フリーランスエンジニアは増えすぎ?公的調査の人数と、SES営業の仕入れ・単価・競合への影響

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

フリーランスは本当に増えすぎ?公的調査の答え

答えは「全体では増えすぎとは言えない」です。 国の大きな調査で、本業がフリーランスの人は働く人の3.1%でした。30人に1人ほどの割合です。

フリーランスとは、お店を持たず、人も雇わずに、一人で仕事を受けて収入を得る人のことです。 総務省の調査では「実店舗がなく、雇人もいない自営業主又は一人社長であって、その仕事で収入を得る者」と決めています。国のガイドラインの考え方に合わせた決め方です。

総務省の「令和4年就業構造基本調査」で、フリーランスの人数が初めて本格的に集計されました。主な数字は次のとおりです。

区分人数働く人全体に占める割合
フリーランス(本業・副業の合計)257.4万人3.8%
本業がフリーランス209.4万人3.1%
副業だけフリーランス48.0万人0.7%

※ 総務省「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」表6-1(2022年10月1日時点)。2026年9月に確認。

年齢で見ると、本業フリーランスが最も多いのは「45〜49歳」で24万人です。若い人ばかりが独立しているわけではありません。

人数の推移はどう読む?「増えた」と言い切れない理由

国の数字で長い推移を追うと、一人で働く人は増えていません。 フリーランスという区分は2022年に初めて集計されたため、昔と同じ物差しで比べられないからです。

そこで、近い区分である「自営業主」の推移を見ます。雇人がいない業主とは、ふだん給料を払う従業員を雇わず、一人か家族だけで事業をする人のことです。

年自営業主(全体)うち雇人がいない業主
2002年704.1万人―
2012年591.0万人―
2017年561.7万人402.0万人
2022年510.8万人397.7万人

※ 総務省「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」表2-1・図より。自営業主には農業や商店主なども含みます。

自営業主は20年で約190万人減りました。雇人がいない業主も、5年で4.3万人の減少です。「フリーランスが爆発的に増えている」という話は、公的データでは裏付けられません。

では、なぜ「増えすぎ」と感じるのか

営業の現場で「増えた」と感じる理由は、主に3つ考えられます。

  1. IT分野は割合が高い。 全体は3.1%でも、情報通信業では5.2%です(次の見出しで説明します)。

  2. エージェントや案件サイトが増え、目に入る機会が増えた。 人数が同じでも、表に出てくる人が増えると多く見えます。

  3. 民間の調査は数え方が広い。 副業や、たまに仕事を受ける人まで含めると、数字は大きくなります。

民間の調査は、会社ごとに対象や数え方が違います。社内資料や取引先への説明では、出典と定義をそろえて使うのが安全です。

IT分野のフリーランスは何人?業界別・地域別の数字

IT分野(情報通信業)で本業がフリーランスの人は15.3万人です。 情報通信業で働く人に占める割合は5.2%で、全体の3.1%を上回ります。

分け方本業フリーランスの人数その分野で働く人に占める割合
全体209.4万人3.1%
情報通信業15.3万人5.2%
学術研究、専門・技術サービス業(最も割合が高い)36.7万人13.5%
東京都(都道府県で最も割合が高い)35万人4.2%

※ 総務省「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」表6-2・表6-3。

SES営業が多い東京は、フリーランスの割合が全国で一番高い地域です。東京で動くSES会社ほど、BPの個人フリーランスと出会う機会が多いといえます。

情報通信業の15.3万人には、エンジニア以外の職種も含まれます。「ITエンジニアのフリーランスが何人か」を直接示す公的な数字ではない点に注意しましょう。

案件倍率と有効求人倍率で「人は足りているか」を見る

IT人材は、今もまだ「求人のほうが多い」状態です。 ITエンジニアにあたる職業の有効求人倍率は、2026年7月で1.50倍でした。

有効求人倍率とは、仕事を探す人1人に対して、求人が何件あるかを示す数字のことです。 1倍を超えると、人が足りない状態を表します。

時期情報処理・通信技術者(常用・パート除く)全職業(常用・パート除く)
2023年7月1.67倍1.22倍
2025年7月1.63倍1.19倍
2026年7月1.50倍1.16倍

※ 厚生労働省「一般職業紹介状況」参考統計表(原数値)。ハローワーク経由の数字です。

2026年7月は、前年より仕事を探す人が5.7%増え、求人は3.0%減りました。倍率は下がりましたが、全職業より高い水準は続いています。「フリーランスが余っている」とまでは言えない数字です。

案件倍率とは、フリーランス向けのエージェントが出す「登録者1人あたりの案件数」の目安のことです。 各社の数え方が違うため、会社をまたいで比べないようにします。自社の提案に使うなら、公的な有効求人倍率を土台にしましょう。

