プライムベンダーとは?元請け・一次請けとの違いと商流での役割|SES企業が入れる位置を商流図で解説
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
プライムベンダーとは?意味をひとことで
プライムベンダーとは、エンド企業と直接契約を結び、システム開発の全体をまとめる元請けのベンダーのことです。 「プライム(prime)」は英語で「最初の・主要な」、「ベンダー(vendor)」は「売る側の会社」という意味です。
エンド企業とは、システムを実際に使う会社のことです。銀行・メーカー・官公庁などがエンドになります。プライムベンダーは、そのエンドから最初に仕事を受ける会社です。
ベンダーという言葉の範囲は、ITベンダーとは?外部ベンダーの意味と選ばれる条件でくわしく解説しています。
プライムベンダーが受ける仕事を「プライム案件」と呼ぶ
プライム案件とは、エンド企業と直接契約して受ける案件のことです。 「エンド直案件」「直請け案件」と呼ぶ会社もあります。
SES営業の案件メールでは、次のような書き方で出てきます。
| 案件メールの表記 | 意味 |
|---|---|
| 「弊社プライム」 | 送り主がエンドと直接契約している |
| 「プライム直」「元請け直」 | プライムのすぐ下に入る案件 |
| 「商流:エンド→プライム→弊社」 | 送り主はプライムの1つ下(一次請け) |
| 「商流制限:プライム直下まで」 | プライムと直接契約する会社までしか入れない |
プライムベンダーと元請け・一次請け・SIerの違い
プライムベンダーと元請けは、ほぼ同じ位置を指す言葉です。 違いが出やすいのは「一次請け」で、会社によって数え方が変わります。
| 言葉 | 指す位置 | 使われ方のくせ |
|---|---|---|
| プライムベンダー | エンドと直接契約する会社 | 提案・全体管理まで担う立場を強調する |
| 元請け | エンドと直接契約する会社 | 建設業などでも使う一般的な言葉 |
| 一次請け | プライムと同じ、またはその1つ下 | 会社によって数え方が違う |
| SIer | システム開発を請け負う会社の総称 | 位置ではなく業態を表す |
SIerとは、システムの企画・開発・運用をまとめて請け負う会社のことです。 SIerは会社の種類を表す言葉で、プライムベンダーは商流の位置を表す言葉です。
同じSIerでも、ある案件ではプライム、別の案件では二次請けということがあります。「大手SIerだからプライム」と決めつけないことが大切です。SIerの基本はSIerとは?読み方・意味とSESとの関係を営業目線で解説で整理しています。
「一次請け」の数え方は2通りある
一次請けの数え方は、エンドの次を一次とする数え方と、プライムの次を一次とする数え方の2通りです。同じ「二次請け」でも、エンドから見た位置が1つずれます。
【数え方A】エンド → プライム(=一次請け) → 二次請け → 三次請け 【数え方B】エンド → プライム(元請け) → 一次請け → 二次請け
言葉だけで判断すると、提案してから「商流制限に引っかかる」ことがあります。「エンドから数えて何社目ですか」と数字で聞くのが確実です。元請けとの違いはSESの元請けとは|一次請けとの違いと元請け企業の見分け方でもくわしく解説しています。
プライムベンダーの役割と仕事内容
プライムベンダーの役割は、エンドに対してシステム全体の完成に責任を持つことです。 自社だけで人が足りない部分は、協力会社に任せながら全体をまとめます。
主な仕事は、次の4つです。
| 仕事 | 内容 |
|---|---|
| 提案・受注 | エンドの課題を聞き、提案書と見積を出して受注する |
| 要件定義・設計 | 何を作るかを決め、全体の設計をする |
| 全体管理 | スケジュール・品質・予算・協力会社を管理する |
| 協力会社の手配 | 足りない人数やスキルを、下の会社に依頼する |
プライムベンダーの社員は、管理や上流工程(最初の計画や設計)が中心になりやすいです。実際に手を動かす開発やテストは、協力会社のエンジニアが担う割合が大きくなります。
SES営業から見ると、プライムは「案件の出どころ」です。プライムが協力会社に人を求めるたびに、その下の会社へ案件メールが流れていきます。
プライムに近づく第一歩は、プライムの協力会社(取引先)として登録してもらうことです。登録の条件と流れはSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目で解説しています。
公共・大型案件でのプライムベンダーの役割
公共・大型案件では、プライムベンダーが入札や提案で選ばれ、その下に多くの協力会社が入る形が一般的です。 人数が数十人〜数百人規模になるため、1社では人がまかなえないからです。
