SESの外国籍不可案件の理由|営業が確認すべき法律5つと、差別にならない条件の聞き方・例文

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

外国籍不可案件とは

外国籍不可案件とは、参画する人の条件として「日本国籍の人のみ」と指定されたSES案件のことです。案件メールでは「外国籍NG」「日本国籍限定」「国籍:日本」とも書かれます。

SESとは、エンジニアの技術力を提供し、作業時間に対して報酬を受け取る契約の形のことです。多くは準委任契約で結ばれます。案件は、エンド(システムを使う発注元の会社)から、元請けや一次請けなど、いくつもの会社を通って届きます。この流れを商流と呼びます。

このため、案件メールの「外国籍不可」は、誰が決めた条件なのかが見えにくいのが特徴です。エンドの方針のこともあれば、途中の会社が念のために付けていることもあります。

年齢や性別の条件も、同じように商流の途中で付くことがあります。扱い方は「SES案件の年齢制限・性別指定は違法?営業の確認点と返し方」で解説しています。

案件メールの書き方よくある意味営業がまずすること
外国籍不可・日本国籍のみ国籍そのものが条件理由と範囲を上位に確認する
外国籍は日本語ネイティブレベル会話力が条件日本語の実力を具体的に伝える
外国籍可(要相談)条件次第で可在留資格と経験を先に伝える
国籍不問国籍は条件にしないスキルで通常どおり提案する

案件が外国籍不可になる6つの理由

外国籍不可の理由は、法令・セキュリティ・契約・言葉・手続き・過去の経験の6つに分けられます。理由によって「提案しても通らない案件」と「相談できる案件」が分かれます。

理由よくある案件相談の余地
1. 法令・国の制度防衛・重要技術・国の重要情報を扱う案件小さい(エンドの判断に従う)
2. 情報セキュリティの方針官公庁・金融・インフラ系小さい〜中くらい
3. 上位契約の条件元請けとエンドの契約に国籍条項がある小さい(契約を変えないと無理)
4. 日本語での会話要件定義・顧客折衝が多い案件大きい(日本語力を示せば通ることがある)
5. 在留資格の手続きへの不安長期・大規模の案件大きい(確認済みと伝えれば解消しやすい)
6. 過去のトラブル・慣習以前に行き違いがあった現場中くらい

1. 法令・国の制度によるもの

一部の案件では、国の制度にもとづく情報管理のために、扱う人を厳しく制限します。代表的なのが、外為法の技術管理と、経済安全保障のセキュリティ・クリアランス制度です。どちらも中身は後の「営業が確認すべき法律5つ」で説明します。

大事なのは、この判断をするのはエンドの会社だということです。営業が自分で「この案件は法律上NGだろう」と決めつける必要はありません。

2. 情報セキュリティの方針によるもの

官公庁・金融・電力などの案件では、エンドが独自の情報セキュリティ規程を持っています。常駐する人の条件として、国籍や在留期間を入れている会社もあります。

この場合、理由は会社の方針なので、営業が変えることはできません。ただし「国籍」ではなく「身元確認書類の提出」などが本当の条件のこともあります。確認する価値はあります。

3. 上位契約の条件によるもの

元請けとエンドの契約書に、作業する人の条件が書かれていることがあります。その条件が、商流を通って下の会社にも伝わってきます。

この場合、途中の会社も「理由はわからないが契約で決まっている」と答えることがあります。そのときは、無理に押さずに引き下がるのが基本です。自社が結ぶ契約書の条項は「SESの基本契約書とは|テンプレートと個別契約の優先・印紙7号」で確認しておきましょう。

4. 日本語での会話によるもの

営業の現場でよく聞くのが、「日本語での細かいやりとりが不安」という理由です。会議・資料・お客さんとの調整がすべて日本語の案件があります。そこでは「外国籍不可」が「日本語がネイティブ並みの人」という意味のことがあります。

この理由なら、相談できる場合があります。日本語能力試験の結果、日本での業務経験年数、日本語で進めた過去の案件などを伝えましょう。

5. 在留資格の手続きへの不安によるもの

在留資格とは、外国籍の人が日本でどんな活動をしてよいかを決めた資格のことです。エンドや上位の会社は、「在留期間が途中で切れたら困る」「確認の手間が増える」と考えることがあります。そのため、一律に外国籍不可にしている場合があります。