→ 詳しい推移はITエンジニアの有効求人倍率の推移|公的データで見る採用と営業の今にまとめています。

SES営業への影響は3つ:仕入れ・単価・競合エージェント

BPの個人フリーランスが増えると、SES営業には「チャンス」と「競争」が同時に来ます。 影響は次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

影響起きること営業の打ち手
仕入れ(要員調達)BP企業の社員だけでなく、個人も候補になる個人と直接つながるルートを1本持つ
単価同じスキルの候補が並び、比べられやすくなる仕入れ値の上限を案件ごとに先に決める
競合エージェント同じ人を複数の会社が取り合う提案の速さと、案件情報の正確さで選ばれる

影響1:仕入れ(要員調達)の選択肢が広がる

IT分野でフリーランスの割合が高いことは、仕入れ先が増えることを意味します。 BP企業に空きがない案件でも、個人に声をかけて埋められる場合があります。

ただし元請けによっては「個人事業主NG」の商流制限があります。案件票の条件を先に確かめてから候補を探しましょう。BPが無断で個人を下に入れていたときはSESでBPが無断で商流を増やしていたら|発覚時の対応と再発防止で解説しています。

影響2:単価は「比べられやすく」なる

候補が増えると、同じスキルで単価を比べられる場面が増えます。 とはいえ有効求人倍率は1.50倍で、経験のある人は今も取り合いです。「人が増えたから安く仕入れられる」と考えるのは危険です。

仕入れ値は、案件の提案単価から自社の粗利を引いて決めるのが基本です。相場の目安はフリーランスエンジニアの単価相場|SES営業の仕入れ値の目安で確認できます。

影響3:フリーランスエージェントとの取り合いになる

フリーランスを抱えるエージェントは、SES会社の仕入れ先でもあり、競合でもあります。 同じ人が複数のエージェントに登録していることは珍しくありません。

エージェント経由だと、自社と本人の間に1社増えて、その分のマージンが毎月乗ります。付き合い方はITフリーランスエージェントとBP取引する方法|SES営業の仕入れ術で詳しく解説しています。

見落としやすい4つ目:フリーランス法への対応

個人に直接発注するなら、2024年11月1日に始まったフリーランス法を守る必要があります。 取引条件の明示や、原則60日以内の支払いなどが求められます。個人のBPが増えるほど、この手続きの件数も増えます。

→ 実務の流れはフリーランス法のSES対応|発注者の義務7つと実務チェック表へ。

仕入れ先としてフリーランスを使う6つの手順

フリーランスを仕入れ先に加えるなら、「条件を決める → 探す → 確かめる → 契約する」の順で進めます。 自分で進める場合の手順は次のとおりです。

  1. 案件の条件を確かめる。 商流制限(個人事業主OKか)、稼働日数、リモート可否を案件票で見る

  2. 仕入れ値の上限を決める。 提案単価 ×(1 − 目標粗利率)で計算する

  3. 探すルートを選ぶ。 急ぎはエージェント、長い案件は直接スカウトやBPからの紹介を使う

  4. 本人の状況を確かめる。 他社の面談状況、ほかの案件との二重契約がないかを聞く

  5. 契約書類をそろえる。 業務委託契約と、フリーランス法の取引条件の明示を準備する

  6. 支払い日を上位の入金日とそろえる。 60日以内に払えるよう、締め日と支払日を決める

計算例:仕入れルートで粗利はどう変わるか

手順2の上限は、たとえば提案単価80万円・目標粗利率12.5%なら、80万円×(1−0.125)=70万円です。

次は、説明のための仮の数字です。提案単価は月80万円、同じ人を2つのルートで仕入れる場合を比べます。

ルート仕入れ値(月)自社の粗利(月)6か月の粗利
エージェント経由72万円8万円48万円
本人と直接契約70万円10万円60万円

直接契約なら、本人の手取りを減らさずに自社の粗利を残せることがあります。長い案件ほど、この差は大きくなります。 ただし直接契約では、契約や支払いの手続きを自社で行う必要があります。

個人フリーランスを受け入れる前のチェックリスト8項目

個人のBPと取引を始める前に、次の8項目を確かめましょう。 会社のBPより情報が少ないぶん、最初の確認が大切です。

#確認すること見るポイント
1案件の商流制限「個人事業主NG」「一社先まで」などの条件
2本人確認氏名・住所・屋号、開業届や名刺など
3反社チェック個人名での確認方法を決めておく
4インボイス登録登録番号の有無で実質の仕入れ値が変わる
5二重契約の有無ほかの案件と稼働が重ならないか
6働き方の実態自社が細かく指示を出す形になっていないか
7取引条件の明示業務内容・報酬・支払期日を書面やメールで示す
8引き抜き条項エンドや上位と直接契約しない約束があるか

6番は特に大切です。実態が雇用と同じだと、「偽装フリーランス」とみなされるおそれがあります。 判断の目安は業務委託の労働者性の判断基準|偽装フリーランスを防ぐ8項目で確認できます。