再委託とは、受けた仕事を別の会社に任せることです。官公庁の情報システムの調達では、再委託に発注者の承認や比率の制限がかかることがあります。
デジタル庁の調達改革検討会は、2023年3月10日に最終報告書をまとめました。その中で「再委託比率制限の撤廃や緩和」が施策に挙がっています。あわせて「中抜き」を防ぐガイドラインの整備も挙げられています。
大型案件でプライムが担うことと、SES営業が気をつけることを並べると、次のとおりです。
| 場面 | プライムが担うこと | SES営業が気をつけること |
|---|---|---|
| 受注 | 入札・提案でエンドから受注する | 受注前は案件が確定していない |
| 体制づくり | 協力会社をまとめて体制を組む | 参画には体制図への登録が必要なことがある |
| 再委託の管理 | 下に入る会社を発注者へ届け出る | 商流制限で入れない位置がある |
| 品質管理 | 全体の品質とセキュリティを守る | 資格・経歴・秘密保持の条件が厳しい |
多重下請けになりやすい理由
大型案件は、プライムの下で何層もの会社が関わる「多重下請け構造」になりやすいです。公正取引委員会は2022年6月29日に「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」を公表しました。その中で、ソフトウェア業は多重下請構造型のサプライチェーンであり、買いたたきなどの違反が懸念されると説明しています。
商流が深くなるほど、間に入る会社の取り分が差し引かれ、エンジニアの単価は下がります。下請けの取引ルールは、下請法を改正して2026年1月1日に施行された取適法で定められています。くわしくは下請法をわかりやすく|取適法への改正点とSES企業の義務4つで解説しています。
計算例(説明のための仮定の数字):エンドがプライムに月100万円を払う案件とします。間の会社が1社ごとに月8万円ずつ取る場合です。三次請けのSES企業に届くのは84万円、四次請けなら76万円です。1社浅くなるだけで、月8万円・年96万円の差になります。
プライムの下でSES企業は何次請けに入れるか【商流図】
SES企業が入るのは、多くの場合プライムの1つ下〜2つ下(二次請け〜三次請け)です。 ただし案件の「商流制限」によって、入れる位置の上限が決まります。
エンドから見た典型的な商流は、次のとおりです(エンドの次を一次とする数え方)。
エンド企業(銀行・官公庁・メーカーなど) └ プライムベンダー(一次請け/大手SIer・ITコンサルなど) └ 二次請け(中堅SIer・プライムの協力会社) └ 三次請け(SES企業) └ 四次請け(SES企業・個人事業主)
商流制限と入れる位置の早見表
商流制限とは、案件に入れる会社の深さに上限を決めるルールのことです。 案件メールに書かれた制限と、SES企業が入れる位置の関係は次のとおりです。
| 案件メールの商流制限 | 入れる位置 | 自社が入れる条件 |
|---|---|---|
| プライム直下まで | 二次請けまで | プライムと直接契約している |
| プライムから2社まで | 三次請けまで | 送り主がプライム直の会社である |
| 所属先まで(個人不可) | 制限なし・個人は不可 | 自社の正社員を出す |
| 制限なし | どこでも | 念のため送り主の位置を確認する |
案件メールの商流制限の読み方は、SESの商流制限の書き方|案件メールの表記例と意味・守らせ方でも表記例をまとめています。BPが制限を守らず無断で会社を増やしていたときの対応は、SESでBPが無断で商流を増やしていたら|発覚時の対応と再発防止で解説しています。
プライムに近い位置を取るメリット
プライムに近いほど、単価が上がり、情報が早く届きます。 間に入る会社が少ないので、取り分が引かれにくいからです。
もう1つの利点は、待ち時間が短いことです。面談日程や合否の連絡が、何社も経由せずに届きます。商流を上げるための営業先は、一次請け・二次請けSIer一覧|商流を上げる営業先の探し方で紹介しています。
SES営業の現場でプライムを確認する手順
提案前に、案件の送り主がプライムから何社目かを確認します。 確認を飛ばすと、面談が決まってから「商流制限で参画できない」とわかり、エンジニアにも迷惑がかかります。
確認の手順は次の5つです。
案件メールの「商流」「商流制限」の欄を読む
書いていなければ、送り主に「エンドから何社目ですか」と数字で聞く
送り主とプライムの関係(直接契約か、間に会社があるか)を聞く
自社を入れた位置が、商流制限の範囲に収まるかを数える
確認した商流を、案件情報に記録してから人材を探す
送り主へ確認するときの例文
