SIerとは?読み方・意味とSESとの関係|SES企業から見た取引先としてのSIerを営業目線で解説
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
SIerとは?読み方と意味
SIerとは、顧客の目的に合わせてシステムを設計し、開発し、動く状態で納める会社のことです。 読み方は「エスアイヤー」です。現場では「SI屋(エスアイや)」と書く人もいます。
SIerの仕事は、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークを組み合わせて、1つのシステムにまとめることです。多くの場合、次の工程をまとめて引き受けます。
企画・提案(何を作るかを顧客と決める)
要件定義(必要な機能を文書にする)
設計・開発・テスト
導入(顧客の環境で動かす)
運用・保守(動き続けるように面倒を見る)
総務省の日本標準産業分類(令和5年7月改定)では、SIerの多くが「受託開発ソフトウェア業(3911)」に当たります。この分類の「事例」にも「システムインテグレーションサービス業」が入っています。
SIとは?SIerとの違い
SI(エスアイ)とは、システムを組み立てて納める仕事そのもののことです。 System Integration(システムインテグレーション)の略です。SIerは、SIを行う会社を指します。
| 言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| SI | エスアイ | システムを組み立てて納める「仕事」 |
| SIer | エスアイヤー | SIを行う「会社」 |
| SI企業・SI会社 | エスアイきぎょう | SIerとほぼ同じ意味 |
| SI屋 | エスアイや | SIerのくだけた言い方 |
「SIerは和製英語」と言われることがあります。英語では system integrator(システムインテグレーター)と呼ぶのが一般的です。日本語の会話や求人・案件票では、短い「SIer」がよく使われます。
SIの仕事の流れや、SI事業のもうけ方はSI事業とは?ビジネスモデルと工程、SES事業との違いを解説でくわしく解説しています。
SIerの種類:成り立ちで4つに分かれる
SIerは、どの会社から生まれたかで「メーカー系・ユーザー系・独立系・外資系」の4つに分けるのが一般的です。 種類によって、得意な業界や、下に流れてくる案件の傾向が変わります。
| 種類 | 成り立ち | SES営業から見た特徴 |
|---|---|---|
| メーカー系 | IT機器メーカーの子会社・部門 | 大規模案件が多く、商流が深くなりやすい |
| ユーザー系 | 銀行・商社などの情報システム部門が独立 | 親会社の業界(金融など)の案件が多い |
| 独立系 | 親会社を持たない | BP(パートナー企業)を多く使う会社がある |
| 外資系 | 海外IT企業の日本法人 | 自社製品の導入案件が多い |
各系統の代表的な会社はメーカー系SIer一覧|ユーザー系・独立系・外資系と4系統の違いでまとめています。
SES企業から見たSIerは「案件をくれる取引先」
SES企業にとってSIerは、ユーザー企業(エンド)と自社の間に立ち、開発の仕事を流してくれる取引先です。 SIerが受けた大きな開発の一部を、SES企業のエンジニアが手伝う形が多く見られます。
SES(システムエンジニアリングサービス)とは、エンジニアの技術作業を、主に準委任契約で提供するサービスのことです。準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決まった作業を行うことを約束する契約です。
SIerからSESへ案件が流れる仕組み
SIerからSES企業への案件は、次の順番で流れてきます。
エンド(ユーザー企業) ↓ 請負または準委任で発注 元請けSIer(プライム) ↓ 足りない人手を再委託(準委任が多い) 一次請け(中堅SIer・SES企業) ↓ 二次請け以降(SES企業) ↓ エンジニア
エンドがSIerに発注する:システムの開発を、元請けのSIerに頼みます。
SIerが体制を組む:自社の社員(プロパー)だけでは人数が足りない部分を洗い出します。
SIerが外に人を探す:取引のあるSES企業やSIerに「この技術の人を何名」と声をかけます。
SES企業が要員を提案する:自社やBPのエンジニアのスキルシートを出します。
面談・契約:条件が合えば、準委任契約を結んで参画が決まります。
公正取引委員会が2022年6月に公表した調査では、ソフトウェア業の回答企業(資本金3億円以下)を立場で分けています。元請が40.4%、中間下請が38.2%、最終下請が21.3%でした。仕事が何段階にも分かれて流れていることが、公的な調査でも示されています。
元請けの見分け方はSESの元請けとは|一次請けとの違いと元請け企業の見分け方で解説しています。
