SIer業界の再編2026|SCSK・NTTデータの時系列と、SES営業が取引先に確認すべき7項目
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
SIer業界の再編とは?
SIer業界の再編とは、SIerどうしの合併や、親会社による子会社の取り込みで、会社の形が変わることです。 2024年から2026年にかけて、大手で特に多く起きています。
SIer(エスアイヤー)とは、企業や官公庁のシステムを作って納め、運用まで引き受ける会社のことです。SES企業から見ると、案件の出どころになる大切な取引先です。
再編には、いくつかの形があります。SES営業が知っておきたいのは、次の4つです。
| 形 | どういうことか | 会社はどうなるか |
|---|---|---|
| 公開買付け(TOB) | 株を市場の外で、決まった値段で買い集める | 会社は残る。株主が変わる |
| 完全子会社化 | 親会社が株を100%持つ | 会社は残る。上場をやめることが多い |
| 吸収合併 | 1社がもう1社を取り込む | 取り込まれた会社はなくなる |
| 社名変更 | 会社はそのままで、名前だけ変える | 会社は残る。名前が変わる |
上場廃止とは、株式市場で株が売り買いされなくなることです。上場をやめても会社は続きます。ただし、適時開示の義務がなくなるため、外から見える情報が減ることがあります。
2024〜2027年のSIer再編を時系列で整理
主な再編は、2024年12月のSCSKによるネットワンシステムズの子会社化から始まり、2027年4月の合併まで続きます。 下の表は、各社の適時開示(会社が出す公式のお知らせ)で確認した出来事です(2026年9月30日確認)。
| 時期 | 出来事 | 形 |
|---|---|---|
| 2024年12月25日 | SCSKがネットワンシステムズの株の79.69%を取得し、親会社に | TOB |
| 2025年3月18日 | ネットワンシステムズが上場廃止 | 上場廃止 |
| 2025年3月21日 | NECネッツエスアイが上場廃止(NECグループ) | 上場廃止 |
| 2025年5月8日 | NTTがNTTデータグループへの公開買付けの開始を発表 | TOB |
| 2025年5月16日 | 富士ソフトが上場廃止(米投資会社KKRのTOB成立後) | 上場廃止 |
| 2025年7月1日 | NTTコムウェアがNTTドコモソリューションズに社名変更 | 社名変更 |
| 2025年9月26日 | NTTデータグループが上場廃止し、NTTの完全子会社に | 完全子会社化 |
| 2025年10月29日 | 住友商事の子会社がSCSKへの公開買付けを発表 | TOB |
| 2026年3月12日 | SCSKが上場廃止し、住友商事の完全子会社に | 完全子会社化 |
| 2026年3月25日 | SCSKとネットワンシステムズが合併契約を締結 | 吸収合併 |
| 2026年4月1日 | みずほリサーチ&テクノロジーズがみずほ銀行と統合。日本総合研究所が日本総研ホールディングス・日興システムソリューションズと合併 | 合併 |
| 2026年7月1日 | TISがインテックと合併し、社名をTISIに変更 | 合併・社名変更 |
| 2027年4月1日(予定) | SCSKがネットワンシステムズを吸収合併 | 吸収合併 |
表から読み取れるのは、「親会社が子会社を取り込む」動きが中心だということです。住友商事・NTT・NECのように、親会社がIT子会社を100%持つ形にそろえています。
取引先リストの社名が古いままだと、提案メールの宛先や契約書の相手先を間違えます。年に1回、少なくとも決算の時期には社名を見直しましょう。 上場企業の顔ぶれは、大手SIer一覧と売上ランキング|上場企業20社を比較【2026年】でも確認できます。
SCSKとネットワンシステムズの統合で何が変わるか
SCSKとネットワンシステムズは、2027年4月1日に1つの会社になる予定です。 SCSKが残り、ネットワンシステムズはなくなる「吸収合併」の形です。
SCSKの発表で確認できる内容は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 合併の形 | SCSKが存続し、ネットワンシステムズが消滅する吸収合併 |
| 合併の日 | 2027年4月1日(予定) |
| 合併後の社名 | SCSK(予定) |
| グループ会社の社名変更 | ネットワンパートナーズ→SCSKネットワンパートナーズ、SCSKセキュリティ→SCSKネットワンセキュリティ(2027年4月1日予定) |
SCSKは合併のねらいを3つあげています。企業文化の融合、事業シナジー(相乗効果)の最大化、コーポレート機能(本社の管理部門)の高度化です。ネットワンシステムズはネットワーク機器やインフラの構築に強い会社です。SCSKのシステム開発と組み合わせた案件が増える可能性があります。
SES営業から見た変化のポイント
SES営業にとって気にしたいのは、次の3点です。
契約の相手先の社名が変わる:ネットワンシステムズとの直接取引は、2027年4月1日以降はSCSKが相手になります。
協力会社の窓口が1つになりうる:2社別々だった購買(仕入れ)や協力会社の管理が、まとめられる可能性があります。
インフラ系の人材の出番が増えうる:ネットワークと開発をまとめた案件では、両方わかる人材が求められやすくなります。
2と3は、発表からの見通しです。実際にどうなるかは、取引している部署や一次請けの会社に確かめましょう。
