ITフリーランスエージェントとBP取引する方法|SES営業の人材の仕入れ方と種類別の商流・マージン

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

ITフリーランスエージェントとは?SES営業から見た位置づけ

ITフリーランスエージェントとは、フリーランスのITエンジニアを企業に紹介し、契約・請求まで行う会社のことです。SES営業から見ると、案件に人材を出してくれるBP(ビジネスパートナー)の一種です。

世の中の「フリーランスエージェント おすすめ」「比較」の記事は、多くがフリーランス本人向けです。この記事では反対側、つまりエージェントに案件を出して人材を仕入れる側の目線で解説します。

転職エージェントとの違い

「IT業界 エージェント」と一口に言っても、SES営業が取引する相手は2種類あります。混同すると、費用のかかり方をまちがえます。

種類紹介されるもの契約の形費用のかかり方
フリーランスエージェント業務委託で働くフリーランス自社とエージェントが業務委託契約(準委任が多い)毎月の単価にマージンが含まれる
転職エージェント自社の社員になる人自社と本人が雇用契約採用が決まったときに紹介手数料

転職エージェントは、厚生労働大臣の許可を受けて行う有料職業紹介という事業です(職業安定法第30条)。社員の採用の話なので、手数料は人材紹介の手数料相場と平均|IT職は約150万円・返金規定と採算表で扱います。この記事では、業務委託の人材を扱うフリーランスエージェントに絞ります。

商流の中でのエージェントの位置

商流とは、SESの仕事がエンド(発注元)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。エージェント経由でフリーランスを入れると、商流は次のようになります。

  1. エンド(システムを使う会社)

  2. 元請け(エンドから直接受ける会社)

  3. 自社(SES企業)

  4. フリーランスエージェント

  5. フリーランスのエンジニア本人

自社の社員やBP社員を出すときより、会社が1つ増えるのがポイントです。この1社分の取り分と、商流制限への影響を、あとの章で確認します。

エージェントの3つの種類と、商流・マージンの特徴

SES営業は、エージェントを大手総合型・特化型・副業型の3つに分けて使い分けるのがおすすめです。種類によって、得意な人材・スピード・マージンの考え方が変わります。

種類得意な人材・案件SES営業の使い方注意点
大手総合型登録者が多く、Java・PHPなど定番スキルの常駐・リモート案件急ぎの案件で、候補を一度に多く出してもらう取引審査が厳しく、始めるまで時間がかかりやすい
特化型特定の言語・職種(インフラ、PM・PMO、SAPなど)や、ハイクラス人材自社で見つからない珍しいスキルを探す単価が高めになりやすく、候補の数は少なめ
副業型平日は会社員で、週1〜3日・夜間・リモートで働くエンジニア週2〜3日のリモート案件、短い支援案件に使うフルタイム常駐の案件には合わない

大手総合型:数とスピードを取る

大手総合型は、候補の数が多く、返事が早いのが強みです。定番スキルの案件なら、数日で複数の候補が届くこともあります。

その代わり、取引開始の審査に書類がそろうまで時間がかかる場合があります。案件が出てから連絡するのでは遅いので、平時のうちに取引口座を作っておきましょう。

特化型:スキルの深さを取る

特化型は、インフラ、PM・PMO、ERP(会社の基幹業務システム)などに強い人材をそろえています。エージェントの担当者自身がその分野にくわしく、要件の読み違いが少ないのも良い点です。

単価は高めになりやすいので、上流からもらう単価に余裕がある案件で使うと、粗利が残ります。

副業型:週2〜3日の案件を埋める

「エンジニア 副業 エージェント」で探されるのが副業型です。副業型とは、本業を持つエンジニアを、週1〜3日などの短い時間で紹介するエージェントのことです。

SESの常駐案件はフルタイムが多く、副業型が合う案件は限られます。リモートで週2〜3日、技術相談や小さな改修といった案件のときに声をかけると決まりやすくなります。

