SESのマージン率の平均と相場|計算式・公開義務の有無と、聞かれたときの説明のしかた

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

SESのマージン率とは?

SESのマージン率とは、お客さんから受け取る単価のうち、エンジニアの給与以外に残る部分の割合のことです。「中抜き」と悪く言われることもありますが、実際には会社を回すための費用が多く含まれます。

似た言葉に「還元率」と「粗利率」があります。3つの違いは次のとおりです。

用語意味計算式
マージン率単価のうち、給与以外に残る割合(単価−給与)÷単価
還元率単価のうち、給与として払う割合給与÷単価
粗利率売上から原価を引いた利益の割合(売上−原価)÷売上

還元率とは、単価のうちエンジニアの給与として払う割合のことで、マージン率と足すと100%になります。粗利率とは、売上から原価(給与に会社負担の社会保険料などを足したもの)を引いた割合のことです。原価に含める範囲が広いぶん、粗利率はマージン率より低くなります。

マージン率の計算方法

マージン率は、単価から給与を引き、単価で割って計算します。月単価70万円、エンジニアの月の給与(額面)45万円の場合は次のとおりです。

  1. マージン額を出す:70万円−45万円=25万円

  2. 単価で割る:25万円÷70万円=約0.357

  3. 百分率にする:マージン率は約35.7%、還元率は約64.3%

BPの要員を提案するときは、「給与」の代わりに「BPへの支払い単価」を使います。お客さんから75万円、BPへの支払いが70万円なら、マージン額は5万円、マージン率は約6.7%です。

マージン率が変わると、同じ単価でもエンジニアの給与は大きく変わります。月単価70万円の場合で比べると、次のとおりです。

マージン率会社に残る額エンジニアの給与(額面)年収に直すと
25%17.5万円52.5万円630万円
35%24.5万円45.5万円546万円
40%28万円42万円504万円

マージン率が15ポイント違うと、年収で約126万円の差になります。エンジニアがマージン率を気にするのは、この差が大きいからです。

商流が深いと、間の会社がそれぞれマージンを取ります。商流とは、発注元(エンド)からエンジニアの所属会社まで、仕事が流れてくる経路のことです。エンドが80万円払っても、間に2社入って各社5万円取れば、所属会社が受け取るのは70万円です。

商流の違いはSESの一次請け・二次請けの違いでくわしく解説しています。

公的データで見るマージン率の平均

SESのマージン率の平均を示す国の統計はありません。近い数字として、厚生労働省が毎年まとめる派遣の料金と賃金のデータから計算できます。

使うのは、厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」です。2026年3月31日に公表されました。計算結果は次のとおりです。

区分派遣料金(1日8時間・税込)賃金(1日8時間)マージン率(税を除いて計算)
情報処理・通信技術者34,382円21,032円約32.7%
全業務の平均26,257円16,735円約29.9%
  • 派遣料金は消費税込みの額なので、税を除いてから計算しました。税込みのまま計算すると、情報処理・通信技術者は約38.8%です。

  • 数字は各事業所の平均を単純に平均したもので、会社ごとの差は大きいと考えられます。

SESは派遣と契約の形が違いますが、どちらも「会社が雇う技術者の働きに対して料金を受け取る」点は同じです。そのため、IT系で30%台前半という数字は、SESのマージン率を考える公的な目安として使えます。

マージンの中身(何に使われているか)

