フリーランスエンジニアの単価相場|SES営業が決める仕入れ値の目安と、粗利を残す逆算の7手順

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

SES営業にとっての「フリーランスの単価」とは?

SES営業にとってのフリーランスの単価は、自社が支払う「仕入れ値」のことです。エンジニア本人が受け取る報酬であり、自社のコストでもあります。

仕入れ値とは、BP(取引先の会社)やフリーランスから人材を受け入れるときに、自社が支払う月額のことです。提案単価とは、自社が上位の会社やエンドに出す月額のことです。2つの差が自社の粗利になります。

用語意味例
提案単価自社が上位・エンドに出す月額72万円
仕入れ値自社がフリーランスに払う月額63万円
粗利提案単価 − 仕入れ値9万円
粗利率粗利 ÷ 提案単価12.5%

「フリーランスエンジニア 単価」で検索すると、エンジニア本人向けの情報が多く出てきます。本人向けの相場は「いくらもらえるか」の話です。営業に必要なのは「いくらで仕入れれば、案件で利益が出るか」の話です。

フリーランスとプロパー・BP要員の違い

フリーランスとは、会社に雇われず、個人で仕事を受ける人のことです。SESでは、個人事業主のエンジニアと自社が直接契約して、案件に提案する形がよくあります。

人材の種類自社との関係自社のコスト
プロパー(自社社員)雇用契約給与+社会保険料など
BP要員(他社社員)他社と業務委託契約BPへの支払い
フリーランス本人と業務委託契約本人への支払い

フリーランスは、BPを通すより商流が1段浅いぶん、同じ提案単価でも仕入れ値を高めに払えます。本人にとっても手取りが増えるため、交渉がまとまりやすくなります。BP要員を仕入れるときの単価交渉は「SESの仕入れ単価のBP交渉|関係を壊さない伝え方と例文5つ」で解説しています。

フリーランスエンジニアの単価相場(仕入れ値の目安)

仕入れ値の目安は、職種別の提案単価に「1 −粗利率」をかけて出します。フリーランスの報酬を網羅した公的統計は見当たらないため、この記事では公的データからの試算を使います。

前提:公的データから見る提案単価の目安

厚生労働省の集計では、IT系の派遣料金は1日8時間で34,382円(令和6年度、税込)です。20日で約69万円です。全業務の平均は26,257円なので、IT系は約8,100円高い水準です。

また、厚生労働省の職業情報サイト「job tag」の年収(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)から、月額単価を試算できます。「SESの単価相場|職種別の月額目安と公的データの使い方」では、年収÷12に約1.5倍をかけて目安を出しています。

職種(job tagの区分)年収提案単価の目安
開発(プログラマーなど)578.5万円約72万円
運用・保守(運用・管理(IT))609.8万円約76万円
AI(AIエンジニア)609.8万円約76万円
インフラ設計(システムエンジニア(基盤システム))889万円約110万円

職種別の仕入れ値の目安表

提案単価の目安に、粗利率10〜15%を置いて逆算した仕入れ値です。粗利率は、この記事の計算例として置いた数字です。自社の目標に置きかえて使ってください。

職種提案単価の目安仕入れ値の目安(粗利率10〜15%)1人あたり粗利
開発系約72万円約61万〜65万円約7万〜11万円
運用・保守系約76万円約65万〜68万円約8万〜11万円
AI系約76万円約65万〜68万円約8万〜11万円
インフラ設計・PM系約110万円約94万〜99万円約11万〜16万円

この表は「公的データから見た平均的な水準」です。実際の案件は、商流の深さや工程、稼働日数で大きく上下します。表は出発点にとどめ、目の前の案件の提案単価から逆算してください。

経験・スキルで仕入れ値が上下する要因

同じ職種でも、経験によって仕入れ値は変わります。上がる要因と下がる要因を、営業が面談前に確認する順に並べました。

確認すること仕入れ値が上がる仕入れ値が下がる
担当工程要件定義・設計ができる実装・テストのみ
リーダー経験数名のまとめ役の経験がある経験なし
技術の需要クラウド・AIなど人が足りない分野経験者が多い分野
稼働条件常駐・フル稼働が可能週3日など短い稼働