マージンの考え方

中間マージンとは、間に入る会社が受け取る取り分のことです。エージェント経由では、自社がエージェントに払う単価と、フリーランスが受け取る報酬の差が中間マージンです。

マージンの率はエージェントごとに違い、公開していない会社も多いです。自社が確認すべきなのは「率」ではなく、エージェントに払う単価で自社の粗利が残るかです。

計算例(数字はすべて仮のものです)

  • 元請けから自社への単価:月80万円

  • エージェントから提示された単価:月72万円

  • 自社の粗利:80万円 − 72万円 = 月8万円

  • 6か月続けば、自社の粗利は8万円 × 6 = 48万円

エージェントの単価が月76万円なら、自社の粗利は月4万円まで減ります。提案前に「いくらまでなら出せるか」の上限を決めてから、エージェントに案件を出しましょう。

エージェントとの取引を始める7ステップ

エージェントとの取引は、ふつうのBPと同じく「口座開設」から始まります。案件が出てから慌てないよう、次の順で進めます。

  1. 自社の条件を決める:よく出る案件のスキル、単価の上限、商流制限の有無をまとめる

  2. 法人窓口に連絡する:エージェントの公式サイトにある「企業向け」「案件を依頼したい企業様」の問い合わせフォームから連絡する

  3. 取引審査を受ける:会社概要・登記簿・決算の情報などを求められる。必要な書類はSESの取引開始の審査と必要書類|口座開設で求められる8点一覧で確認できる

  4. 基本契約とNDAを結ぶ:準委任の基本契約と、秘密保持契約(NDA)を結ぶ。再委託の可否、支払サイト、引き抜き禁止の条項を確かめる

  5. 案件を共有する:案件票(スキル、単価、期間、場所、商流)を送る。商流制限があれば必ず書く

  6. 候補の提案を受け、面談する:スキルシートを見て、元請けとの面談を調整する。エージェントの担当者が同席することが多い

  7. 個別契約を結び、稼働を管理する:注文書・注文請書を交わし、月ごとに稼働報告と精算を行う

最初の連絡で使える例文

法人窓口への最初の連絡は、自社の紹介・よく出る案件・お願いしたいことの3点を短く書くと、返事が来やすくなります。

件名:【案件のご相談】パートナー取引のお願い(株式会社〇〇)

株式会社△△
法人ご担当者様

はじめてご連絡いたします。株式会社〇〇で営業を担当している山田と申します。
当社は、金融・流通のエンド企業向けに、SESで開発・インフラの人材をご提供しています。

現在、次のような案件でフリーランスの方のご提案をお願いできる取引先を探しております。
・Java(Spring Boot)の設計・開発、月70〜80万円、2026年11月から長期
・AWSの構築・運用、月75万円前後、週3日リモート可

取引開始の手続きや、ご提案の流れをお教えいただけますでしょうか。
2026年10月6日(火)〜10月9日(金)のいずれかで、30分ほどオンラインでお話しできれば幸いです。

株式会社〇〇 営業部 山田太郎

ふつうのBPとの初取引までの流れは、SESのBP営業のやり方|挨拶から初取引までの6ステップと例文でも詳しく解説しています。

契約前に確認したい10項目

エージェント経由の人材は、自社の社員やBP社員と契約の中身が少し違います。提案する前に、次の10項目を確認しましょう。

#確認することなぜ確認するか
1元請けの商流制限に合うか「自社社員まで」「1社先まで」だとエージェント経由は出せない
2エージェントの先にさらに会社が入らないか商流が深くなり、制限に引っかかる
3フリーランス本人の個人名・所属の書き方元請けに出すスキルシートの表記をそろえる
4契約形態(準委任か)上流の契約と形をそろえる
5精算幅と精算の単位上流の精算条件とずれると赤字になる
6支払サイト上流からの入金より先に払う形だと資金が苦しくなる
7引き抜き禁止の条項と期間フリーランス本人との直接契約が禁止される期間を知る
8途中終了のときの予告期間上流の契約終了の予告と日数をそろえる
9面談・稼働中の窓口指示の出し方をまちがえない
10勤怠・稼働報告の出し方精算に使う書類を毎月そろえる

