SESの若手アサインが難しい理由5つと対策|経験1〜2年を決める案件の探し方と単価の出し方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESの若手アサインとは?

アサインとは、エンジニアを案件(客先の現場)に割り当てて、参画を決めることです。この記事でいう若手は、IT業界での実務経験が1〜2年のエンジニアを指します。

若手のアサインは、SES企業の売上に直結します。案件が決まらない間は待機(どの現場にも入っていない状態)になり、売上はゼロでも給与は発生するからです。待機のコストと対応はSESの待機期間の給与と対応|休業手当の計算例と早く案件に入る7手順で解説しています。複数の待機者の優先順位は、待機エンジニアが複数いるときの営業の優先順位|決め方と進め方で紹介しています。

この記事は、求職者向けではなく営業がどう動くかに絞っています。案件の探し方、スキルシートの見せ方、単価の出し方、面談の準備の順に説明します。

SESで若手のアサインが難しい理由5つ

若手が決まりにくいのは、本人の力だけの問題ではありません。案件の条件、商流、客先の不安、単価、提案の見せ方の5つが重なっています。

#理由営業ができる対策
1必須条件が「経験3年以上」の案件が多い条件がゆるい案件を探す母数を増やす
2商流制限で若手が入れない商流の浅い取引先を増やす
3客先が育てる手間を心配する経験者とのセット提案にする
4単価と期待が合わない単価の根拠を仕入れから示す
5スキルシートで強みが伝わらない「すぐできる作業」を書く

1. 必須条件が「経験3年以上」の案件が多い

案件メールの必須スキルには、「Java経験3年以上」のように年数が書かれることがよくあります。客先は、説明しなくても動ける人を求めているからです。

年数の条件は、交渉の余地がある場合もあります。「必須の年数に少し足りないが、同じ作業の経験がある」ときは、上位の会社に提案してよいか先に聞くのが早道です。

2. 商流制限で若手が入れない

商流制限とは、「一社先まで」「自社社員のみ」のように、提案できる人の所属を限る条件のことです。若手をBP(取引先の会社)経由で出す場合、この条件で最初から外れることがあります。

商流の深い案件ほど、条件は厳しくなりがちです。

3. 客先が育てる手間を心配する

客先にとって若手は、「教える人の時間」がかかる存在です。現場のリーダーが忙しいほど、若手は断られやすくなります。

この不安は、教える役の経験者と一緒に入る、最初の作業範囲をはっきりさせることで小さくできます。

4. 単価と期待が合わない

若手の単価を高く出しすぎると、客先は「その金額ならもっと経験のある人を」と考えます。反対に安すぎると、自社の利益が残らず、後の単価交渉も難しくなります。単価の出し方は後の章で計算例を示します。

5. スキルシートで強みが伝わらない

若手のスキルシートは、経験の欄が短くなりがちです。「テスト実施」「運用保守」とだけ書くと、何ができるのかが伝わりません。書き方の例は、スキルシートの章で紹介します。

若手が通りやすい案件の探し方

若手を決める近道は、若手を受け入れる前提の案件を探すことです。代表的なのは、ロースキル可の案件、育成前提の案件、チームで入る案件の3種類です。

ロースキル案件とは、高い技術力や長い経験を求めず、手順書やマニュアルに沿って進められる作業が中心の案件のことです。ヘルプデスク、運用監視、テストなどが当てはまります。

案件の種類若手に向く理由案件メールに出る言葉の例
ロースキル可手順書があり、覚える範囲が決まっている「ロースキル可」「経験1年以上」
育成前提最初から教える計画がある「若手歓迎」「育成枠」「OJTあり」
チームで入る先輩が近くにいて質問しやすい「チーム参画」「複数名募集」
テスト・運用中心作業の区切りがはっきりしている「テスト実施」「監視・一次対応」