週3日などの短い稼働は、月額ではなく日数で割って考えます。計算のしかたはSESの週3・週4案件の単価の計算|精算幅と契約書の書き方で解説しています。

経験年数だけで決めないのがコツです。「何年やったか」より「どの工程を一人で回せるか」で判断すると、提案先の評価とずれにくくなります。

仕入れ値を決めて粗利を残す7つの手順

仕入れ値は、フリーランスの希望から決めるのではなく、案件の提案単価から上限を先に決めます。先に上限を決めておけば、面談の場で即答できます。

  1. 案件の提案単価を確認する:案件票の単価と、精算幅(稼働時間の上下の幅)を確かめます。

  2. 目標の粗利率を決める:会社として最低限ほしい粗利率を決めます。例として12%とします。

  3. 仕入れ値の上限を出す:提案単価 ×(1 −粗利率)で計算します。72万円 ×0.88 =約63万円です。

  4. 本人の希望単価を聞く:上限を言う前に、希望額とその理由を聞きます。例文は後のセクションに載せています。

  5. インボイス登録の有無を確認する:登録していない人は、消費税の控除が減るぶん実質の仕入れ値が上がります。

  6. 支払いの時期を確認する:フリーランス法の支払期日と、上位からの入金日の差を確かめます。

  7. 取引条件を書面やメールで明示する:単価・精算幅・支払期日を、発注時に文書で伝えます。

手順3の計算例をもう1つ示します。インフラ設計の案件が110万円、目標の粗利率が12%なら、上限は110万円 ×0.88 =約97万円です。本人の希望が100万円なら、差は3万円です。提案単価を上げる交渉か、粗利率を下げる判断が必要になります。

提案単価そのものの決め方は「SESの提案単価の決め方|仕入れ単価から逆算する計算式と5つの要素」で詳しく解説しています。

インボイス未登録のフリーランスから仕入れるときの実質コスト

インボイス登録をしていないフリーランスから仕入れると、自社が差し引ける消費税が減り、実質の仕入れ値が上がります。単価を比べるときは、この差を足して考えます。

インボイスとは、登録を受けた事業者だけが出せる、決まった記載のある請求書のことです。登録していない人(免税事業者など)からの仕入れは、原則として消費税の控除ができません。ただし、段階的に縮小する経過措置があります。

期間控除できる割合
2026年10月〜2028年9月70%
2028年10月〜2030年9月50%
2030年10月〜2031年9月30%
2031年10月以降0%

この割合は、令和8年度税制改正で見直された内容として、国税庁のQ&A(問113)に載っているものです(2026年9月30日確認)。また、2026年10月1日以後に始まる課税期間からは、登録していない1つの相手(免税事業者など)からの仕入れの合計が、その年(またはその事業年度)で税込1億円を超えた部分には使えません(それより前に始まる課税期間は税込10億円)。

計算例(2026年10月以降)

  1. 月60万円(税抜)に消費税6万円を足し、66万円を支払うとします。

  2. 相手が登録事業者なら、6万円の全額を控除できます。

  3. 相手が未登録なら、控除できるのは6万円の70%で4.2万円です。

  4. 控除できない1.8万円が、自社の実質的なコストになります。

月1.8万円は、12か月で21.6万円です。提案単価72万円・粗利率12%の案件なら、月の粗利約8.6万円のうち2割以上が消える計算です。ただし、未登録を理由に一方的に単価を下げると、フリーランス法の「買いたたき」などにあたるおそれがあります。単価は、発注前に双方で話し合って決めてください。禁止される行為は「フリーランス法の禁止行為7つ」でまとめています。

支払いの時期で気をつけること

フリーランスへの支払いは、フリーランス法により、原則として受け取った日から60日以内に期日を決める必要があります。上位からの入金が遅いと、自社が先に立て替えることになります。

フリーランス法とは、個人で仕事を受ける人との取引を守るための法律です。2024年11月1日に施行されました。発注する側には、取引条件の明示や、期日までの支払いなどの義務があります。

確認すること理由
上位からの入金日フリーランスへの支払い日より遅いと立て替えが発生する
再委託かどうか条件を満たすと支払期日の考え方が変わる
精算幅と精算の方法上位との条件とそろえないと差額が出る
取引条件の明示の方法発注時に単価や期日を文書で伝える必要がある

支払期日の数え方は「フリーランス法の支払期日60日」、再委託のときのルールは「フリーランス法の再委託30日ルール」で解説しています。

希望単価の聞き方と、上限を伝えるときの例文

希望単価は、自社の上限を言う前に、本人の希望額と根拠を聞くのが基本です。先に上限を言うと、希望額がその数字に寄ってしまいます。

例文1:面談前に希望単価を聞く

〇〇様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご紹介したい案件について、事前に2点お聞かせください。