マージンの多くは、エンジニアを雇い続けるための費用です。すべてが会社の利益になるわけではありません。主な中身は次のとおりです。

  • 会社負担の社会保険料:厚生年金の保険料率は18.3%で、会社と本人が半分ずつ払います。会社はこれに加えて、健康保険・雇用保険・労災保険の保険料も負担します。

  • 有給休暇・待機中の給与:お客さんに請求できない期間も、会社は給与を払います。待機中の扱いはSESの待機期間の給与と対応で解説しています。

  • 営業・管理の費用:営業担当や事務の人件費、オフィス代、ツール代などです。

  • 採用・教育の費用:求人広告、研修、資格取得の支援などです。

  • 会社の利益:社会保険料・待機中の給与・営業や採用の費用を払ったあとに残る部分です。

たとえば月70万円の単価で給与45万円なら、マージンは25万円です。会社負担の社会保険料を仮に給与の15%とすると、約6.75万円がそれだけで消えます。残りから営業や管理の費用を払うので、利益は25万円よりかなり小さくなります。

利益の計算はSESの粗利率の平均と計算式を参考にしてください。

マージン率の公開義務はある?(法的な位置づけ)

準委任契約で行うSESには、マージン率を公開する法律上の義務はありません。公開の義務があるのは、労働者派遣事業を行う派遣会社です。

根拠は、労働者派遣法の第23条第5項と、同法施行規則の第18条の2です。労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」です。派遣会社は、事業所ごとに次の情報を提供するよう決められています。

  • 派遣労働者の数、派遣先の数

  • 派遣料金の平均額、派遣労働者の賃金の平均額

  • マージン率(「派遣料金の平均額−賃金の平均額」を「派遣料金の平均額」で割った割合)

  • 教育訓練やキャリアの相談、労使協定などに関すること

提供の方法は、インターネットの利用などの適切な方法で行うと決められています(施行規則第18条の2第1項)。厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に載せる方法もあります。

SESで気をつけたいのは、次の2点です。

  1. 派遣事業も行っている会社は、派遣事業の分は情報提供の義務があります。SES事業と混同しないよう、社内で区別しておきましょう。

  2. マージン率の上限を決めた法律はありません。派遣でもSESでも、「何%を超えたら違法」という決まりはありません。

SESと派遣の違いはSES事業と派遣事業の違いで比較しています。契約の形を取り違えると、偽装請負などの別の問題につながるので注意してください。

マージン率の適正ラインの考え方

マージン率に「これが正解」という数字はありません。編集部では、公的データの30%前後を基準に、自社の費用と説明できるかどうかで判断することをおすすめします。

マージン率考えられる状態営業が確かめること
20%未満還元が厚い。会社の費用がまかなえているか注意待機や有給が出ても赤字にならないか
20〜35%前後公的データに近い水準内訳を説明できるか
35%を大きく超える還元が薄い。エンジニアの不満が出やすい研修・待機保証など、上乗せの理由があるか

BPの要員を右から左へ流すだけの取引は、自社の費用が少ないぶん、マージン率も低くなるのが普通です。逆に、自社社員で待機の保証や教育の費用がかかるなら、マージン率が高めでも説明はつきます。大切なのは、数字の理由を自分の言葉で話せることです。

エンジニアやBPにマージンを聞かれたときの説明のしかた

マージンを聞かれたら、ごまかさずに「数字・内訳・自社の方針」の3点で答えます。はぐらかすと、「隠している」と受け取られ、信頼を失います。

先に「単価をどこまで伝えるか」を社内で決めておく

聞かれてから考えると、担当者ごとに答えがばらばらになります。SES企業が単価を伝えないことが多いのは、お客さんとの秘密保持の約束や、担当者ごとの説明のずれを避けたいからです。編集部では、次の3つを社内ルールにしておくことをおすすめします。

  1. 自社社員に、自分の単価を伝えるかどうか(伝える場合は、いつ・誰が伝えるか)

  2. 伝えない場合でも、還元率の考え方と内訳は説明すること

  3. BPに伝えるのは、自社の取り分と商流の位置までにすること

エンジニア(自社社員)に聞かれたとき

自社社員には、単価の公開ルールを会社で決めたうえで、内訳の考え方を説明します。例文は次のとおりです。

〇〇さんの今の単価のうち、給与として払っているのは約65%です。残りの約35%には、会社が払う社会保険料や、有給・待機中の給与、営業や管理の費用が含まれています。次の契約更新では、今回増えた担当範囲をもとに単価アップをお客さんに相談する予定です。

