SESの新人エンジニアの単価相場|未経験・1年目の提案単価の決め方と、単価を下げずに参画させる5つの工夫

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESの新人エンジニアの単価とは?

新人エンジニアの単価とは、実務経験が0〜1年ほどのエンジニアを、SESで客先に提案するときの月額の金額のことです。新卒のほか、他業種から転職してきた未経験者も含めて考えます。

単価とは、SESで客先(上位の会社)から受け取る、エンジニア1人あたりの月の金額のことです。提案単価とは、その単価のうち、営業が提案するときに示す金額のことです。

新人の単価で営業が迷う理由は、経験年数ごとの単価をまとめた公的な統計がないことです。そこでこの記事では、公的データから計算した「目安」と、仕入れから逆算する「決め方」を組み合わせます。

新人・未経験エンジニアの単価の目安|公的データからの試算

新人(経験0年)の単価は、公的データから計算すると全国で月約40万円、東京都で月約44万円です。経験1年になると、全国で約45万円に上がります。

計算には、厚生労働省が公表している2つのデータを使います。

  1. 一般賃金:派遣で働く人の賃金を決めるときの国の基準です。職種と経験年数ごとの時給が決まっています。

  2. 派遣料金と賃金の比率:IT系の派遣で、客先に払う料金が、本人の賃金の何倍かを示す数字です。

一般賃金とは

一般賃金とは、厚生労働省が毎年示す「同じ仕事をする一般の労働者の平均的な賃金」のことです。派遣の労使協定方式で、派遣社員の賃金の下限として使われます。

令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の通知で、プログラマーにあたる職種の時給は次のとおりです。職種名は「ソフトウェア作成者(1104)」です。金額は基本給と賞与を合わせた時給です。

経験年数時給(全国)月160時間の場合経験0年との比
0年1,670円約26.7万円100
1年1,900円約30.4万円113.8
2年2,034円約32.5万円121.8
3年2,084円約33.3万円124.8

東京都で働く場合は、地域指数111.4をかけます。経験0年なら、1,670円×1.114で時給1,861円(端数切り上げ)です。一般賃金の詳しい計算方法は、派遣の労使協定方式とは?均等均衡方式との違いをSES向けに解説にまとめています。

派遣料金と賃金の比率は約1.49倍

厚生労働省の「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」では、情報処理・通信技術者の派遣料金は1日8時間で34,382円(税込)です。同じ統計で、派遣労働者の賃金は1日21,032円です。

税込の料金を1.1で割ると、税抜で約31,256円です。税抜の料金31,256円を賃金21,032円で割ると、約1.49倍(正確には1.486倍)になります。IT系の派遣では、客先に払う料金が本人の賃金の約1.5倍という意味です。

試算した新人・若手の単価の目安

一般賃金の月額に1.486をかけると、経験年数ごとの単価の目安が出ます。

経験年数全国の目安東京都の目安営業の見方
0年(新卒・未経験)約39.7万円約44.2万円研修後すぐの新人
1年約45.2万円約50.3万円1年目を終えた若手
2年約48.4万円約53.9万円1人で担当できる作業が増える
3年約49.5万円約55.2万円「経験3年以上」の条件に届く

東京都の数字は、時給に1.114をかけて端数を切り上げ、160時間と1.486倍をかけた額です。

この表を使うときは、3つの点に注意してください。

  1. 実際の取引の単価を集めた数字ではありません。あくまで公的データから計算した参考値です。

  2. 派遣の数字を使っています。SES(準委任契約)の単価とは、契約の形が違います。

  3. 職種で変わります。インフラの監視・運用などに近い「その他の情報処理・通信技術者(1109)」は、経験0年で時給1,759円と、少し高めです。

新卒の初任給から見た目安

別の物差しとして、新卒の給与からも考えられます。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、新規学卒者の月の所定内給与は次のとおりです。

学歴月の所定内給与前年からの伸び×1.49の目安
大学卒26.23万円+5.6%約39.1万円
高専・短大卒23.55万円+5.2%約35.1万円
専門学校卒23.07万円+3.5%約34.4万円
高校卒20.73万円+5.0%約30.9万円

所定内給与とは、残業代などを除いた、毎月決まって払われる給与のことです。この表だけは、わかりやすさを優先して1.49倍で計算しています。大学卒の新人なら、どちらのデータで計算しても月40万円前後に落ち着きます。

