オフショア開発とは?意味と仕組み・主な国|国内SESの案件が「減る所」と「生まれる所」を営業目線で整理
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
オフショア開発とは?意味をひとことで
オフショア開発とは、システムやソフトウェアの開発業務を、海外の開発会社や自社の海外拠点に任せることです。 英語の offshore(オフショア)は「岸から離れた」「海外の」という意味です。
ITの話で「オフショア」と言えば、ほぼ海外への開発の委託を指します。「ソフトウェアのオフショア開発」も同じ意味です。
「オフショアサービス」は業界で意味が変わる
「オフショアサービス」は、使う業界によって指すものが違う言葉です。 SES営業が商談で聞く場合は、IT分野の意味だけ押さえれば十分です。
| 分野 | 「オフショア」の意味 | SES営業との関係 |
|---|---|---|
| IT・ソフトウェア | 開発を海外に任せること | 直接関係する |
| 事務・コールセンター | 事務作業を海外に任せること(海外BPO) | 情シス案件で聞くことがある |
| 金融 | 税金の安い国・地域での取引 | 関係しない |
BPOとは、会社の業務の一部をまるごと外部に任せることです。事務の海外委託は「オフショアBPO」と呼ばれます。
ニアショア・オンサイトとの違い
オフショアは海外、ニアショアは国内の地方、オンサイトは客先で開発する形です。 3つとも、どこで作業するかの違いを表す言葉です。
| 呼び名 | 作業する場所 | よくある例 |
|---|---|---|
| オフショア | 海外 | ベトナムの開発会社に製造を任せる |
| ニアショア | 国内の地方都市 | 地方のSES会社がリモートで参画する |
| オンサイト | 発注者の事務所 | 客先常駐のSES |
ニアショアの単価や営業の方法は、ニアショア開発の単価相場と地方SESの提案方法でまとめています。
オフショア開発の仕組み:誰が何をするか
オフショア開発は、「日本側で決めた仕様を、海外チームが作り、日本側で確かめる」という流れが基本です。 日本と海外の間をつなぐ役割が欠かせません。
発注者(日本のユーザー企業・SIer) ↓ 要件・仕様を決める(日本側) ブリッジSE ……日本語と現地語、日本の仕様と現地の作り方をつなぐ ↓ 海外の開発チーム(プログラマー・テスター) ↓ 作ったものを納める 日本側で受入テスト・リリース
工程でいうと、上流と最後の確認は日本側に残り、中間の製造が海外に出ることが多いです。要件定義とは、システムで何をするかを決める最初の工程のことです。受入テストとは、納品されたものが注文どおりか、発注者が確かめるテストのことです。
ブリッジSEとは
ブリッジSEとは、日本の発注者と海外の開発チームの間に立ち、両者をつなぐ技術者のことです。 仕様の説明、質問の取り次ぎ、進み具合の確認をします。「橋(ブリッジ)」をかける役割なので、ブリッジSEと呼ばれます。
ブリッジSEには、日本語と現地の言葉の両方に加え、開発の知識が必要です。海外の会社に所属するブリッジSEもいれば、日本で働くブリッジSEもいます。
契約の形は「請負型」と「ラボ型」
オフショア開発の契約は、「請負型」と「ラボ型」の2つが中心です。 成果物で払うか、チームを期間で確保するかの違いです。
| 形 | 中身 | 向く案件 |
|---|---|---|
| 請負型 | 決めた成果物を完成させて納める | 仕様が固まった開発 |
| ラボ型 | 専属チームを月単位で確保する | 改修が続くサービス・保守 |
ラボ型は、SESの準委任に近い考え方です。国内のSES会社がラボ型で受けるときの注意点は、ラボ契約とは?SESとの違いと準委任で結ぶときの注意点7つで解説しています。
オフショア開発の主な国:ベトナム・中国・インド
日本からの発注先として多いのは、ベトナム・中国・インドの3か国です。 オフショア開発.comの「オフショア開発白書(2025年版)」では、発注先の国の割合は次のとおりでした。
| 国 | 割合 | 日本との時差 |
|---|---|---|
| ベトナム | 43% | 2時間 |
| 中国 | 21% | 1時間 |
| インド | 14% | 3時間30分 |
| バングラデシュ/フィリピン | 各5% | 3時間/1時間 |
※割合は、同白書が相談の内容をもとにまとめた数字です(業界全体の統計ではありません)。
ベトナム:日本語を学ぶ技術者が多く、日本向けの開発会社が集まっています。
中国:時差が小さく、日本向け開発の歴史が長い国です。
インド:技術者の数が多く、英語で進める大規模な開発に使われます。
台湾のオフショア開発
台湾は、日本との時差が1時間と小さく、ハードウェアや半導体に関わる開発で名前が挙がる地域です。 ただし、同白書の上位の国には入っていません。案件票で見ることは多くないと考えておけば十分です。
