SIerの親子上場解消・上場廃止一覧【2020〜2026年】|再編で変わる商流・取引窓口とSES営業の備え方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

親子上場の解消とは

親子上場の解消とは、親会社と子会社の両方が上場している状態をやめ、子会社の上場を取りやめることです。多くの場合、親会社が子会社の残りの株を買い集め、100%持つ「完全子会社」にします。

親子上場とは、親会社と、その親会社が50%超の株を持つ子会社が、どちらも株式市場に上場していることです。子会社のほかの株主(少数株主)の利益が、親会社の都合で損なわれないかが問題にされてきました。

上場廃止とは、証券取引所でその会社の株が売り買いできなくなることです。会社そのものがなくなるわけではありません。

完全子会社化までの流れ

完全子会社化は、ふつう次の順番で進みます。

  1. 親会社がTOBを発表する。TOB(株式公開買付け)とは、買う期間・値段・株数を公表して、市場の外で株を買い集める方法のことです。

  2. TOBが成立し、親会社の持ち分が大きくなる。

  3. 残りの株を集める手続きを行う。使われるのは、株式併合か株式等売渡請求です。

  4. 取引所が上場廃止日を決め、その日に上場が終わる。

株式併合とは、株をまとめて、少数株主の持ち分を1株未満にする方法のことです。株式等売渡請求とは、90%以上を持つ株主が、残りの株を売るよう求める方法のことです。

発表から上場廃止までは、数か月かかります。たとえばSCSKは、2025年12月にTOBの結果が出て、2026年3月12日に上場廃止になりました。

なぜSIerで親子上場の解消が続いているのか

理由は大きく2つあります。1つは、東京証券取引所が上場会社に資本の使い方や少数株主の保護を強く求めるようになったことです。もう1つは、親会社がIT子会社とDXを一体で進めたいという事情です。DXとは、デジタル技術で事業のやり方を変えることです。

各社の発表文でも、「グループ一体での成長」「意思決定の迅速化」といった目的がよく挙げられます。つまり、上場廃止のあとは親会社グループとの結びつきが強くなると考えておくのが自然です。

SIerの親子上場解消・上場廃止一覧【年別】

親会社などによる完全子会社化で上場をやめたSIer・IT企業は、次のとおりです。日本取引所グループの「上場廃止銘柄一覧」で、上場廃止日と廃止理由を確認しました(2026年9月30日確認)。

2026年

上場廃止日会社名買い手(親会社など)取引所が示した理由
2026年10月9日(予定)両毛システムズ親会社のミツバと中部電力支配株主等による買収(公開買付け、株式併合)
2026年3月12日SCSK住友商事支配株主等による買収(公開買付け、株式併合)

支配株主等による買収とは、親会社など、もともと大きな株を持つ株主が買い手になるケースのことです。日本取引所グループが使う分類です。親子上場の解消は、多くがこの分類に入ります。

2025年

上場廃止日会社名買い手(親会社など)取引所が示した理由
2025年11月26日パシフィックシステム親会社の太平洋セメント支配株主等による買収(公開買付け、株式等売渡請求による取得)
2025年9月26日NTTデータグループNTT支配株主等による買収(公開買付け、株式併合)
2025年3月21日NECネッツエスアイNEC支配株主等による買収(公開買付け、株式併合)
2025年3月18日ネットワンシステムズSCSK他社による買収(公開買付け、株式併合)

ネットワンシステムズは、もともとSCSKの子会社ではありませんでした。そのため取引所の分類は「他社による買収」です。ただし、SCSKが住友商事の完全子会社になったため、住友商事グループの中で2段階の再編が起きた形です。

2020〜2024年

上場廃止日会社名買い手(親会社など)廃止の方法
2024年9月6日SBテクノロジーソフトバンク株式の併合
2024年2月9日サイバネットシステム富士ソフト株式等売渡請求による取得
2023年12月1日伊藤忠テクノソリューションズ伊藤忠商事株式の併合
2023年5月2日兼松エレクトロニクス兼松株式等売渡請求による取得
2020年12月24日富士通フロンテック富士通株式の併合