新人の提案単価の決め方5手順

新人の提案単価は、相場から決めるのではなく、仕入れから下限を出し、相場と案件予算で上限を確かめて決めます。新人は相場の幅が読みにくいため、下限をはっきりさせることが一番大切です。

仕入れとは、そのエンジニアを案件に出すためにかかるお金のことです。自社社員なら給与と会社負担の費用、BPのエンジニアならBPへの支払いです。粗利とは、単価から仕入れを引いた、自社に残るお金のことです。

  1. 月の原価を出す:自社社員は、月給に会社が負担する社会保険料・研修費などを足します。BPの人は、BPへの支払い額がそのまま原価です。

  2. 必要な粗利率を決める:会社として最低限残したい粗利の割合を決めます。新人は待機(案件に入っていない期間)になりやすいので、少し余裕を見ます。

  3. 下限の単価を計算する:原価÷(1−粗利率)で出します。これより下では提案しません。

  4. 上限を確かめる:試算の目安(全国約40万円、東京都約44万円)と、案件の予算を比べます。予算を大きく超えるなら、作業範囲や出し方を見直します。

  5. 見直しの時期を決めて提案する:「3か月後・6か月後に単価を見直したい」と、提案の時点で伝えます。

計算例:自社の新卒社員を東京都の案件に出す

月給26万円の新卒社員で、会社負担の社会保険料や研修費などを月5万円と仮定します。月の原価は31万円です。

項目金額計算
月の原価31万円月給26万円+会社負担5万円(仮定)
粗利率20%の下限約38.8万円31万円÷(1−0.2)
粗利率25%の下限約41.3万円31万円÷(1−0.25)
提案単価の例42万〜44万円東京都の目安約44万円の内側

この例では、42万円より下で提案すると、粗利率25%を割ります。会社負担の費用は会社ごとに違うので、自社の実額で計算し直してください。

計算例:BPの新人を提案する

BPから「経験半年、月38万円」で人材紹介を受けたとします。自社の取り分を10%とすると、下限は38万円÷0.9で約42.2万円です。

BPの人を提案するときは、自社が上に乗る分だけ単価が上がります。新人で単価が45万円を超えると、客先の予算に合わないことが増えます。その場合は、BPとの仕入れ価格の話し合いも考えます。

提案単価の決め方の全体像は、SESの提案単価の決め方|仕入れ単価から逆算する計算式と5つの要素で詳しく説明しています。

新人の単価を下げずに参画させる5つの工夫

新人の単価を守るには、「安くする」のではなく「客先の心配を減らす出し方」に変えることが大切です。客先が新人を避ける理由は、単価よりも「育てる手間」と「任せて大丈夫か」の2つです。

工夫客先の心配をどう減らすか単価への効き方
1. 研修を終えてから出す基礎ができている証拠を見せられる0年でも目安どおりに出しやすい
2. 段階単価最初の数か月の不安に合わせる最初だけ低く、あとで上がる約束をつくる
3. 育成枠の案件を選ぶ最初から新人を受け入れる前提値引きの話になりにくい
4. ペア提案経験者が近くでフォローする合計の金額で判断してもらえる
5. 作業範囲を絞る任せる作業がはっきりする範囲に見合った単価だと説明できる

1. 研修を終えてから提案する

新人は、自社の研修を終え、できる作業を具体的に言える状態にしてから提案します。研修中に提案すると、「まだ何もできない人」と見られ、単価の話で不利になります。

研修で作ったもの(簡単なWebアプリ、手順書など)を、スキルシートに書けるようにしておきます。資格の勉強中なら、その内容と受験予定も書きます。

ただし、研修期間は給与は払うのに売上がない期間です。研修の長さは、この費用も含めて決めます。待機中の給与の考え方は、SESの待機期間の給与と対応|休業手当の計算例と早く案件に入る7手順で確認できます。

2. 段階単価で提案する

段階単価とは、参画してからの期間に合わせて、単価を段階的に上げていく決め方のことです。たとえば「最初の3か月は40万円、4か月目から44万円」のように決めます。

段階単価の良い点は、客先が最初の不安の分だけ安くでき、自社は数か月後の単価を約束してもらえることです。値引きではなく、上がる時期と金額を先に決めておく点が違います。

段階単価を使うときは、次の3つを必ず注文書や契約書に書いてもらいます。

  1. いつから単価が変わるか(例:2027年1月1日から)

  2. 変わったあとの金額(例:月44万円)

