待機エンジニアが複数いるときの営業の優先順位|待機コスト・決まりやすさで決める判断表と待機会議

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

待機者が複数いるとき、営業は誰から決めるべき?

合計点が高い人から決めます。点数は「待機コスト」「決まりやすさ」「本人の状況」の3つで、それぞれ1〜3点をつけます。

待機とは、自社のエンジニアが案件に入っておらず、売上を生んでいない状態のことです。待機中も給与は発生するため、待機が長引くほど会社の利益が減ります。待機中の給与の扱いはSESの待機期間の給与と対応|休業手当の計算例と早く案件に入る7手順でくわしく解説しています。

待機者が1人なら迷いません。2人、3人と増えると、営業の時間は足りなくなります。「連絡が来た順」「声が大きい人から」で動くと、会社の損失が大きい人ほど後回しになりがちです。

優先順位を決める3つの物差し

優先順位は、会社の損失(待機コスト)、案件の見つかりやすさ(決まりやすさ)、本人の事情(本人の状況)の3つで決めます。1つだけで決めると、判断がかたよります。

物差し見るもの3点の例1点の例
待機コスト月給+会社負担の社会保険料月50万円以上かかる月30万円未満
決まりやすさスキルに合う営業中案件の数条件に合う案件が週5件以上週1件未満
本人の状況待機の長さ・離職の心配・希望の幅待機1か月超、転職を考えている待機1週間以内、希望が広い

待機コストとは、待機者1人のために会社が毎月払うお金のことです。給与だけでなく、会社が負担する社会保険料も入れて計算します。

決まりやすさは、スキルに合う営業中案件がどれだけあるかで見ます。営業中案件とは、今まさに人を募集している案件のことです。

本人の状況では、待機が長いほど点数を上げます。待機が長引くと、本人が不安になって転職を考え始めることがあるからです。

優先順位の判断表と計算例

3つの点数を足した合計で並べます。合計点が同じなら、待機コストの点数が高い人を先にします。

計算例:待機者が3人いる場合

待機者待機コスト決まりやすさ本人の状況
Aさん(Java・経験8年)3点(月55万円)3点(週8件)1点(待機5日)
Bさん(インフラ・経験3年)2点(月38万円)2点(週3件)3点(待機6週間)
Cさん(テスト・経験1年)1点(月27万円)1点(週1件未満)2点(待機3週間)

合計すると、Aさん7点、Bさん7点、Cさん4点です。AさんとBさんが同点なので、待機コストが高いAさんを1番にします。

ただし、順番は「営業の時間の配り方」の目安です。Aさんは案件が多いので、2〜3日で提案が一巡します。空いた時間でBさんの提案を進めれば、2人を同じ週に動かせます。

点数のつけ方を社内でそろえる

点数の基準は会社ごとに決めてかまいません。大切なのは、全員が同じ基準で点をつけることです。

  1. 待機コストの境目(例:30万円・50万円)を決める

  2. 決まりやすさは「先週届いた営業中案件のうち、スキルが合う件数」で数える

  3. 本人の状況は、待機の週数に、離職の心配があれば1点足す

  4. 点数表は待機会議の前日までに担当者が更新する

稼働中と待機中の人数を一覧にする方法は要員計画とは?SES企業の稼働・待機を見える化する作り方と様式で紹介しています。

優先度別の営業の動き方

優先度が高い人は「提案の数」、低い人は「条件の幅」を増やします。同じ動き方を全員に当てはめないことが大切です。

優先度合計点営業の動き方目標
高7〜9点合う案件に毎日提案する。面談の日程を最優先で調整する2週間以内に参画決定
中5〜6点週2回、まとめて提案する。スキルシートを見直す1か月以内に参画決定
低3〜4点条件を広げる相談をする。社内の案件や研修も検討する条件を変えて提案先を増やす

優先度が低い人には、決まらない原因を先に探します。原因の見つけ方はSESの案件が決まらない原因7つ|提案から参画までの詰まりを直す手順が参考になります。

経験1〜2年の若手が待機しているときは、提案先の選び方そのものを変える必要があります。SESの若手アサインが難しい理由5つと対策|経験1〜2年の提案術で、若手を受け入れやすい案件の探し方を紹介しています。

週次の待機会議の進め方

毎週決まった曜日に30分、待機者全員の順番と次の行動を決めます。担当者ごとの判断にすると、同じ案件に社内から何人も出してしまうことがあります。

待機会議の進め方(30分)

  1. 点数表の確認(5分):担当者が前日までに更新した点数と順番を見る

  2. 先週の結果(5分):提案数、面談数、決定数を待機者ごとに確認する

  3. 優先度「高」の人の案件割り当て(10分):今週提案する案件を、人ごとに決める

  4. 優先度「低」の人の条件相談(5分):どの条件を広げるか、誰が本人と話すかを決める

  5. 次の行動の記録(5分):担当者・期限・行動を表に書く

会議の記録のひな形

待機者今週の順番次の行動担当・期限
Aさん1案件3件に提案、面談日程を2日以内に調整田中・10月3日
Bさん2スキルシートに障害対応の実績を追記、案件2件に提案鈴木・10月4日
Cさん3リモート不可の案件も対象にするか本人と相談田中・10月2日