OJTとは、仕事をしながら先輩が教える育成のやり方のことです。「複数名募集」の案件は、経験者と若手の組み合わせを受け入れやすい傾向があります。

取引先の見つけ方は、SESのロースキル案件の探し方|営業が若手を決める取引先の見つけ方にまとめています。

未経験のエンジニアはさらに条件が厳しい

実務経験のない未経験のエンジニアは、若手よりさらに案件が限られます。案件メールで「未経験可」と明記されたものは多くありません。

営業としては、まず自社の研修で基礎を固めてもらいます。そのうえで、ヘルプデスクや運用監視など手順が決まった案件から提案するのが現実的です。資格の合格や研修で作ったものなど、学んだ証拠をスキルシートにそろえてから提案します。

セット提案のやり方|経験者と若手を組にする

セット提案とは、経験のあるエンジニアと若手を組にして、1つの案件に一緒に提案することです。若手を決める方法の中で、営業が一番工夫しやすいやり方です。

客先から見ると、セット提案には「教える人が一緒に来る」という安心があります。営業から見ると、経験者の力で案件を取り、若手の実務経験を積ませられます。

セット提案の進め方5ステップ

  1. 「複数名募集」「チーム参画」の案件を探す:1名募集の案件でも、増員の予定がないか聞く

  2. 経験者を先に決める:リーダー役が決まらないと、セットの意味が薄れる

  3. 2人の役割を分けて書く:経験者は設計・レビュー、若手はテスト・資料作成など

  4. 単価を1人ずつ出す:2人の合計ではなく、1人ごとの金額を示す

  5. 面談は2人の話がつながるよう準備する:経験者が若手の作業を見る場面を話せるようにする

体制の組み方は、SESのチーム提案のやり方|複数名の体制の組み方と単価の出し方で詳しく解説しています。

上位の会社にセット提案を相談するメール例

例文・テンプレート
〇〇様

株式会社△△の□□です。
Java開発案件(1名募集)について、1点ご相談です。

Java5年のT.K(設計・レビュー担当)に加え、
経験1年半のS.M(テスト・資料作成担当)を2名体制でご提案できないでしょうか。
S.MはT.Kと同じ現場で1年一緒に作業しており、作業の指示とレビューはT.Kが行います。

単価はT.K 78万円、S.M 45万円を想定しています。
増員のご予定がなければ、T.K 1名でのご提案に切り替えます。

セット提案の計算例

たとえば、経験者を月80万円、若手を月45万円で提案すると、2人で月125万円になります。1人あたりの平均は62.5万円です。

厚生労働省の統計では、情報処理・通信技術者の派遣料金は1日34,382円(税込)です。税を除いて20日に直すと約62.5万円です。セット提案の1人あたり平均は、この公的な平均とほぼ同じ水準です。客先には「1人あたりは平均的な金額で、教える役の経験者も付く」と説明できます。

セット提案で気をつけること

経験者が若手に作業の指示をすることは、自社の中の指示なので問題になりにくい形です。一方で、客先の社員が若手に直接細かく指示する状態は注意が必要です。偽装請負と見られるおそれがあります。偽装請負とは、契約は請負・準委任なのに、実態は派遣と同じになっている状態のことです。

厚生労働省の疑義応答集は、準委任契約でも実態で判断するとしています。現場で誰が指示を出すかは、準委任契約の指揮命令はどこまで?SES現場のOK・NG具体例20で確認してください。

若手のスキルシートの見せ方|書き換え例

若手のスキルシートは、経験の少なさを「すぐできる作業」と「学んだ証拠」で補う書き方にします。客先は「現場で何を任せられるか」を見ているからです。

書き換えの例

項目よくある書き方伝わる書き方
担当作業テスト実施テスト仕様書に沿って、1日30件ほどの画面テストを実施
運用運用保守監視ツールのアラートを確認し、手順書に沿って一次対応
学習Java勉強中研修でJavaの基本文法を学び、簡単な在庫管理アプリを作成
資格(空欄)ITパスポート試験に合格、基本情報技術者試験に向けて学習中
姿勢真面目前の現場で、作業の進み具合を毎日チャットで報告

ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。IPAの区分では、ITパスポートはすべての社会人向けのレベル1、基本情報技術者はIT技術者向けのレベル2とされています。

