SESの案件が決まらない原因7つ|4段階の数字で詰まりを診断して直す手順
公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日
SESの案件が決まらないのは、4段階のどこかで詰まっているから
SESの案件が決まらないのは、提案から参画までの4つの段階のどこかで、人が落ちているからです。どこで落ちているかがわかれば、直す場所も決まります。
要員提案とは、お客さんの案件に、自社やBPのエンジニアを候補として紹介することです。BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。提案から参画までは、次の4段階で進みます。
| 段階 | やること | 次に進んだ数 |
|---|---|---|
| 1. 提案 | スキルシートと提案メールを送る | 提案数 |
| 2. 書類 | お客さんが書類を見て、面談するか決める | 面談数 |
| 3. 面談 | エンジニアとお客さんが顔合わせをする | 面談通過数 |
| 4. 条件合意 | 単価・開始日・勤務条件を決めて契約する | 決定数 |
「決まらない」と一言でいっても、提案が少ないのか、面談で落ちるのかで、打ち手はまったく違います。勘で直さず、数字で段階を特定するのが近道です。
数字で診断する|段階別の診断表
どこで詰まっているかは、4つの割合を計算するとわかります。直近1〜3か月の自分の数字を数えるだけで出せます。
書類通過率とは、提案した件数のうち、面談まで進んだ件数の割合のことです。面談通過率とは、面談した件数のうち、お客さんから「お願いしたい」と返事が来た件数の割合のことです。決定率とは、提案した件数のうち、契約まで決まった件数の割合のことです。
| 見る数字 | 計算式 | 詰まりのサイン | 疑う原因 |
|---|---|---|---|
| 提案数 | 1か月に送った提案の件数 | 前の月より減った/ほかの営業より少ない | 候補が少ない・提案が遅い |
| 書類通過率 | 面談数 ÷ 提案数 | 自社の過去の平均より低い | 条件のずれ・スキルシート・商流 |
| 面談通過率 | 面談通過数 ÷ 面談数 | 面談までは進むのに落ちる | 面談準備の不足 |
| 条件合意率 | 決定数 ÷ 面談通過数 | お客さんはOKなのに決まらない | 単価・開始日・並行営業 |
比べる相手は、自社の過去の数字と社内のほかの営業です。業界全体の平均を示す公的な統計は、2026年9月時点で見当たりません。そのため、まず自社の基準を作ることが大切です。
計算例:どの段階を直すべきか
営業Aさんの9月の数字が、次のとおりだったとします(例)。
提案数:40件
面談数:6件 → 書類通過率 = 6 ÷ 40 = 15%
面談通過数:3件 → 面談通過率 = 3 ÷ 6 = 50%
決定数:2件 → 条件合意率 = 2 ÷ 3 = 約67%
決定率 = 2 ÷ 40 = 5%
同じ部署の営業Bさんは、書類通過率が30%だったとします。するとAさんは、書類の段階で落ちているとわかります。この場合、面談の練習を増やしても効果は小さいです。先に「条件のずれ」と「スキルシート」を見直します。
SESの案件が決まらない原因7つ
案件が決まらない原因は、次の7つにまとめられます。どの段階の数字に出るかも合わせて見てください。
| 原因 | 数字に出る段階 | まず見るところ |
|---|---|---|
| 1. 提案できる候補が少ない | 提案数 | BPの数・人材情報の集め方 |
| 2. 案件と人材の条件がずれている | 書類通過 | 必須スキル・単価・開始日 |
| 3. 提案が遅い | 書類通過 | 案件を受けてから送るまでの時間 |
| 4. スキルシートが案件に合っていない | 書類通過 | 必須スキルとの対応の書き方 |
| 5. 商流が深く、情報が届かない | 書類通過・面談通過 | 自社が何次請けか |
| 6. 面談の準備が足りない | 面談通過 | 事前説明・同席・想定質問 |
| 7. 最後の条件調整で崩れる | 条件合意 | 単価・開始日・並行営業 |
1. 提案できる候補が少ない
提案数が少ないと、通過率が高くても決定数は増えません。原因の多くは、BPが少ないか、BPから届く人材情報を拾いきれていないことです。人材メールが1日に何十通も届き、見落としている例はよくあります。BPへの人材の集め方はSESの人材提案依頼の方法|BPから要員を早く集める依頼メール例文で解説しています。
2. 案件と人材の条件がずれている
書類で落ちる一番の原因は、必須条件を満たしていない人を出していることです。スキルだけでなく、単価・開始日・勤務地・リモートの可否も、ずれの原因になります。「数を出せば当たる」と考えて条件外の人を出すと、お客さんからの信頼も下がります。
3. 提案が遅い
人気のある案件は、早く出た候補から面談が組まれます。案件メールを受け取ってから、提案を送るまでの時間が長いと、中身がよくても書類で落ちます。遅れの原因は、候補探しと、エンジニア本人への意思確認にかかる時間です。
4. スキルシートが案件に合っていない
スキルシートとは、エンジニアの経歴やスキルを1枚にまとめた書類のことです。どの案件にも同じスキルシートを送ると、案件の必須スキルに合うかが伝わりません。必須スキルに対応する経験を、提案メールの冒頭で1行ずつ示すだけで伝わり方が変わります。