※ 2024年以前は、取引所の一覧に「支配株主等による買収」という分類がありません。買い手は各社の公表内容で確認しました。富士通フロンテックは、ATMなどの機器とシステムを扱う富士通グループの会社です。

親会社以外への売却で上場をやめたIT企業

親子上場の解消ではありませんが、投資ファンドや他社の買収で上場をやめたIT企業もあります。取引先への影響は似ているため、あわせて確認しておきます。

上場廃止日会社名買い手取引所が示した理由
2025年12月9日テクノプロ・ホールディングスブラックストーン他社による買収(公開買付け、株式併合)
2025年5月16日富士ソフトKKR他社による買収(公開買付け、株式併合)
2024年10月16日インフォコムブラックストーン(2025年7月に日鉄ソリューションズの完全子会社へ)株式の併合
2024年2月7日システム情報ベインキャピタル(MBO)株式の併合

MBO(マネジメント・バイアウト)とは、経営陣が投資ファンドなどと組んで自社の株を買い取り、上場をやめることです。

このほか2026年には、アイネット・ブレインパッド・豆蔵が他社による買収で上場をやめました。上場廃止日は順に2月26日・3月17日・4月14日です。ランドコンピュータと東邦システムサイエンスは、共同持株会社トランヴィアの完全子会社になりました。2社とも2026年3月30日に上場を終えています。

上場廃止でSES営業の取引は何が変わるか

上場廃止で一番変わりやすいのは、案件の量よりも「取引の入口」と「ルール」です。会社は残るので、現場の案件は続くことが多いです。ただし、親会社グループのやり方に合わせて、発注や協力会社の管理が変わることがあります。

変わりやすい5つのポイント

変わりやすいこと起こりうる変化営業が確認すること
協力会社の登録親会社グループ共通の登録制度に移る再登録や追加の審査が要るか
発注の窓口購買部門がグループで一本化される注文書を出す部署・担当者が変わるか
契約書・支払いグループ標準のひな形・支払いサイトになる基本契約の結び直しがあるか
商流グループ内の会社が間に入る自社が何次請けになるか
社名・所在地合併や社名変更が起きる請求書の宛名・振込名義

協力会社制度とは、SIerが外部のパートナー企業を事前に審査して登録し、登録した会社にだけ仕事を出す仕組みのことです。「ビジネスパートナー制度」「協力会社登録」とも呼ばれます。審査で見られる項目はSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目にまとめています。

支払いサイトとは、仕事が終わって請求してから、お金が振り込まれるまでの期間のことです。

商流が長くなることもある

グループ再編のあとは、親会社グループ内の会社を通してから外部に発注する形になることがあります。その場合、同じ現場でも自社の位置が1つ下がり、単価に影響することがあります。

たとえば「エンド → SIer → 自社」が、「エンド → 親会社 → SIer → 自社」に変わるケースです。

商流の考え方はSESの一次請け・二次請けの違い|単価差と商流を上げる方法で詳しく解説しています。

逆にチャンスになることもある

再編は、新しい営業先が生まれるきっかけにもなります。グループ内の案件が一か所に集まると、協力会社の募集を広げる会社もあるからです。

合併した相手先の部門や、同じ親会社の別のIT子会社に、紹介してもらえる可能性もあります。取引実績がある会社ほど、この機会を使いやすくなります。

上場廃止後に調べにくくなる情報と、代わりの調べ方

上場廃止のあとは、有価証券報告書や決算短信が出なくなります。売上や従業員数、取引の方針を知るには、別の情報源を使う必要があります。

有価証券報告書とは、上場会社などが毎年出す、事業や業績の詳しい報告書のことです。金融庁のEDINETで誰でも読めます。

情報ごとの代わりの調べ方

知りたい情報上場中の調べ方上場廃止後の調べ方
売上・利益決算短信・有価証券報告書親会社の有価証券報告書のセグメント情報、決算公告
社名・所在地の変更適時開示国税庁の法人番号公表サイト
事業内容・規模有価証券報告書会社の公式サイト、経済産業省のgBizINFO
協力会社の募集公式サイト公式サイトの「パートナー募集」ページ、既存の担当者
登記の内容―法務局の登記事項証明書、登記情報提供サービス

