SESのロースキル案件の探し方|若手向け案件7種類と取引先の見分け方、避けたい案件のサイン

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESのロースキル案件とは?

ロースキル案件とは、実務の経験が浅いエンジニアでも参画しやすい案件のことです。SES業界で使われる俗称で、決まった定義はありません。この記事では、実務経験がおおむね2年以下の人を受け入れやすい案件を指します。

「ロースキル」は社内や取引先との会話で使う言葉です。エンジニア本人や提案文では、「経験浅め」「若手」「育成前提」などの言い方に変えるのがおすすめです。本人のやる気を下げず、客先にも前向きな印象を与えられます。

営業がロースキル案件を探す理由は、若手の待機を減らすためです。待機とは、エンジニアが案件に入れず、売上がない状態のことです。若手は経験者より決まりにくいため、専用の探し方が必要になります。

若手を受け入れやすい案件の種類7つ

若手を受け入れやすい案件は、次の7種類です。どれも手順が決まっていて、先輩やリーダーと一緒に動けるという共通点があります。

案件の種類主な作業決まりやすい人の特徴
1. ヘルプデスク社員からのPC・システムの問い合わせに答える話すのが苦にならない。ITパスポートなどの資格
2. キッティング新しいPCの初期設定やソフトの導入手順書どおりに正確に作業できる
3. 運用監視サーバーやネットワークの監視と、異常時の連絡シフト勤務・夜勤に対応できる
4. 運用保守決まった手順での設定変更や定期作業Linuxやネットワークの基礎知識
5. テスト・検証テストの手順書に沿って動かし、結果を記録する細かい違いに気づける。記録が丁寧
6. ネットワーク・サーバー構築の補助配線、機器の設置、手順書に沿った設定CCNAなどの資格や、自宅での学習経験
7. 開発の下流工程決まった仕様でのプログラムの修正と単体テスト研修で1つ以上の言語を学んでいる

ヘルプデスク・キッティング

ヘルプデスクとは、社員から「PCが動かない」などの問い合わせを受けて、解決する仕事のことです。キッティングとは、新しいPCに初期設定やソフトを入れ、すぐ使える状態にする作業のことです。

どちらも、IT未経験に近い人でも始めやすい案件です。春の入社時期や、会社のPCの入れ替え時期に、まとまった人数を募集することがあります。

運用監視・運用保守

運用監視とは、サーバーやネットワークが止まっていないかを画面で見守り、異常があれば担当者に連絡する仕事のことです。運用保守とは、動いているシステムを、決まった手順で点検・修正する仕事のことです。

運用監視は24時間体制の現場が多く、シフト勤務に対応できる人は決まりやすくなります。運用監視から運用保守、そして構築へと、段階的に経験を積めるのも利点です。

テスト・検証

テスト・検証とは、作られたシステムが仕様どおりに動くかを、手順書に沿って確かめる仕事のことです。開発会社とは別の会社が確かめることを第三者検証と呼びます。

テストの案件は、1つの現場で複数名を募集することが多いのが特徴です。開発の知識を少しずつ身につけられるため、開発職を目指す若手の入口になります。

職種ごとの仕事内容はSES案件の職種一覧|営業が覚えるIT職種の分類と仕事内容・単価目安で確認できます。

ロースキル案件を多く持つ取引先の見分け方

ロースキル案件を多く持つのは、運用やサポートの仕事をまとめて請け負っている会社です。1つの現場に何人も人が必要なので、経験の浅い人も含めて募集しやすいからです。

会社のタイプ若手の案件が多い理由見分けるサイン
運用・保守を請け負う会社監視や定期作業に、多くの人手が要るサイトに「運用保守」「24時間監視」の実績がある
ヘルプデスクを受託する会社問い合わせ窓口を、チームで運営している「サービスデスク」「ITサポート」の事業がある
テスト・検証の専門会社1つの現場に複数名を入れる「第三者検証」「QA」の事業がある
地方に拠点がある会社拠点で運用やテストを受けていることがある地方の拠点で運用やテストを行っていると書いている
教育・研修の仕組みがある会社若手を育ててから現場に出す考え方がある研修制度や、若手の参画事例を公開している