件名:【確認】Java開発案件(公共系)の商流について
お世話になっております。〇〇株式会社の△△です。
2026年9月28日(月)にご共有いただいたJava開発案件について、2点確認させてください。・エンド様から数えて、貴社は何社目のお立場でしょうか
・貴社とプライムベンダー様は、直接のご契約でしょうか弊社を含めて商流制限に収まる場合は、10月5日(月)までに要員をご提案します。
よろしくお願いいたします。
聞き方の例文は、記事末の「次に読む・使う」にある商流の確認方法の記事にも多く載せています。
BPへ案件を流すときの書き方の例
自社がプライムから2社目で、制限が「プライムから2社まで」なら、BPの人材は入れません。BPに案件を流すときは、入れる条件を先に書くと無駄な提案が減ります。
【案件】公共系Java開発(2026年11月〜)
商流:エンド→プライム→弊社(貴社の要員は入れません)
制限:プライムから2社まで。弊社正社員または弊社と直接契約の個人事業主のみ
※本案件は情報共有のみです。条件に合う要員がいれば弊社社員での対応となります
プライム案件の情報をチョータツで整理する
確認した商流の情報は、案件ごとに1か所へ記録しておくと、提案ミスが減ります。 メールやExcelに散らばっていると、「この案件はプライム直下までだった」という条件を見落としやすいからです。
自分で管理するなら、Excelの案件表に「送り主の位置」「商流制限」「確認日」の3列を足すところから始めましょう。案件が増えて手作業で追いつかなくなったら、ツールを使うのが近道です。
チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。
案件・人材の管理・共有:案件ごとの条件を、社内でまとめて見られる
他社との連携:連携した会社の営業中案件・営業中人材を、データベースにできる
メール配信:自社の案件・人材を、パートナーへまとめて配信できる
AIが入力を手伝う:案件や人材の登録の手間を減らせる
プライムに近い会社と連携できれば、その会社の営業中案件をデータベースとして見られます。商流の浅い案件を探す場所としても使えます。
よくある質問
- Q. プライムベンダーとは、かんたんに言うと何ですか?
- エンド企業と直接契約して、システム開発全体をまとめる会社のことです。「元請け」とほぼ同じ意味で使われます。
- Q. プライムベンダーと元請けに違いはありますか?
- 指す位置はほぼ同じです。プライムベンダーは、提案から全体管理まで責任を持つ立場を強く表すときに使われます。
- Q. プライムベンダーと一次請けは同じですか?
- 会社によって違います。プライムを一次とする会社と、プライムの1つ下を一次とする会社があります。エンドから何社目かを数字で確認しましょう。
- Q. SES企業がプライムベンダーになることはありますか?
- あります。エンド企業と直接契約できれば、その案件ではプライムです。中小企業の社内システムなど、小さい案件から直接契約を目指すのが現実的です。
- Q. 「プライム直」の案件に、自社のBPの人材を出せますか?
- 商流制限によります。「プライム直下まで」なら、自社がプライム直でもBPの人材は入れません。自社の社員か、制限の範囲を送り主に確認しましょう。
- Q. プライムベンダーにはどんな会社が多いですか?
- 大手SIerやITコンサル会社が多いです。ただし中堅SIerでも、得意な業界ではプライムになることがあります。
- Q. SES企業がエンドと直接契約するとき、何を準備すればいいですか?
- 体制と役割がわかる提案書を用意します。プライムとして全体をまとめる責任があるため、責任者と連絡の流れを最初に示すと信頼されやすくなります。
まとめ
プライムベンダーとは、エンド企業と直接契約し、開発全体をまとめる元請けベンダーのこと
元請けとほぼ同じ意味。一次請けは数え方が2通りあるので、エンドから何社目かを数字で確認する
プライムの役割は、提案・要件定義・全体管理・協力会社の手配
公共・大型案件では、再委託に承認や制限がかかることがあり、多重下請けにもなりやすい
SES企業は二次請け〜三次請けに入ることが多い。商流制限で入れる位置が決まる
提案前に5つの手順で商流を確認し、案件情報に記録する
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月29日確認)
デジタル庁「デジタル庁情報システム調達改革検討会 最終報告書(PDF)」(令和5年3月10日。再委託比率制限の撤廃・緩和)
公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」
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