営業側で在留カードの確認を済ませ、在留期間の満了日が案件の期間を超えていることを伝えると、不安が解けることがあります。

6. 過去のトラブル・慣習によるもの

以前に行き違いがあった現場では、そのときの対応が条件として残り続けることがあります。理由をたどると「昔からそう書いている」だけ、ということもあります。

このタイプは、担当者が変わったときや、人が足りないときに見直されることがあります。条件と理由を記録しておくと、見直しのタイミングで提案しやすくなります。

営業が確認すべき法律5つ

外国籍不可の案件に関わる法律は、労働基準法・職業安定法・外為法・重要経済安保情報保護活用法・入管法の5つです。それぞれ「誰に関係するか」が違うので、表で整理します。

法律主に関係する人営業が押さえるポイント
労働基準法 第3条自社(雇っている会社)自社社員の労働条件を国籍で差別しない
職業安定法 第3条職業紹介・募集をする会社紹介や募集で国籍による差別をしない
外為法 第25条技術を持つエンドなど管理の基準は国籍ではなく居住者かどうか
重要経済安保情報保護活用法国の重要情報を扱う事業者適性評価で家族の国籍なども調べる
入管法 第73条の2働かせる会社・あっせんする会社在留資格の確認を怠ると罪に問われうる

労働基準法 第3条(均等待遇)

労働基準法第3条は、雇っている人の国籍などを理由に、賃金などの労働条件で差別してはいけないと決めた条文です。条文は「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として」と始まります。続けて「賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とあります。

この条文は、自社と自社社員の関係に関わります。たとえば、外国籍不可の案件が多いからといって、外国籍の社員だけ待機中の給与を下げると、この条文に触れるおそれがあります。

職業安定法 第3条(均等待遇)

職業安定法第3条は、職業紹介や職業指導などで、人種や国籍などを理由に差別的な扱いをしてはいけないと決めた条文です。SESの営業そのものは職業紹介ではありません。ただし、自社で有料職業紹介の許可を持って人を紹介する場合や、エンジニアを募集する場合には関係します。

厚生労働省は、採用選考でも「本人に責任のない事項」を基準にしないよう求めています。自社の求人票に、仕事に必要のない国籍条件を書かないようにしましょう。外国籍エンジニアの採用手順は「外国人エンジニア採用の方法|SES企業の在留資格確認と手順5つ」にまとめています。

外為法 第25条(技術提供の管理)

外為法とは、外国との取引を管理する「外国為替及び外国貿易法」のことです。第25条では、武器などに転用できる特定の技術を、非居住者に提供するときは経済産業大臣の許可が必要と決めています。

居住者・非居住者とは、国籍ではなく住んでいる場所や働いている場所で分ける考え方です。さらに経済産業省は、日本に住む人でも管理の対象になる運用を示しています。外国政府などの強い影響を受けている人への提供を、非居住者への提供と同じように扱うものです。これを「みなし輸出管理」と呼びます。

つまり、この管理は「外国籍だから一律NG」というしくみではありません。日本国籍の人が対象になることもあります。判断はエンドの輸出管理の担当部署が行います。

重要経済安保情報保護活用法(セキュリティ・クリアランス)

重要経済安保情報保護活用法とは、安全保障上とくに秘密にすべき経済分野の情報を、決められた人だけが扱えるようにする法律のことです。令和6年法律第27号で、2024年5月に成立・公布されました。

この法律では、情報を扱う人に適性評価を行います。適性評価とは、情報を漏らすおそれがないかを国が調べることです。調べる事項には、本人の家族や同居人の国籍(過去の国籍を含む)も入っています。

このような情報を扱う案件は、一般のSES案件の中ではごく一部です。該当する案件では、国籍に限らず、身元の確認がとても厳しくなると覚えておきましょう。

入管法 第73条の2(不法就労助長罪)

不法就労助長罪とは、在留資格の範囲外で外国人を働かせたり、そのあっせんをしたりした人が問われる罪のことです。2026年9月時点でe-Govに載っている条文では、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、またはその両方です。2024年の入管法改正(令和6年法律第60号)で、法定刑は「5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金」に引き上げられます。施行日は2027年4月1日です。

「知らなかった」ことを理由に処罰を免れることはできません。ただし、過失がないときは別です。在留カードの原本を確認し、記録を残しておくことが大切です。確認の手順は外国籍エンジニアをSESで提案する注意点|在留資格の確認と提案文で詳しく説明しています。

差別的な扱いにならないために営業が確認する7つのこと

営業が気をつけるべきなのは、「顧客の条件をそのまま社内の扱いに持ち込まないこと」です。顧客の条件は顧客の判断ですが、自社の人の扱いは自社の責任になります。

次の7つを、外国籍のエンジニアがいる会社の営業チームで確認しておきましょう。

  1. 自社社員の賃金・待機中の扱いを国籍で変えていないか(労働基準法第3条)

