SESのPMO単価相場を経験別に解説|コンサル系・SES系・フリーランスの違いと、事務局型か推進型かで決める提案単価

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

PMOとは?SESで扱うPMOの仕事

PMOとは、プロジェクトの管理を支える役割や組織のことです。Project Management Office(プロジェクトマネジメントオフィス)の略です。プロジェクトを率いるPM(プロジェクトマネージャ)を助け、進み具合・課題・お金の管理などを受け持ちます。

SESの案件票では、同じ「PMO」という言葉で、次のようにかなり違う仕事が募集されます。

  • 会議の準備、議事録、課題の一覧表の更新などの事務局の仕事

  • 進み具合やリスクを見て、関係者を動かし、計画を立て直す推進の仕事

  • 複数のプロジェクトのルールや進め方をそろえる、全体管理の仕事

この違いが、単価の違いにそのままつながります。営業は、案件票の「PMO」という文字だけで判断せず、どの仕事を求めているかを最初に確かめます。

公的データで見るPMO単価の目安

PMOの単価だけを集めた国の統計はありません。そこで、厚生労働省の2つのデータを物差しにします(2026年9月時点で確認)。

1つめは、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」です。job tagとは、厚生労働省が運営する、職業ごとの仕事内容や賃金をまとめたサイトのことです。

job tagでは、「プロジェクトマネージャ(IT)」の年収は889万円、一般労働者の時給は4,026円です。どちらも令和7年賃金構造基本統計調査によります。

2つめは、厚生労働省の「労働者派遣事業報告書」の派遣料金です。令和6年度の「情報処理・通信技術者」の派遣料金は、1日8時間換算で34,382円(税込)でした。税を除くと約31,256円で、賃金21,032円の約1.49倍です。

この2つから、PMOの型ごとの目安を試算すると次のとおりです。実際の取引の単価を集計した数字ではなく、参考値です。

PMOの型近い公的データ試算の考え方月額単価の目安
事務局型情報処理・通信技術者の派遣料金1日31,256〜34,382円×20日約63万〜69万円
事務局型(開発経験あり)job tagの開発系SEの年収578.5万円月の給与約48万円×1.49約72万円
推進型job tagのプロジェクトマネージャ(IT)の年収889万円月の給与約74万円×1.49約110万円

事務局型は、IT技術者全体の平均に近い水準から考えます。推進型は、PMの年収の水準から考えます。同じPMOでも、型が違えば目安は約40万円離れます。

コンサル系・SES系・フリーランスで単価が違う理由

PMOの単価は、同じ型でも「どこから出る要員か」で違います。違いを生むのは、上に乗る会社の取り分と、求められる役割の2つです。

出どころ単価の傾向違いが出る理由
コンサル系高い会社の手法や品質管理も含めて売る。推進型や全体管理の役割が多い
SES系中くらい要員1人の作業として売る。事務局型の募集が多い
フリーランス幅が広い間に入る会社が少ないほど単価は本人に近づく。経験で差が大きい

コンサル系のPMOは、会社として成果に責任を持つ形で入ることが多く、その分が単価に乗ります。

SES系でも、商流の深さで単価は変わります。商流ごとの単価差はSESの一次請け・二次請けの違いで解説しています。SES系のPMOは、準委任契約で要員の作業を提供する形が中心です。

準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決められた作業を行うことを約束する契約のことです。

フリーランスのPMOは、本人と直接結ぶか、仲介の会社を通すかで単価が変わります。フリーランスと取引するときは、フリーランス法に沿って取引条件をはっきり示す必要があります。フリーランス法とは、2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」のことです。

民間の求人・案件サイトもPMOの単価を公表しています。ただし、集め方や対象がサイトごとに違うため、数字をそのまま比べるのはおすすめしません。自社で扱う案件の単価と照らして使いましょう。

事務局型と推進型の見分け方

PMOの型は、要員が「決める・動かす」仕事をしてきたかで見分けます。事務局型は、決まったことを記録し、管理表を更新する仕事が中心です。推進型は、遅れやリスクを見つけ、関係者と話して打ち手を決める仕事が中心です。

見るところ事務局型推進型
主な作業議事録、課題の一覧表、報告資料の作成計画の見直し、リスク対応、関係者の調整
会議での役割記録と準備進行と判断の提案
相手PM・チームの中が中心お客さんの部長クラス、複数の会社
求められる経験開発やITの基礎知識、資料作成PM・リーダーの経験、上流工程

スキルシートに「PMO経験3年」と書いてあっても、事務局型の3年と推進型の3年では値段が違います。スキルシートでは、年数より何を任されていたかを具体的に書いてもらいましょう。書き方はエンジニアのスキルシート書き方例が参考になります。

型以外で単価が動く3つの要因:資格・稼働率・精算幅

型が同じでも、資格・稼働率・精算幅の3つで提案単価は上下します。案件票でこの3つを先に確かめると、単価の話が早く進みます。

要因単価への効き方営業が確かめること
資格推進型の説得材料になるPMP、IPAのプロジェクトマネージャ試験などの有無
稼働率週3日なら月額は下がる週何日・何時間の稼働か、時間単価の換算
精算幅幅の外は精算で増減する140〜180時間などの幅と、超過・控除の単価

PMPとは、米国のPMI(プロジェクトマネジメント協会)が認定する、プロジェクトマネジメントの国際資格のことです。IPAのプロジェクトマネージャ試験は、国家試験である情報処理技術者試験の1区分です。資格だけで単価は決まりませんが、推進型として提案するときの根拠になります。

