ITコンサルタントの単価相場|ファーム別・フリーランスの人月目安とSESの上流人材の価格の付け方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

ITコンサルタントとは?SES営業が扱う「上流人材」との関係

ITコンサルタントとは、お客さんのIT戦略や業務の課題を整理し、解決策を提案・助言する仕事のことです。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも、IT投資などの助言を行う仕事として紹介されています。SIerとの違いや商流での位置は、用語集のITコンサルタントとは?仕事内容とSIerとの違いで整理しています。

job tag(ジョブタグ)とは、厚生労働省が運営する、職業ごとの仕事内容や賃金をまとめたサイトのことです。

SESの案件票では、ITコンサルタントの仕事が次のような名前で募集されます。

  • PMO(プロジェクトの管理を支える役割)

  • 要件定義支援、業務分析、RFP(提案依頼書)の作成支援

  • IT戦略・DX推進の支援、ベンダー選定の支援

これらは開発より前の工程で、「上流工程」と呼ばれます。上流工程とは、何を作るか・どう進めるかを決める、システム開発の最初の段階のことです。

SES営業にとって大事なのは、「コンサル案件」の中にSESで受けられる役割が混ざっている点です。ファームに頼むと高くなる役割を、SESの上流人材で受ければ、お客さんの予算に合う提案ができます。

公的データで見るITコンサルタントの単価の基準線

ITコンサルタントの人月単価を集めた国の統計はありません。そこで、厚生労働省の2つのデータから基準線を試算します(2026年9月時点で確認)。

人月単価とは、1人が1か月働いたときの料金のことです。SESでは月額単価とほぼ同じ意味で使われます。計算方法は人月単価とは?計算方法と工数単価との違いで解説しています。

1つめは、job tagの「ITコンサルタント」の賃金です。令和7年賃金構造基本統計調査による年収は889万円です。一般労働者の時給は4,026円、労働時間は月173時間です。

2つめは、厚生労働省「労働者派遣事業報告書」の派遣料金です。令和6年度の「情報処理・通信技術者」の料金は、1日8時間あたり34,382円(税込)です。同じく賃金は21,032円でした。税を除いた料金は約31,256円で、賃金の約1.49倍です。

この2つを組み合わせた試算は次のとおりです。実際の取引単価を集めた数字ではなく、参考値です。

もとにした数字計算月の給与水準人月単価の目安
年収889万円889万円÷12か月×1.49約74.1万円約110万円
時給4,026円4,026円×173時間×1.49約69.6万円約104万円
IT技術者全体の派遣料金31,256〜34,382円×20日―約63万〜69万円

ITコンサルタントの基準線は、IT技術者全体の平均より月35万〜47万円ほど高いことがわかります。お客さんに説明するときは、この差を「役割の違い」として伝えられます。

戦略系・総合系・独立系・フリーランスで単価が違う理由

同じ「ITコンサル」でも、どこから出る人かで単価の位置が変わります。違いを生むのは、会社として何を売っているかと、上に乗る費用の大きさです。

主な出どころの違いを、公的な基準線(月約104万〜110万円)との位置で整理します。

出どころ単価の位置の傾向高くなる・安くなる理由
戦略系ファーム基準線より大きく上経営の意思決定を支える。少人数のチームで入り、会社のブランドと知見を売る
総合系ファーム基準線より上戦略から導入・運用まで一貫で受ける。手法・品質管理・管理職の費用が乗る
独立系・IT系ファーム基準線より上〜同程度特定の業界やITの領域に絞る。会社の規模が小さく、上に乗る費用が小さめ
フリーランス・SES基準線の前後で幅が広い1人の作業として提供する。間に入る会社の数で上下する

戦略系ファームとは、企業の経営戦略や事業戦略を専門に支援するコンサルティング会社のことです。総合系ファームとは、戦略から業務改革、システム導入まで幅広く支援する大手のコンサルティング会社のことです。

ファームの単価が高いのは、1人の作業ではなく、会社として成果に責任を持つ形で入ることが多いからです。レビューをする上司や、社内のノウハウの費用も単価に含まれます。

一方、フリーランスやSESの上流人材は、要員1人の作業を提供する形が中心です。同じ経験年数でも、ファームより単価が下がりやすいのはこのためです。

フリーランスの単価は、本人と直接結ぶか、仲介の会社を通すかでも変わります。フリーランスの仕入れ値の見方はフリーランスエンジニアの単価相場|SES営業の仕入れ値の目安で解説しています。

アクセンチュアなど大手ファームの人月単価はどう考える?