1つの案件に出すのは原則1人

同じ案件に自社の待機者を2人以上出すと、提案先から「誰でもいいのか」と思われます。1案件に出すのは1人と決め、出す人は待機会議で決めます。

同じ人を複数の案件に同時に出すことを「並行営業」と呼びます。ルールはSESの並行営業のルール|トラブルを防ぐ5つの決まり事と伝え方の例文で確認してください。

条件を広げる相談のしかた

決まりやすさの点数を上げるには、本人と条件を広げる相談をします。広げる条件は、単価・場所・リモートの有無・職種の4つが中心です。

広げる条件相談の例気をつけること
単価次の1案件だけ、提案単価を下げる給与は下げないことを伝える
場所通勤時間の上限を広げる交通費の扱いも一緒に説明する
リモート週2〜3日の出社も対象にする期間を決めて試す
職種開発から運用・テストも対象にする次の案件で希望に戻す計画を話す

本人への相談の例文

〇〇さん、今の条件で合う案件が先週は1件しかありませんでした。次の案件に早く入るために、条件の幅を少し広げる相談をさせてください。たとえば週2日の出社がある案件も対象にすると、候補は5件ほどに増えます。給与は変わりません。次の更新のタイミングで、フルリモートの案件に戻れるよう私も動きます。いかがでしょうか。

相談では、「会社の都合」ではなく「〇〇さんが早く次の案件に入るため」という理由を伝えます。広げた条件は、次の更新で元に戻す計画も一緒に話すと、納得してもらいやすくなります。

やってはいけないこと

  • 本人の同意なく、希望と違う案件に提案する

  • 決まりやすくするために、スキルシートの経験年数や役割を実際より多く書く

  • 待機が長い人に「このままだと困る」とだけ伝え、具体的な行動を示さない

経歴を実際より多く書くよう求められたときの断り方は、SESで経歴を盛ってと言われたら|断り方と営業が負うリスクで解説しています。

待機コストを会社の数字で確かめる

待機1人・1か月あたりのコストを出すと、優先順位の重みづけがぶれません。待機コストは、月給に会社負担の社会保険料を足して計算します。

会社の都合で自宅待機にした場合は、労働基準法第26条で平均賃金の60%以上の休業手当を払う必要があります。休業手当とは、会社の責任で仕事を休ませたときに払う手当のことです。社内待機で通常どおり出社させるなら、給与は満額です。

待機者がいる月の稼働率も確認します。稼働率の見方はSESの稼働管理の方法|待機を減らす稼働状況一覧と毎週12項目で紹介しています。

待機者の案件探しを楽にする方法

自分でやる場合は、届いた案件メールを毎日読み、待機者のスキルに合うものを探します。待機者が3人いれば、3人分の条件で同じメールを何度も読み直すことになります。

もっと楽にするなら、DrivenXのツールを組み合わせます。

困りごと自分でやる方法ツールを使う方法
待機者に合う案件が見つからないBPに毎日問い合わせるチョータツで連携した会社の営業中案件をデータベースで探す
案件メールが多すぎて読み切れない手作業でフォルダ分けするチョータツメールAIで案件メールと人材メールに自動で切り分ける
チーム提案で足りない役割があるBPに人材を依頼するxhoursでITフリーランスに直接スカウトする

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。パートナーと連携すると、他社の営業中案件と営業中人材がデータベースになります。3,000社以上が利用し、無料で始められます。

チョータツメールAIとは、メールインポート機能のことです。届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けます。案件・人材以外のメールはデータに残りません。

xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスのことです。待機者を中心に複数名で提案するとき、足りない役割の人を探せます。→ xhoursでフリーランスを探す

よくある質問

Q. 待機者が複数いるとき、誰から営業すればいいですか?
待機コスト・決まりやすさ・本人の状況の3つで1〜3点をつけ、合計点が高い人から営業します。同点なら、待機コストが大きい人を先にします。
Q. 待機が長い人を後回しにしてもいいですか?
営業の時間の配分は後回しにしても、放置はしません。待機が長い人には、条件を広げる相談を先に行い、決まりやすさの点数を上げます。
Q. 同じ案件に自社の待機者を2人出してもいいですか?
おすすめしません。提案先に「誰でもいい」と受け取られ、どちらも通りにくくなります。1案件に出すのは原則1人と決めておきます。
Q. 待機会議はどのくらいの頻度で開けばいいですか?
毎週1回、30分が目安です。点数表を前日までに更新しておくと、会議の時間を案件の割り当てと条件の相談に使えます。

まとめ

  • 待機者が複数いるときは、待機コスト・決まりやすさ・本人の状況の3つで点数をつける

  • 合計点が高い人から営業の時間を使い、同点なら待機コストが大きい人を先にする

  • 優先度が高い人は提案の数を、低い人は条件の幅を増やす

  • 毎週30分の待機会議で、順番と次の行動を決め直して記録する

  • 1案件に出す自社の待機者は原則1人にする

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

関連する記事