  2. 社内の案件メールや共有表で、国籍を理由に人を下げるような書き方をしていないか

  3. 案件の条件を、国籍・日本語力・在留資格の3つに分けて記録しているか

  4. 「外国籍不可」の理由を上位に確認し、理由を案件情報に残しているか

  5. 在留カードの原本を確認し、在留資格と在留期間の満了日を記録しているか(入管法)

  6. エンジニア本人に、外国籍不可の案件に提案できない理由を丁寧に説明しているか

  7. 自社の求人票やスカウト文に、仕事に必要のない国籍条件を書いていないか(職業安定法・公正採用選考)

特に3番が大切です。「外国籍不可」と「日本語ネイティブレベル必須」は、別の条件として分けて管理しましょう。分けておくと、提案できる案件が増えます。

案件の記録は、次の形にしておくと、担当が変わっても同じ確認をやり直さずに済みます。

項目記入例
国籍の条件と理由日本国籍のみ/エンドの情報セキュリティ規程(10月1日に△△社××様に確認)
日本語力の条件会議・資料作成が日本語。目安はN1相当
在留資格の条件在留期間の満了日が案件終了予定日より後であること
見直しの目安次の契約更新時(2027年3月)に再確認

エンジニア本人への説明は、事実と理由を短く伝えます。「スキルが足りないからではなく、顧客の条件で今回は提案できない」とはっきり伝えると、不要な誤解を防げます。

顧客に条件を確認するときの聞き方と例文

条件を確認するときは、「国籍を問いただす」のではなく「業務に必要な条件を正しく知りたい」という聞き方にします。相手を責めるような聞き方をすると、理由を教えてもらえなくなります。

確認の手順

  1. 案件メールの「外国籍不可」の書き方を確認する(「不可」なのか「要相談」なのか)

  2. 直接の上位の会社(案件をくれた会社)に、理由と範囲を聞く

  3. 本当の条件が「国籍」「日本語力」「在留資格」「身元確認」のどれかを整理する

  4. 日本語力などが条件なら、エンジニアの実力を具体的に伝えて相談する

  5. 国籍そのものが条件なら、それ以上は押さずに引き下がる

  6. 確認した内容と日付を、案件情報に記録する

例文1:上位の会社にメールで理由を聞く

件名:【ご確認】〇〇案件の参画条件について

株式会社△△ 営業部 ××様

いつもお世話になっております。株式会社□□の山田です。
10月1日(木)にご共有いただいた〇〇案件について、1点確認させてください。

条件に「外国籍不可」とございましたが、差し支えなければ、条件の背景を教えていただけますでしょうか。
たとえば、次のどれに近いかだけでも大変助かります。

・エンド様の規程や契約で、国籍が条件になっている
・日本語での会議や資料作成が多く、会話力を重視している
・在留期間など、手続き面の確認をご心配されている

弊社には、日本語で要件定義の経験がある外国籍のエンジニアが在籍しております。条件に合わない場合は、もちろん今回は見送らせていただきます。
お手数ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

ポイントは、選択肢を示して答えやすくすることと、合わなければ引き下がると最初に書くことです。相手が安心して理由を話せます。

例文2:日本語力が条件だったときに相談する

××様

ご確認いただきありがとうございます。日本語でのやりとりを重視されているとのこと、承知しました。
候補のエンジニアについて、次の情報をお送りします。

・日本語能力試験:N1(2021年取得)
・日本での業務経験:7年(すべて日本語の現場)
・直近の案件:顧客との要件定義の打ち合わせを担当
・在留資格:技術・人文知識・国際業務(在留期間の満了日は案件終了予定日より後であることを確認済み)

面談で日本語力をご確認いただくことも可能です。エンド様にご相談いただける余地があれば、ご検討いただけますと幸いです。

実力を数字と具体的な経験で伝えます。「日本語は問題ありません」だけでは、判断の材料になりません。

例文3:国籍そのものが条件だったときに引き下がる

××様

ご教示いただきありがとうございます。エンド様の規程によるものとのこと、承知しました。
今回は日本国籍の候補者で改めて探し、10月5日(月)までにご連絡いたします。
今後、外国籍可の案件がございましたら、ぜひお声がけください。

引き下がるときは、代わりの動きと期日を書きます。次の案件につながります。

避けたい聞き方

「外国籍NGって差別じゃないですか?」のように、相手の判断を責める聞き方は避けましょう。法律上の問題があるかどうかは、個別の事情で変わります。営業ができるのは、条件の中身を確かめ、合う人を提案することです。