最後に単価を上げるための次の行動を伝えると、「取られている」ではなく「一緒に上げる」話に変わります。単価アップの進め方はSESの単価交渉のタイミングで解説しています。

BPの担当者に聞かれたとき

BPから「上でいくら抜いていますか」と聞かれることもあります。取引先の単価をどこまで伝えるかは、お客さんとの契約や秘密保持の約束に反しない範囲で決めます。

弊社の取り分は、月5万円でいただいています。エンドまでの商流は、エンド→元請け→弊社→御社の順です。お客さんとの約束で上位の単価はお伝えできませんが、弊社の取り分は今後も同じ条件でお約束します。

BPとは、ビジネスパートナーの略で、案件や人材を紹介しあう取引先の会社のことです。BPには、自社の取り分と商流の位置をはっきり伝えると、次の案件も任されやすくなります。

チョータツで相場を見ながら説明する

マージンを説明するとき、一番の味方は「今の相場」です。「同じ経験の人の単価は、今この範囲です」と示せれば、自社の単価と取り分が妥当かどうかを、根拠を持って話せます。

自分で相場を集める場合、パートナーから届く案件メールや人材メールを読み、単価を書き写す作業になります。チョータツを使うと、この集める手間を減らせます。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。

やること自分でやる場合チョータツを使う場合
他社の案件・人材の相場を知る届いたメールを読んで表に書き写す連携した会社の営業中案件・営業中人材がデータベースになる
自社の案件・人材を整理するExcelで担当者ごとにばらばら案件・人材の情報を1か所で管理・共有できる
上位の商流の案件を探すBPへの問い合わせを重ねる連携先の営業中案件を見て、条件の良い案件を探せる

商流の浅い案件が見つかれば、間の会社のマージンが減り、エンジニアへの還元を増やす余地も生まれます。

よくある質問

Q. SESのマージン率の平均はどのくらいですか?
SESだけの公的な統計はありません。厚生労働省の派遣のデータから計算すると、IT系で約33%(税を除いて計算)です。
Q. SESのマージン率は公開しなければいけませんか?
準委任契約のSESには、法律上の公開義務はありません。公開の義務があるのは派遣事業で、労働者派遣法第23条第5項に定めがあります。
Q. SESのマージン率はどう計算しますか?
(単価−エンジニアの給与)÷単価で計算します。単価70万円、給与45万円なら約35.7%です。
Q. SESの粗利率の目安はどのくらいですか?
粗利率は、給与に会社負担の社会保険料などを足した原価で計算するため、マージン率より低くなります。自社の費用をまかなえるかを基準に決めましょう。
Q. マージン率に法律の上限はありますか?
ありません。派遣でもSESでも、マージン率の上限を決めた法律はありません。
Q. SESの還元率の相場はどのくらいですか?
還元率は100%からマージン率を引いた割合です。厚生労働省の派遣データから計算すると、IT系で約67%(税を除いて計算)です。
Q. マージン率が高い会社は悪い会社ですか?
一概には言えません。待機中の給与の保証や研修など、エンジニアに返っている費用が含まれることもあります。内訳を説明できるかが大切です。

まとめ

  • マージン率は(単価−給与)÷単価。還元率と足すと100%になる

  • 厚生労働省の派遣データから計算すると、IT系のマージン率は約33%(税を除いて計算)

  • マージンには、会社負担の社会保険料・有給や待機中の給与・営業や管理の費用が含まれる

  • 準委任契約のSESにはマージン率の公開義務がない。派遣事業には情報提供の義務がある

  • マージン率の上限を決めた法律はない。適正かどうかは、内訳を説明できるかで判断する

  • 聞かれたら、数字・内訳・自社の方針の3点で答える

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料

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