国ごとの人月単価の違いは、オフショア開発の単価相場|国別の人月単価と今後の動向を解説で整理しています。
オフショア開発のメリットと注意点
発注者がオフショアを選ぶいちばんの理由は、今は「コスト削減」より「人手の確保」です。 同白書の2025年版は、オフショア開発を検討した44社へのアンケートです。検討した理由の1位が「開発リソースの確保」、2位が「コスト削減」でした。
メリット
人を集めやすい:国内で見つからない人数を、海外でまとめて集められる
費用を抑えやすい:国によっては国内より人月単価が安い
長く続けやすい:ラボ型なら、同じチームで改修を続けられる
注意点
仕様の伝わり方:言葉や文化の違いで、細かい意図が伝わりにくい
管理の手間:ブリッジSEや日本側の確認に、人と時間がかかる
品質の確認:納品物のテストを日本側でやり直すことがある
個人情報の扱い:海外に個人データを渡すときは、個人情報保護法第28条(外国にある第三者への提供の制限)のルールがある
個人情報保護委員会は、外国にある会社へ個人データを渡すときの考え方をガイドラインで示しています。SES営業が判断する話ではありません。ただ、発注者が「個人情報を扱う部分は国内で」と決める理由の1つになります。
今後のオフショア開発と国内SESへの影響
オフショアは「国内SESの案件をすべて奪うもの」ではありません。 工程によって、案件が減る所と、逆に生まれる所があります。
同白書のアンケートでは、オフショア開発を「10年以上続けている」企業が44%と最も多く、使い方は定着しています。一方で、国内の人手不足はしばらく続く見込みです。今後も「国内だけ」「海外だけ」ではなく、組み合わせて使う発注者が増えると考えておくのが現実的です。
国内のIT人材不足のデータは、IT人材不足の2030年予測とデータ|経産省試算を営業目線で解説で解説しています。
国内SESと競合しやすい所
仕様が決まっていて、作業量の多い工程ほど、オフショアと競合します。
| 工程・案件 | 競合の度合い | 理由 |
|---|---|---|
| 製造(プログラミング) | 大きい | 人数が要り、海外に出しやすい |
| 単体テスト・結合テスト | 大きい | 手順が決まっていて任せやすい |
| 長期の保守・小さな改修 | 中くらい | ラボ型でまとめて出されやすい |
| 要件定義・基本設計 | 小さい | 顧客と日本語で細かく話す |
逆に案件が生まれる所
オフショアを使う発注者ほど、日本側で「つなぐ・決める・確かめる」人が足りなくなります。 SES営業にとっては、ここが新しい案件の入り口です。
| 生まれる案件 | 求められる人 | 案件票の書かれ方の例 |
|---|---|---|
| ブリッジ要員 | 日本語と現地語ができる技術者 | 「ベトナムチームとのブリッジ」 |
| オフショア管理のPMO | 進み具合・課題を管理する人 | 「オフショア管理経験者」 |
| 上流工程 | 要件定義・設計を日本語で書ける人 | 「海外向け設計書の作成」 |
| 受入テスト・品質管理 | 納品物を確かめるテスター | 「オフショア納品物の検証」 |
| 国内での巻き取り | 海外から戻す開発を担う人 | 「内製化・国内移管」 |
PMOとは、プロジェクトの管理を支える役割のことです。PMとの違いはPMOとPMの違い|SES営業が案件を読み分けるポイントと提案判断表で解説しています。
SES営業の現場での使い方
「オフショア」という言葉が出たら、失注の合図ではなく「どの工程が日本に残るか」を聞く合図と考えます。 使う場面ごとに、確認することと例文をまとめました。
場面1:顧客に「次はオフショアに出す」と言われた
まず、海外に出る工程と、日本に残る工程を聞きます。日本に残る工程に合う人材を提案します。
「承知しました。オフショアに出されるのは製造とテストでしょうか。要件定義や受入テスト、海外チームとのやり取りは御社側で持たれますか。そちらの体制づくりでしたら、お手伝いできる人材がおります。」
場面2:案件票に「オフショア」「ブリッジ」と書いてある
案件票を読むときは、次の5点を確認します。
相手の国と、やり取りの言葉(日本語・英語・現地語)
ブリッジ役か、日本側のPM・PMOか
設計書を書く担当か、読む担当か
時差に合わせた勤務時間の有無
海外への出張の有無
言葉の条件は、あとで一番もめやすい所です。「英語で会話」なのか「英語の資料を読める」なのかを、提案前に分けて聞きます。
場面3:外国籍のエンジニアをブリッジ要員で提案する
ブリッジ案件では、日本語のできる外国籍のエンジニアが強みを発揮します。提案前に在留資格と日本語力を確認します。確認の手順は、外国籍エンジニアをSESで提案する注意点|在留資格の確認と提案文にまとめています。
