外国籍エンジニアをSESで提案する注意点|在留資格の確認5手順と通りやすい案件の探し方・提案文の例

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

外国籍エンジニアをSESで提案するときの全体像

外国籍エンジニアの提案は、「働ける資格の確認」→「案件の条件の確認」→「提案文の作成」の3段階で進めます。日本人のエンジニアとの違いは、最初の資格の確認と、日本語レベルの伝え方です。

外国籍エンジニアとは、日本国籍を持たないエンジニアのことです。この記事では、自社の社員、BPの人材、フリーランスのいずれも含みます。BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。

段階やること確認する人
1. 資格の確認在留カードで働ける資格か確かめる雇用している会社・営業
2. 案件の確認外国籍可か、日本語の条件は何か営業
3. 提案日本語レベルと在留資格の状況を書く営業
4. 面談後在留期間の満了日を管理する営業・管理部門

BPの人材を提案する場合、在留カードの確認は雇用している所属元の会社が行うのが基本です。ただし、提案する自社も「確認済みか」を必ず聞いておきます。

在留カードと在留資格とは

在留カードとは、日本に中長期で住む外国人に、出入国在留管理庁が交付するカードのことです。対象は、在留期間が3か月を超える人などです。入管法第19条の3で交付の対象が、第19条の4で記載事項が決められています。

在留資格とは、外国人が日本でどんな活動をしてよいかを決めた資格のことです。在留資格ごとに、してよい仕事の範囲が決まっています。出入国在留管理庁とは、外国人の入国や在留を管理する国の役所のことです。

入管法第19条の4で決められている、在留カードの主な記載事項は次のとおりです。

  1. 氏名・生年月日・性別・国籍等

  2. 住居地

  3. 在留資格と在留期間の満了日

  4. 在留カードの番号と有効期間の満了日

  5. 就労制限の有無

  6. 資格外活動許可を受けているときは、その旨

営業が必ず見るのは、3・4・5・6です。就労制限とは、在留資格によって決められた「働いてよい範囲」の制限のことです。

在留カードと在留資格を確認する5つの手順

在留資格の確認は、原本を見て、表と裏の両方を確かめ、公的なツールで本物かを確かめるのが基本です。コピーや写真だけで済ませないようにします。

  1. 原本を見せてもらう:コピーやスマホの写真ではなく、実物で確認する

  2. 表面の「在留資格」「在留期間(満了日)」を見る:案件の終了予定日より前に満了日が来ないかも確かめる

  3. 表面の「就労制限の有無」を見る:「就労制限なし」か、「在留資格に基づく就労活動のみ可」か、「就労不可」かを見る

  4. 裏面の「資格外活動許可欄」を見る:留学や家族滞在の人は、許可の有無と条件を確かめる

  5. 本物かを確かめる:出入国在留管理庁が無料で提供する「在留カード等読取アプリケーション」でICチップを読む

厚生労働省も、外国人を雇うときの届出の案内で、このアプリの活用をすすめています。偽造・変造のカードを見分けるためです。

確認した日と結果は、人材の情報と一緒に記録しておきます。ただし、在留カードのコピーや番号を必要以上に社外へ渡さないようにします。提案先には「在留資格・就労制限を確認済み」と伝えれば足りることが多いです。

在留期間の満了日は案件の期間と比べる

在留期間の満了日が案件の期間中に来る場合は、更新の申請予定を本人に確認します。提案先にも「満了日と更新予定」を伝えておくと、参画後に慌てずに済みます。

SESで働ける在留資格・働けない在留資格

SESのエンジニアとして働く場合、多くは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格です。一方、身分や地位に基づく在留資格の人は、仕事の種類に制限がありません。

出入国在留管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」の例を挙げています。機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等です。在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかです。

在留資格の例エンジニアとして働けるか営業が確認すること
技術・人文知識・国際業務資格の範囲内の仕事なら働ける案件の仕事内容が専門的な業務か
永住者・日本人の配偶者等・定住者など就労制限なし在留期間の満了日(永住者を除く)
高度専門職許可された範囲で働ける在留カードと指定書の内容
留学・家族滞在原則として働けない資格外活動許可の有無と時間の上限