商流制限に特に注意する

商流制限とは、元請けやエンドが「何社先の人材まで受け入れるか」を決めたルールのことです。エージェント経由では、自社から見てフリーランス本人が「1社先の、さらに個人」になります。

「個人事業主NG」「貴社社員まで」と書かれた案件に、エージェント経由の人材は出せません。書き方の読み方はSESの商流制限の書き方|案件メールの表記例と意味・守らせ方で確認できます。

フリーランス法とお金の流れ

フリーランス法とは、フリーランスに仕事を出す会社に、条件の明示や報酬の支払期日のルールなどを義務づける法律のことです。正式名は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、2024年11月1日に始まりました。

支払期日のルールがかかるのは、従業員を使う発注者、または役員が2人以上いる会社です(第2条第6項)。こうした発注者は、給付を受け取った日(役務なら提供を受けた日)から60日以内で支払期日を決めます(第4条第1項)。取引条件の明示(第3条)は、従業員のいない発注者も含めたすべての発注者の義務です。

エージェント経由では、フリーランスと直接契約するのはエージェントです。そのため、フリーランスへの義務を直接負うのは、主にエージェントの側です。

ただし、エージェントが再委託の例外を使うことがあります。自社がエージェントに払う期日(元委託支払期日)から30日以内にフリーランスへ払う、というルールです(第4条第3項)。使えるのは、エージェントが元委託者の名前や元委託支払期日などをフリーランスに明示した場合だけです。

この場合、自社の支払期日がフリーランスへの支払いに影響します。基本契約で決めた支払期日を守ることが大切です。くわしくはフリーランス法の再委託30日ルール|SESの支払期日と例外条件をご覧ください。

指示の出し方にも注意する

準委任のフリーランスに、元請けや自社が細かい指示や勤怠の管理をするのは危険です。偽装請負と見られるおそれがあります。指示の出し方の線引きは、偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選と予防策で確認しておきましょう。

エージェントを通さず、フリーランスに直接当たる方法との比較

エージェントを使わない選択肢は、フリーランスに自社から直接スカウトして、直接契約する方法です。どちらが良いかは、案件の急ぎ具合と長さで決まります。

比べる点エージェント経由直接スカウト(例:xhours)
自社の粗利毎月マージン分が減るマージンがなく、残りやすい
商流1社増える増えない(自社の直接契約)
候補が出るまで早い(担当者が候補を持っている)返信を待つ時間がかかることがある
契約・請求の事務エージェントに任せられる自社で行う(フリーランス法の義務も自社が負う)

使い分けの目安

  • 明日までに候補がほしい、珍しいスキル:エージェント経由

  • 6か月以上の長い案件、同じスキルを何度も探す:直接スカウト

  • 商流制限が厳しい案件:直接スカウトのほうが提案できる場合がある(「個人事業主NG」なら、どちらもNG)

「フリーランスエージェント 使わない」と検索するフリーランスもいます。エージェントに登録していない人には、直接スカウトでしか会えません。両方を持っておくと、探せる人材の幅が広がります。

直接スカウトの文面の書き方は、フリーランスエンジニアに企業がスカウトする方法|文面例と注意点で解説しています。直接契約するときに自社が守る義務はフリーランス法のSES対応|発注者の義務7つと実務チェック表で確認してください。

xhours・チョータツ・チョータツブーストで人材の仕入れを楽にする

ここまでの方法は、すべて自社だけでも進められます。そのうえで、人材の仕入れ先を増やす・整理する手間を減らしたいときは、DrivenXのサービスが使えます。

xhours:ITフリーランスに直接スカウト

xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから、スキルに合う人を探して連絡できます。

エージェントを通さないので、商流が1社増えず、長い案件で粗利を残しやすくなります。エージェントに登録していないフリーランスにも出会えます。

→ xhoursでITフリーランスを探す

チョータツブースト:仕入れ先のBPを増やす

チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能です。フリーランスエージェントだけに頼らず、人材を持つSES企業のBPも増やしておくと、案件ごとに仕入れ先を選べます。

