SIer業界地図2026|系列ごとの親会社・グループ会社と下請け構造を1枚で図解、SES営業が商流を上げる営業先の選び方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SIer業界地図とは?売上ランキングとの違い

SIer業界地図とは、SIerどうしの資本のつながり(系列)と、仕事の流れる順番を1枚にまとめた図のことです。売上の大きさを並べるランキングとは、見る目的が違います。

SIer(エスアイヤー)とは、お客さんのシステムを企画から開発・運用までまとめて請け負う会社のことです。系列とは、親会社と子会社のように、株を持ち合ってつながっている会社のまとまりのことです。

SES営業が業界地図を見る理由は1つです。自社がいま何段目にいて、どこに営業すれば1段上がれるかを知るためです。

資料の種類わかることSES営業での使い道
売上ランキング会社の大きさ案件の多そうな会社を知る
種類別の一覧メーカー系・ユーザー系などの分類会社の性格を知る
業界地図(この記事)系列と下請けのつながり営業する「位置」を決める

→ 種類ごとの一覧はメーカー系SIer一覧|ユーザー系・独立系・外資系と4系統の違いにまとめています。

SIer業界地図2026:系列と下請けのつながりを1枚で図解

SIerの仕事は、エンドから中核SIerが受け、グループ子会社と協力会社を通ってSES企業に届くのが基本です。エンドとは、発注するお客さんのことです。

系列ごとに、この縦の流れが1本ずつあるとイメージしてください。

例文・テンプレート
                 エンド(官公庁・銀行・メーカー・通信など)
                                  ↓ 発注
 ┌────────── 系列(親会社 → 中核SIer)──────────┐
 │ NTT     → NTTデータグループ(2025年9月上場廃止)      │
 │ 日立    → 日立製作所(デジタルシステム&サービス)      │
 │ 富士通  → 富士通                                       │
 │ NEC     → NEC                                          │
 │ 野村HD  → 野村総合研究所(野村HDが20.14%を保有)     │
 │ 住友商事 → SCSK(2026年3月上場廃止)                   │
 │ 伊藤忠  → 伊藤忠テクノソリューションズ(2023年上場廃止)│
 │ 日本製鉄 → 日鉄ソリューションズ(63.43%を保有)       │
 └────────────────────────────────┘
                                  ↓
     グループ子会社(日立システムズ・富士通Japan など)=ここが実質の発注窓口
                                  ↓
     一次請け(協力会社・中堅SIer・独立系SIer)
                                  ↓
     二次請け(SES企業) ← 中小SES企業がまず目指す位置
                                  ↓
     三次請け以降

※ 系列と持株比率は、各社の公表資料・有価証券報告書をもとにしています(2026年9月確認)。
※ 「グループ子会社が実質の発注窓口」は、編集部の営業経験にもとづく一般的な傾向です。系列や部署で違います。

この図のように、同じ「日立の案件」でも、入る位置によって自社は二次請けにも四次請けにもなります。商流を上げるとは、この縦の列の中で1段でも上の会社と直接契約することです。

独立系・外資系は「系列の外」にいる

独立系・外資系SIerは、特定の系列に属さず、案件ごとに図の中の位置が変わります。

独立系SIerとは、メーカーやユーザー企業の親会社を持たず、自分で案件を取るSIerのことです。TISI・大塚商会・DTS・NSD・システナなどが代表です。

独立系は、系列の中核SIerから仕事を受けて一次請けとして動くことも、エンドから直接受けることもあります。つまり、図の中で位置が1つに決まりません。SES営業にとっては、案件ごとに商流を確かめる相手です。

外資系SIerとは、海外のIT企業の日本法人などのことです。日本オラクルの2026年5月期の有価証券報告書では、主要な販売先にNEC(日本電気)が載っています。外資の製品が国内の系列SIerを通ってお客さんに届く、という横のつながりもあります。

