SESの単価相場を職種・スキル別に解説|公的データで見る月額の目安と、営業が相場を調べる3つの方法
公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日
SESの単価とは?
SESの単価とは、エンジニア1人が1か月働いたときに、お客さんから受け取る料金のことです。「人月単価(にんげつたんか)」とも呼びます。人月とは、1人が1か月働く仕事の量を表す単位です。
SESの多くは準委任契約で結びます。準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決められた作業を行うことを約束する契約のことです。そのため単価は「月いくら」で決め、稼働時間の幅(精算幅)を付けるのが一般的です。
精算幅とは、たとえば「月140〜180時間」のように、単価どおりに払う稼働時間の範囲のことです。
単価と、エンジニア本人の給与は同じではありません。単価から給与・社会保険料・営業の経費などを引いた残りが、SES企業の取り分(マージン)になります。マージンの考え方はSESのマージン率の平均と相場でくわしく解説しています。
公的データで見るSES単価の目安
SES単価そのものを集めた国の統計はありませんが、近い数字として厚生労働省の派遣料金のデータが使えます。派遣は契約の形がSESと違いますが、「IT技術者1人にお客さんがいくら払っているか」を示す、数少ない公的な数字です。
厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表)の数字は次のとおりです。
| 区分 | 派遣料金(1日8時間) | 20日で換算 | 派遣労働者の賃金(1日8時間) |
|---|---|---|---|
| 情報処理・通信技術者 | 34,382円 | 約68.8万円 | 21,032円 |
| 全業務の平均 | 26,257円 | 約52.5万円 | 16,735円 |
派遣料金は消費税込みの額です。税を除くと、情報処理・通信技術者は1日約31,256円、20日で約62.5万円です。
数字は各事業所の平均を単純に平均したもので、経験の浅い人から上級者まで混ざっています。全業務の平均は、各業務の数字を単純に平均した値です。
情報処理・通信技術者の派遣料金は、前年度の33,387円から約3%上がりました。
営業の目線でいえば、IT技術者の平均的な料金は月60万円台というのが、公的データから言える目安です。これより大きく高い、または低い提案をするなら、理由を説明できるようにしておきます。
職種別の月額単価の目安(インフラ・ネットワーク・開発・AI)
職種ごとの目安は、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」の年収データから試算できます。job tagとは、厚生労働省が運営する、職業ごとの仕事内容や賃金をまとめたサイトのことです。年収は「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにしています。
下の表の「試算した単価の目安」は、次の考え方で出した参考値です。実際の取引の単価を集計した数字ではありません。
年収を12で割り、月の給与に直す
派遣データで、税抜の料金は賃金の約1.49倍(31,256円÷21,032円)
月の給与に1.49をかけて、単価の目安にする
| 職種(job tagの職業名) | 年収 | 月の給与に換算 | 試算した単価の目安 |
|---|---|---|---|
| インフラ・ネットワーク(システムエンジニア(基盤システム)) | 889万円 | 約74万円 | 約110万円 |
| 開発(プログラマー、システムエンジニア(受託開発)) | 578.5万円 | 約48万円 | 約72万円 |
| 運用・保守(運用・管理(IT)) | 609.8万円 | 約51万円 | 約76万円 |
| AI(AIエンジニア) | 609.8万円 | 約51万円 | 約76万円 |
表を読むときは、次の3点に気をつけてください。
同じ統計の区分に入る職業は、同じ年収になります。たとえばプログラマーとWeb系のSEは同じ578.5万円です。
インフラの889万円は、設計を担う上級者を多く含む区分です。ITコンサルタントやプロジェクトマネージャ(IT)も同じ889万円です。構築・運用が中心の要員には、そのまま当てはめられません。
ネットワークエンジニアは、基盤システムのSEに含まれます。job tagの基盤システムSEの説明に、ネットワークの設定や監視が書かれています。
つまり、公的データだけでは「インフラは高く、開発は中くらい」という大まかな傾向までしかわかりません。自社の提案単価を決めるには、次に説明する「今動いている案件」の数字で補います。
