
| 2 | いつまでに、どんな状態にしたいか | 進め方・スケジュール |
| 3 | 社内の体制(情シスの人数・担当者) | 体制図・役割分担 |
| 4 | 今のシステムと使っている技術 | 体制(必要なスキル) |
| 5 | 予算の目安と、決裁の流れ | 見積・提出の時期 |
| 6 | 作業場所(常駐・リモート・併用) | 体制・見積 |
| 7 | 他に相談している会社があるか | 比べられる点・強みの出し方 |
| 8 | 成果物で受けたいか、作業で受けたいか | 契約形態 |
8番は、エンドの担当者が契約の違いを知らないことも多い項目です。「決まった物を納めてほしいですか、それともチームの一員として手伝ってほしいですか」と聞くと答えやすくなります。
エンド直案件の提案書の構成9枚
構成は、課題→解き方→体制→費用→契約→会社の順に9枚で組みます。決裁者は最初の3枚で読むか決めることが多いので、課題の理解を前に置きます。
表紙:件名(「〇〇システム運用改善のご提案」)、提出日、自社名、担当者
課題の整理:ヒアリングで聞いた困りごとを、相手の言葉で3つ以内にまとめる
進め方:課題ごとに「何を・どの順で」やるかを段階で示す
体制図:誰が窓口で、誰が誰に指示を出すかを図で示す
役割分担表:エンド側と自社側で、それぞれ何をするかを表にする
スケジュール:最初の1〜3か月の予定と、確認の会議の頻度
見積:人数・期間・金額。準委任か請負かで書き方を変える
契約形態と条件:契約の種類、精算の方法、再委託の有無
会社紹介と実績:同じような課題を解いた実績、担当者の顔ぶれ
2枚目の「課題の整理」は、相手が言った言葉をそのまま使うのがコツです。「障害対応に追われて改善に手が回らない」と言われたら、その文をそのまま書きます。自分の言葉に言いかえると、わかってもらえていないと感じさせます。
課題から提案を組み立てる考え方はソリューション営業とは|SESで課題解決型の提案に変える5手順でくわしく解説しています。
体制図と役割分担表の見本
体制図では、エンドの窓口と自社のリーダーを線で結び、メンバーへの指示は自社のリーダーから出す形にします。この形にしておくと、準委任契約で守るべき「指示は受注側から出す」ルールが図でも伝わります。
体制図の見本(3名体制・準委任の例)
【エンド:株式会社〇〇 情報システム部】
窓口:△△課長
│(要望・進み具合の確認は、週1回の定例で)
▼
【自社:株式会社□□】
チームリーダー:A(自社社員・窓口と作業の指示)
│(作業の割り振り・指示)
┌────┴────┐
メンバーB メンバーC
(自社社員) (パートナー企業の社員)図の中でパートナー企業の社員を入れるなら、「パートナー企業の社員」と正直に書きます。エンドとの契約で再委託が認められているかも、先に確認しておきます。
役割分担表の見本
| 作業 | エンド側 | 自社側 |
|---|---|---|
| 要望の取りまとめ・優先順位 | ◎ 決める | ○ 案を出す |
| 作業の割り振り・指示 | ― | ◎ リーダーが行う |
| 本番環境への反映の承認 | ◎ 承認する | ○ 申請する |
| 進み具合の報告 | ○ 受ける | ◎ 週1回報告する |
準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決められた作業を行うこと自体を約束する契約のことです(民法第656条)。準委任で受けるのに、エンドの担当者がメンバーに直接作業を指示すると、実態は派遣と見られます。これを偽装請負といいます。
どこまでがOKかは準委任契約の指揮命令はどこまで?SES現場のOK・NG具体例20で確認できます。
見積と契約形態は準委任と請負で書き分ける
見積は、準委任なら「人数×期間×月額」、請負なら「成果物ごとの金額と納期」で書きます。同じ金額でも、書き方で約束する中身が変わります。
請負契約とは、仕事の完成を約束し、その結果に報酬を払う契約のことです(民法第632条)。準委任では、特約がなければ報酬を請求できず、報酬は原則として作業の後払いです(民法第648条)。
| 項目 | 準委任で受ける | 請負で受ける |
|---|---|---|
| 見積の単位 | 人月(1人が1か月働く量)×人数×期間 | 成果物ごと、または一式 |
| 書く条件 | 精算幅(例:140〜180時間)、超過・控除の単価 | 納期、検収の方法、契約不適合の扱い |
| 向いている案件 | 運用保守、要件がまだ固まらない開発 | 仕様が固まった開発、移行作業 |
| 自社のリスク | 比較的小さい | 完成できないと報酬を受けにくい |
準委任の見積の書き方(例)
【お見積(準委任)】 期間:2027年1月〜2027年3月(3か月) 体制:リーダー1名、メンバー2名 月額:リーダー 〇〇万円、メンバー 〇〇万円×2名 精算:各人140〜180時間/月。超過・控除は時間単価で精算 支払:月末締め翌月末払い
請負の見積の書き方(例)
【お見積(請負)】 成果物:〇〇システム 帳票機能の追加(仕様書v1.2の範囲) 納期:2027年3月31日 金額:一式 〇〇〇万円(設計・開発・テスト) 検収:納品後10営業日以内に、受入テストで確認
実績の少ない会社が初めてエンドと取引するなら、まず準委任で小さく始めるのが編集部のおすすめです。請負は仕様が変わったときの追加費用で揉めやすく、最初の1件で関係を壊すおそれがあります。