SIerとSESの関係を1つの表で整理
| 比べる点 | SIer | SES企業 |
|---|---|---|
| 商流での位置 | エンドに近い(元請け・上位) | SIerの下に入ることが多い |
| 主な契約 | 請負契約・準委任契約 | 準委任契約 |
| 売っているもの | 完成したシステム・プロジェクト全体 | エンジニアの技術作業 |
| 営業の相手 | ユーザー企業 | SIer・ほかのSES企業 |
請負契約とは、仕事を完成させることを約束し、完成した成果に報酬を払う契約です。SIerとSESの違いをもっと深く知りたい方はSIerとSESの違い|商流の位置と営業先の見分け方5つもあわせてどうぞ。
SES営業が最初に押さえるSIerまわりの呼び方・略語
SIerとの会話では、商流と人の立場を表す言葉がたくさん出ます。 意味を取り違えると、単価や契約の話がずれてしまいます。よく出る言葉を一覧にしました。
| 言葉 | 意味 | 使われ方の例 |
|---|---|---|
| 元請け・プライム | エンドから直接仕事を受けた会社 | 「今回はNさんがプライムです」 |
| 上位 | 自社より商流で1つ上の会社 | 「上位に確認します」 |
| エンド | システムを発注したユーザー企業 | 「エンドは金融系です」 |
| プロパー | その会社の正社員 | 「プロパー3名+BP5名の体制」 |
| BP | ビジネスパートナー(取引先の会社・人) | 「BPさんの提案も可」 |
| ベンダー | 開発を受けた売る側の会社 | 「ベンダー常駐です」 |
| SE | システムエンジニア(職種) | 「SE経験5年以上」 |
SE(システムエンジニア)とは職種の名前で、SIerは会社の名前です。SEはSIerにもSES企業にもいます。3つの違いはSE・SIer・SESの違い|職種・会社・契約を一覧と例文で整理で表にしています。「元請け・プライム」の詳しい意味はプライムベンダーとは?元請け・一次請けとの違いと商流での役割で解説しています。
SES営業の現場での「SIer」の使い方:場面・例文・注意点
SES営業が「SIer」という言葉を使う場面は、主に3つです。 案件票を読むとき、商流を確認するとき、社内で取引先を報告するときです。場面ごとの例文と、言い間違えやすい点をまとめます。
使う場面と例文
| 場面 | 例文 | 何を確認・伝えているか |
|---|---|---|
| 案件票を読む | 「元請けは大手SIer、弊社は2次です」 | 商流の位置(何社目か) |
| 上位に商流を聞く | 「この案件は、SIerさんから直接いただいた案件ですか?」 | 相手がSIer直の一次請けかどうか |
| 新規の取引先に挨拶する | 「御社はメーカー系SIerさんの一次パートナーと伺いました」 | 相手の種類と立ち位置 |
| 要員を提案する | 「金融系SIerの常駐経験が3年あるエンジニアです」 | 経験した現場の種類 |
| 社内で報告する | 「今月、独立系SIer2社と新しく口座を開きました」 | 取引先の数と種類 |
言い間違えやすい注意点
SIerとSESを同じ意味で使わない:SIerはシステム全体を請け負う会社、SESはエンジニアの作業を提供するサービスです。自社を「SIerです」と紹介すると、請負で開発を受けられる会社だと誤解されます。
「SIer=元請け」と決めつけない:SIerが別のSIerの下に入る案件もあります。「SIer案件」と聞いたら、「エンド様から見て何社目ですか?」と商流の位置を必ず聞き直します。
相手の会社は「SIerさん」「上位さん」と丁寧に呼ぶ:取引先の前で「SI屋」と呼ぶと、くだけすぎて失礼に聞こえることがあります。「SI屋」は社内の会話だけにとどめます。
案件票の「SIer経験」は職歴の条件:「SIer経験者歓迎」は、SIerの社員やSIer常駐の経験がある人を指すことが多い表現です。提案する前に、上位へ意味を確認します。
SIerと取引を始める・広げるときの手順
SIerとの取引は、相手の種類と商流の位置を確かめてから、得意分野の合う人材で提案すると決まりやすくなります。 自分でできる手順は次のとおりです。
相手のSIerの種類を調べる:公式サイトの会社概要で、親会社の有無と主な取引先を確認します。
商流の位置を聞く:「エンド様から見て、御社は何社目ですか?」と確認します。
得意な業界と技術を聞く:金融・製造・公共など、案件が多い分野を聞きます。
合う人材から提案する:その分野の経験がある人のスキルシートを優先して送ります。
やりとりを記録する:案件の内容・単価・契約形態・担当者を、SIerごとに残します。
多くのSIerは、取引の前に協力会社(パートナー)としての登録を求めます。登録の条件と審査で見られる点はSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目で解説しています。
SIerへの初回挨拶メールの例文