SESの単価が上下する6つの要因
SESの単価は、職種だけでは決まりません。同じ職種でも、次の6つで月10万円以上の差がつくことがよくあります。
| 要因 | 単価が上がる方向 | 単価が下がる方向 |
|---|---|---|
| 担当する工程 | 要件定義・設計などの上流 | テスト・監視などの下流 |
| 経験年数と役割 | リーダー経験、一人で任せられる | 経験が浅く、指導が必要 |
| スキルの需要 | クラウド・AI・セキュリティなど人が足りない分野 | 対応できる人が多い分野 |
| 商流 | エンドや元請けに近い | 間に入る会社が多い |
| 勤務地 | 東京など案件が多い都市部 | 案件が少ない地域 |
| 条件 | 精算幅が広い、急ぎの募集 | リモート希望、稼働の制限 |
特に大きいのは商流です。商流とは、発注元(エンド)からエンジニアの所属会社まで、仕事が流れてくる経路のことです。間の会社が1社増えるごとに、その会社の取り分が引かれ、受け取る単価は下がります。
商流による差はSESの一次請け・二次請けの違いで説明しています。
経験年数別の単価を示す公的な統計はありません。経験年数ごとの相場は、次に説明する「今動いている案件・人材」の数字を、経験年数で分けて確かめます。
リーダーやPMOなど管理系の役割は、同じ経験年数でも単価が上がりやすい職種です。PMOの単価の決め方はSESのPMO単価相場にまとめています。
営業が相場を調べる3つの方法
SES営業が相場を調べる方法は、公的データ・今動いている案件と人材の単価・取引先へのヒアリングの3つです。それぞれ得意なことが違うので、組み合わせて使います。
| 方法 | わかること | 弱いところ |
|---|---|---|
| 1. 公的データ | IT技術者全体の平均的な水準 | 職種・スキル別の細かい差 |
| 2. 今動いている案件・人材の単価 | 職種・スキル・商流ごとの今の相場 | 集めて整理する手間 |
| 3. 取引先へのヒアリング | 特定のお客さんの予算感 | 相手によって答えに偏りがある |
1. 公的データで大枠をつかむ
公的データは、単価が高すぎないか、低すぎないかを確かめる物差しに使います。厚生労働省の派遣料金は毎年度公表され、前年からの上がり幅もわかります。単価交渉で「世の中の料金が上がっている」と説明するときの根拠にもなります。
2. 今動いている案件・人材から相場を読む
いちばん実際に近い相場は、パートナーから毎日届く案件・人材の情報の中にあります。案件情報には単価や予算が、人材情報には希望単価が書かれていることが多いからです。次の手順で数字にします。
直近1〜3か月に届いた案件情報と人材情報を集める
職種(インフラ・開発・PMOなど)と経験年数で分ける
案件の単価と、人材の希望単価をそれぞれ表に書き出す
商流(エンド直・元請け・二次請け以降)ごとに分けて見る
同じ条件の真ん中あたりの金額を、自社の提案単価の基準にする
ポイントは、案件側と人材側の両方を見ることです。案件の単価だけ見ると高めに、人材の希望単価だけ見ると条件次第でぶれて見えます。両方の差を見ると、どのくらいの単価なら決まりやすいかがわかります。
3. 取引先に予算感を聞く
提案前に、お客さんやBPの担当者に予算の幅を聞くのも有効です。BPとは、ビジネスパートナーの略で、案件や人材を紹介しあう取引先の会社のことです。「この案件のご予算の上限はいくらですか」と聞き、ほかの方法で調べた相場と比べて、ずれていないかを確かめます。
相場から提案単価を決める手順
提案単価は、「相場」と「自社が必要な取り分」の両方から決めます。相場だけで決めると赤字になり、取り分だけで決めると高すぎて通りません。
今動いている案件から、同じ職種・経験の相場の幅をつかむ
エンジニアの給与と会社負担の社会保険料などから、原価を出す
原価に自社が必要な粗利を乗せ、最低ラインの単価を決める
相場の幅の中に、最低ラインの単価が入っているかを確かめる
入っていれば、相場の真ん中〜上の方で提案単価を決める
計算例として、月の原価が45万円のエンジニアで、粗利率20%を確保したい場合を考えます。最低ラインの単価は45万円÷(1−0.2)で約56万円です。相場の幅が55万〜65万円なら、60万円前後で提案する、という決め方になります。
粗利率の考え方はSESの粗利率の平均と計算式で解説しています。提案単価をメールで伝えるときは、要員提案メールの例文とテンプレも使えます。人月の計算に慣れていない場合は、工数の人日・人月の計算方法も参考にしてください。
提案単価でやってはいけないこと
提案単価でやってはいけないのは、根拠なく安くして案件を取りにいくことです。一度安い単価で入ると、あとから上げるのは難しくなります。次の3つは避けましょう。