二重契約が参画後にわかったときは、SESのBP要員の案件掛け持ちが発覚したら|契約違反の判断と対応にまとめています。

チョータツとxhoursで仕入れルートを増やす

自分で進める方法は、どれも「探す・聞く・記録する」を手作業でくり返します。 候補が増えるほど、メールやExcelでの管理が追いつかなくなります。DrivenXのツールを使うと、この手間を減らせます。

場面自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
BPの人材情報を集める届いたメールを読んでExcelに転記チョータツで連携すると、相手の営業中人材がデータベースになる
社内で候補を共有するファイルを送り合うチョータツで案件・人材を管理・共有できる
個人に直接声をかけるSNSや紹介で1人ずつ探すxhoursで、ITフリーランスに直接スカウトできる

チョータツでできること

チョータツとは、SES営業の案件・人材を管理・共有するツールのことです。 3,000社以上が使っていて、無料で始められます。

  • 案件・人材の情報を1か所で管理・共有できる

  • 他社と連携すると、相手の営業中案件・営業中人材をデータベースにできる

  • パートナーへメールを配信できる

  • 情報の入力はAIが手伝う

BP企業から届く人材情報をまとめて見られるので、「この案件に合う人がどこかにいたはず」を減らせます。

xhoursでできること

xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスのことです。 数千名のフリーランスのデータベースから探せます。

エージェントを通さずに、企業から本人へ直接声をかけられます。BP企業から届く人材と組み合わせると、提案できる人の幅が広がります。

→ xhoursでITフリーランスを探す

社内や取引先に説明するときの例文

「フリーランスは増えすぎでは?」と聞かれたら、出典つきの数字で短く答えます。 次の例文をそのまま使えます。

社内の営業会議で使う例

例文・テンプレート
総務省の2022年の調査では、本業のフリーランスは209万人で、
働く人の3.1%です。IT分野(情報通信業)は5.2%と高めです。
ITエンジニアの有効求人倍率は2026年7月で1.50倍なので、
人が余っているわけではありません。
個人BPとの直接ルートを増やし、仕入れの選択肢を広げましょう。

取引先から「フリーランスで安く出せないか」と聞かれたときの例

例文・テンプレート
公的な統計では、ITエンジニアの有効求人倍率は1.50倍で、
今も全職業の1.16倍より高い状態です。
フリーランスでも経験者の単価は下がっていないため、
ご予算内で提案できる方を、スキル条件と合わせて探してまいります。

数字には、必ず「いつの」「どの統計の」数字かを添えましょう。相手が自分で確かめられると、信頼につながります。

よくある質問

Q. フリーランスは本当に増えすぎているのですか?
公的な調査では、本業がフリーランスの人は働く人の3.1%です(2022年)。一人で事業をする人も、2017年からほぼ横ばいで、「増えすぎ」とまでは言えません。
Q. フリーランスの人数を調べられる公的な調査は何ですか?
中心は総務省の「就業構造基本調査」です。5年ごとの調査で、2022年の結果が最新です。内閣官房などの「フリーランス実態調査」もあります。ただし働き方を聞くインターネット調査で、人数を推計するものではありません。
Q. ITのフリーランスが増えると、SESの仕事は減りますか?
すぐに減るとは言えません。フリーランスは、SES会社にとって仕入れ先にもなるからです。個人と直接つながるルートを持てば、むしろ提案できる人が増えます。
Q. フリーランスが増えると、仕入れ単価は下がりますか?
下がると決めつけないほうが安全です。ITエンジニアの有効求人倍率は1.50倍(2026年7月)で、経験者は今も取り合いです。仕入れ値は、提案単価から粗利を引いて決めましょう。
Q. 民間の調査にある、公的調査より大きなフリーランスの人数は使えますか?
副業やスキマ時間の仕事まで含めた、広い数え方のことが多いです。社内や取引先への説明では、定義がはっきりした公的な数字を使い、民間の数字と混ぜないようにしましょう。
Q. 個人のBPを使うときに一番気をつけることは何ですか?
商流制限とフリーランス法の2つです。案件が「個人事業主NG」でないかを先に見て、発注するときは取引条件を書面やメールで示します。

まとめ

  • 本業がフリーランスの人は209万人・3.1%(総務省、2022年)。公的データでは「増えすぎ」とは言えない

  • 一人で事業をする人は、2017年の402.0万人から2022年の397.7万人で、ほぼ横ばい

  • IT分野(情報通信業)は15.3万人・5.2%で、東京は全国で最も割合が高い

  • ITエンジニアの有効求人倍率は1.50倍(2026年7月)。人が余っている状態ではない

  • SES営業への影響は、仕入れ先の増加・単価の比べ合い・エージェントとの取り合いの3つ

  • 個人のBPを使うなら、商流制限・二重契約・フリーランス法の3点を先に確かめる

  • BPの人材管理はチョータツ、個人への直接スカウトはxhoursで仕入れルートを増やせる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)