吸収合併とは、1社がもう1社の権利や義務をまとめて引き継ぐことです。 会社法第750条では、合併の日(効力発生日)に、消える会社の権利・義務を残る会社が引き継ぐと決められています。そのため、今の契約がすぐ無効になるわけではありません。ただし、契約書に「合併のときは通知する」などの決まりがあれば、それに従った手続きが必要です。
NTTデータグループの完全子会社化で何が変わるか
NTTデータグループは上場をやめ、NTTの完全子会社になりました。会社は続いているので、SES営業の取引がすぐに変わるわけではありません。
流れは次のとおりです。
2025年5月8日:NTTが、NTTデータグループの株の公開買付けの開始を発表
2025年8月29日:NTTデータグループの臨時株主総会で、株式併合(少数株主の株をまとめる手続き)が承認
2025年9月26日:NTTデータグループが上場廃止
完全子会社化とは、親会社が子会社の株を100%持つことです。 親会社は、ほかの株主に気をつかわずに、グループ全体で素早く方針を決められるようになります。
SES営業から見た変化のポイント
NTTデータグループは、国内最大級のSIerです。2026年3月期の売上高は5兆46億円でした。取引先としての大きさは変わりません。
一方で、次の点は注意して見ておきましょう。
外から見える情報が減りうる:上場をやめると、適時開示や四半期ごとの決算開示の義務がなくなります。NTTデータグループは上場廃止後も年度の業績を公表していますが、開示の量は会社の判断しだいです。
グループ内の仕事の分け方が変わりうる:NTTグループ内で、どの会社が何を担うかが見直されることがあります。
案件票の社名に注意:NTTコムウェアは2025年7月1日にNTTドコモソリューションズへ社名を変えています。古い社名の案件票も出回ります。
NTT系の案件は、NTTデータグループから一次請け、二次請けへと流れることが多いです。系列の全体像はSIer業界地図2026|系列・下請け構造を図解、営業先の選び方つきでつかめます。
再編でSES営業に出やすい影響は3つ
再編の影響は、「窓口」「パートナー登録」「商流」の3つに出やすいです。 すべての再編で起きるわけではありませんが、起きたときに慌てないよう、先に知っておきましょう。
| 影響 | 起きうること | 営業の打ち手 |
|---|---|---|
| 取引の窓口 | 担当部署や担当者が変わる。発注の窓口が1つにまとまる | 新しい窓口と連絡先を早めに聞く |
| パートナー登録 | 協力会社の登録をやり直す。審査の基準が変わる | 必要な書類と締め切りを確認する |
| 商流 | 間に入る会社の数が変わる。商流制限(何次請けまでか)が変わる | 今の案件と次の案件の条件を確かめる |
1. 取引の窓口が変わる
合併すると、購買部門や協力会社の担当がまとめられることがあります。 今までの担当者に連絡しても、別の部署に回されるかもしれません。
2. パートナー登録をやり直すことがある
協力会社登録とは、元請けに「取引してよい会社」として登録してもらう手続きのことです。 大手SIerでは、登録していない会社とは直接取引できないことが多いです。合併のあと、登録の条件がそろえ直される場合があります。審査で見られる項目はSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目にまとめています。
3. 商流が変わる
商流とは、案件がエンド(発注元)から、何社を通ってSES企業に届くかという流れのことです。 再編で一次請けの会社が入れかわると、自社の位置も変わることがあります。上がることも、下がることもあります。
商流の聞き方は、SESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文にまとめています。
取引先が再編したときに確認すべき7項目
取引先が再編に関わったら、次の7項目を確かめましょう。 上から順に聞くと、抜けがありません。
契約の相手先:合併の日以降、契約書や注文書の相手の社名はどうなるか
請求先と支払い条件:請求書の宛先、振込元、支払いサイト(締めから支払いまでの日数)は変わるか
協力会社登録:登録のやり直しは必要か。必要なら書類と締め切りはいつか
窓口と担当者:新しい担当部署と連絡先はどこか
商流制限:何次請けまで入れるかの条件は変わるか
稼働中の案件:今のエンジニアの契約は、更新も含めてそのまま続くか
基本契約書の条項:合併や社名変更のときの通知・再契約の決まりはあるか
7は、自社の控えを見れば確認できます。基本契約書の条項の見方は、SESの基本契約書とは|テンプレートと個別契約の優先・印紙7号が参考になります。
取引先に確認するメール例文
再編の発表を見たら、次のようなメールで確認するとスムーズです。
件名:貴社の合併に伴う取引手続きについてのご確認
○○株式会社 購買ご担当者様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
2027年4月1日付の貴社の合併について、発表を拝見しました。
弊社との取引について、次の3点を教えていただけますでしょうか。
合併後の契約書・注文書の相手先
協力会社登録のやり直しの要否と、必要書類・締め切り
請求書の宛先と支払い条件の変更の有無
現在ご契約中のエンジニア2名の更新時期も近いため、早めに準備を進めたいと考えております。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
聞くのは3点までに絞るのがコツです。 多すぎると、返事が遅れやすくなります。残りの項目は、打ち合わせのときに口頭で確かめましょう。
再編で担当者が替わったら、新しい担当者へ自社から挨拶を送ります。書き方は営業担当者変更の挨拶メール例文|SESの取引先・BP・要員向けが参考になります。