セグメント情報とは、親会社が事業ごとに分けて示す売上や利益のことです。完全子会社の業績は、親会社の「IT事業」などの区分に含まれて出てくることが多いです。

決算公告とは、株式会社が決算の内容を官報や自社サイトなどで知らせることです。会社法第440条で定められており、大会社は貸借対照表と損益計算書の両方を公告します。

gBizINFO(ジービズインフォ)とは、経済産業省が運営する法人情報のサイトのことです。基本情報や補助金・調達の実績をまとめて見られます。

調べる手順

上場をやめた取引先の情報は、次の順で調べると効率的です。

  1. 国税庁の法人番号公表サイトで、社名・所在地の変更がないか確認する(法人番号は合併しても調べられます)。

  2. 親会社の有価証券報告書をEDINETで開き、「関係会社の状況」と「セグメント情報」を読む。

  3. 公式サイトの会社概要・パートナー募集ページを見て、窓口の変更がないか確認する。

  4. 取引が大きい場合は、決算公告や登記事項証明書で財務や役員の変化を確認する。

  5. 最後に、担当者へ直接「窓口や契約で変わる点はありますか」と聞く。

取引先の信用の確かめ方は、SESの取引先の与信チェック方法|反社チェックと確認手順5ステップでも解説しています。

取引先が上場廃止を発表したときの対応手順

取引先の上場廃止が発表されたら、「すぐやること」と「上場廃止までにやること」に分けて動きます。発表から上場廃止までは数か月あるので、その間に準備を済ませます。

すぐやること(発表から1か月以内)

  1. 社内の取引先リストに「再編予定」の印を付け、上場廃止の予定日を書く。

  2. その取引先から来ている進行中の案件と稼働中のエンジニアを一覧にする。

  3. 基本契約書を読み、契約の相手・期間・自動更新・解約の予告期間を確認する。

  4. 担当者に、窓口や協力会社登録の変更予定を聞く。

上場廃止までにやること

  1. 再登録や追加審査の案内が来たら、期限内に書類を出す。

  2. 注文書・請求書の宛名や振込先の変更に備える。

  3. 支払いサイトや契約ひな形が変わる場合は、条件を比べて社内で承認を取る。

  4. 親会社グループの別のIT子会社にも、取引の可能性がないか調べる。

協力会社登録で求められる書類は、SESの取引開始の審査と必要書類|口座開設で求められる8点一覧で一覧にしています。

担当者への確認メール例文

発表のあと、担当者には次のようなメールで確認するとよいでしょう。

件名:貴社の体制変更に伴う取引手続きのご確認

株式会社〇〇 〇〇部 〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
2026年10月に予定されている貴社の体制変更について、報道で拝見しました。

今後もお取引を続けさせていただくにあたり、次の3点について変更の予定があれば教えていただけますでしょうか。

  1. 協力会社登録の再登録や追加審査の有無

  2. 注文書・請求書の窓口や宛名の変更

  3. 基本契約書・支払い条件の変更

お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

相手もまだ決まっていないことが多い時期です。「決まり次第で構いません」と一言添えると、関係を崩さずに情報をもらえます。

再編で相手の担当者が替わったときは、新しい担当者に自社から挨拶を送ると関係を引き継ぎやすくなります。書き方は営業担当者変更の挨拶メール例文|SESの取引先・BP・要員向けを参考にしてください。

