人月単価とは?計算方法と工数単価(人日・時間単価)との違い|SES営業の見積もり計算例と精算幅での請求額の変わり方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

人月単価とは?

人月単価とは、エンジニア1人が1か月間フルに働いたときの料金のことです。「人月(にんげつ)」は作業の量を表す単位で、1人が1か月働いた量を「1人月」と数えます。

SESの案件票や見積書では、「単価70万円」「スキル見合い〜80万」のように、人月単価で金額を書くのが一般的です。「スキル見合い」の読み方は、スキル見合いとは?SES案件の単価の意味と提示額の決め方で解説しています。SESでは人月単価と月額単価はほぼ同じ意味と考えてかまいません。

用語意味SESでの使われ方
人月単価1人が1か月働いたときの料金案件票・見積書の「単価」
月額単価毎月請求する基本の金額契約書・注文書の金額
単金単価の業界での言い方営業どうしの会話
仕入れ単価BPや自社社員にかかる月の原価粗利の計算

業界でよく使う「単金」との違いは、SESの単金とは?意味と単価の違い、営業の使い方と計算例3つで詳しく解説しています。

人月単価の計算方法

人月単価を使った見積もり金額は、「人月単価 × 人月数」で出します。人月数とは、「何人が何か月働くか」をかけ合わせた作業の量のことです。

基本の式は次の3つです。

  1. 人月数 = 人数 × 期間(か月)× 稼働率

  2. 見積もり金額 = 人月単価 × 人月数

  3. 人月単価(逆算) = 見積もり金額 ÷ 人月数

稼働率とは、1か月のうちその案件に使う時間の割合のことです。フルタイムなら1.0、週2.5日なら0.5と数えます。週3・週4案件の単価と精算幅の決め方は、SESの週3・週4案件の単価の計算|精算幅と契約書の書き方で解説しています。

計算例:3人のチームを3か月提案する場合

客先から「PM1名・SE1名・PG1名を3か月」と頼まれた例です。PGは週2.5日(稼働率0.5)の参画とします。

役割人月単価人月数金額(税抜)
PM90万円1名×3か月×1.0=3.0270万円
SE70万円1名×3か月×1.0=3.0210万円
PG55万円1名×3か月×0.5=1.582.5万円
合計―7.5人月562.5万円

見積書には、合計金額だけでなく役割ごとの人月単価と人月数を並べて書きましょう。客先は「どこを削れば予算に収まるか」を判断しやすくなります。

役割ごとの単価の目安は、SE単価の相場表|PM・SE・PG別の人月目安と見積もりでの使い方で確認できます。

工数単価(人日単価・時間単価)との違い

工数単価とは、作業の量(工数)1単位あたりの料金のことです。工数の単位によって、人月単価・人日単価・時間単価(人時単価)に分かれます。つまり人月単価は、工数単価の一種です。

工数単価の種類1単位の量よく使う場面
人月単価1人×1か月SESの常駐・準委任契約
人日単価1人×1日短期・スポット案件、研修
時間単価1人×1時間精算の控除・超過、時間精算の契約

SESの準委任契約では、人月単価で契約し、精算のときだけ時間単価を使う形が多く見られます。準委任契約とは、成果物の完成ではなく、決まった業務を行うことに報酬を払う契約のことです。

人月単価から人日単価・時間単価に換算する式

換算は、1人月=20人日、1人日=8時間(1人月=160時間)を前提にするのが一般的です。1日8時間は、労働基準法第32条の「1日8時間・1週40時間」という労働時間の上限がもとになっています。

  • 人日単価 = 人月単価 ÷ 20

  • 時間単価 = 人月単価 ÷ 160

  • 人月単価 = 人日単価 × 20 = 時間単価 × 160

人月単価人日単価(÷20)時間単価(÷160)
50万円25,000円3,125円
60万円30,000円3,750円
70万円35,000円4,375円
80万円40,000円5,000円
100万円50,000円6,250円

ただし、20日・160時間は法律で決まった数字ではありません。1人日を7.5時間で数える会社や、1人月を実際の営業日で数える会社もあります。前提の違いによる計算のずれは、人日・人月の計算方法|意味・読み方と換算早見表・見積例で詳しく比べています。

人日単価で契約すると、月ごとの請求額が変わる

人日単価で「働いた日数分を払う」契約にすると、月の営業日数で請求額が上下します。人月単価70万円と、人日単価35,000円で比べてみます。

月(2026年)営業日数人月単価の請求額人日単価の請求額
10月21日700,000円735,000円
11月19日700,000円665,000円

2026年11月は、文化の日(3日)と勤労感謝の日(23日)で営業日が19日です。人日単価の契約だと、10月と11月で7万円の差が出ます。

月ごとの売上を安定させたいなら人月単価、短期や不定期の稼働なら人日単価が向いています。どちらで見積もるかは、案件の期間と稼働の形で決めましょう。

精算幅で実際の請求額はどう変わる?