  3. 上げる条件がある場合は、その条件(例:担当作業に〇〇を加えた時点)

口約束のままだと、担当者が変わったときに「聞いていない」となりがちです。見直しの連絡は、切り替えの2か月前には入れておきます。

3. 育成枠・ロースキル可の案件を選ぶ

育成枠とは、客先や上位の会社が、経験の浅い人を受け入れる前提で用意している枠のことです。「未経験可」「ロースキル可」「若手育成」と書かれた案件がこれにあたります。

育成枠の案件は、はじめから新人向けの予算で組まれています。そのため、「新人だから下げてほしい」という値引きの話になりにくいのが良い点です。探し方は、SESのロースキル案件の探し方|営業が若手を決める取引先の見つけ方で紹介しています。

4. 経験者とのペア提案にする

ペア提案とは、経験者と新人を組にして、同じ案件に2名で提案することです。客先は「経験者がそばにいるなら、新人でも任せられる」と判断しやすくなります。

ペア提案では、2名の合計金額で見てもらうのがコツです。

提案の形経験者新人合計
経験者2名70万円×2名―140万円
ペア提案70万円42万円112万円

客先から見ると、2名分の人手を28万円安く確保できます。新人の単価そのものは下げていないので、自社の粗利も守れます。体制の組み方はSESのチーム提案のやり方|複数名の体制の組み方と単価の出し方で詳しく解説しています。

準委任契約とは、作業そのものを行うことを約束する契約のことです。SESの多くはこの形です。準委任契約では、客先が新人に直接作業を指示すると偽装請負を疑われます。新人への指示や教育は、自社側の経験者を通して行う形にしておきます。

5. 作業範囲を絞って単価に見合う役割にする

新人は、「何でもできます」ではなく「この作業ならすぐ担当できます」と範囲を絞って提案します。範囲がはっきりしていると、客先はその作業の価値で単価を判断できます。

新人が担当しやすい作業の例は、次のとおりです。

  • テストの実施と結果の記録

  • 手順書に沿った運用・監視と一次対応

  • 既存画面の軽い修正(文言・項目の追加など)

  • 資料作成や作業報告のまとめ

作業範囲は、半年後に広げる計画も一緒に伝えます。「3か月でテストを担当、6か月で軽い修正も担当」のように話すと、段階単価や見直しの話とつながります。

新人の提案で営業がやってはいけないこと

新人の提案で一番やってはいけないのは、決めたい気持ちから、仕入れぎりぎりまで単価を下げることです。最初の単価は、その後の交渉の出発点になるからです。

やってはいけないこと起きること代わりにやること
仕入れぎりぎりの単価粗利が残らず、あとで上げにくい下限を決め、それより下では出さない
経験年数を盛る参画後に発覚し、信用を失う研修の成果と、できる作業を正直に書く
見直しの約束をしない1年たっても同じ単価のまま見直し時期を注文書に書いてもらう
客先に教育を丸投げする偽装請負を疑われる形になる自社の経験者が指示・教育を担う

経験年数を実際より長く書くことは、経歴詐称にあたります。上位の会社から「経験2年で出して」と頼まれたときの断り方は、SESで経歴を盛ってと言われたら|断り方と営業が負うリスクにまとめています。

新人の単価を伝える提案メールの例文

新人を提案するメールでは、単価と一緒に「なぜこの金額か」と「いつ見直すか」を書きます。理由があると、客先は社内で説明しやすくなります。

段階単価とペア提案を組み合わせた例文です。

例文・テンプレート
件名:【要員提案】テスト・運用補助 2名(経験者+新人のペア)

〇〇株式会社 〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
〇〇案件のテスト・運用補助について、2名でご提案いたします。

■経験者:Aさん(経験6年)
 単価:月70万円 / 精算幅:140〜180時間
■新人:Bさん(経験0年・当社研修3か月修了)
 単価:2027年1月〜3月は月40万円、4月以降は月44万円
 担当:テスト実施と結果の記録、手順書に沿った監視

Bさんへの作業の指示とフォローは、Aさんが行います。
研修では、テスト仕様書の作成と簡単なWebアプリの開発を経験しています。

スキルシートを添付いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

日付は例です。実際の参画月に合わせて書き換えてください。要員提案メールの書き方全体は、要員提案メールの例文とテンプレ|SES営業の通過率を上げる書き方で紹介しています。