アクセンチュアなどの大手ファームは、人月単価を公式に公表していません。ネット上の数字は出どころがはっきりしないことが多く、営業資料にそのまま使うのはおすすめしません。

アクセンチュアは、戦略から導入・運用まで扱う総合系ファームの代表例です。大手ファームの見積もりは、役職(職位)ごとの単価に人数と期間を掛ける形が一般的です。そのため、同じ会社でも役職によって単価が大きく違います。

SES営業がお客さんから「大手ファームの見積もりが高くて」と相談されたら、次の順で話を進めます。

  1. 見積もりの中の役割と人数を聞く(例:マネージャー1名、担当者3名)

  2. SESで受けられる役割(PMO、要件定義支援、資料作成など)を切り出す

  3. 切り出した役割だけで、自社の提案単価を出す

  4. 残す役割(戦略の判断、成果への責任)はファームに任せる前提で説明する

ポイントは、ファームの単価を否定せず、役割ごとに比べることです。「全部を安く置き換えます」という提案は、あとで期待とのずれを生みやすくなります。

SESがファームの代わりに提案できる役割・できない役割

SESの上流人材が代われるのは、作業として切り出せる役割です。会社として成果の完成を約束する仕事は、SESでよく使う準委任契約には向きません。

準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決められた作業を行うことを約束する契約のことです。請負契約とは、仕事を完成させることを約束し、完成に対して代金を払う契約のことです。

役割SES(準委任)で提案できるか注意点
PMO(事務局・推進)できる会議運営・進み具合の管理など、作業の範囲を決める
要件定義支援・業務分析できる「支援」とし、決めるのはお客さんと書く
RFP作成・ベンダー選定の支援できる自社がそのベンダーと取引があれば先に伝える
IT戦略の策定・成果の保証向かない完成の約束が必要なら請負契約や他社との分担を考える

SESで上流人材を出すときも、現場で誰が指示を出すかには注意が必要です。準委任では、お客さんが要員に直接指示を出すと偽装請負とみなされるおそれがあります。詳しくは準委任契約の指揮命令はどこまで?SES現場のOK・NG具体例20を確認してください。

PMOの仕事の型ごとの単価は、SESのPMO単価相場|経験別の目安と提案単価の決め方5手順で詳しく解説しています。

上流人材の提案価格を決める5つの手順

提案価格は、「最低ライン」と「基準線」の間で決めます。最低ラインは原価から、基準線は公的データから出します。

  1. お客さんが求める役割を、案件票と打ち合わせで確かめる(PMO・要件定義支援など)

  2. 要員の原価を出す(自社社員なら給与と社会保険料など、BPなら仕入れ単価)

  3. 原価に自社の粗利を乗せて、最低ラインを出す

  4. 公的な基準線(月約104万〜110万円)と、今動いている似た案件の単価を見比べる

  5. 要員の経験と、ファームとの違いの説明ができるかで、幅の中の位置を決める

粗利率とは、売上のうち、原価を引いて会社に残る割合のことです。最低ラインは「原価÷(1−粗利率)」で出せます。

計算例1(BPのフリーランスを提案する場合)

  • 仕入れ単価:月80万円

  • 確保したい粗利率:15%

  • 最低ライン:80万円÷(1−0.15)=約94万円

約94万円は、公的な基準線(約104万〜110万円)より下です。お客さんから見ると、ファームに頼むよりも手ごろな価格帯に入ります。

計算例2(お客さんの手元に別の見積もりがある場合)

  • 別の会社の見積もり:PMO担当1名で月150万円(仮の数字)

  • 自社の最低ライン:約94万円

  • 提案価格:月100万円(基準線より少し下、最低ラインより上)