留学や家族滞在の人が働くには、資格外活動許可が必要です。資格外活動許可とは、本来の在留資格の外で、決められた範囲の仕事をしてよいという許可のことです。入管法施行規則第19条では、原則として1週28時間以内とされています。SESの常駐案件のようなフルタイムの仕事には、原則として向きません。

「技術・人文知識・国際業務」でも、仕事内容が専門的な業務から外れると、資格の範囲外になるおそれがあります。たとえば、エンジニアとして在留している人を、単純な作業だけの案件に長く入れる場合は注意が必要です。判断に迷うときは、行政書士など専門家に相談しましょう。

仕事の範囲を本人が証明したいときは、「就労資格証明書」という書類もあります。出入国在留管理庁に申請すると、その在留資格で働ける活動を証明してもらえます。手数料は窓口で2,000円、オンラインで1,600円です(2026年9月確認)。

確認を怠ったときのリスク:不法就労助長罪

在留資格の外で外国人を働かせると、働かせた側が「不法就労助長罪」に問われるおそれがあります。SESでは、雇用している会社だけでなく、仕事を紹介した会社にも関わる可能性があります。

不法就労助長罪とは、入管法第73条の2で決められた罪のことです。2026年9月時点のe-Govに載っている条文では、次の行為が対象です。

  1. 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

  2. 外国人に不法就労活動をさせるために、自分の支配下に置いた者

  3. 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為などをあっせんした者

あっせんとは、間に入って仕事と人をつなぐことです。罰則は、2026年9月時点で3年以下の拘禁刑、または300万円以下の罰金(両方の場合もあり)です。法人にも罰金が科される両罰規定(入管法第76条の2)もあります。

なお、2024年の入管法改正(令和6年法律第60号、育成就労制度の導入)で罰則が重くなります。2027年4月1日から「5年以下の拘禁刑、または500万円以下の罰金」です(e-Gov法令検索の施行予定の条文で確認)。

同じ条文の第2項では、「在留資格の範囲外だと知らなかった」という理由で、処罰を免れることはできないとしています。ただし、過失がないときは別です。在留カードの原本を確認し、記録を残すことが、この「過失がない」ことを示す土台になります。

また、外国人を雇う会社には、「外国人雇用状況の届出」の義務があります。雇い入れと離職のときにハローワークへ届け出るもので、特別永住者と在留資格「外交」「公用」の人は対象外です。届出をしない、またはうその届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象です。

「外国籍不可」の案件に出会ったら理由を聞く

案件メールに「外国籍不可」とだけあったら、条件を無視して提案せず、上位の会社に理由を聞きます。理由によっては、日本語の力や経験を具体的に伝えれば相談できることがあります。

外国籍不可とは、案件の条件として「日本国籍の人のみ」と指定されていることです。「外国籍NG」「日本国籍のみ」とも書かれます。理由は大きく、セキュリティや契約上の決まりによるものと、日本語での会話や社内規程によるものに分かれます。前者は相談しても変わらないことが多く、後者は相談の余地があります。

聞くときは「理由がセキュリティ規程などの決まりによるものか、日本語でのやりとりが多いためか、差し支えない範囲で教えていただけますか」と1点だけ確認すると角が立ちません。

外国籍不可になる5つの理由と関係する法律、理由ごとの対応は、SESの外国籍不可案件の理由|営業が確認すべき法律と提案の進め方で解説しています。

外国籍エンジニアが通りやすい案件の探し方

外国籍エンジニアを決めやすいのは、「外国籍可」と明記された案件と、日本語より技術が重視される案件です。最初から条件の合う案件に絞ると、提案のむだが減ります。

案件の特徴通りやすい理由探すときの目印
外国籍可と明記国籍の条件がない「外国籍可」「国籍不問」
英語を使う語学力が強みになる「英語」「海外拠点」「グローバル」
技術重視の開発会話より技術が評価される特定の言語やクラウドの経験が必須
外国籍の人がすでに参画受け入れの経験がある「外国籍の方も活躍中」