見せ方の5つのコツ

  1. 数字を入れる:件数、人数、期間を書く

  2. 案件に近い経験を上に置く:案件ごとに順番を入れ替える

  3. 「手順書があればできる作業」を書く:現場での姿を想像してもらう

  4. 勉強中のことは「勉強中」と正直に書く:できることと分けて書く

  5. 本人の言葉で説明できる内容だけにする:面談で聞かれても困らないようにする

「勉強中」を「経験あり」に書き換えるよう上位やBPに求められても、応じません。断り方はSESで経歴を盛る指示の断り方|例文と営業が負う法的リスクにまとめています。

若手の単価の出し方|仕入れから逆算する計算例

若手の単価は、仕入れ(自社社員なら給与、BPの人ならBPへの支払い)から逆算して決めます。経験年数ごとの単価をまとめた公的な統計はないため、相場の数字だけで決めるのは危険です。

単価とは、SESで客先から受け取る、エンジニア1人あたりの月の金額のことです。マージン率とは、単価のうち自社の取り分が何%かを示す数字のことです。

公的な物差し

厚生労働省は2026年3月31日に「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」を公表しました。情報処理・通信技術者の派遣料金の平均は、1日8時間で34,382円(税込、表6)でした。同じ統計で、派遣労働者の賃金の平均は1日21,032円です(表7)。

派遣料金は、経験の浅い人から上級者までの平均です。若手の提案では、この金額を上限の目安として見ておくと、高すぎる提案を避けられます。

計算例

ケース仕入れ提案単価の例考え方
自社社員月給28万円約42万円給与×約1.49倍
BPの若手支払い月45万円月50万円マージン率10%
セット提案の若手支払い月40万円月45万円経験者と組にして出す

「給与×約1.49倍」は、同じ統計の数字から出した比率です。税抜の派遣料金(約31,256円)を、賃金(21,032円)で割りました。あくまで参考の考え方で、実際の取引の単価を集めた数字ではありません。

計算した単価で利益が残るかは、社会保険料などの会社負担も入れて確かめます。提案単価の決め方全体は、SESの提案単価の決め方|仕入れ単価から逆算する計算式と5つの要素で詳しく説明しています。

単価を下げすぎないための考え方

若手を決めたい気持ちから、仕入れぎりぎりの単価を出すのはおすすめしません。最初の単価が低すぎると、スキルが伸びても上げにくいからです。

最初から「半年後に作業範囲を広げ、単価を見直したい」と上位の会社に伝えておくと、次の交渉がしやすくなります。

経験の浅いエンジニアの面談を通す準備

若手の面談は、できることを具体的に、できないことを正直に話せるよう準備すると通りやすくなります。客先は、完璧さよりも「任せて大丈夫か」を見ています。

準備すること具体的な内容
1分の自己紹介経験年数、直近の作業、今学んでいること
すぐできる作業「手順書があれば監視と一次対応はすぐ担当できます」など
学んだ証拠資格、研修で作ったもの、勉強している内容
分からないときの動き方調べる順番と、誰にいつ相談するか
逆質問「最初の1か月で担当する作業は何ですか」など

営業は当日、冒頭で若手の強みを1〜2文で補足します。「前の現場では、作業報告を毎日欠かさず出していました」のように、事実で伝えるのがコツです。

1分の自己紹介は、若手と一緒に作ると早く仕上がります。型はSES面談の自己紹介の例文|1分で経歴を伝える型を営業が教えるを使います。

若手のアサインで営業がやってはいけないこと

若手を決めたいときほど、経歴を盛る誘惑が出ます。これは一番やってはいけないことです。

やってはいけないこと起きる問題
経験年数を実際より長く書く参画後にばれて、契約終了や損害賠償の話になる
本人がやっていない作業をシートに書く面談の深掘りで答えられず、信用を失う
商流制限を無視して提案する上位の会社との取引を失う
本人の希望を聞かずに押し込むすぐに辞めたい、となり早期終了になる