  1. ご希望の月額単価(税抜)と、下限の金額

  2. インボイスの登録番号の有無
    10月1日(木)の面談までにご返信いただけますと幸いです。

例文2:希望額が上限を超えたとき

ご希望の75万円について、社内で確認いたしました。
本案件は、弊社がお出しできる上限が月68万円(税抜)となっております。
精算幅は140〜180時間で、支払いは月末締め翌月末払いです。
条件が合わない場合は、ご希望に近い別の案件もご案内いたします。

例文2のように、単価と一緒に精算幅と支払い条件をそろえて伝えると、あとで「聞いていない」を防げます。断るときも、次の案件につなげる一言を添えると関係が続きます。

仕入れ値を安定させる探し方|直接スカウトという選択肢

フリーランスの探し方によって、仕入れ値に乗るコストが変わります。間に入る会社が少ないほど、同じ提案単価でも本人に多く払え、自社の粗利も残しやすくなります。

探し方商流向いている場面
エージェント(仲介会社)経由1段増えるすぐに候補がほしいとき
BPから紹介してもらう1段以上増える付き合いのあるBPが多いとき
知人・過去の取引から声をかける直接以前に一緒に働いた人がいるとき
企業から直接スカウトする(例:xhours)直接自社で候補を選びたいとき

エージェントやBPを通すと、その会社の取り分が単価に乗ります。どの探し方にも良さがあるため、急ぎの案件は紹介、継続的な仕入れは直接、と使い分けるのがおすすめです。スカウトの進め方と文面は「フリーランスエンジニアに企業がスカウトする方法」を参考にしてください。

xhoursでフリーランスに直接スカウトする

xhoursは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから、案件に合う人を探せます。

自分でSNSや知人を当たる方法は、手間がかかるうえ候補が限られます。xhoursなら、企業から本人へ直接声をかけられるため、間に入る会社を減らせます。仕入れ値を手順3で出した上限の中に収めやすくなります。

フリーランスに直接スカウトして、仕入れ値を上限の中に:xhoursでフリーランスを探す

チョータツで提案単価と仕入れ値を並べて管理する

仕入れ値の上限を出すには、案件ごとの提案単価がすぐ見られることが前提です。チョータツは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールで、3,000社以上が使っています。

他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材がデータベースにたまります。似た案件がいくらで出ているかを見比べれば、職種別の目安表より現場に近い水準がわかります。無料で始められます。

よくある質問

Q. フリーランスエンジニアの単価相場はいくらですか?
公的データからの試算では、SESの提案単価で開発系が月約72万円です。インフラ設計・PM系は月約110万円です。粗利率10〜15%を引くと、仕入れ値は開発系で約61万〜65万円が目安です。
Q. フリーランスとBP要員では、どちらが安く仕入れられますか?
同じ提案単価なら、フリーランスのほうが商流が1段浅いぶん、本人に多く払いつつ粗利も残しやすいです。ただし支払期日や取引条件の明示など、フリーランス法の義務を守る必要があります。
Q. フリーランスの単価は税込と税抜のどちらで話すべきですか?
税抜で話し、消費税は別と決めておくのがおすすめです。インボイス登録の有無で実質のコストが変わるため、単価と一緒に登録番号も確認します。
Q. インボイス未登録のフリーランスに、単価を下げてもらってよいですか?
発注前に双方で話し合って決めるのは問題ありません。一方的に大きく下げると、フリーランス法の買いたたきなどにあたるおそれがあります。
Q. フリーランスの単価はどのタイミングで見直しますか?
契約更新の1〜2か月前が目安です。上位の提案単価が上がったときは、仕入れ値も見直すと、本人の長期稼働につながります。

まとめ

  • SES営業にとってのフリーランスの単価は、提案単価から粗利を引いた「仕入れ値」

  • 公的データからの試算では、仕入れ値の目安は開発系で月約61万〜65万円、インフラ設計・PM系で月約94万〜99万円

  • 仕入れ値は、案件の提案単価 ×(1 −目標粗利率)で上限を先に決める

  • インボイス未登録の人からの仕入れは、2026年10月から控除70%になり、実質コストが上がる

  • 支払いはフリーランス法で原則60日以内。上位からの入金日とそろえる

  • 間に入る会社を減らすなら、xhoursでの直接スカウトが選択肢になる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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