なお、スキルシートの出し方には注意点があります。根拠は、厚生労働省の37号告示の疑義応答集(第3集)Q7です。個人を特定できず、指名や拒否に使えない形のスキルシートの提出なら、直ちに偽装請負にはならないとされています。ただし、お客さんが特定の人を指名したり、就業を拒否したりすると、適正な請負等とは認められません。スキルシートはイニシャル表記にするなど、個人を特定できない形で出しましょう。詳しくはSESの事前面談は違法?営業が守りたい適法な進め方7つとNG例をご覧ください。
5. 商流が深く、情報が届かない
商流とは、仕事がエンド(発注元の会社)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。商流が深いと、案件の本当の条件が途中で抜け落ちます。また、間の会社ごとに選考があるため、面談の回数も増えがちです。
6. 面談の準備が足りない
面談で落ちるのは、スキル不足よりも、話し方・準備不足・条件の食い違いが原因のことが多いです。エンジニアが案件の中身を知らないまま面談に出ると、答えがかみ合いません。営業が同席せず、条件の質問にエンジニアが答えて食い違うこともあります。
7. 最後の条件調整で崩れる
お客さんがOKでも、単価・開始日・並行営業で決まらないことがあります。並行営業とは、1人のエンジニアを、同時に複数の案件に提案することです。先に別の案件で決まってしまい、辞退になるのが典型的な形です。同時合格したときの選び方と断り方は、SESで複数の案件に同時合格したら|選ぶ基準と断り方の例文にまとめています。
段階別の直し方|詰まりを直す5つの手順
詰まりは、数字を出す→1つ選ぶ→1つ試す→比べるの順で直します。一度に全部直そうとすると、何が効いたのかわからなくなります。
直近1〜3か月の数字を出す:提案数・面談数・面談通過数・決定数を、営業ごとに数える
一番落ちている段階を1つ選ぶ:自社の過去の数字や、ほかの営業と比べて一番低い段階を選ぶ
その段階の打ち手を1つ決める:下の表から1つだけ選ぶ
2週間ためす:打ち手を変えずに続け、同じ数字を記録する
前と比べて、続けるか変えるか決める:上がっていれば続け、変わらなければ次の打ち手に移る
| 詰まっている段階 | 打ち手の例 | 測る数字 |
|---|---|---|
| 提案数 | BPを増やす/人材メールを見落とさない仕組みにする | 提案数 |
| 書類通過 | 必須条件を満たす人だけ出す/当日中に出す/冒頭に対応表を書く | 書類通過率 |
| 面談通過 | 前日の事前説明/想定質問の練習/営業が同席する | 面談通過率 |
| 条件合意 | 提案前に単価と開始日を確定する/並行営業のルールを伝える | 条件合意率 |
提案の早さを上げる具体的な方法は、SESの要員提案スピードと精度を上げる方法|流れと管理のコツ6つで解説しています。
提案前の確認チェックリスト10項目
書類と条件合意の段階で落ちる原因の多くは、提案する前に確認すれば防げるものです。提案メールを送る前に、次の10項目を確認します。
案件の必須スキルを、候補者がすべて満たしている
候補者の希望単価で、自社の利益が確保できる
開始日に間違いなく参画できる(今の現場の終了日を確認済み)
勤務地・出社の頻度・リモートの可否に、本人が納得している
本人に案件の中身を説明し、提案してよいと了解をもらっている
ほかに提案中の案件と、その結果が出る日を把握している
自社が何次請けか、商流の制限(何次まで可か)を確認している
スキルシートを案件に合わせて、必須スキルに対応する経験を上に書いた
提案メールの冒頭に、必須スキルとの対応を1行ずつ書いた
面談の候補日を、本人から3つ以上もらっている
商流の確認のしかたは、SESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文に質問の例文があります。
会社として案件が決まらないときの対策
会社全体で決まらないときは、個人の努力ではなく情報と数字の仕組みを見直します。営業ごとにやり方がばらばらだと、うまくいく方法が社内に広がらないからです。
案件・人材の情報を1か所にまとめる
案件メールと人材メールが、営業ごとの受信箱に散らばっていると、社内に合う人がいても気づけません。案件と人材の情報を1か所にまとめ、全員が同じものを見られる状態にします。Excelで始める場合は、案件名・必須スキル・単価・開始日・商流・担当者を必ず列に入れます。
数字を毎週同じ形で見る
毎週の営業会議で、営業ごとの提案数・面談数・決定数を同じ表で並べます。数字の定義を全員でそろえることが大切です。「面談」に社内面談を含めるかなど、数え方がずれると比べられません。
取引するBPを見直す
書類通過率が低いBPの案件ばかり追っていると、決まりにくくなります。BPごとの書類通過率と決定数を数え、決まりやすい取引先に時間をかけるようにします。BPの評価のしかたは、次に読む記事の「BP評価の指標と管理方法」で解説しています。
詰まりを記録する「提案管理表」の項目
原因を数字で見るには、提案ごとに記録を残す必要があります。Excelやスプレッドシートで、次の項目を1行1提案で記録します。
| 項目 | 記入例 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 提案日・案件名・BP名 | 2026年10月5日(月)/〇〇社 Java案件 | 提案数・BP別の集計 |
| 候補者・商流 | 山田(仮名)/三次請け | 商流別の通過率 |