系列ごとの親会社・中核SIer・グループ子会社一覧【2026年版】

系列ごとの主な会社は、次の表のとおりです。SES営業が本当に話す相手は、多くの場合「グループ子会社」かその協力会社です。

系列(親会社)中核SIer主なグループ子会社(非上場)2026年の動き
NTTNTTデータグループNTTデータ関西 など地域会社2025年9月26日に上場廃止
日立日立製作所日立システムズ、日立ソリューションズ―
富士通富士通富士通Japan、エフサステクノロジーズ―
NECNECNECソリューションイノベータ―
三菱電機三菱電機三菱電機デジタルイノベーション2025年4月に事業開始
野村HD野村総合研究所―野村HDが20.14%を保有
住友商事SCSK―2026年3月12日に上場廃止
伊藤忠商事伊藤忠テクノソリューションズ―2023年のTOB後に上場廃止
日本製鉄日鉄ソリューションズ―日本製鉄が63.43%を保有
電通グループ電通総研―電通グループが61.78%を保有
キヤノンキヤノンマーケティングジャパン―キヤノンが54.09%を保有

※ 持株比率は各社の最新の有価証券報告書・半期報告書の「大株主の状況」によります(自己株式を除く)。
※ 表に書いていないグループ子会社も多数あります。最新の顔ぶれは、各社の有価証券報告書の「関係会社の状況」で確認できます。

2025〜2026年は「親会社に戻る」動きが続いた

ここ2年の大きな変化は、親会社が上場子会社を100%子会社に戻す動きです。NTTデータグループは2025年9月26日、SCSKは2026年3月12日に上場を廃止しました。

SCSKでは、住友商事の100%子会社が公開買付けを行いました。期間は2025年10月30日〜12月12日です。公開買付け(TOB)とは、株を市場の外でまとめて買い取る手続きのことです。その後の株式併合で、株主は住友商事とその子会社だけになる形になっています。

独立系でも、TISは2026年7月1日にインテックと合併し、社名をTISIに変えました。SES営業は、取引先の社名や口座名義が変わっていないかを確かめておきましょう。

→ 再編で取引先の口座や窓口が変わるときの確認点は、SIer業界の再編2026|SCSK・NTTデータ統合と営業への影響で解説しています。

取引先の社名・口座が変わったときの確認メール例文

〇〇株式会社 △△様
いつもお世話になっております。7月1日の合併・商号変更について、請求と契約の手続きを確認させてください。

  1. 請求書の宛名と振込元の名義は、いつから新しい社名になりますか。

  2. 今の基本契約と注文書は、そのまま引き継がれますか。

  3. 案件のご連絡の窓口や送付先アドレスに変更はありますか。
    お手数ですが、10月末までにご教示いただけますと助かります。

下請け構造を公的データで見る

SIerの下請け構造は、元請け・中間下請け・最終下請けの3つの立場が、ほぼ4対4対2の割合で並んでいます。公正取引委員会の2022年の調査で、この形が数字で確かめられています。

元請けとは、エンドから直接仕事を受ける会社のことです。一次請けとは元請けから直接受ける会社、二次請けとは一次請けから受ける会社のことです。

公正取引委員会は2022年6月の報告書で、資本金3億円以下のソフトウェア業の会社を調べました。取引上の立場を答えた会社の内訳は次のとおりです。

立場意味割合
元請エンドから直接受ける40.4%
中間下請受けた仕事をさらに下に出す38.2%
最終下請自社で作業し、下に出さない21.3%

出典:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」(2022年6月)

中間下請が4割近いことは、仕事が何段も流れる会社が多いことを示しています。段が1つ増えるたびに、間の会社の取り分が引かれ、SES企業に届く単価は下がりやすくなります。

→ 多重下請けの問題点はSESの多重下請け構造とは?図解と問題点、何次請けが平均かで解説しています。

SES営業はどの系列のどの位置に営業すべきか

営業先は、「どの系列か」と「その系列の何段目か」の2つの軸で決めます。おすすめは、自社のエンジニアが強い業界の系列を1つ選ぶことです。そして、その系列のグループ子会社と取引している一次請けに営業します。