ブリッジ要員を提案するメールでは、言葉の力を場面で書きます。
件名:【ご提案】ベトナムチームとのブリッジ要員/N.T.(開発経験5年)
・ベトナム語:母語。日本語:JLPT N1、日本語での設計書作成の経験2年
・現地チーム10名との日次の朝会の進行、仕様の質問の取り次ぎ(1年半)
・Javaでの開発経験5年。コードレビューも担当
・勤務:時差に合わせた9時始業に対応できます
「日本語ビジネスレベル」とだけ書くより、何をどの言葉でしていたかを書くほうが、書類で判断されやすくなります。
場面4:顧客がオフショアと国内SESで迷っている
どちらが安いかだけで比べると、国内SESは不利に見えがちです。ブリッジや受入テストにかかる手間も含めて比べてもらうと、国内SESが合う工程が見えてきます。単価と品質の比べ方と説明のトーク例は、オフショア開発と国内SESを比較|単価・品質の違いと営業の提案方法で紹介しています。
比べるときは、次のような見えにくい費用も表にして見せます。
| 比べる費用 | オフショア | 国内SES |
|---|---|---|
| 開発者の人月単価 | 国内より安いことが多い | 相場どおり |
| ブリッジSE・日本側の管理 | 別に必要 | 多くは不要 |
| 受入テスト・手直し | 日本側で増えやすい | 通常の範囲 |
| 仕様変更への対応 | 伝達に時間がかかりやすい | 対面・同じ時間帯で進めやすい |
やってはいけないこと
「オフショアは品質が悪い」と決めつけて話す(顧客の判断を否定することになる)
海外の会社や国を名指しで悪く言う
言葉の条件を確かめずに、ブリッジ案件へ人材を出す
オフショア関連の案件をチョータツで探す
自分で探すなら、案件メールを「オフショア」「ブリッジ」「海外」などの言葉で検索し、表にまとめるのが基本です。 ただ、届く案件メールが多い会社では、検索と転記だけで時間がかかります。
もっと楽にするなら、チョータツが使えます。チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。
案件・人材の情報を1か所で管理・共有できる
他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる
パートナーへのメール配信機能がある
3,000社以上が利用し、無料で始められる
チョータツメールAIを使うと、届いたメールをAIが案件メールと人材メールに切り分けます。案件メールだけを先に確認できるので、ブリッジ案件の見落としを減らせます。
ブリッジ要員やオフショア管理の案件は、数が多くありません。見つけたときに、合う人材をすぐ出せるかが勝負です。案件と人材を同じ場所で見られると、提案までの時間を短くできます。
よくある質問
- Q. オフショア開発とは簡単に言うと何ですか?
- システム開発を海外の会社や拠点に任せることです。多くの場合、仕様は日本で決め、作る作業を海外で行います。
- Q. オフショア開発で人気の国はどこですか?
- オフショア開発白書2025年版では、ベトナム43%、中国21%、インド14%の順でした。相談内容をもとにした数字です。
- Q. インドのオフショア開発の特徴は?
- 技術者の数が多く、英語で進める開発に向いています。日本との時差は3時間30分です。
- Q. オフショア開発が増えるとSESの仕事は減りますか?
- 製造やテストでは競合します。一方で、ブリッジ要員・PMO・受入テスト・上流工程の案件は増えます。
- Q. ブリッジSEとSESはどう関係しますか?
- 日本側のブリッジ要員を、SESで客先に出す案件があります。言葉の条件を提案前に必ず確認します。
- Q. オフショアとニアショアの違いは?
- オフショアは海外、ニアショアは国内の地方に開発を任せる形です。ニアショアは地方のSES会社にも関係します。
まとめ
オフショア開発とは、開発を海外の会社や拠点に任せることです。
主な国はベトナム・中国・インドです。いまは人手の確保が一番の理由です。
日本と海外をつなぐブリッジSEが欠かせません。
国内SESと競合するのは、製造・テスト・保守の工程です。
ブリッジ・PMO・上流・受入テスト・巻き取りの案件は、オフショアから生まれます。
顧客に「オフショアに出す」と言われたら、日本に残る工程を聞いて提案につなげます。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
オフショア開発.com「オフショア開発白書(2025年版)」(国別割合・検討理由・継続期間。調査期間2025年8月1日〜10月31日、44社)
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」
e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第28条)