5大SIerとは?NTTデータ・富士通・NEC・日立・NRIの売上比較と、下請け構造・SES企業の商流の入り方
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
5大SIerとは?どの5社を指すか
5大SIerとは、国内のSIerのうち、特に規模が大きい5社をまとめた業界の呼び方のことです。NTTデータ・富士通・NEC・日立製作所・野村総合研究所の5社を指すのが一般的です。
SIer(エスアイヤー)とは、お客さんのシステムを企画から開発・運用までまとめて請け負う会社のことです。システムインテグレーター(System Integrator)の略です。
「5大SIer」は、国や業界団体が決めた言葉ではありません。日本IBMなどを加えて「大手6社」とする記事もあります。本記事では、よく使われる5社で比べます。
5社は、生まれた経緯で2つの系統に分かれます。
| 企業名 | 系統 | 系統の意味 |
|---|---|---|
| 富士通・NEC・日立製作所 | メーカー系 | コンピュータなどの機械をつくる会社がルーツ |
| NTTデータ | ユーザー系 | NTTの一部門から生まれた |
| 野村総合研究所(NRI) | ユーザー系 | 野村證券の調査部門などから生まれた |
メーカー系SIerとは、機械をつくる会社やそのIT子会社のことです。ユーザー系SIerとは、銀行・商社・通信会社など、ITを使う側の会社から生まれたSIerのことです。
系統ごとの違いはメーカー系SIer一覧|ユーザー系・独立系・外資系と4系統の違いで解説しています。
5大SIerの売上比較【2026年3月期】
5大SIerの売上は、会社全体では日立製作所が最も大きく、IT関連の事業に限ると4社が2兆円台で並びます。数字はすべて2026年3月期の公表値です。
| 企業名 | 会社全体の売上 | IT関連の事業の売上 | IT関連の事業の範囲 |
|---|---|---|---|
| 日立製作所 | 10兆5,867億円 | 約2兆9,400億円 | デジタルシステム&サービス |
| NTTデータグループ | 5兆46億円 | 2兆727億円 | 日本セグメント(国内) |
| NEC | 3兆5,827億円 | 2兆5,089億円 | ITサービス |
| 富士通 | 3兆5,029億円 | 2兆3,469億円 | サービスソリューション |
| 野村総合研究所 | 8,147億円 | 8,147億円(国内7,059億円) | 会社全体がIT・コンサル |
※ 売上は、各社の決算資料と報道で確認した数字です(2026年9月30日確認)。国際会計基準の会社は「売上収益」と呼びます。
※ 「IT関連の事業の売上」は、各社が決めた事業の区切り(セグメント)の数字です。区切り方が会社ごとに違うため、横に並べて順位をつけるものではありません。
※ NTTデータグループは、海外の売上が大きい会社です。日本セグメントの売上を入れたのは、国内の案件の多さを見る目安にするためです。
売上から読み取れる3つのこと
1. メーカー系3社は、会社全体の数字だけで比べない
日立・NEC・富士通は、IT以外の事業も持っています。SES営業が案件の多さを見るなら、ITサービスの事業の売上を見ます。
2. 国内で最も大きいIT事業を持つのはNTTデータ
NTTデータグループの日本セグメントは2兆727億円です。公共・社会基盤が8,427億円、金融が7,618億円、法人が5,960億円でした。
3. IT関連の事業は5社とも伸びている
IT関連の事業の売上は、5社とも前期より増えました。NRIの国内売上は7,059億円で、前期より8.2%増えています。国内の案件が増えると、協力会社への発注も増えやすくなります。
上場しているのは4社
NTTデータグループは、2025年9月26日に上場を廃止し、NTTの完全子会社になりました。いまも取引先としての重要さは変わりません。
5社以外も含めた大手の顔ぶれは大手SIer一覧と売上ランキング|上場企業20社を比較【2026年】で比べられます。
5社の特徴とSES営業から見た案件の傾向
5社は、得意なお客さんの業界がそれぞれ違います。自社のエンジニアが強い業界に近い会社から狙うのが効率的です。
| 企業名 | 得意なお客さん・事業 | SES営業から見た案件の傾向 |
|---|---|---|
| NTTデータ | 官公庁・自治体、金融、一般企業 | 大規模な公共・金融の案件が多い |
| 富士通 | 官公庁、一般企業、モダナイゼーション | 古いシステムの作り直しの案件が増えている |
| NEC | 官公庁、通信、一般企業 | 公共・通信の基盤系の案件が多い |
| 日立製作所 | 金融、社会インフラ、製造 | 業務システムとインフラ系が混ざる |
| 野村総合研究所 | 金融(証券・保険など)、流通 | 金融業務の知識が求められやすい |
※ 得意分野は、各社の決算資料のセグメント区分と、公表されている事業の説明をもとに編集部がまとめたものです。
モダナイゼーションとは、古くなった業務システムを、新しい技術で作り直すことです。富士通は2026年3月期の決算で、モダナイゼーションの需要が強く、その売上が前の年より24%増えたと説明しています。
5大SIerの下請け構造:案件はどう流れてくるか
