工数の人日・人月の計算方法|8時間換算表と見積の計算例・確認項目10
公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日
人日・人月をすぐ計算できる工数換算ツール
時間・人日・人月のどれかを入れると、ほかの単位と見積金額がすぐにわかります。1人日の時間と1人月の日数は、客先の前提に合わせて切り替えられます。
計算ツール工数換算ツール(時間・人日・人月・金額)
- 時間
- 480時間
- 人日
- 60人日
- 人月
- 3人月
- 見積金額(人月×月額単価)
- 1,800,000円
- 8時間×20人日で数えた場合との差
- 差なし
- 期間(人月÷人数)
- 人数を入れると表示
金額は1円未満を四捨五入しています。1人月の時間=1人日の時間×1人月の日数で計算します。
工数・人日・人月とは?
工数とは、ある仕事にかかる作業の量を「人数×時間」で表したもののことです。たとえば「2人で5日かかる仕事」は、工数では10人日になります。
工数の単位には、次の3つがあります。
人時(にんじ)とは、1人が1時間でする作業量のことです。
人日(にんにち)とは、1人が1日でする作業量のことです。
人月(にんげつ)とは、1人が1か月でする作業量のことです。
英語では、人時をMH(Man-Hour)、人日をMD、人月をMMと書くこともあります。
SESの仕事では、見積・提案・精算のすべてで人日と人月を使います。たとえば「このプロジェクトは6人月」「単価は月60万円」という言い方をします。単位の意味と換算の前提がずれていると、見積も請求もずれてしまいます。
人日・人月の換算の前提
人日と人月の換算は、1人日=8時間、1人月=20人日=160時間を前提にするのが一般的です。まずこの前提をもとに、換算表を確認しましょう。
| 換算 | 前提 | 式 |
|---|---|---|
| 人時→人日 | 1人日=8時間 | 人日=時間÷8 |
| 人日→人月 | 1人月=20人日 | 人月=人日÷20 |
| 人時→人月 | 1人月=160時間 | 人月=時間÷160 |
| 人月→人時 | 1人月=160時間 | 時間=人月×160 |
1人日が8時間の理由
1人日を8時間とするのは、労働基準法第32条が「1日8時間・1週40時間」を労働時間の上限としているからです。この上限の8時間を、1日の区切りとして使うのが一般的です。所定労働時間とは、会社が決めた1日に働く時間のことです。
1人月が20人日の理由
1人月を20人日とするのは、1か月の営業日がおおむね20日前後だからです。2026年の営業日(土日と国民の祝日を除く)は、月によって18日から23日まで幅があります。
| 2026年の月 | 営業日 | 8時間×営業日 |
|---|---|---|
| 2月・5月 | 18日 | 144時間 |
| 1月・8月 | 20日 | 160時間 |
| 3月・4月・10月 | 21日 | 168時間 |
| 12月 | 23日 | 184時間 |
※内閣府「国民の祝日について」の2026年の祝日で計算。年末年始などの会社の休みは入れていません。
月によって営業日が違っても、見積では「1人月=20人日」と決めて計算をそろえるのがふつうです。
人日・人月の計算方法(基本の4つの式)
人日・人月の計算は、次の4つの式で足ります。どれも前の章の換算の前提(1人日=8時間、1人月=20人日)を使います。
人日=時間÷8
例:120時間の作業なら、120÷8=15人日人月=人日÷20
例:60人日なら、60÷20=3人月工数=人数×期間
例:3人で2か月なら、3×2=6人月金額=工数×単価
例:6人月で月額単価60万円なら、6×60万円=360万円
人日から人月への計算例
人日から人月にするときは、20で割ります。
| 人日 | 計算 | 人月 |
|---|---|---|
| 10人日 | 10÷20 | 0.5人月 |
| 30人日 | 30÷20 | 1.5人月 |
| 45人日 | 45÷20 | 2.25人月 |
| 100人日 | 100÷20 | 5人月 |
時間から人月への計算例
時間から人月にするときは、160で割ります。
80時間→80÷160=0.5人月
240時間→240÷160=1.5人月
480時間→480÷160=3人月
期間や人数を逆算する
工数が決まっていれば、期間や人数も逆算できます。
期間=工数÷人数:12人月の仕事を4人でやると、12÷4=3か月
人数=工数÷期間:12人月の仕事を2か月で終えるには、12÷2=6人
ただし、この逆算がそのまま成り立たないことがあります。その理由は、後の章「人月計算がおかしいと言われる理由」で説明します。
エクセルでこれらを自動計算する式は、エクセルの工数計算の関数にまとめています。
前提が会社ごとに違うと見積はずれる
人日・人月の前提は、法律で決まっているものではなく、会社や契約ごとに違います。前提が違う会社どうしで見積をやりとりすると、同じ作業量でも金額がずれます。
よくある前提の違いは、次の3つです。
| 前提 | よくある例 | 違う例 |
|---|---|---|
| 1人日の時間 | 8時間 | 7.5時間(所定が9:30〜18:00など) |
| 1人月の日数 | 20人日 | その月の実際の営業日(18〜23日) |
| 1人月の時間 | 160時間 | 140〜180時間の精算幅で考える |
計算例:480時間の作業を3社が見積もると