相場を調べずに、前回の案件と同じ単価で出す
通したい一心で、エンジニアの給与がまかなえない単価を出す
スキルシートの内容と釣り合わない、高すぎる単価を出す
単価に見合うスキルを伝えるには、スキルシートの書き方も大切です。SESスキルシートのフォーマットと書き方を見直すと、同じ要員でも単価の説明がしやすくなります。
チョータツで「今の相場」を集めて見る
自分で相場を調べると、メールで届く案件・人材の情報を読み、表に書き写す作業が毎回かかります。チョータツを使うと、この集める手間を減らせます。
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。
| 相場の調べ方 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 他社の案件・人材を集める | 届いたメールを読んで表に書き写す | 連携した会社の営業中案件・営業中人材がデータベースになる |
| 自社の案件・人材を整理する | Excelで管理し、担当者ごとにばらばら | 案件・人材の情報を1か所で管理・共有できる |
| 情報を入力する | 1件ずつ手で入力する | AIが入力を手伝う |
連携先の営業中案件・人材が1か所に集まると、相場をデータで話せるようになります。「インフラの経験5年ならこのくらい」を、担当者の勘に頼らずに示せます。
使い始める流れは次のとおりです。
チョータツに無料で登録する
自社の案件・人材の情報を登録する(AIが入力を手伝う)
取引のあるパートナーと連携する
連携先の営業中案件・人材を、職種ごとに見比べる
よくある質問
- Q. SESエンジニアの単価相場はいくらですか?
- 厚生労働省のデータでは、IT系の派遣料金が1日34,382円(税込)で、20日で約69万円です。SES単価を考える公的な目安になります。職種・工程・商流によって、ここから大きく上下します。
- Q. インフラエンジニアの単価相場はいくらですか?
- job tagの年収889万円から試算すると、設計を担う上級者で月110万円前後が目安です。構築・運用が中心なら、開発系と同じ70万円台から考えるのが現実的です。
- Q. ネットワークエンジニアの単価相場は、インフラエンジニアと違いますか?
- 公的な統計では、ネットワークエンジニアはインフラ(基盤システム)のSEと同じ区分です。統計上の違いはありません。実際の差は、今動いている案件の単価で確かめましょう。
- Q. AIエンジニアの単価相場は高いのですか?
- job tagの年収は609.8万円で、運用系と同じ統計の区分です。公的データだけでは「特に高い」とは言えません。需要の強い分野なので、案件の単価で実際の水準を確かめるのがおすすめです。
- Q. フリーランスの単価とSESの単価は同じように考えてよいですか?
- 同じではありません。SESの単価には所属会社の社会保険料や待機中の給与の分が含まれます。フリーランスの単価は本人の受取額に近いので、同じ金額でも中身が違います。
- Q. システムエンジニアの人月単価はどう計算しますか?
- 1人が1か月働いた料金が人月単価です。日額に稼働日数をかけるか、月額で決めて精算幅を付けます。
- Q. SESの単価相場は毎年上がっていますか?
- 厚生労働省の派遣料金では、上がっています。情報処理・通信技術者は、2023年度の33,387円から2024年度は34,382円になりました。約3%の上昇です。
まとめ
SES単価とは、エンジニア1人が1か月働いたときにお客さんから受け取る料金
公的な目安は、厚生労働省のIT系派遣料金で1日34,382円(税込)、20日で約69万円
公的な年収からの試算では、開発・運用・AI系で約70万〜80万円、インフラ設計・PM系で約110万円
単価を大きく動かすのは、工程・経験年数・商流の3つ。勤務地やスキルの需要でも変わる
相場は、公的データ・今動いている案件と人材・取引先へのヒアリングの3つで調べる
提案単価は、相場の幅と自社の最低ライン(原価÷(1−粗利率))の両方から決める
運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日
参考資料
厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果について」
厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表、表6・表7)
厚生労働省 job tag「システムエンジニア(基盤システム)」(2026年9月確認)
厚生労働省 job tag「プログラマー」「システムエンジニア(受託開発)」(2026年9月確認)