稼働率とは、1か月のうち要員がその案件に使う時間の割合のことです。PMOは週3日などの部分稼働の案件もあります。月額だけで比べず、1時間あたりの単価に直して比べましょう。

精算幅とは、月の稼働時間がこの範囲なら単価を変えない、と決めた時間の幅のことです。会議が多いPMOは、稼働時間が幅を超えやすい仕事です。幅を超えたときの精算の単価も、提案前に決めておきます。

要員の経験から提案単価を決める手順

提案単価は、「型を決める」→「相場に当てはめる」→「原価から最低ラインを確かめる」の順で決めます。手順は次の5つです。

  1. 案件票と面談で、お客さんが求めるPMOの型を確かめる

  2. 要員に5つの質問をして、要員の型を確かめる(次の見出しで紹介)

  3. 型が合う公的データの目安と、今動いているPMO案件の単価を見比べる

  4. 要員の給与・社会保険料などの原価に、自社の粗利を乗せて最低ラインを出す

  5. 最低ラインが相場の幅に入っていれば、経験に応じて幅の中で位置を決める

計算例を1つ示します。月の原価が55万円の要員で、粗利率20%を確保したい場合、最低ラインは55万円÷(1−0.2)で約69万円です。

お客さんが事務局型を求めているなら、約69万円は公的データの目安(約63万〜72万円)の上の方です。要員の強みを説明できるかが、通るかどうかの分かれ目になります。

お客さんの求める型と要員の型がずれているときは、単価を下げて通すより、合う案件を探し直すほうが長続きします。推進型の案件に事務局型の要員を安く入れると、早期の退場につながりやすいからです。退場になったときの動き方はSESの契約途中の退場|営業がやるべき対応5ステップにまとめています。

面談前に要員へ聞く5つの質問

要員の型は、次の5つの質問で確かめられます。答えが具体的なほど、推進型に近いと判断できます。

  1. 会議の進行役をしたことがありますか。何人くらいの会議でしたか。

  2. 遅れや課題を見つけたとき、どんな打ち手を提案しましたか。

  3. お客さんのどの立場の人と、どのくらいの頻度で話していましたか。

  4. 計画やスケジュールを、自分で作ったり作り直したりしましたか。

  5. 複数の会社やチームの間で、意見が分かれたときにどう動きましたか。

1と3の答えが「記録係」「PMの横で聞いていた」なら事務局型です。2・4・5で自分が決めたことを話せるなら、推進型として提案できます。面談での深掘りのしかたはSES面談の質問内容|営業が聞くべき深掘り質問27にまとめています。

なお、PMOはお客さんの近くで働くため、指揮命令の線引きに注意が必要です。

準委任契約で、お客さんが要員に直接細かく指示すると、偽装請負と見られるおそれがあります。確認のしかたは準委任契約の指揮命令はどこまで?で解説しています。

チョータツとxhoursでPMOの単価と要員を探す

自分で相場と要員を探すと、届いた案件メールを1件ずつ読み、社内とBPに声をかけて回る作業になります。DrivenXのツールを使うと、この2つの作業を楽にできます。

やること自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
PMO案件の今の条件を知る届いたメールを読んで表に書き写すチョータツで連携すると、他社の営業中案件・営業中人材がデータベースになる
社内・BPのPMO要員を探す担当者に聞いて回るチョータツで案件・人材の情報を管理・共有できる
社内・BPにいないPMOを探す知り合いに紹介を頼むxhoursでITフリーランスに直接スカウトできる

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。連携先の営業中案件が集まると、PMO案件の条件を並べて見比べられます。

xhours(エックスアワーズ)とは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスのことです。数千名のフリーランスのデータベースから探せます。

推進型のPMOは、社内やBPでは見つかりにくい要員です。フリーランスに直接声をかける方法も持っておくと、提案の機会を逃しにくくなります。

よくある質問

Q. SESのPMOの平均単価はいくらですか?
PMOだけの公的な統計はありません。公的データからの試算では、事務局型で月60万〜70万円台、推進型で月110万円前後が目安です。
Q. PMOコンサルの単価は、なぜSESより高いのですか?
コンサル系は、会社の手法や品質管理も含めて売り、推進型や全体管理の役割が多いためです。SES系は要員1人の作業として売る形が中心です。
Q. フリーランスのPMOの単価はどう決まりますか?
本人の経験と、間に入る会社の数で決まります。直接取引なら単価は本人の取り分に近くなります。取引条件は、フリーランス法に沿ってはっきり示す必要があります。
Q. PMO案件の単価は、経験年数で決まりますか?
年数より、何を任されていたかで決まります。事務局型の5年より、推進型の2年のほうが高く評価されることもあります。
Q. 週3日稼働のPMO案件は、単価をどう比べればよいですか?
月額を稼働時間で割り、1時間あたりの単価に直して比べます。精算幅と超過時の単価もあわせて確かめましょう。
Q. 事務局型のPMOを推進型として提案してもよいですか?
おすすめしません。求められる仕事と合わず、早期の退場につながりやすいからです。型が合う案件を探しましょう。

まとめ

  • PMOとは、プロジェクトの管理を支える役割や組織のこと

  • 単価は「事務局型」か「推進型」かで大きく変わる

  • 公的データからの試算では、事務局型は月60万〜70万円台、推進型は月110万円前後が目安

  • コンサル系・SES系・フリーランスの差は、上に乗る会社の取り分と役割の違いから生まれる

  • 型が同じでも、資格・稼働率・精算幅で提案単価は上下する

  • 提案単価は、型を確かめ、相場に当てはめ、原価からの最低ラインを確かめて決める

  • 要員の型は、進行役・打ち手・話す相手など5つの質問で確かめる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料

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