480時間の作業を、月額単価60万円で見積もる場合を比べます。
| 会社 | 前提 | 人月 | 見積金額 |
|---|---|---|---|
| A社 | 1人日8時間・1人月20人日(160時間) | 480÷160=3人月 | 180万円 |
| B社 | 1人日7.5時間・1人月20人日(150時間) | 480÷150=3.2人月 | 192万円 |
| C社 | 1人月=2026年2月の営業日(144時間) | 480÷144=約3.33人月 | 約200万円 |
A社とB社では12万円、A社とC社では約20万円の差が出ます。作業の中身はまったく同じです。
客先から「3人月でお願いします」と言われたら、SES営業はその3人月が何時間のことかを必ず確かめます。
SESの精算幅との関係
SESの月額契約では、1人月を精算幅(例:140〜180時間)で考えることが多いです。精算幅とは、月額単価のまま請求できる稼働時間の範囲のことです。
見積では「1人月=160時間」で計算していても、実際の請求は「140〜180時間なら月額どおり」になります。見積と精算で前提が違うことを、客先とも共有しておきましょう。
→ SESの稼働時間の上限・下限|精算幅140-180hの決め方と計算例
人月計算がおかしいと言われる理由
人月計算がおかしいと言われる最大の理由は、人を増やしても、期間は同じ割合では縮まないからです。工数(人月)は作業の量を表すだけで、期間の短さまでは約束しません。
人を増やしても早く終わらない
アメリカのソフトウェア技術者フレデリック・ブルックスは、1975年に『人月の神話』を書きました。この本で「遅れているソフトウェア開発に人を追加すると、さらに遅れる」と指摘しています。この考え方はブルックスの法則と呼ばれます。
人を増やすと、次のような時間が増えるからです。
新しく入った人に、仕事の内容を教える時間
メンバーどうしの打ち合わせや連絡の時間
作業を分けて、あとでまとめる時間
たとえば「12人月の仕事を12人でやれば1か月で終わる」とは限りません。見積では、工数と期間を別々に考え、無理のない人数にすることが大切です。
人によって作業の速さが違う
人月計算は、「誰でも1人月で同じ量の仕事ができる」ことを前提にしています。実際には、経験が長い人と浅い人では、同じ時間でできる量が違います。
そのため、SESではスキルや経験によって単価を変えるのがふつうです。単価の目安は、SESの単価相場|職種・スキル別の月額目安で確認できます。
時間で払う契約と、成果で払う契約の違い
人月で見積もる契約は、「働いた時間」に払う考え方です。SESでよく使う準委任契約は、この考え方に近い契約です。準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決まった業務を行うことに報酬を払う契約のことです。
一方で、請負契約は、仕事の完成に払う契約です。請負では、何人月かかったかではなく、完成したかどうかが大事になります。人月の考え方が合うかどうかは、契約の種類によって変わります。
なお、準委任契約にも、成果に対して報酬を払う成果完成型があります(民法第648条の2)。成果完成型の準委任で人月の見積を出すときは、何に払うのかを契約書で確かめましょう。
→ 準委任契約の成果完成型とは|履行割合型との違い
→ 準委任と請負の違い|SES・システム開発の契約書で見分ける6点
見積の工数の出し方(積み上げ・類推)とバッファ
見積の工数は、作業を細かく分けて足す「積み上げ」か、過去の似た案件から見当をつける「類推」で出します。どちらの方法でも、最後に予備の工数(バッファ)を足すかを決めます。
| 方法 | やり方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 積み上げ(ボトムアップ) | 作業を細かく分け、1つずつ人日を出して足す | 作業の中身がはっきりしている |
| 類推(トップダウン) | 過去の似た案件の人月をもとに見当をつける | 提案の初期で、中身がまだ粗い |
バッファとは、手戻りや仕様の変更に備えて、見積に上乗せする予備の工数のことです。何割足すかに決まりはありません。自社の過去の案件で、見積と実績がどれだけずれたかをもとに決めます。
SES営業が見積で気をつけること
SESの準委任契約では、客先が「3名×6か月」のように人数と期間で依頼してくることが多いです。この場合、営業が工数を積み上げるより、前提の時間と精算幅をそろえることのほうが大切です。
一方で、請負や一括の見積を求められたときは、積み上げとバッファが必要です。どちらの見積を求められているかを、最初に確かめましょう。
要員提案書に前提を書いておくと、あとのすれ違いを防げます。
→ 要員提案書のサンプルと書き方|SES営業が押さえる項目7つ
客先と換算ルールをそろえる確認項目10
見積や提案の前に、次の10項目を客先と確認しましょう。前提をそろえておけば、「思っていた金額と違う」というすれ違いを防げます。
| # | 確認すること | 確認の例 |
|---|---|---|
| 1 | 1人日の時間 | 8時間か、7.5時間か |
| 2 | 1人月の日数 | 20人日か、実際の営業日か |
| 3 | 1人月の時間 | 160時間か、ほかの時間か |
| 4 | 精算幅 | 140〜180時間など、下限と上限 |
| 5 | 精算の割り方 | 上下割か、中間割か |
| 6 | 休憩時間の扱い | 休憩を稼働時間に含めないか |