契約の違いは準委任契約と請負契約の違い|業務委託契約書を見分ける判定シート、見積書の項目はSESの見積書の書き方|テンプレートと記載項目10・注意点で確認してください。
提出後のフォローのやり方と例文
提案書は、送った後の3営業日で結果が分かれます。エンドの担当者は社内で説明する途中で、疑問を抱えていることが多いからです。
フォローの流れは次のとおりです。
提出当日:送付メールに「ご不明点があれば、15分ほどでご説明します」と書く
3営業日以内:電話かメールで、読んでもらえたか・疑問がないかを聞く
決裁の前:決裁者向けの説明の場があれば、同席を申し出る
結果が出たら:採用でも不採用でも、理由を聞いて記録する
3営業日後の確認メールの例文
件名:〇〇のご提案について(ご確認のお願い) 株式会社〇〇 情報システム部 △△様 株式会社□□の〇〇です。 先日は、〇〇のご提案資料をお送りしました。 ご社内でのご説明にあたり、 わかりにくい点や、追加でご用意すべき資料はございませんか。 特に、体制の人数とスケジュールは、 ご予算に合わせて調整できます。 決裁のご予定がわかりましたら、 それに合わせて資料をご用意いたします。
不採用になったときも、「どの点で他社を選んだか」は必ず聞きます。単価か、体制の厚さか、実績か。理由がわかれば、次のエンドへの提案書を直せます。
エンドの開拓全体の流れはSESのエンド開拓のやり方|元請け・直案件を取る7ステップで解説しています。
提案書づくりでやってはいけないこと4つ
エンド直案件の提案書で信頼を失うのは、できないことを書くことです。次の4つは避けます。
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| まだ確保していない人を体制図に名前入りで書く | 受注後に入れないと、最初の約束を破ることになる |
| エンドがメンバーに直接指示する図を描く | 準委任なのに偽装請負を疑われる |
| 準委任なのに「完成」「保証」と書く | 契約の中身が請負と混ざり、揉める原因になる |
| 他社の悪口で自社を良く見せる | 決裁者は比べる材料より、課題の理解を見ている |
体制図の名前は、確保できていない段階では「メンバー(Java経験5年以上)」のように条件で書くと安全です。
体制の人集めをチョータツとxhoursで速くする
提案書づくりで一番時間がかかるのは、体制に入れるメンバーを集めることです。自分でやるなら、パートナーに人材提案を頼むメールを送り、返信を一つずつ確かめます。
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスのことです。
| やること | 自分でやる場合 | チョータツ・xhoursを使う場合 |
|---|---|---|
| 足りない役割の候補を探す | BPに依頼メールを送り、返信を待つ | チョータツで連携した会社の営業中人材から探す |
| 自社の人材を整理する | 担当者ごとのExcelを見比べる | チョータツで1か所に管理・共有し、AIが入力を手伝う |
| 条件に合う人を直接探す | 知り合いに声をかける | xhoursで数千名のフリーランスのデータベースから直接スカウトする |
| パートナーに募集を知らせる | 1社ずつメールを送る | チョータツのメール配信機能でまとめて送る |
リーダー役だけでも自社で確保できれば、体制図の中心が固まります。フリーランスへの直接のスカウトはxhours(ITフリーランスへのダイレクトスカウト)で始められます。複数名の体制の組み方はSESのチーム提案のやり方|複数名の体制の組み方と単価の出し方も参考にしてください。
よくある質問
- Q. エンド直案件の提案書は何枚くらいが目安ですか?
- 9枚前後が目安です。表紙、課題、進め方、体制図、役割分担、スケジュール、見積、契約形態、会社紹介の順に並べます。
- Q. SESの提案書の構成は、要員提案書と同じでいいですか?
- 同じにはしません。要員提案書は候補者の経歴が中心ですが、エンド向けは課題の解き方と体制が中心です。
- Q. 準委任の提案書のサンプルでは、何を必ず書きますか?
- 期間、人数、月額、精算幅、支払条件の5つです。「完成」「保証」など請負と混ざる言葉は使いません。
- Q. 体制図にパートナー企業の社員を入れてもいいですか?
- 入れられますが、所属を正直に書きます。エンドとの契約で再委託が認められているかも先に確認します。
- Q. 提案書を出した後、何日で連絡すればいいですか?
- 3営業日以内が目安です。疑問点と決裁の予定を聞き、必要な追加資料を申し出ます。
まとめ
エンド直案件の提案書は「課題→体制→費用→契約形態」の順で、課題の解き方を見せる資料
作る前にヒアリングの8項目を埋め、課題は相手の言葉のまま書く
構成は表紙から会社紹介までの9枚が目安
体制図は、自社のリーダーからメンバーへ指示が出る形にする
見積は、準委任なら人月と精算幅、請負なら成果物と納期で書き分ける
提出後3営業日以内に連絡し、採用・不採用の理由を必ず聞く
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
e-Gov法令検索「民法」(第632条 請負、第648条 受任者の報酬、第656条 準委任)