新人の単価を決める前のチェックリスト

新人を提案する前に、次の8項目を確認します。すべて「はい」になってから提案すると、あとで単価の話がこじれにくくなります。

  1. 月の原価(給与+会社負担、またはBPへの支払い)を計算したか

  2. 下限の単価(原価÷(1−粗利率))を決めたか

  3. 案件の予算と、公的データの目安を比べたか

  4. 研修の成果と、すぐできる作業を言える状態か

  5. 経験年数を正しく書いたか

  6. 段階単価や見直しの時期を、提案に入れたか

  7. ペア提案にする場合、指示を出す経験者を決めたか

  8. 見直しの時期と金額を、注文書に書いてもらう段取りがあるか

若手の面談の準備や、スキルシートの見せ方は、SESの若手アサインが難しい理由5つと対策|経験1〜2年の提案術で詳しく説明しています。

自分で新人向けの案件と単価を把握する方法

チョータツを使わなくても、新人向けの案件と単価の感覚は自分で集められます。届いた案件の条件を、決まった形で記録し続けるのが基本です。

  1. 表を1つ作る:案件名、経験年数の条件、単価、作業内容、商流の制限を列にします。

  2. 「未経験可」「若手可」の案件に印をつける:新人に出せる案件だけを絞り込めるようにします。

  3. 週に1回、単価の幅を見る:新人に出せる案件の単価の最低・最高を書き出します。

  4. 決まった単価も記録する:提案した単価と、実際に決まった単価を並べます。

3か月ほど続けると、自社の取引先での新人の単価の幅が見えてきます。公的データの目安と比べて、自社の提案単価を調整します。

チョータツで新人を決める案件の母数を増やす

新人の単価を守るには、値引きしなくても受け入れてくれる案件を、たくさんの中から選べる状態をつくるのが一番です。チョータツを使うと、案件を探す母数を増やせます。

チョータツとは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールのことです。3,000社以上が利用していて、無料で始められます。

困りごとチョータツでできること
新人を受け入れる案件が少ない他社と連携すると、連携先の営業中案件をデータベース化できる
案件の条件の記録が大変案件・人材の情報を管理・共有でき、AIが入力を手伝う
新人と経験者の空き状況が見えない自社の人材の情報を一か所で管理・共有できる
ペア提案を多くの会社に届けたいパートナーへのメール配信機能で、提案をまとめて送れる

届いた案件メールの整理に時間がかかっている場合は、チョータツメールAIも使えます。届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けます。転送設定で取り込めて、案件・人材以外のメールはデータに残りません。

案件の母数が増えると、「この案件は安すぎるので見送る」という判断ができるようになります。断れる余裕があることが、新人の単価を守る一番の力です。

よくある質問

Q. SESの新人の単価は月いくらが相場ですか?
経験年数ごとの単価をまとめた公的な統計はありません。厚生労働省のデータから計算すると、経験0年で全国約40万円、東京都で約44万円が1つの目安です。
Q. 未経験者と新卒で単価は変わりますか?
実務経験が同じ0年なら、大きくは変わりません。前職で身につけた力(顧客対応、資料作成など)が案件に生きる場合は、その点を説明して単価に反映させます。
Q. 新人の単価はいつ上げられますか?
参画から3〜6か月で、担当作業が広がったときが話しやすい時期です。最初の提案時に見直しの時期を決め、注文書に書いてもらうと上げやすくなります。
Q. ペア提案で新人の単価だけ下げてほしいと言われたら?
2名の合計金額で比べてもらうよう伝えます。経験者2名より合計が安いこと、新人への指示は経験者が担うことを説明します。
Q. BPの新人を提案すると単価が高くなりすぎます。どうすればよいですか?
自社の取り分を確認し、BPと仕入れ価格を話し合います。それでも予算に合わない場合は、育成枠の案件や、作業範囲を絞った案件に切り替えます。

まとめ

  • 新人(経験0年)の単価は、公的データからの試算で全国約40万円、東京都約44万円が目安。経験1年で全国約45万円

  • この数字は実際の取引を集めた相場ではない。仕入れ÷(1−粗利率)で下限を出して決める

  • 単価を下げずに決める工夫は、研修後に出す・段階単価・育成枠・ペア提案・作業範囲を絞るの5つ

  • 段階単価や見直しの時期は、注文書に書いてもらう

  • 仕入れぎりぎりの単価、経験年数の水増し、客先への教育の丸投げはしない

  • 新人を受け入れる案件の母数を増やすと、安い案件を断る余裕が生まれる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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