軸1:自社の強みと系列の業界を合わせる

系列によって、得意なお客さんの業界が違います。業界の言葉がわかるエンジニアは、その系列の現場で評価されやすいです。

自社のエンジニアの強み相性のよい系列の例理由
金融(銀行・証券・保険)野村総合研究所、NTTデータ、日立金融の業務知識が求められやすい
官公庁・自治体NTTデータ、富士通、NEC公共の大規模案件が多い
製造・流通日立、日鉄ソリューションズ、SCSK生産・販売の業務システムが多い
ネットワーク・インフラNEC、伊藤忠テクノソリューションズ通信・基盤の案件が多い

※ 相性は、各社の決算資料の事業区分と公表されている事業の説明をもとに、編集部がまとめた目安です。

軸2:いまの位置から「1段だけ」上を狙う

2段以上とばして上を狙うより、1段ずつ上がる方が現実的です。大きな系列の中核SIerは、取引を始める審査が厳しく、実績や会社の体制を問われます。

いまの自社の位置次に狙う相手狙う理由
四次請け以降三次請けの会社まず段数を減らし単価を戻す
三次請け一次請けの会社二次請けになれる
二次請けグループ子会社一次請けとして直接受けられる
一次請け中核SIer・エンド元請けや直案件に近づく

→ 段ごとの単価の違いはSESの一次請け・二次請けの違い|単価差と商流を上げる方法で解説しています。

やってはいけないこと

  • 商流飛ばし:いまの取引先を通さず、その上の会社に同じ現場の話を直接持ちかけることです。取引先の信頼を失い、契約違反になることもあります。

  • 系列を広げすぎる:最初から5つの系列に同時に営業すると、どこにも実績が残りません。まずは1系列で1件決めることを優先します。

  • 社名だけで判断する:同じ系列でも、部署や子会社によって協力会社の使い方は違います。

→ 商流飛ばしのリスクはSESの商流飛ばしは違法?営業が知るべきリスクと防ぎ方5つをご覧ください。

自社の位置と営業先を決める5つの手順

自分で業界地図を使うには、「いまの位置を知る」→「狙う系列を決める」→「一次請けを探す」の順で進めます。特別な有料データは使わず、公開情報と手元の案件メールで進められます。

  1. いま受けている案件の商流を書き出す
    直近3か月の稼働中・提案中の案件を並べます。「エンド名・元請け名・自社は何次か」を1行ずつ書きます。

  2. 案件を系列ごとに分ける
    元請けの会社名から、どの系列の案件かを分けます。系列がわからない会社は、その会社の有価証券報告書の「大株主の状況」を見ます。

  3. 一番多い系列を「狙う系列」に決める
    すでに現場で評価されている系列の方が、次の提案も通りやすいです。業界の相性の表とも見比べます。

  4. その系列のグループ子会社と取引している一次請けを探す
    中堅SIerの有価証券報告書の「主要な販売先」に、狙う系列の会社名がある会社が候補です。EDINET(金融庁の開示書類の検索サイト)で無料で見られます。

  5. 一次請けに営業し、まず1件決める
    「〇〇系列の金融案件で実績があります」と、系列と業界をそろえて伝えます。小さな案件でも1件決めると、次の提案が通りやすくなります。

グループ子会社と直接取引したい段階では、協力会社登録の審査があります。見られる項目と準備はSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目にまとめています。

→ 一次請けの候補は一次請け・二次請けSIer一覧|商流を上げる営業先の探し方にまとめています。

商流を確かめるときの質問例文

案件メールに商流が書かれていないときは、次のように聞くと角が立ちません。

お世話になっております。株式会社〇〇の△△です。
10月5日(月)開始の〇〇案件について、ご提案の前に1点確認させてください。
差し支えない範囲で、エンド様と元請け様の業界、貴社が何次のお立場かを教えていただけますか。
弊社の要員の稼働条件とあわせて、社内で確認させていただきます。