件名:協力会社登録のご相談(株式会社△△/SES・Java開発)
株式会社〇〇 パートナー推進ご担当者様
突然のご連絡失礼いたします。株式会社△△の□□です。
弊社はJava・AWSのエンジニアを中心に、準委任契約での開発支援を行っております。
貴社の金融系プロジェクトで協力会社を募集されていると伺い、ご連絡しました。・自社エンジニア:15名(Java 10名、インフラ5名)
・現在の主な取引:独立系SIer2社の一次請け
・労働者派遣事業の許可:なし(準委任のみ)協力会社登録の手続きについて、ご案内いただけますと幸いです。
会社の実在は、国税庁の法人番号公表サイトで無料で確認できます。上場しているSIerなら、金融庁のEDINETで有価証券報告書を読めます。
取引前に確認しておきたい5項目
商流の位置(元請け・一次請け・二次請け)
契約形態(準委任か請負か)
再委託してよいか(BPのエンジニアを出せるか)
支払い条件(締め日と支払日)
精算幅(月の稼働時間の上限・下限)
契約形態と再委託の条件は、偽装請負のリスクにも関わります。
チョータツでSIerごとの案件をまとめて管理する
付き合うSIerが増えてくると、「どこから、どんな案件が来たか」をExcelで追うのが大変になります。 その段階では、SES営業向けの管理ツール「チョータツ」を使うと楽になります。チョータツは株式会社DrivenXが提供しています。
チョータツでできることは次のとおりです。
案件・人材の情報を管理し、社内で共有できる
パートナー企業へのメール配信機能がある
他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる
AIが入力を手伝う
チョータツは3,000社以上が利用しており、無料で始められます。まずはExcelで記録を始め、件数が増えたら移す順番がおすすめです。
新しいSIerとのつながりを増やしたいときは、チョータツブーストが使えます。チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能です。
よくある質問
- Q. SIerの読み方は?
- 「エスアイヤー」と読みます。SI(システムインテグレーション)に、「〜する人」を表す er を付けた言葉です。
- Q. SIerとはわかりやすく言うと何ですか?
- お客さんの代わりに、システムの企画から完成、運用までをまとめて引き受ける会社です。家づくりで言えば、工事全体をまとめる元請けの工務店に近い立場です。
- Q. SIとSIerの違いは何ですか?
- SIは「システムを組み立てて納める仕事」、SIerは「その仕事をする会社」です。SI企業・SI会社は、SIerとほぼ同じ意味で使われます。
- Q. SES企業はSIerではないのですか?
- 主な事業が違います。SIerはシステム全体の完成を請け負い、SES企業はエンジニアの作業を準委任で提供します。ただし両方の事業を行う会社もあります。
- Q. SIerの案件にSES企業が入れるのはなぜですか?
- SIerが受けた開発を、自社の社員だけでは進めきれないことが多いからです。足りない人手を、取引のあるSES企業から集めます。
- Q. 大手のSIerにはどんな会社がありますか?
- 売上規模の大きい上場企業が代表的です。売上ランキングは大手SIer一覧と売上ランキング|上場企業20社を比較【2026年】をご覧ください。
まとめ
SIer(エスアイヤー)とは、システムの企画から開発・運用までをまとめて請け負う会社のこと
SIは「仕事」、SIerは「会社」。SI企業・SI屋もほぼ同じ意味
SIerはメーカー系・ユーザー系・独立系・外資系の4種類に分けられる
SES企業から見たSIerは、案件をくれる取引先。SIerの開発の一部が準委任でSESに流れる
元請け・上位・プロパー・BPなどの呼び方を押さえると、商流を正しく聞き取れる
「SIer案件」と聞いたら商流の位置を聞き直す。SESが中心の自社をSIerと紹介しない、取引先を「SI屋」と呼ばない
SIerごとの案件は記録して比べる。数が増えたらチョータツで管理・共有すると楽になる
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月29日確認)
総務省 政府統計の総合窓口(e-Stat)「3911 受託開発ソフトウェア業」(日本標準産業分類 令和5年7月改定。事例:システムインテグレーションサービス業)
公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書について」(2022年6月29日。元請40.4%、中間下請38.2%、最終下請21.3%)
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「情報システム・モデル取引・契約書(第二版)」
国税庁「法人番号公表サイト」
金融庁「EDINET」