SESの単金とは?意味と単価との違い、営業が使う場面と計算例
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
単金とは?
単金とは、エンジニア1人が1か月働いたときに支払われる金額のことです。SES業界では「このエンジニアの単金は70万円」のように使います。多くの場合、税抜きの月額を指します。
SESとは、エンジニアの技術や作業を、月単位で取引先に提供する取引のことです。多くは準委任契約(作業そのものに対してお金を払う契約。民法第656条)で結ばれます。作業に対して払う契約なので、値段も「1人を1か月」という単位で決めるのが一般的です。
「1人を1か月」という単位を人月(にんげつ)と呼びます。単金は、1人月あたりの金額です。「人月単価」「月額単価」と言いかえても意味はほぼ同じです。
単金と一緒に使う言葉
| 言葉 | 意味 | 使う場面の例 |
|---|---|---|
| 上位単金 | 客先(上の会社)から受け取る金額 | 「上位単金は85万です」 |
| 仕入れ単金 | BP(協力会社)へ支払う金額 | 「仕入れは70万で調整中」 |
| スキル見合い | 経験や技術に合わせて金額を決める | 「単金はスキル見合いで」 |
| 単金感 | おおよその金額帯 | 「単金感を教えてください」 |
| 精算幅 | 単金で働く前提の時間の幅 | 「140-180hで精算あり」 |
BPとは、ビジネスパートナーの略で、エンジニアを出してくれる協力会社のことです。自社社員(プロパー)との違いは「SESのプロパーとBPの違い|営業が使い分ける意味と提案時の注意点」で解説しています。「スキル見合い」と書かれた案件の金額の決め方は「スキル見合いとは?SES案件の単価の意味と提示額の決め方」で紹介しています。
単金と単価の違い
単価は値段全般を指す言葉で、単金はSESで「1人月の金額」に絞った言い方です。意味が重なるので、現場ではほぼ同じように使われます。
違いを表にまとめると次のとおりです。
| 項目 | 単金 | 単価 |
|---|---|---|
| 意味 | 1人月あたりの金額 | 1つあたりの値段全般 |
| 使う範囲 | SES・IT業界の会話が中心 | どの業界でも使う |
| 単位 | 月額(例:75万円/月) | 月額・時間・個数などいろいろ |
| 書き言葉 | 案件メールでは「単価」が多い | 契約書・見積書は「単価」 |
注意したいのは、契約書や見積書には「単金」と書かないことです。単金は業界の口語に近い言葉です。正式な書類では「月額単価」「業務委託料」などと書くほうが、取引先の経理や法務にも伝わります。
また、単価には「時間単価」もあります。たとえば精算で使う「超過単価」「控除単価」は、1時間あたりの金額です。単金(月額)と混ぜないように、月の話か、時間の話かを意識して使い分けます。
単金と粗利・マージンの関係(計算例)
上位単金から仕入れ単金を引いた残りが、自社の粗利です。粗利とは、売上から仕入れにかかったお金を引いた、会社に残るもうけのことです。
計算例1:BPのエンジニアを提案する場合
客先からの上位単金が80万円、BPへの仕入れ単金が68万円だとします。
粗利を出す:80万円 − 68万円 = 12万円
粗利率を出す:12万円 ÷ 80万円 = 15%
このとき「マージンは12万円」「マージン率は15%」と言うこともあります。マージンとは、間に入った会社が受け取る差額のことです。マージン率の目安や説明のしかたは「SESのマージン率の平均と相場|計算式・適正ライン・説明例文付き」にまとめています。
計算例2:自社社員(プロパー)を提案する場合
自社社員の場合、仕入れ単金はありません。代わりに給与や社会保険料などの人件費がかかります。
上位単金:70万円
1か月の人件費(給与・社会保険料など):48万円
粗利:70万円 − 48万円 = 22万円(粗利率は約31%)
同じ単金でも、プロパーとBPでは残る金額がちがいます。会社全体の粗利率の考え方は「SESの粗利率の平均は?利益率の計算式と計算例・上げる方法5つ」が参考になります。
計算例3:単金と精算幅の関係
単金は「決められた時間の幅で働いたとき」の金額です。幅を外れると、時間単価で増減します。
単金80万円、精算幅140-180h の場合
控除単価(下限割れ):80万円 ÷ 140h ≒ 5,714円/h
超過単価(上限超え):80万円 ÷ 180h ≒ 4,444円/h
端数の扱いは契約で決めます。稼働時間ごとの請求額は次のとおりです。
| 月の稼働時間 | 計算 | 請求額(税抜) |
|---|---|---|
| 130時間 | 80万円 −(10h × 5,714円) | 約74.3万円 |
| 160時間 | 精算幅の中なので単金のまま | 80万円 |
| 190時間 | 80万円 +(10h × 4,444円) | 約84.4万円 |
BPから仕入れている場合は、仕入れ側の精算幅も同じか確かめます。上位と仕入れで幅がちがうと、同じ稼働でも粗利が減ることがあります。控除の考え方は「SESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法と有給・固定の扱い」で詳しく解説しています。
週3日・週4日の案件では、単金の出し方が変わります。計算は「SESの週3・週4案件の単価の計算|精算幅と契約書の書き方」を参考にしてください。
SES営業の現場での使い方