経歴のずれは、参画後に発覚すると契約終了や損害賠償の話になります。書類の段階で、本人の言葉で説明できる内容かを確かめます。

自分で若手の提案を管理する方法

若手を決めるには、提案の数を増やし、結果を記録して打ち手を変えることが欠かせません。Excelやスプレッドシートで、若手ごとの提案管理表を作るのがおすすめです。

  1. 若手ごとに1シートを作る:スキル、希望、提案できる開始日を書く

  2. 提案した案件を1行ずつ記録する:案件名、商流、単価、提案日

  3. 結果と理由を書く:書類で落ちた、面談で落ちた、それぞれの理由

  4. 週に1回見返す:同じ理由で落ちていないかを確かめる

  5. 打ち手を変える:年数で落ちるなら案件の種類を、面談で落ちるなら準備を変える

ただ、自分で管理する方法には限界があります。若手向けの案件はもともと少ないため、案件メールを1通ずつ読んで探すと、見つかる前に待機が長引きます。

チョータツで若手向けの案件を探す母数を増やす

若手のアサインで一番効くのは、探せる案件の数を増やすことです。DrivenXのチョータツは、この母数づくりに使えます。

チョータツとは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールのことです。3,000社以上が利用していて、無料で始められます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
若手向けの案件を探す届いた案件メールを1通ずつ読む連携した他社の営業中案件をデータベースで見る
若手の情報を管理するExcelやフォルダに散らばる人材の情報を管理・共有する
若手を取引先に知らせるBCCでメールを一斉送信メール配信機能でパートナーに配信
情報を登録する手で転記するAIが入力を手伝う

他社と連携すると、連携先の営業中案件・営業中人材を自社のデータベースとして見られます。取引先が増えるほど、ロースキル可や育成前提の案件に出会う機会も増えます。

経験者とのセット提案を組みたいときも、連携先の営業中人材が候補になります。自社だけで2人そろわない場合の選択肢が広がります。

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の若手エンジニアの情報を登録する(AIが入力を手伝います)

  3. 取引先と連携し、お互いの営業中案件・人材を共有する

  4. 若手の情報を、メール配信機能でパートナーに届ける

よくある質問

Q. 経験1年のエンジニアでも、SESの案件は決まりますか?
決まります。ロースキル可や育成前提の案件、経験者とのセット提案を中心に探すと、決まりやすくなります。スキルシートでは、すぐできる作業を具体的に書きます。
Q. 未経験のエンジニアの案件が決まらないときは、どうすればいいですか?
自社の研修で基礎を固めてもらい、ヘルプデスクや運用監視など手順が決まった案件から探します。ITパスポート試験の合格など、学んだ証拠をそろえてから提案すると通りやすくなります。
Q. 若手の単価の目安はいくらですか?
経験年数別の公的な統計はありません。給与やBPへの支払いから逆算して決めます。厚生労働省の情報処理・通信技術者の派遣料金(1日34,382円・税込)は、上限の目安に使います。
Q. セット提案は、1名募集の案件でもできますか?
増員の予定があれば可能です。上位の会社に「経験者と若手の2名で提案してよいか」を先に聞きます。無理に押し込むと、関係を悪くします。
Q. ロースキルのエンジニアの提案で、一番大事なことは何ですか?
できることとできないことを正直に分けて伝えることです。経歴を盛ると、参画後にばれて契約終了につながります。
Q. 若手の待機が長引いたら、単価を下げるべきですか?
まず案件の探し方と見せ方を見直します。単価を下げすぎると後で上げにくいので、提案先の母数を増やすことを優先します。

まとめ

  • 若手のアサインが難しいのは、年数の条件、商流制限、育てる手間への不安、単価のずれ、見せ方の弱さが重なるから

  • ロースキル可・育成前提・チーム参画の案件を探すと、若手が通りやすい

  • 経験者と組にするセット提案は、客先の不安を減らせる。役割と単価は1人ずつ示す

  • スキルシートは、数字と「手順書があればできる作業」で強みを見せる

  • 単価は仕入れから逆算し、公的な派遣料金を上限の目安として確かめる

  • 経歴を盛るのは厳禁。できないことは正直に伝える

  • 若手向けの案件は少ないので、チョータツの連携で探す母数を増やす

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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