5大SIerの案件は、エンドから5大SIerが受け、グループ会社や一次請けを通って、SES企業に届くのが典型です。SES企業の多くは、二次請け以降に入ります。
商流とは、システムの仕事がエンド(発注元)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。元請けとは、エンドから直接仕事を受ける会社のことです。
エンド(官公庁・銀行・メーカーなど) ↓ 請負・準委任 5大SIer(元請け) ↓ 5大SIerのグループ会社(地域会社・専門子会社など) ↓ 一次請け(協力会社・中堅SIer・独立系SIer) ↓ 二次請け(SES企業) ↓ 三次請け以降
大きな案件では、5大SIerの下にグループ会社が入ることがよくあります。その分、SES企業から見た商流は1段深くなります。
下請けの割合を公的データで見る
公正取引委員会は2022年6月の報告書で、資本金3億円以下のソフトウェア業の会社を調べました。取引での立場を答えた会社の割合は、元請40.4%・中間下請38.2%・最終下請21.3%でした。
中小のソフトウェア会社でも、約6割は下請けとして仕事を受けていることになります。5大SIerの案件に限らず、下請けで仕事を受ける形はSES業界ではふつうのことです。
一次請けと二次請けの単価の違いはSESの一次請け・二次請けの違い|単価差と商流を上げる方法で解説しています。
何次請けからなら入れるか
中小SES企業が5大SIerの案件に入るなら、一次請けのすぐ下の「二次請け」を目標にするのが現実的です。5大SIerと直接契約するには、実績と体制の審査があるためです。
| 位置 | 入りやすさ | 単価 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 5大SIerと直接(一次請け) | △ 難しい | 高い | 協力会社として登録され、長い実績がある |
| 一次請けの下(二次請け) | ○ 狙える | ふつう | 一次請けとの取引実績が1件以上ある |
| 二次請けの下(三次請け以降) | ◎ 入りやすい | 下がりやすい | 商流制限にかからないこと |
商流制限とは、案件を出す会社が「何社先までなら人を出してよいか」を決めたルールのことです。案件メールの「貴社社員まで」「1社先まで」などの書き方で示されます。
5大SIerの案件は、商流制限が厳しいことが多いです。三次請け以降だと、制限にかかって提案できないこともあります。
案件メールで5大SIerの案件を見分ける
案件メールに「元請:大手SIer」と書かれていても、どの会社かは伏せられていることがあります。次のように、自社が何社目かを必ず確認しましょう。
件名:Re:【Java/金融】2026年11月開始の案件について ご案内ありがとうございます。 提案の前に、次の3点を教えていただけますか。 ・元請けの会社と、貴社までの間に入る会社の数 ・弊社社員での提案が必要か(商流制限の有無) ・契約形態(準委任・請負・派遣のどれか) よろしくお願いいたします。
ほかの聞き方はSESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文にまとめています。
5大SIerの商流に入る5つの手順
5大SIerの商流に入るには、5大SIerと直接取引している一次請けを見つけ、そこから信頼を積む順番が近道です。
狙う1社を決める:5社のうち、自社のエンジニアが強い業界に近い会社を選びます。
その会社の一次請けを探す:上場している中堅SIerの有価証券報告書で「主要な顧客」の欄を見ます。狙う会社の名前があれば、一次請けの候補です。
一次請けと取引を始める:パートナー募集ページや交流会から連絡します。最初は小さな案件でも1件決めます。
現場の評価を上げる:自社エンジニアの評価が上がると、同じ5大SIerの別の案件にも声がかかります。
協力会社の登録を目指す:実績と体制が整ったら、一次請けや5大SIerのグループ会社に申し込みます。審査で見られる項目はSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目にまとめています。
有価証券報告書とは、上場企業が毎年出す、事業や業績の詳しい報告書のことです。金融庁のEDINETで無料で読めます。
編集部としては、手順2を飛ばさないことをおすすめします。実績がないまま5大SIerに直接申し込んでも、審査が通りにくいためです。
一次請け候補は一次請け・二次請けSIer一覧|商流を上げる営業先の探し方で探せます。
一次請け候補への初回メールの例
手順3で一次請けに連絡するときは、狙う5大SIerの分野と、出せる人材を具体的に書きます。
件名:協力会社としてのご相談(金融系Java開発の要員)
株式会社〇〇 パートナー採用ご担当者様
はじめまして。SES事業を行う株式会社△△の□□です。
貴社が金融機関向けの開発を多く手がけていると拝見し、ご連絡しました。
弊社には、銀行の勘定系でJava開発・テスト経験のあるエンジニアが4名おります。
まずは1名からでも、貴社の案件に参加させていただけないでしょうか。
15分ほどオンラインでご挨拶の機会をいただけますと幸いです。
5大SIerの案件で注意したい3つのこと
5大SIerの案件に入るときは、商流・指揮命令・支払いの条件を最初に確認します。大手の案件でも、確認を省くとトラブルになります。
1. 再委託の可否を確かめる