人月単価で契約しても、実際の請求額は精算幅と稼働時間で変わります。精算幅とは、月額単価のまま請求する稼働時間の範囲のことで、「140〜180時間」のように決めます。

稼働が下限を下回ると差し引き(控除)、上限を超えると上乗せ(超過)が起きます。控除と超過の1時間あたりの金額は、契約で決めた割り方で決まります。

  • 上下割:控除単価=人月単価÷下限時間、超過単価=人月単価÷上限時間

  • 中間割:控除も超過も、人月単価÷(下限と上限の真ん中の時間)

計算例:人月単価70万円・精算幅140〜180時間の場合

1円未満は切り捨てとします。上下割の控除単価は700,000÷140=5,000円、超過単価は700,000÷180=3,888円です。中間割の単価は700,000÷160=4,375円です。

実際の稼働上下割の請求額中間割の請求額起きること
130時間650,000円656,250円10時間の控除
160時間700,000円700,000円何も起きない
190時間738,880円743,750円10時間の超過

同じ人月単価70万円でも、稼働が130時間の月は請求額が5万円減ります。見積書の金額は、あくまで「精算幅に収まった月の金額」だと覚えておきましょう。

時間単価だけで精算する契約との比較

精算幅を設けず、時間単価×実際の稼働時間で請求する契約もあります。時間単価4,375円(70万円÷160)で130時間なら、請求額は568,750円です。

契約の形130時間の月190時間の月
人月単価(上下割・140〜180時間)650,000円738,880円
時間単価だけで精算568,750円831,250円

時間単価だけの契約は、稼働が少ない月ほど売上が大きく減ります。SES企業にとっては、精算幅つきの人月単価のほうが売上が安定しやすい形です。

控除・超過の細かい計算や、有給・日割りの扱いは、SESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法と有給・固定の扱いで解説しています。

月の途中から入場する月の計算

月の途中から入場した月は、人月単価を営業日で日割りするのが一般的です。2026年10月(営業日21日)に、12日だけ働いた例で計算します。

  1. 人月単価を日割りする:700,000円 × 12日 ÷ 21日 = 400,000円

  2. 精算幅も同じ割合で縮める:下限140×12÷21=80時間、上限180×12÷21=約102.8時間

  3. 実際の稼働が精算幅に収まれば、請求額は400,000円(税抜)

日割りの分母を「20日」にするか「その月の営業日」にするかで、金額が変わります。この例で分母を20日にすると、請求額は420,000円です。初月と最終月の式は、見積もりの段階で決めておきましょう。

SES営業が提案単価(人月単価)を決める手順

SES営業が客先に出す人月単価は、仕入れ単価と必要な粗利から最低ラインを出し、相場と客先の予算で最終判断します。手順は次の5つです。

  1. 仕入れ単価を確認する:BPなら支払う人月単価、自社社員なら給与と会社負担の社会保険料などを足した月の原価

  2. 最低ラインを出す:仕入れ単価 ÷(1 − 必要な粗利率)

  3. 相場と比べる:同じ職種・スキル・商流の案件単価の幅に収まるかを見る

  4. 精算幅と割り方を決める:140〜180時間・上下割など、提案と同時に条件をそろえる

  5. 工数単価に換算して見せる:客先が人日・時間で比べたいときに備え、換算した金額も用意する

たとえば仕入れ単価60万円で粗利率15%がほしいなら、600,000÷0.85=約70.6万円が最低ラインです。「60万円に15%を乗せた69万円」だと、粗利率は約13%しかありません。

仕入れからの逆算の考え方は、SESの提案単価の決め方|仕入れ単価から逆算する計算式と5つの要素で詳しく解説しています。

BPへの発注も、同じ前提で計算する

客先との契約とBPへの発注で、精算幅・割り方・日割りの式をそろえるのが基本です。上流が上下割で下流が中間割だと、下限を割った月に自社だけが損をします。

先ほどの人月単価70万円(上下割)で130時間の月を考えます。客先からの控除は50,000円です。仕入れ60万円のBP契約が中間割(控除単価3,750円)なら、BPへの支払いの控除は37,500円です。差の12,500円は、自社の粗利から消えます。