→ 聞き方のバリエーションはSESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文で紹介しています。

業界地図を営業で使うチェックリスト

業界地図は、一度作って終わりではありません。取引先が増えたときと、系列の再編があったときに見直します。

#確認すること見る場所
1取引先ごとに、どの系列の案件かを書いているか自社の案件リスト
2案件ごとに、自社が何次かを書いているか案件メール・注文書
3狙う系列を1つに決めているか営業チームの方針
4その系列の一次請け候補を3社以上挙げているか有価証券報告書
5取引先の社名変更・上場廃止を確認したか各社の発表・東証の開示
6取引先の実在と登記を確認したか国税庁 法人番号公表サイト
7商流飛ばしにならない営業先か確認したか取引先との契約書
8半年に1回、系列と位置を見直す日を決めたか営業カレンダー

チョータツで「系列×位置」の管理を楽にする

自分で業界地図を回すときに一番手間がかかるのは、案件メールを読み、系列と何次かを1件ずつ書き写す作業です。取引先が増えるほど、この作業は重くなります。

チョータツは、SES営業の案件・人材の管理・共有ツールです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。

チョータツでできること

  • 案件・人材の情報を1か所で管理・共有できます。どの取引先から、どんな案件が来ているかをチームで同じ画面で見られます。

  • 他社と連携すると、その会社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できます。狙う系列の一次請けと連携すれば、その会社の営業中案件をデータベースとして見られます。

  • AIが入力を手伝うので、案件情報を登録する手間を減らせます。

  • パートナーへのメール配信機能で、狙う系列の一次請けに、自社の人材をまとめて案内できます。

使い方の順番としては、まず手順1〜3を自分で行い、狙う系列を決めます。そのうえで、案件の管理と取引先とのやり取りをチョータツにまとめると、見直しの手間が減ります。

よくある質問

Q. SIer業界地図の2026年版で、一番大きな変化は何ですか?
親会社が上場子会社を100%子会社に戻す動きです。NTTデータグループは2025年9月26日、SCSKは2026年3月12日に上場を廃止しました。
Q. SIerの下請け構造は、何次請けまであるのですか?
決まった上限はありません。公正取引委員会の2022年の調査では、中間下請の会社が38.2%でした。仕事が何段も流れる会社が多いことがわかります。
Q. 中小のSES企業が、5大SIerと直接取引できますか?
可能ですが、審査で実績や体制を問われることが多いです。まずは系列のグループ子会社と取引している一次請けと組み、現場の評価を積むのが近道です。
Q. 系列が違うSIerの案件を同時に受けても問題ありませんか?
法律上の問題はありません。ただし、同じ業界の競合どうしの案件では、秘密保持の条件を契約書で確かめてから提案しましょう。
Q. 取引先がどの系列か、どうやって調べればいいですか?
上場会社なら、有価証券報告書の「大株主の状況」と「関係会社の状況」を見ます。EDINETで無料で読めます。
Q. 独立系SIerは業界地図のどこに入りますか?
系列の外にいて、案件ごとに位置が変わります。元請けのときも、系列の一次請けのときもあるため、案件ごとに商流を確かめます。

まとめ

  • SIer業界地図は「系列(親会社→中核SIer→グループ子会社)」と「下請けの段」の2つでできている

  • 2025〜2026年は、NTTデータグループとSCSKの上場廃止など、親会社に戻る動きが続いた

  • 公正取引委員会の調査では、元請40.4%・中間下請38.2%・最終下請21.3%

  • 営業先は「自社の強みに合う系列」と「いまより1段上の位置」で選ぶ

  • 系列のグループ子会社と取引している一次請けに1件決めると、二次請けになれる

  • 案件と取引先の情報をチョータツで1か所にまとめると、系列と何次かの見直しが楽になる

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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