再委託とは、受けた仕事を、さらに別の会社に任せることです。5大SIerの案件では、再委託に事前の承認が要ることが多いです。
2. 指揮命令の出し方を確かめる
準委任契約なのに、客先の社員が自社のエンジニアに直接指示を出すと、偽装請負になるおそれがあります。判断の目安は偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選で確認できます。
3. 取適法のルールを知っておく
下請法は改正され、2026年1月1日から名前も取適法(中小受託取引適正化法)になりました。資本金や従業員数の条件に当たる取引では、発注する側に条件の明示や支払い期日などの義務があります。改正点は下請法をわかりやすく|取適法への改正点とSES企業の義務4つで解説しています。
※ この章は一般的な情報で、法的助言ではありません。個別の契約は弁護士などの専門家にご確認ください。
チョータツで5大SIer案件の情報を整理する
5大SIerの案件は、いくつもの一次請けから、似た内容で何度も届きます。自分で管理するなら、メールを読み、案件ごとに商流と条件をExcelに書き写します。チョータツを使うと、この作業をまとめて進められます。
| 場面 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 案件を管理する | Excelに案件ごとに書き写す | 案件・人材の情報を管理・共有できる |
| 取引先の案件を知る | メールを1通ずつ読む | 他社と連携すると、営業中案件・人材をデータベース化できる |
| 入力の手間 | 手で打ち込む | AIが入力を手伝う |
| パートナーへ連絡する | メールを1社ずつ送る | メール配信機能でまとめて送れる |
チョータツは3,000社以上が利用しており、無料で始められます。一次請けとの取引が増えるほど、案件の情報を一か所にまとめる効果が大きくなります。
よくある質問
- Q. 5大SIerとはどこですか?
- NTTデータ・富士通・NEC・日立製作所・野村総合研究所の5社を指すのが一般的です。公式な定義はなく、日本IBMなどを加えて呼ぶこともあります。
- Q. 大手SIerとは、どんな会社を指しますか?
- 企業や官公庁のシステムを大きな規模で請け負う、売上の大きいSIerのことです。5大SIerのほか、TISやBIPROGYなども大手として扱われます。
- Q. 5大SIerで一番売上が大きいのはどこですか?
- 会社全体では日立製作所の10兆5,867億円です(2026年3月期)。ただしIT以外の事業も含むため、IT関連の事業の売上もあわせて見ましょう。
- Q. 中小SES企業でも、5大SIerの案件に入れますか?
- 入れます。多くは一次請けの下の二次請けとして入ります。まず5大SIerと直接取引している一次請けと、1件目の取引を決めましょう。
- Q. 5大SIerと直接取引するには何が必要ですか?
- 協力会社としての登録と、長い取引実績が必要になることが多いです。一次請けを通して実績を積んでから申し込むのが現実的です。
- Q. NTTデータはもう上場していないのですか?
- NTTデータグループは2025年9月26日に上場を廃止し、NTTの完全子会社になりました。事業は続いており、取引先としての重要さは変わりません。
まとめ
5大SIerは、NTTデータ・富士通・NEC・日立製作所・野村総合研究所の5社をまとめた呼び方
会社全体の売上は日立製作所が最大。IT関連の事業では4社が2兆円台で並ぶ
案件はエンド → 5大SIer → グループ会社・一次請け → SES企業と流れる
中小SES企業の現実的な目標は、一次請けのすぐ下の二次請け
入る近道は、5大SIerと取引する一次請けを見つけ、1件目を早く決めること
一次請けから届く案件は、チョータツで管理・共有して取りこぼしを減らす
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
日立製作所「2026年3月期 連結決算の概要」(連結売上収益、デジタルシステム&サービスの売上収益)
日本電気(NEC)「2025年度(26年3月期)通期決算概要」(売上収益、ITサービスの売上収益)
富士通「2025年度 決算概要」(売上収益、サービスソリューションの売上収益)
野村総合研究所「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年4月24日)
クラウド Watch「NTTデータグループの2025年度連結業績は増収増益」(売上高、日本セグメントの内訳)
週刊BCN+「主要SIerの2026年3月期決算 堅調な国内IT需要で好業績」(2026年6月1日)
NTTデータグループ「当社株式の上場廃止のお知らせ」
公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書について」(2022年6月29日、本文PDF:元請・下請の割合)
公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」
e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」(第2条 定義、第3条 支払期日、第4条 明示)
金融庁「EDINET」(有価証券報告書)