外国籍不可の案件を扱うときの提案の進め方

外国籍不可の案件では、理由を確認してから、提案する人を決める順番で進めます。先に人を決めてしまうと、あとで見送りになったときにエンジニアを失望させてしまいます。

  1. 案件を受け取ったら、国籍・日本語力・在留資格の条件を分けて記録する

  2. 条件があいまいなら、例文1で上位に理由を聞く

  3. 国籍が条件なら、日本国籍の候補から探す

  4. 日本語力が条件なら、外国籍の候補も含めて日本語の実力で選ぶ

  5. 外国籍の候補を出すときは、在留カードの確認結果を添える

  6. 面談の前に、案件の条件をエンジニア本人にも伝える

面談の進め方そのものにも注意点があります。SESの面談で気をつけたい法律上のポイントは、SESの事前面談は違法?営業が守りたい適法な進め方7つとNG例を参考にしてください。日本語の面談に不安がある人には、SES面談の自己紹介の例文|1分で経歴を伝える型を営業が教えるで事前に練習してもらいます。

案件メールに条件を書く側になったら、「外国籍不可」とだけ書くのは避けましょう。理由の種類がわかる書き方にすると、下の会社の確認の手間が減ります。書き方はSESの条件面の書き方|案件・人材メールに入れる項目14と記入例が参考になります。

チョータツで案件の条件と確認内容を管理する

ここまでの作業は、Excelや共有表でもできます。ただ、案件が増えると「この顧客の外国籍不可は、何が理由だったか」を探すのに時間がかかります。案件と一緒に条件と確認内容を残すしくみがあると楽になります。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。

やりたいこと自分でやる場合チョータツを使う場合
条件と理由の記録共有表に手で書き足す案件の情報として管理・共有できる
条件に合う人の検索人材表を目で探す人材の情報を管理し、案件と照らし合わせやすい
BPへの案件の共有メールを1社ずつ送るパートナーへのメール配信機能を使える
他社の案件・人材の把握届いたメールを読んで整理他社と連携すると、営業中の案件・人材をデータベース化できる

他社と連携して営業中の案件をデータベースにしておけば、「外国籍可」の案件もメールの山から探すより早く見つけられます。AIが入力を手伝ってくれるので、条件を記録する手間も減らせます。

よくある質問

Q. SES案件の「外国籍不可」は違法ですか?
一律に違法とも適法とも言えません。理由や業務の内容によって判断が変わります。営業としては理由と範囲を確認し、自社社員を国籍で差別しないことを守りましょう。気になる場合は弁護士に相談してください。
Q. 外国籍不可の案件に、日本国籍を取得した元外国籍の人は提案できますか?
条件が「国籍」なら、日本国籍の人として提案できるのが一般的です。ただし国の重要情報を扱う案件では、過去の国籍や家族の国籍まで確認されることがあります。事前に上位の会社へ確認しましょう。
Q. 永住者や日本人の配偶者などの在留資格なら、外国籍不可の案件に出せますか?
在留資格が就労に制限のないものでも、国籍は外国籍のままです。案件の条件が「外国籍不可」なら、基本的には提案できません。本当の条件が在留期間や日本語力なら、相談の余地があります。
Q. 外国籍不可の理由を上位の会社が教えてくれないときは?
無理に聞き出す必要はありません。「規程によるものか、会話力によるものか」だけでも確認できると、次から判断しやすくなります。教えてもらえなければ、国籍が条件として扱い、日本国籍の候補で進めましょう。
Q. 外為法の「みなし輸出管理」は、外国籍の人すべてが対象ですか?
いいえ。外為法の管理は、国籍ではなく「居住者か非居住者か」と「外国政府などの強い影響を受けているか」で考えます。判断はエンドの輸出管理の担当部署が行います。
Q. 外国籍のエンジニアを提案するときに、最低限確認することは?
在留カードの原本で、在留資格・在留期間の満了日・就労制限の有無を確認します。あわせて日本語の実力を具体的に説明できるようにしておきましょう。

まとめ

  • 外国籍不可の理由は、法令・セキュリティ・上位契約・日本語・在留資格の手続き・過去のトラブルの6つ

  • 外為法の技術管理は国籍ではなく「居住者か非居住者か」で考える。国籍だけで一律NGの根拠にはなりにくい

  • 自社社員を国籍で差別しない(労働基準法第3条)、在留資格を必ず確認する(入管法)の2つは営業の責任

  • 「外国籍不可」は、理由と範囲を上位に聞く。選択肢を示し、合わなければ引き下がると伝えると答えてもらいやすい

  • 条件は「国籍」「日本語力」「在留資格」に分けて記録すると、提案できる案件が増える

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)