案件メールに出るサイン

取引先から届く案件メールにも、若手を受け入れやすい会社かどうかのサインが出ます。次の言葉が多い会社は、候補にしてよいでしょう。

  • 「未経験可」「経験1年〜」「経験浅め可」

  • 「人物重視」「コミュニケーション重視」

  • 「複数名募集」「増員」「チームでの参画」

  • 「手順書あり」「OJTあり」「リーダーの下で作業」

  • 「長期」「シフト制」「夜勤あり」

反対に、「即戦力」「単独で完結」「リーダー経験必須」が多い会社は、経験者向けの案件が中心です。同じ会社でも、部署や担当者によって案件の傾向が違うことがあるので、担当者ごとに見るのがコツです。

ロースキル案件の取引先の見つけ方5つ

ロースキル案件の取引先は、次の5つの方法で見つけます。今日から始めるなら1と4、数を増やすなら2と5がおすすめです。

  1. 届いている案件メールを、言葉で検索する
    メールソフトで「未経験可」「ヘルプデスク」「運用監視」などを検索します。送り主の会社を一覧にすると、若手の案件を多く出す会社がわかります。

  2. パートナー募集ページを探す
    Googleで検索します。例は "運用保守" "パートナー募集"、"ヘルプデスク" "ビジネスパートナー"、"第三者検証" "協力会社募集" です。求める人材の条件が書かれていることも多いです。

  3. 交流会や情報交換で、受け入れ実績を聞く
    「経験1〜2年の方が参画した事例はありますか」と具体的に聞きます。実績がある会社は、どんな人が決まったかをすぐ答えられます。

  4. 今のBPに聞く
    付き合いのある取引先に、若手の案件を多く持つ会社を知らないか聞きます。紹介なら、最初から信頼関係があります。

  5. チョータツブーストで新しいパートナーを開拓する
    チョータツの中で新しいパートナー企業とつながれます。詳しくは下の「チョータツ・チョータツブーストで若手向けの取引先を増やす」で解説しています。

案件メールがたまって探しにくいときは、SESの案件メール整理方法|Outlook振り分けと見落とし防止策が役に立ちます。

情報交換で聞く質問8つ

新しい取引先と初めて話すときは、次の8つを聞くと、若手を任せてよい会社かがわかります。

  1. 経験1〜2年の人が参画した案件は、ここ半年で何件ありましたか

  2. 案件の主な種類は何ですか(ヘルプデスク・監視・テストなど)

  3. 現場に、御社や元請けのリーダー・責任者はいますか

  4. 作業の指示は、誰から出ますか

  5. エンドから見て、御社は何番目の会社ですか

  6. 再委託(さらに別の会社へ出すこと)の制限はありますか

  7. 面談は何回ですか。面談にはどなたが出ますか

  8. 若手が参画した後、どのくらい延長されていますか

ほかの質問はSESの情報交換のやり方|初回面談で聞く質問15と次につなげるコツにまとめています。

若手を決めるための提案のコツ

ロースキル案件で若手を決めるには、経験の少なさを、やる気と準備の具体的な証拠で補うことが大切です。客先は「任せて大丈夫か」を見ているからです。

伝えること具体的な書き方の例
学んだこと「研修でLinuxの基本コマンドとネットワークの基礎を3か月学習」
資格「ITパスポート試験に合格。基本情報技術者試験を勉強中」
仕事の姿勢「前職の接客業で、1日50件の問い合わせに対応」
勤怠「研修期間中の遅刻・欠勤なし」

ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。ITパスポートはITを使うすべての社会人向け、基本情報技術者はIT技術者の基本となる試験です。どちらも若手の学習の証拠として示しやすい資格です。