| 7 | 有給・祝日の扱い | 稼働時間に数えるか |
| 8 | 月の途中の参画 | 日割りにするか |
| 9 | 端数の処理 | 0.1人月単位か、人日単位か |
| 10 | 契約の種類 | 準委任か、請負か |
確認した内容は、メールや議事録に残しておきます。担当者が変わったときも、前提をたどれるからです。
→ SESで有給を取ると稼働時間はどうなる?精算の扱い3パターン
確認するときのメール例文
件名:お見積の前提についての確認(□□プロジェクト) 株式会社〇〇 ご担当 〇〇様 いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。 お見積を作成するにあたり、工数の前提を確認させてください。 ・1人日は8時間、1人月は20人日(160時間)で計算してよろしいでしょうか ・精算幅は140〜180時間、上下割でよろしいでしょうか ・有給休暇の日は、稼働時間に含めない扱いでよろしいでしょうか 前提がそろい次第、〇日までにお見積をお送りします。 よろしくお願いいたします。
人日・人月の計算に使えるツール
人日・人月の計算は、電卓・エクセル・工数計算ツールのどれでもできます。計算そのものは難しくないので、大切なのは前提をそろえることです。
| ツール | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 電卓 | 1件だけすぐ計算したい | 計算の記録が残らない |
| エクセル・スプレッドシート | 見積や精算を毎月まとめたい | 前提の数字をセルに入れて管理する |
| 工数管理ツール | プロジェクトの作業時間を記録したい | 導入と入力の手間がかかる |
ネット上の無料の計算ツールを使う場合も、そのツールが1人日・1人月を何時間としているかを確認しましょう。前提が違うと、答えも変わります。
チョータツで案件の条件をそろえて管理する
見積の前提をそろえるには、案件ごとの単価や精算条件を、提案の前から1か所に残しておくことが役に立ちます。DrivenXのSES営業向けツールを使うと、条件の確認と共有が楽になります。
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。
| 場面 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 案件の条件を残す | メールや注文書を探して転記 | チョータツに案件ごとに登録し、チームで共有 |
| 案件メールを整理する | 1通ずつ読んで仕分け | チョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分け |
| 他社の案件を探す | 配信メールを読み続ける | 連携した会社の営業中案件をデータベースで見る |
チョータツメールAIは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分ける機能です。転送設定で取り込め、案件・人材以外のメールはデータに残りません。
こんな会社に向いています
見積のたびに、単価や精算幅をメールから探している
案件の条件を知っているのが、担当の営業だけになっている
案件メールが多く、条件の書かれたメールを見失うことがある
よくある質問
- Q. 人日の計算は8時間でいいですか?
- 一般的には1人日=8時間で計算します。ただし、所定労働時間が7.5時間の会社もあります。見積の前に、客先がどちらで考えているかを確認しましょう。
- Q. 人日から人月にするには、どう計算しますか?
- 1人月=20人日の前提なら、人日を20で割ります。60人日なら3人月です。1人月を実際の営業日で数える場合は、その日数で割ります。
- Q. 1人月は何時間ですか?
- 1人日8時間×20人日で、160時間とするのが一般的です。SESの月額契約では、140〜180時間などの精算幅で請求することが多いです。
- Q. 人月計算がおかしいと言われるのはなぜですか?
- 人を増やしても、期間が同じ割合で縮むとは限らないからです。教える時間や連絡の時間が増えるためです。工数と期間は分けて考えましょう。
- Q. 人日・人月の計算ツールはありますか?
- この記事の冒頭にある工数換算ツールで、時間・人日・人月と見積金額をすぐに計算できます。1人日の時間と1人月の日数は切り替えられます。どのツールでも、客先の前提の時間を確認してから使いましょう。
- Q. 0.5人月のような半端な工数はどう請求しますか?
- 契約によって、日割りにするか、精算幅を変えるかが違います。月の途中で参画・退場する場合は、事前に客先と書面で決めておきましょう。
まとめ
工数は、1人日=8時間、1人月=20人日=160時間を前提にするのが一般的
基本の式は「人日=時間÷8」「人月=人日÷20」「工数=人数×期間」「金額=工数×単価」
前提が会社ごとに違うと、480時間の作業でも見積が12万〜20万円ずれる
人を増やしても期間は同じ割合で縮まない。工数と期間は分けて考える
見積の前に、1人日の時間・1人月の日数・精算幅など10項目を客先とそろえる
この記事は一般的な情報をまとめたもので、法的な助言ではありません。契約や労働時間の扱いは、個別の契約書と専門家への相談で確認してください。
運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日
参考資料