単金は、案件メール・商談・社内の3つの場面でよく出てきます。場面ごとの言い回しを押さえておくと、やり取りが速くなります。
案件メール・人材メールでの書き方
案件メールでは、単金を次のように書くことが多いです。
【単価】〜80万円(スキル見合い) 【精算】140-180h 【商流】元請け直下/貴社まで
「〜80万円」は上限が80万円という意味です。「スキル見合い」とあれば、経験によって金額が変わります。人材メールでは「希望単価:65万円〜」のように、下限を書くのが一般的です。書き方の項目は「SESの条件面の書き方|案件・人材メールに入れる14項目と記入例」も確認してください。
商談での言い回し
「この案件の単金感はどれくらいでしょうか」(おおよその金額を聞く)
「上限単金はいくらまで出せますか」(予算の上限を聞く)
「経験3年なので、単金は70万前後を想定しています」(こちらの希望を伝える)
「単金感」は「だいたいの金額帯」という意味の言い方です。はっきりした数字が出る前の探り合いでよく使います。
単金を聞かれたときの答え方(例文)
単金を答えるときは、金額だけでなく、精算幅と税の扱いもセットで伝えます。金額だけを伝えると、あとで「税込みだと思っていた」「精算なしだと思っていた」と行き違いが起きます。
件名:Re: 〇〇案件(10月19日〜)のご提案について 〇〇株式会社 〇〇様 いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。 ご質問いただいた単金について、下記のとおりご回答します。 ・単金:72万円/月(税抜) ・精算:140-180h(上下割) ・支払サイト:月末締め翌月末払い希望 10月9日(金)までにご検討いただけると助かります。 よろしくお願いいたします。
上下割とは、超過・控除の時間単価を、それぞれ上限・下限の時間で割って出す方法のことです。
言ってはいけないこと
エンジニア本人の前で、仕入れ単金や粗利を話さない:本人の給与や報酬との差が伝わり、不満のもとになります。
商流の上にいる会社の単金を、下の会社に漏らさない:取引先の信頼を失います。
口頭だけで単金を決めない:必ずメールや注文書で数字を残します。
提案単価をどう決めるかは、記事末の「次に読む・使う」にある提案単価の決め方の記事で手順を紹介しています。
単金の情報を自分で管理する方法
単金は、案件ごと・人材ごとに「上位」「仕入れ」「精算幅」をセットで記録しておくと、提案が速くなります。まずは自分で管理する方法です。
スプレッドシートに「案件名」「上位単金」「精算幅」「商流」の列を作る
人材側にも「希望単金」「最低ライン」「稼働開始日」の列を作る
提案するときに、上位単金と希望単金の差(粗利)を計算する列を足す
決まった単金は、注文書の日付と一緒に残す
4つの列を作るだけでも「あの案件、いくらだったっけ」と探す時間が減ります。ただ、案件メールは毎日たくさん届きます。手で転記を続けるのは、なかなか大変です。
チョータツで単金と条件をまとめて管理する
チョータツを使うと、案件と人材の条件を1か所で管理し、チームで共有できます。単金を含む条件を並べて見られるので、提案の組み合わせを考えやすくなります。
案件・人材の情報を1か所で管理し、チームで共有できる
AIが入力を手伝うので、転記の手間を減らせる
他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベースにできる
パートナーへのメール配信機能で、人材や案件の情報を送れる
他社と連携すると営業中の案件・人材が集まるので、「この経験だと単金はどのくらいか」を見比べる材料にもなります。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。
よくある質問
- Q. 単金はなんと読みますか?
- 「たんきん」と読みます。SES・IT業界で、1人月あたりの金額を指す言葉です。
- Q. 単金と単価は同じ意味ですか?
- SESの会話では、ほぼ同じ意味で使われます。ただし単価は値段全般を指し、時間単価なども含みます。
- Q. 単金は税込みですか、税抜きですか?
- 税抜きで話すことが多いです。ただし会社によってちがうので、金額を伝えるときは「税抜」と書き添えます。
- Q. 単金はエンジニア本人の給与と同じですか?
- 同じではありません。単金は会社どうしで取引する金額です。本人の給与は、そこから会社の経費や利益を引いた中から支払われます。
- Q. 単金を上げてもらうにはどうすればよいですか?
- 契約更新の前に、実績や役割の広がりを資料にまとめて相談します。交渉の時期と例文は、記事末の「次に読む・使う」の単価交渉の記事を参考にしてください。
- Q. 上位と仕入れで精算幅がちがうとどうなりますか?
- 同じ稼働時間でも、上位から受け取る額とBPへ払う額の増減がずれます。粗利が減ることがあるので、提案前に両方の幅をそろえるか、差を計算しておきます。
まとめ
単金とは、エンジニア1人が1か月働いたときの金額(人月単価)のこと
単価は値段全般、単金はSESで1人月の金額に絞った言い方
上位単金 − 仕入れ単金 = 粗利。粗利 ÷ 上位単金 = 粗利率
単金は精算幅とセット。幅を外れると時間単価で増減する
答えるときは「金額・精算幅・税の扱い」の3点を書面で残す
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
e-Gov法令検索「民法」第643条(委任)・第656条(準委任)
※本記事の計算例の金額は、すべて説明用の仮の数字です。