提案メールには、スキルシートに加えて「どんな作業ならすぐできるか」を1〜2行で書きます。「手順書があれば、監視と一次対応はすぐに担当できます」のように書くと、客先が現場での姿を想像しやすくなります。

提案の進め方はSESの若手アサインが難しい理由5つと対策|経験1〜2年の提案術で詳しく解説しています。

若手を面談に出すときは、1分の自己紹介を事前に練習させると通過しやすくなります。型はSES面談の自己紹介の例文|1分で経歴を伝える型を営業が教えるで紹介しています。

若手を提案するメールの一文(例)

経験1年のため、手順書に沿った監視と一次対応から担当させてください。研修でLinuxとネットワークの基礎を3か月学び、ITパスポートに合格しています。3か月後に定期作業まで広げられるよう、弊社でも週1回フォローします。

偽装請負・多重下請けになりやすい案件の見抜き方

若手向けの案件には、偽装請負や多重下請けになりやすいものが混ざっています。常駐して現場の指示で動く仕事が多く、1つの現場に多くの会社が人を出すためです。提案する前に、次のサインがないかを確認してください。

偽装請負・多重下請けとは?

偽装請負とは、契約は準委任や請負なのに、実際は派遣と同じ状態になっていることです。客先が直接エンジニアに作業を指示している場合が典型です。準委任とは、成果物の完成ではなく、作業をすること自体を引き受ける契約のことです。

請負か派遣かを分ける基準として、厚生労働省の昭和61年労働省告示第37号(通称37号告示)があります。請負として認められるには、受けた会社が自分で作業の指示や労働時間の管理を行うことなどが必要です。

多重下請けとは、エンドから仕事が何社も通って流れ、商流が深くなっている状態のことです。商流が深いほど、途中の会社の取り分で単価が下がり、指示の出どころもあいまいになります。公正取引委員会も、2022年6月にソフトウェア業の下請取引の実態調査を公表し、多重下請け構造の問題を取り上げています。

二重派遣とは、派遣された人を、さらに別の会社に派遣して働かせることです。職業安定法第44条で禁止されている労働者供給にあたるおそれがあります。

危ない案件のサイン8つ

危ないサインなぜ危ないか提案前に確認すること
1. 「客先の社員の指示で作業」と書いてある客先が直接指示すると、偽装請負になるおそれ指示を出すのは誰か。自社か上位の会社の責任者はいるか
2. 一人で常駐し、現場に責任者がいない指示を受ける人がいないと、客先の指示で動きがち業務の責任者を置く体制か
3. 商流を聞いても答えない何社目かわからず、多重下請けの可能性エンドから何社目か、書面で確認できるか
4. 商流制限の記載がない何社も通ってきた案件のことがある「貴社まで」「1社先まで」などの制限の有無
5. 勤怠を客先が直接管理する労働時間を客先が管理すると、派遣と同じになりやすい勤怠の報告先はどこか
6. 別の会社の名刺を持たせる所属を偽る働き方は、トラブルのもと自社の所属のまま参画できるか
7. 単価が相場より大きく低い途中の会社が多く、取り分が重なっている可能性商流の深さと単価を並べて確認
8. 契約書・注文書を出さずに開始を急ぐ条件があいまいなまま作業が始まる開始日までに書面がそろうか

特に1・2・3は、若手向けの案件で起きやすいサインです。若手本人は指示の出どころの問題に気づきにくいため、営業が事前に確かめるしかありません。

確認のメール例文

商流と指示の体制を確かめるときの例です。

例文・テンプレート
件名:【確認】運用監視案件(10月開始)の体制について

株式会社〇〇
□□様

いつもお世話になっております。株式会社△△の◇◇です。
ご紹介いただいた運用監視案件について、
2026年10月5日(月)までに次の3点を教えてください。

1. エンドから見た貴社の位置(何社目か)
2. 現場で作業の指示を出す方の所属(貴社・上位の会社・エンドのどれか)
3. 勤怠の報告先

弊社の若手(経験1年)をご提案したく、
事前に体制を確認させていただいております。
よろしくお願いいたします。

答えがあいまいなまま開始日だけが迫るときは、提案を見送る判断も大切です。1件の成約より、若手を安全な現場に出すことを優先します。

詳しい基準は偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選と予防策で確認してください。一人で常駐する場合の体制はSESの一人常駐・一人請負は違法?偽装請負の境目と指示ルートで解説しています。