やってはいけないこと

  • 公表前の情報を、現場のエンジニアや他社に話す。上場会社の未公表情報は、インサイダー取引の問題につながるおそれがあります。

  • 「上場廃止=経営が危ない」と決めつけて、取引を急に減らす。親子上場の解消は、経営不安とは別の理由で行われることがほとんどです。

  • 再登録の案内を見落とし、期限を過ぎる。登録が切れると、新しい注文を受けられなくなることがあります。

再編が続く取引先の情報をチョータツで管理する

取引先の再編に備えるには、「どの会社から、どの案件が、どの商流で来ているか」を記録しておくことが大切です。自分でやるなら、Excelの取引先リストに案件と商流を書き足し、社名変更のたびに直していきます。

取引先(旧社名)再編の内容と日付稼働中の案件・人数確認状況
A社(旧B社)親会社C社の完全子会社に(2026年3月)2案件・3名再登録済み、支払いサイト変更なし
D社上場廃止予定(2026年10月)1案件・1名窓口変更を確認中

表の作り方はSESの案件・人材管理をExcelで無料で行う方法|テンプレ付きが参考になります。

ただ、取引先が多いと、メールで届く案件を1件ずつ転記するだけで時間がかかります。チョータツを使うと、この作業を楽にできます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
取引先ごとの案件を管理するメールを読んでExcelに転記案件・人材の情報を1か所で管理・共有
取引先の案件を集める1社ずつメールを確認他社と連携すると、営業中案件・営業中人材をデータベース化
自社の人材を届けるBCCで一斉送信パートナーへのメール配信機能で送る
入力の手間すべて手入力AIが入力を手伝う

チョータツは3,000社以上が使うSES営業向けのツールで、無料で始められます。再編で取引先が増えたり窓口が分かれたりしても、案件の情報を一か所にまとめておけば、影響の大きさをすぐに確かめられます。

よくある質問

Q. SIerの親子上場解消はなぜ増えているのですか?
東京証券取引所が少数株主の保護や資本の使い方を強く求めるようになったことが背景です。親会社がIT子会社と一体でDXを進めたいという事情もあります。
Q. 上場廃止した取引先との契約は続きますか?
会社は残るため、基本契約はそのまま続くことが多いです。ただし、協力会社の再登録や契約書の結び直しを求められることがあります。担当者に早めに確認しましょう。
Q. 上場廃止したSIerの売上はどこで調べられますか?
親会社の有価証券報告書のセグメント情報で、IT事業の売上として確認できることが多いです。会社単体の数字は、官報や自社サイトの決算公告で見られる場合があります。
Q. NTTデータやSCSKは今も大手SIerですか?
はい。NTTデータグループは2025年9月26日、SCSKは2026年3月12日に上場をやめましたが、事業は続いています。取引先としての重要さは変わりません。
Q. 上場廃止した会社の一覧はどこで見られますか?
日本取引所グループの「上場廃止銘柄一覧」で、年ごとに確認できます。上場廃止日と理由(支配株主等による買収など)が載っています。
Q. 親子上場の解消で、SES営業の商流は変わりますか?
変わることがあります。親会社グループの会社が間に入ると、自社の位置が1つ下がる場合があります。案件ごとに商流を確認し直しましょう。

まとめ

  • 2020〜2026年に、完全子会社化で上場をやめたSIer・IT企業を11社一覧にした(予定を含む)

  • 大きな例は、NTTデータグループ・SCSK・伊藤忠テクノソリューションズ・NECネッツエスアイ

  • 上場廃止でも会社と案件は続く。変わりやすいのは協力会社登録・窓口・契約・商流・社名

  • 上場廃止後は、親会社のセグメント情報・決算公告・法人番号公表サイト・gBizINFOで調べる

  • 発表から半年以内に、取引先リストの見直し・窓口と契約条件の確認・商流の記録を済ませる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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