探す方法は、次の4つです。

  1. 案件メールを「外国籍可」で検索する:届いた案件メールを、キーワードで絞る

  2. 取引の多いBPに聞く:外国籍の人の受け入れ実績がある案件を教えてもらう

  3. 過去に決まった案件を見直す:外国籍エンジニアが決まったエンドを記録しておく

  4. 商流を確認する:エンドに近い会社ほど、条件の相談がしやすい

商流とは、案件がエンド(発注元)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。商流が深いと、条件の理由が途中で伝わらず「外国籍不可」とだけ書かれることがあります。確認の仕方は、SESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文を参考にしてください。

日本語レベルの伝え方と提案文の例

外国籍エンジニアの提案では、日本語レベルを「試験の級」と「実際にできること」の両方で書くのがコツです。「日本語ビジネスレベル」だけでは、相手によって受け取り方が変わります。

日本語能力試験(JLPT)とは、日本語を母語としない人の日本語の力を測る試験のことです。N1からN5までの5段階で、N1が最も難しいレベルです。公式サイトでは、N2の目安を次のように説明しています。

  • 読む:新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで理解できる

  • 聞く:日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの会話やニュースを理解できる

JLPTは読む・聞く力を中心に測る試験で、会話の試験はありません。そのため、会議や報告を日本語でできるかを、あわせて書くと伝わりやすくなります。

日本語レベルの書き方

項目書き方の例
試験の級JLPT N1(2023年取得)
会話日本語の定例会議で、進み具合を報告できる
読み書き日本語の設計書を読み、日本語で課題を起票できる
日本での経験日本企業のプロジェクトに4年参画

提案文の例

件名:【要員ご提案】Javaエンジニア(外国籍・JLPT N1)

株式会社〇〇 田中様

いつもお世話になっております。株式会社△△の佐藤です。
9/28(月)にご紹介いただいた案件へ、下記の要員をご提案します。

■氏名:L.W(中国籍 ※国籍の記載は本人同意済み)
■スキル:Java、Spring Boot、AWS(経験8年)
■日本語:JLPT N1。日本語の定例会議での報告、設計書の読み書きに対応可
■日本での経験:日本企業の開発プロジェクトに4年参画
■在留資格:技術・人文知識・国際業務(在留カード原本で就労制限を確認済み、満了日は案件期間より後)
■稼働開始:11月1日から可能

貴案件は「外国籍可」と伺っております。
条件にご不明点があれば、お気軽にお知らせください。

国籍を書くかどうかは、案件の条件と本人の意向で決めます。国籍は仕事の力とは関係がないため、必要がない場面では書かないという考え方もあります。書く場合も、本人の同意を得てからにします。

要員提案メールの基本は、要員提案メールの例文とテンプレ|SES営業の通過率を上げる書き方で解説しています。

面談の前に営業がしておくこと

外国籍エンジニアの面談で落ちる理由は、技術より、日本語での受け答えや業務の進め方の説明であることが多いです。面談前の準備で、多くは防げます。

  1. 案件の用語を事前に説明する:業界の言葉や社内用語を、本人と確認しておく

  2. 自己紹介を日本語で練習する:1分で、直近の案件と担当したことを話せるようにする

  3. 聞き取れないときの言い方を決める:「もう一度お願いできますか」と聞いてよいと伝える

  4. 条件の話は営業が受け持つ:単価や在留資格の質問は、営業が答えると伝えておく

  5. 面談の相手に日本語レベルを先に伝える:提案文と同じ内容を、面談の前にもう一度共有する

2の自己紹介は、決まった型を使うと日本語でも組み立てやすくなります。型はSES面談の自己紹介の例文|1分で経歴を伝える型を営業が教えるにあります。

面談での質問に、国籍や家族のことなど、仕事に関係のない内容が含まれる場合は、営業が話題を仕事に戻します。案件の条件そのものに年齢や性別などの指定があるときの考え方は、SES案件の年齢制限・性別指定は違法?営業の確認点と返し方で整理しています。面談準備の全体は、SESの面談準備|営業が事前にやること10項目とエンジニアへの伝え方で解説しています。