チョータツ・チョータツブーストで若手向けの取引先を増やす

ここまでの方法は、すべて自分でもできます。ただ、若手向けの案件は、取引先の数が少ないと、待機が長引きやすいのが悩みです。DrivenXのチョータツを使うと、取引先の開拓と、案件情報の把握をまとめて進められます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
若手の案件を持つ取引先を探す検索・交流会・紹介で1社ずつチョータツブーストで新しいパートナーを開拓する
取引先の案件を把握する届いたメールを1通ずつ読んで探す連携した会社の営業中案件がデータベースになる
自社の若手を知らせるBCCで一斉にメールを送るパートナーへのメール配信機能で届ける
社内で情報をそろえる担当者ごとにファイルが散らばる案件・人材の情報を1か所で管理・共有できる

チョータツとは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。他社と連携すると、その会社の営業中案件・営業中人材を自社のデータベースとして見られます。

チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能のことです。運用保守やテストの案件を持つ会社とつながる機会を増やせれば、若手の参画先の選択肢が広がります。

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の若手エンジニアの情報を登録する(AIが入力を手伝う)

  3. チョータツブーストで、新しいパートナーを開拓する

  4. つながった会社と連携し、お互いの営業中案件・人材を共有する

  5. 提案前に、商流と指示の体制を確認してから提案する

よくある質問

Q. SESで未経験の人を受け入れる案件はありますか?
あります。ヘルプデスクやキッティング、運用監視は、IT未経験に近い人でも受け入れる現場があります。研修の内容や資格など、学んだ証拠をそろえて提案すると決まりやすくなります。
Q. 若手向けの案件を持つ取引先は、どう探せばいいですか?
届いている案件メールを「未経験可」「運用監視」などで検索し、送り主の会社を一覧にするのが一番早い方法です。そのうえで、パートナー募集ページの検索やチョータツブーストで数を増やします。
Q. 運用保守の案件はどこに多いですか?
システムの運用や保守をまとめて請け負っている会社や、24時間の監視体制を持つ会社に多い傾向があります。サイトに運用保守や監視の実績が載っている会社を探しましょう。
Q. ロースキル案件は単価が低いですか?
経験者向けの案件より低めになることが多いです。ただし相場より大きく低い場合は、商流が深い可能性があります。商流を確認してから提案しましょう。
Q. 一人で常駐する若手向け案件は、提案しないほうがいいですか?
一人常駐がすぐに違法になるわけではありません。ただし、客先の社員から直接指示を受ける状態になりやすいので、指示の出し方と責任者の体制を必ず確認してください。
Q. 若手を提案するとき、「ロースキル」と書いてもいいですか?
提案文では避けるのがおすすめです。「経験1年」「育成前提でのご相談」のように、事実と前向きな言葉で伝えましょう。

まとめ

  • ロースキル案件とは、実務経験が浅い人でも参画しやすい案件を指す俗称

  • 受け入れやすいのは、ヘルプデスク・キッティング・運用監視・運用保守・テストなど7種類

  • 案件を多く持つのは、運用やサポート、テストをまとめて請け負う会社

  • 見つけ方は、メール検索・募集ページ・情報交換・今のBP・チョータツブーストの5つ

  • 提案では、学んだことや資格など、具体的な証拠で経験の少なさを補う

  • 「客先の指示で作業」「一人常駐」「商流が言えない」の案件は、提案前に体制を確認する

  • 取引先は、若手の受け入れ実績と、現場に責任者がいるかで選ぶ

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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