この例では、お客さんは月50万円、1年で600万円を抑えられる計算です。ただし、価格だけでなく役割の違いも同じ資料で説明しないと、あとで期待がずれます。

PMやSEなど役割別の目安はSE単価の相場表|PM・SE・PG別の人月目安と見積もりでの使い方が参考になります。複数名の体制で上流を受けるときの資料はエンド直案件の提案書の作り方|SESの体制提案の構成と見本で紹介しています。

ファームとの違いをお客さんに説明する例文

説明では、「安い理由」と「任せられる範囲」を同時に伝えるのがコツです。安さだけを伝えると、品質への不安が残ります。

例文(提案メールの一部)

今回ご提案の要員は、ITコンサルティング会社で要件定義とPMOを5年担当した者です。
月額単価は100万円(税抜)、精算幅は140〜180時間です。
契約は準委任で、会議運営・課題管理・要件定義書の作成支援を担当します。
方針の最終判断は、御社とご担当者様にお願いする形になります。
大手ファームに一括で依頼する形と比べ、必要な役割だけを手ごろな費用でお任せいただけます。

打ち合わせで聞かれたときの答え方の例

  • 「なぜファームより安いのですか?」→「会社の手法や管理職の費用が乗らず、要員1名の作業としてご提供するためです」

  • 「品質は大丈夫ですか?」→「本人の経歴書と面談で、担当した工程と役割をご確認いただけます」

  • 「成果まで責任を持てますか?」→「準委任のため完成のお約束はできません。作業の範囲を契約で明確にします」

エンドのお客さんに上流の支援を売り込む方法は、内製化支援をSES営業で提案する方法|エンドに刺さる提案の型と例でも紹介しています。

価格の根拠を集める作業を楽にするなら「チョータツ」

提案価格の根拠は、公的データに加えて、今動いている似た案件の単価があると強くなります。まずは自分でできる方法から始めましょう。

自分でやる方法

  1. 過去に受けたPMO・要件定義の案件の単価を、表計算ソフトに一覧にする

  2. パートナーから届く案件メールのうち、上流の案件の単価を書き写す

  3. 月に1回、役割ごとの単価の幅を見直す

この方法は、案件メールが多いほど書き写す手間がかかります。

もっと楽にするなら

チョータツは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールです。パートナーと連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベースにできます。

上流案件の条件を並べて見られるので、「今この役割ならいくら」という判断の材料がそろいます。AIが入力を手伝う機能もあり、3,000社以上が利用しています。無料で始められます。

よくある質問

Q. ITコンサルタントの人月単価の相場はいくらですか?
公的データからの試算では、月約104万〜110万円が基準線です。ファームは役割や会社の種類により、基準線より上になりやすい構造です。
Q. アクセンチュアの人月単価はいくらですか?
アクセンチュアは人月単価を公式に公表していません。大手ファームは役職ごとに単価が違うため、見積もりの役割と人数を聞いて比べるのが確実です。
Q. ITコンサルとPMOの単価は違いますか?
役割によって違います。会議運営などの事務局型PMOはIT技術者全体の目安(月約63万〜69万円)に近く、推進を担うPMOほどITコンサルタントの基準線(月約104万〜110万円)に近づくと考えるのが目安です。
Q. フリーランスのITコンサルタントの単価はどう決まりますか?
本人の経験と、間に入る会社の数で決まります。SESで提案するときは、仕入れ単価に自社の粗利を乗せた最低ラインから考えます。
Q. ファームより安い単価で提案すると、品質を疑われませんか?
安い理由と任せる範囲をセットで伝えれば、疑われにくくなります。会社の費用が乗らないことと、準委任で担う作業の範囲を明確にしましょう。

まとめ

  • ITコンサルタントとは、お客さんのIT戦略や業務の課題を整理し、解決策を提案・助言する仕事のこと

  • 公的データからの試算では、人月単価の基準線は月約104万〜110万円

  • ファームの単価は戦略系>総合系>独立系の順に高くなりやすく、会社として成果に責任を持つ分が乗る

  • 大手ファームの単価は公表されていないため、役割と人数ごとに比べる

  • SESは「役割の代わり」として、原価からの最低ラインと基準線の間で価格を決める

  • 説明では、安い理由と任せられる範囲を同時に伝える

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)