自分で再編の情報を追う方法
再編の情報は、会社の適時開示と取引所の上場廃止一覧で追えます。 どちらも無料で見られます。
| 調べる場所 | わかること | 見る頻度の目安 |
|---|---|---|
| 各社のニュースリリース・IRページ | 合併・子会社化・社名変更の発表 | 取引先ごとに月1回 |
| 日本取引所グループの上場廃止銘柄一覧 | 上場をやめた会社と理由 | 月1回 |
| 適時開示情報閲覧サービス(TDnet) | 上場企業のお知らせ全般 | 気になる会社があるとき |
手順は次の4つです。
取引額が大きい順に、取引先を10社ほど選ぶ
各社のIRページやニュースリリースのページを、ブックマークしておく
月に1回、「合併」「子会社」「商号変更」の言葉があるか確認する
見つけたら、取引先リストの社名と備考を更新し、営業チームに共有する
上場をやめた会社は、適時開示が出なくなります。親会社のニュースリリースもあわせて見ると、見落としが減ります。上場をやめた会社の一覧は、SIerの親子上場解消・上場廃止一覧|再編で変わる商流と営業の対応でも整理しています。
チョータツで取引先の変化を追いやすくする
自分で追う方法は、取引先が増えるほど手間がかかります。 取引先ごとの情報がExcelやメールに散らばると、社名変更や窓口の変更も共有しにくくなります。
チョータツは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールです。再編への備えとしては、次のように使えます。
案件・人材の情報を1か所にまとめる:どの取引先から、どの案件が来ているかを管理・共有できる
パートナーへメールで配信する:窓口が変わったときも、配信先を見直してまとめて連絡できる
他社と連携して情報を集める:連携した他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる
取引先の再編で1つの流れが細くなっても、ほかの取引先の案件を探せる状態にしておくと安心です。AIが入力を手伝うので、情報の登録にかかる手間も抑えられます。チョータツは3,000社以上が使っていて、無料で始められます。
よくある質問
- Q. SCSKとネットワンシステムズはいつ合併しますか?
- 2027年4月1日の予定です。SCSKが存続し、ネットワンシステムズを吸収合併します。合併後の社名はSCSKの予定です。
- Q. NTTデータはもう上場していないのですか?
- はい。NTTデータグループは2025年9月26日に上場を廃止し、NTTの完全子会社になりました。会社は続いており、取引先としての重要さは変わりません。
- Q. 取引先が合併したら、今の契約は無効になりますか?
- 吸収合併では、残る会社が消える会社の権利・義務を引き継ぎます(会社法第750条)。すぐ無効にはなりません。ただし、契約書に合併時の通知などの決まりがあれば従いましょう。
- Q. 上場廃止した会社と取引を続けても大丈夫ですか?
- 上場廃止は、株が市場で売買されなくなるだけで、会社は続きます。親会社の完全子会社になったケースが多く、取引を続けること自体に問題はありません。
- Q. 再編の情報はどこで調べればいいですか?
- 各社のニュースリリースやIRページ、日本取引所グループの上場廃止銘柄一覧で調べられます。上場をやめた会社は、親会社の発表も確認しましょう。
まとめ
SIer業界では、2024年末から上場廃止・完全子会社化・合併が続いている
SCSKはネットワンシステムズを2027年4月1日に吸収合併する予定。合併後の社名はSCSK(予定)
NTTデータグループは2025年9月26日に上場を廃止し、NTTの完全子会社になった
SES営業への影響は「窓口」「パートナー登録」「商流」の3つに出やすい
取引先が再編したら、契約の相手先・請求先・登録・商流制限など7項目を早めに確認する
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
SCSK「ネットワンシステムズ株式会社に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ」(2024年12月19日)
ネットワンシステムズ「IR情報」(2025年3月18日の上場廃止)
SCSK「SCSKとネットワンシステムズの合併に関するお知らせ」(2026年3月25日)
SCSK「住友商事の子会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(2025年10月29日)
SCSK「住友商事の子会社による当社株券等に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」(2025年12月13日)
日本取引所グループ「上場廃止銘柄一覧」(SCSKの上場廃止:2026年3月12日)
NTT「株式会社NTTデータグループ株式(証券コード9613)に対する公開買付けの開始について」(2025年5月8日)
NTTデータグループ「当社株式の上場廃止のお知らせ」
クラウド Watch「NTTデータグループの2025年度連結業績は増収増益」(2026年3月期の売上高)
NTTコムウェア「商号変更について 新商号を「NTTドコモソリューションズ株式会社」に決定」
富士ソフト「IR情報」(2025年5月16日の上場廃止)
日本取引所グループ「上場廃止等の決定:NECネッツエスアイ(株)」
TISI「TISとインテックの合併完了および商号変更に関するお知らせ」(2026年7月1日)
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