チョータツ:届いた人材情報をまとめる

エージェントやBPが増えると、届く人材メールも増えます。チョータツなら、案件・人材の情報を管理・共有でき、パートナーへのメール配信もできます。他社と連携すれば、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できます。

エージェント取引でやってはいけないこと

エージェントとの取引で揉める原因は、ほとんどが「確認しないまま進めること」です。次の4つは避けましょう。

  • 引き抜き禁止期間中に、フリーランス本人と直接契約する:契約違反になり、違約金を求められることがある。取引関係も失う

  • 商流制限を確かめずに提案する:面談が決まってから断られ、元請けからの信頼が下がる

  • 複数のエージェントから同じ人を提案する:同じフリーランスが複数社に登録していることは珍しくない。二重提案は元請けに嫌がられる

  • 単価の上限を決めずに候補を集める:良い候補が来ても、粗利が残らず提案できない

二重提案を防ぐには、候補の名前(イニシャル)・スキル・提案先・提案日を1か所に記録するのがいちばん確実です。発覚したときの対応はSESの二重提案が発覚したら|どちらを残すかの判断と謝罪例文で解説しています。

エージェントから候補が届いたら、提案前に次の一文で確認すると重複を防げます。

ご提案ありがとうございます。念のため、〇〇さん(イニシャル)が他社経由で同じ元請け・同じ案件に提案されていないか、ご本人にご確認いただけますか。確認が取れしだい、本日中に元請けへ提案いたします。

よくある質問

Q. ITフリーランスエージェントと取引するのに費用はかかりますか?
フリーランスエージェントでは、エージェントの取り分は毎月の単価に含まれるのが一般的です。取引開始時の費用の有無は会社ごとに違うため、口座開設の前に、費用・単価の考え方・支払サイトを確認しましょう。
Q. おすすめのフリーランスエージェントはどう選べばいいですか?
自社でよく出る案件に合わせて選びます。定番スキルの急ぎ案件が多いなら大手総合型、珍しいスキルが多いなら特化型、週2〜3日の案件が多いなら副業型です。1社に絞らず2〜3社と口座を作ると安心です。
Q. エージェント経由のフリーランスを、あとで直接契約に切り替えられますか?
基本契約の引き抜き禁止条項で、一定期間は禁止されていることがほとんどです。切り替えたいときは、必ずエージェントに相談し、契約の条件に従ってください。
Q. 商流制限が「1社先まで」の案件に、エージェント経由の人材は出せますか?
自社の先にエージェント、さらに個人が続くため、出せないことが多いです。提案前に元請けに「エージェント経由の個人事業主は可か」をはっきり確認しましょう。
Q. フリーランスエージェントの一覧はどうやって作ればいいですか?
見つけたエージェントを、種類・得意スキル・法人窓口・口座開設の状況で表にまとめます。SES企業のBPと同じ一覧で管理すると、案件ごとに仕入れ先を選びやすくなります。
Q. 業務委託のエージェントと、転職エージェントの違いは何ですか?
業務委託のエージェントは、業務委託で働くフリーランスを紹介し、毎月の単価にマージンが含まれます。転職エージェントは、社員として採用する人を紹介し、採用が決まったときに手数料がかかります。

まとめ

  • ITフリーランスエージェントは、SES営業にとって「フリーランスを抱えたBP」

  • 大手総合型は数とスピード、特化型は珍しいスキル、副業型は週2〜3日の案件に使う

  • エージェント経由では商流が1社増え、毎月マージンが乗る。単価の上限と商流制限を先に確かめる

  • 取引は「法人窓口に連絡 → 審査と基本契約 → 案件共有 → 面談 → 個別契約」の7ステップ

  • 長い案件や何度も探すスキルは、xhoursなどでフリーランスに直接スカウトする方法と併用する

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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