チョータツとxhoursで外国籍エンジニアの提案を楽にする

外国籍エンジニアの提案は、合う案件を探す手間と、案件が合わないときに候補を探し直す手間がかかります。DrivenXのツールを使うと、この2つを減らせます。

場面自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
外国籍可の案件を探す案件メールを1通ずつ読むチョータツで連携した他社の営業中案件から探す
人材の情報をそろえる営業ごとのExcelで管理チョータツで人材情報を管理し、社内で共有
案件メールを整理する手作業でフォルダ分けチョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分ける
条件に合う人がいないBPに1社ずつ問い合わせるxhoursでITフリーランスに直接スカウト

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。他社と連携すると、相手の営業中案件・営業中人材をデータベースとして見られます。

外国籍可の案件が見つからない、または日本国籍の人が必要な案件だった場合は、候補を探し直すことになります。そのときは、DrivenXのxhours(エックスアワーズ)も使えます。xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスのことです。数千名のフリーランスのデータベースから、条件に合う人を探せます。

フリーランスの外国籍エンジニアと契約する場合も、在留カードでの確認は同じように行います。フリーランスの場合、在留資格の確認に加えて、発注の条件を書面かメールで示す義務があります(フリーランス法第3条)。

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の人材を登録し、日本語レベルと在留資格の確認状況を社内でわかるようにしておく

  3. 取引のあるBPと連携し、営業中の案件を見られるようにする

  4. 案件の条件を見て、外国籍可・英語使用などの案件を選ぶ

  5. 在留資格の確認と面談前の準備を行い、提案する

よくある質問

Q. 外国籍エンジニアを提案するとき、在留カードは誰が確認しますか?
基本はエンジニアを雇用している会社です。BPの人材を提案する場合も、自社から所属元に「原本で確認済みか」を必ず聞いておきます。
Q. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」なら、どの案件でも大丈夫ですか?
いいえ。資格の範囲は専門的な業務です。単純な作業だけの案件などは範囲外になるおそれがあります。迷うときは行政書士など専門家に相談しましょう。
Q. 留学生をSESの案件に入れてもいいですか?
留学の在留資格では原則として働けません。資格外活動許可があっても原則1週28時間以内のため、フルタイムの常駐案件には原則として向きません。
Q. 「外国籍不可」の案件に提案してもいいですか?
条件を無視して提案するのはやめましょう。まず上位の会社に理由を聞き、日本語での会話が理由なら、日本語レベルを具体的に示して相談できるかを確認します。
Q. 日本語レベルはJLPTの級だけ書けば十分ですか?
十分ではありません。JLPTには会話の試験がないため、「日本語の会議で報告できる」など実際にできることもあわせて書きます。
Q. 在留期間の満了日が案件の途中で来る場合はどうしますか?
本人に更新の申請予定を確認し、提案先にも満了日と更新予定を伝えます。参画後も満了日を記録し、早めに声をかけます。

まとめ

  • 提案の前に、在留カードの原本で在留資格・在留期間・就労制限の有無を確認する

  • エンジニアは多くが「技術・人文知識・国際業務」。永住者などは就労制限なし、留学・家族滞在は原則働けない

  • 資格の外で働かせると不法就労助長罪のおそれ(2027年4月から罰則引き上げ予定)。原本の確認と記録が大切

  • 外国籍不可の案件は、上位の会社に理由を聞く。日本語での会話が理由なら相談できる案件もある

  • 外国籍可・英語使用・技術重視の案件に絞り、日本語レベルを「級」と「できること」で書く

  • 合う案件探しはチョータツの連携、候補が足りないときはxhoursで直接スカウト

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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