| 各段階の結果と日付 | 書類OK 10月7日(水)/面談NG 10月9日(金) | 段階別の通過率 |
| 落ちた理由 | 「必須のAWS経験が浅い」 | 原因の分類 |
落ちた理由を必ず聞いて書くのがポイントです。理由がたまると、7つの原因のどれが多いかが見えてきます。理由の聞き方と記録の分類は、SES面談の見送り理由の聞き方|例文と次の提案に活かす記録法で解説しています。
見送りの連絡を受けたら、次の一文で理由を聞きます。
ご検討ありがとうございました。承知いたしました。 次のご提案の精度を上げたいので、差し支えなければ 「スキル」「単価」「開始日」「面談の印象」のうち、 いちばん大きかった理由を一言だけ教えていただけますか。
チョータツで「提案数」と「提案の早さ」を上げる
自分でやる方法でも詰まりは直せますが、候補探しと人材メールの整理に一番時間がかかります。この2つは、DrivenXのツールで短くできます。
| 場面 | 自分でやる場合 | DrivenXのツールを使う場合 |
|---|---|---|
| 候補を探す | BPに1社ずつ問い合わせる | チョータツで連携した他社の営業中人材を探す |
| 人材メールを整理する | 1通ずつ読んで仕分け・転記 | チョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分け |
| 社内で共有する | 営業ごとのExcel・受信箱 | チョータツで案件・人材を管理・共有 |
| BPに人がいない | 別のBPを探し直す | xhoursでITフリーランスに直接スカウト |
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。他社と連携すると、相手の営業中案件・営業中人材をデータベースとして見られます。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。
チョータツメールAIとは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分ける機能のことです。メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。転送設定で取り込めて、案件・人材以外のメールはデータに残りません。人材メールの見落としが減るので、提案数の段階の詰まりに効きます。
BPの人材で合う人がいないときは、DrivenXのxhours(エックスアワーズ)も使えます。xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスのことです。数千名のフリーランスのデータベースから探せます。
使い始める流れ
チョータツに無料で登録する
自社の案件・人材を登録する(AIが入力を手伝う)
取引のあるBPと連携し、お互いの営業中案件・人材を共有する
チョータツメールAIの転送設定をして、BPからのメールを取り込む
案件が来たら、連携先の人材から候補を探して提案する
よくある質問
- Q. SESの案件が決まらないとき、最初に何をすればいいですか?
- 直近1〜3か月の提案数・面談数・面談通過数・決定数を数えます。4つの割合を出し、一番低い段階から直します。
- Q. 提案がなかなか通らない理由は何ですか?
- 多いのは、必須条件を満たさない人の提案、提案の遅さ、案件に合っていないスキルシートの3つです。提案前チェックの10項目で防げます。
- Q. 面談までは行くのに決まらないのはなぜですか?
- 面談の準備不足か、最後の条件調整が原因です。面談通過率と条件合意率のどちらが低いかを見て、打ち手を分けます。面談通過率の上げ方はSESの面談通過率を上げる方法|平均の目安と営業ができる事前準備8つにまとめました。
- Q. 提案数を増やせば決まりますか?
- 提案数が少ない場合は増えます。ただし、条件外の人を出して数を増やすと、書類通過率が下がり、お客さんの信頼も落ちます。
- Q. 案件が決まらない期間、エンジニアの給与はどうなりますか?
- 案件に入れない期間は待機期間になります。自社で雇う社員を会社の責任による理由で休ませる場合は、労働基準法26条により平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。
- Q. 並行営業はしてもいいですか?
- 一般的に行われていますが、提案先に伝えるなどルールを決めておくと、条件合意の段階でのトラブルを防げます。
まとめ
案件が決まらない原因は、提案数・書類通過・面談通過・条件合意の4段階のどこかにある
4つの割合を計算し、自社の過去の数字やほかの営業と比べて、一番低い段階を見つける
原因は7つ:候補が少ない、条件のずれ、提案の遅さ、スキルシート、商流の深さ、面談準備、最後の条件調整
直すのは1つずつ。2週間ためして数字を比べる
提案前の10項目チェックで、書類と条件合意の段階の多くの失敗を防げる
会社としては、情報を1か所にまとめ、数字を毎週同じ形で見る
候補探しと人材メールの整理は、チョータツとチョータツメールAIで短くできる
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日
参考資料(2026年9月30日確認)
厚生労働省「37号告示に関する疑義応答集(第3集)」(Q7:スキルシートと個人の指名)
e-Gov法令検索「労働基準法」(第26条 休業手当)