見積もりの前に客先と確認する8項目

人月単価の見積もりでトラブルになるのは、金額よりも「前提」がずれているときです。見積書を出す前に、次の8項目をメールなど文字で残る形で確認しましょう。

#確認する項目確認の例
11人月の時間160時間換算か、別の時間か
21人日の時間8時間か、7.5時間か
3精算幅140〜180時間か、固定精算か
4割り方上下割か、中間割か
5精算単位15分・30分・1時間のどれか
6日割りの式分母は20日か、営業日か
7稼働率フルタイムか、週何日か
8交通費・税単価に含むか、別か。税抜か

確認メールの例文

見積もり前の確認は、次のように短く送ると返事をもらいやすくなります。

件名:【ご確認】Javaエンジニア1名 見積もり条件について

○○株式会社 △△様

いつもお世話になっております。株式会社□□の××です。
11月1日開始のJavaエンジニアの件で、お見積もりの前に条件を確認させてください。

・人月単価:70万円(税抜・交通費込み)
・精算幅:140〜180時間/上下割/15分単位
・初月・最終月:営業日数で日割り

記載の条件と異なる点があれば、ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

チョータツで人月単価を考える材料を集める

自分で人月単価の目安を調べるなら、届いた案件メールの単価をExcelに書き写し、職種ごとに並べるのが基本です。ただ、案件メールは1日に何十通も届くので、書き写す作業だけで時間がなくなりがちです。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
他社の案件・人材を知るメールを1通ずつ読む他社と連携すると、他社の営業中案件・人材をデータベース化できる
案件の条件を残すExcelやメールに散らばる案件の情報としてまとめて管理できる
社内で共有するファイルを送り合うチームで同じ情報を共有できる
情報を入れる1件ずつ手で書き写すAIが入力を手伝う

他社の営業中の案件・人材が1か所に集まると、似た職種・スキルの情報を並べて見られます。提案単価の「相場の幅」を考える材料が、ふだんの営業の中で自然にたまっていきます。

よくある質問

Q. 人月単価とは何ですか?
エンジニア1人が1か月フルに働いたときの料金のことです。SESでは月額単価とほぼ同じ意味で使われ、案件票や見積書の「単価」は人月単価を指すことが多いです。
Q. 工数単価と人月単価の違いは?
工数単価は、工数1単位あたりの料金の総称です。単位が1人×1か月なら人月単価、1人×1日なら人日単価、1人×1時間なら時間単価と呼びます。
Q. 人月単価を時間単価にするにはどうしますか?
1人月=160時間を前提に、人月単価を160で割ります。70万円なら4,375円です。精算の控除・超過の単価は、精算幅の割り方で別に計算します。
Q. 1人月は何時間ですか?
1日8時間×20日=160時間で数えるのが一般的です。ただし法律で決まった数字ではありません。よく使われる精算幅140〜180時間も、真ん中がちょうど160時間です。
Q. 人月単価で契約しても、請求額が変わるのはなぜですか?
精算幅を外れると、控除や超過が起きるからです。70万円・140〜180時間・上下割で130時間なら、10時間×5,000円の控除で請求額は65万円になります。

まとめ

  • 人月単価とは、エンジニア1人が1か月フルに働いたときの料金。SESでは月額単価とほぼ同じ意味

  • 見積もり金額は「人月単価×人数×期間×稼働率」で出す

  • 人月単価は工数単価の一種。1人月=20人日=160時間で人日単価・時間単価に換算する

  • 70万円なら、人日単価35,000円、時間単価4,375円

  • 人日単価の契約は、月の営業日数で請求額が変わる

  • 人月単価でも、精算幅を外れると控除・超過で請求額が変わる

  • 提案単価は、仕入れ単価÷(1−粗利率)で最低ラインを出し、相場で最終判断する

  • 見積もりの前に、1人月の時間・精算幅・割り方・日割りの式など8項目を文字で確認する

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

  • e-Gov法令検索「労働基準法」(第32条 労働時間:1日8時間・1週40時間)

  • e-Gov法令検索「民法」(第656条 準委任、第648条 受任者の報酬)

  • 内閣府「国民の祝日について」(2026年の祝日:文化の日11月3日、勤労感謝の日11月23日)

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