SES案件の年齢制限・性別指定は違法?準委任・派遣・社員採用で違うルールと、営業の確認点・上位への返し方の例文

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SES案件の年齢制限・性別指定は違法?

答えは、誰が、どんな契約で人を選ぶかで変わります。年齢と性別のルールは、雇い主が「社員」を募集・採用・配置する場面に向けた法律だからです。

場面年齢の条件性別の条件
自社が社員を募集・採用する原則禁止(労働施策総合推進法第9条)禁止(均等法第5条)
自社が社員を案件に配置する第9条は募集・採用の条文性別を理由とする差別的取扱いは禁止(均等法第6条)
準委任の客先が要員を選ぶ客先が人を選ぶこと自体が偽装請負のおそれ同じく偽装請負のおそれ
派遣先が派遣労働者を選ぶ特定を目的とする行為をしない(派遣先指針)派遣契約に性別を書くことは禁止(派遣先指針)

労働施策総合推進法とは、雇用に関する基本的な法律のことです。正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」です。第9条で、社員の募集・採用に年齢の制限を付けることを原則として禁じています。

男女雇用機会均等法とは、雇用の場面で性別による差別を禁じる法律のことです。第5条で募集・採用、第6条で配置・昇進などでの差別を禁じています。

社員の募集で年齢制限が許される6つの例外

社員を募集・採用するとき、年齢制限が許されるのは、施行規則第1条の3第1項に書かれた例外だけです。ハローワークの求人でも、この例外のどれかを選ばないと年齢を制限できません。

例外内容SESの場面で使えるか
定年を上限定年の年齢未満を、無期雇用で募集する使える(例:定年65歳なら65歳未満)
法令の制限法律で年齢による就業制限がある業務ITの開発業務では通常当たらない
キャリア形成若い人を、職務経験を問わず無期雇用で募集する新卒・未経験の採用で使える場合がある
技能の継承特定の職種で少ない年齢層を、無期雇用で募集する条件が細かく決められている
芸術・芸能表現の真実性のために必要通常当たらない
高年齢者などの雇用促進60歳以上、または国の施策の対象の年齢層に限る限られた場面だけ

大切なのは、「客先が40代までと言っているから」は、どの例外にも当たらないことです。案件のために社員を募集するときに「40代まで」と書くと、原則として第9条に反します。

求人票の書き方はSESの求人票の書き方|応募が増える項目別の記入例とNG表現でくわしく紹介しています。

準委任の案件で、客先が年齢・性別を指定する問題

準委任契約(SES)で、客先が「40代まで」「男性希望」と条件を付けることには、偽装請負を疑われるという問題があります。準委任では、誰をどの業務に就けるかを決めるのは受託側(SES企業)だからです。

偽装請負とは、契約は準委任や請負なのに、実際は客先が要員に直接指示していて、派遣と同じ状態になっていることです。

厚生労働省の「37号告示」(第2条第1号ハ)は、準委任などと認められる条件の1つに、配置の決定を受託側が行うことを挙げています。疑義応答集第3集のQ7も、発注者が特定の人を指名したり就業を拒んだりすると、適正な請負等とは認めないとしています。

年齢や性別の条件は、スキルに関係なく人そのものを選ぶ条件です。条件どおりに要員を差し替えたり断ったりする運用は、客先が配置に口を出している状態に近づきます。

事前面談で年齢を聞くことの問題は、SESの事前面談は違法?営業が守りたい適法な進め方7つとNG例で解説しています。

派遣の場合は、指針で明確に決まっている

派遣では、派遣先の指針(派遣先が講ずべき措置に関する指針)が、年齢・性別の扱いをはっきり決めています。派遣契約に派遣労働者の性別を書いてはいけません(指針 第2の4(1))。

また指針は、派遣労働者を特定する目的の行為をしないよう定めています。例として、事前の面接、履歴書の送付の要請、若い人に限ることが挙がっています。紹介予定派遣では、年齢を理由に候補から外さないことや、男女で扱いを変えないことも定めています。

労働者派遣とは、自社が雇う労働者を、派遣先の指揮命令のもとで働かせることです(労働者派遣法第2条第1号)。くわしくは派遣とは?仕組みと派遣会社の役割|SES営業が知る準委任との差で解説しています。派遣先は、派遣労働者の性別などを理由に派遣契約を解除してはいけません(同法第27条)。

フリーランスの募集で年齢・性別を書いたら?

個人のフリーランスを業務委託で募集する場合、年齢や性別の条件そのものを禁じる条文は、フリーランス法にはありません。労働施策総合推進法第9条や均等法第5条も、社員の募集・採用のルールです。

ただしフリーランス法第12条は、募集の広告にうその表示や誤解させる表示をしないことを義務づけています。内容を正確で最新に保つ義務もあります。実際には年齢で選ばないのに「40代まで」と書く、条件が変わったのに古い条件を載せたままにする、といった表示は避けます。

また、契約は業務委託でも、働き方の実態が雇用と同じならフリーランスではなく労働者として扱われます。この場合は、年齢・性別のルールも社員と同じように問題になります。

募集の表示のルールはフリーランス法の募集情報の的確表示とは|SES案件募集の注意点5つで解説しています。

条件付きの案件を受けたら、営業が確認する4点

年齢や性別の条件が付いた案件を受けたら、すぐに断る必要はありません。条件の理由を聞き、スキルと経験の条件に言いかえてもらえるかを上位に確かめます。

  1. 条件の理由を聞く:チームの年齢構成なのか、求めるスキルの目安なのかを確かめます。

  2. スキル・経験で言いかえられるか確かめる:「40代まで」を「Java経験5年以上」などにできるか相談します。

  3. 契約形態を確かめる:準委任か派遣か、個人のフリーランスに再委託してよいかを聞きます。

  4. 社内の人選のルールを確かめる:自社の社員を配置するとき、年齢・性別で選ばない社内ルールになっているかを見直します。

言いかえの例を表にまとめます。

上位から届いた条件言いかえの例
40代まで設計〜テストまで一人で担当できる経験5年以上
20代希望若手可、実務経験1年以上、学習意欲の高い方
男性のみ夜間・休日の障害対応が月2回程度ある
女性希望顧客との打ち合わせが多く、丁寧な説明ができる方
若い方新しい技術(〇〇)の経験がある方

「夜間対応がある」「力仕事がある」など、業務の中身を具体的に書けば、年齢・性別で選ぶ必要がなくなることが多いです。

上位への確認・返し方の例文

上位への確認は、「条件を外して」と迫るより「スキルで確かめさせて」と提案するほうが通りやすくなります。

例1:年齢条件の理由を聞くメール

件名:【確認】〇〇案件の年齢条件について

△△様

〇〇案件のご共有ありがとうございます。
「40代まで」とのご条件について、ご確認させてください。
求めていらっしゃるのが経験年数やご担当範囲であれば、スキルの条件に置きかえてご提案できればと考えております。
たとえば「Java経験5年以上、基本設計からの担当経験あり」のような形で問題ないか、ご確認いただけますでしょうか。
弊社では、要員のご提案を年齢ではなくスキルと経験で判断しております。

例2:性別の条件を受けたときの電話での返し方

「男性のみ、とありますが、理由を教えていただけますか。夜間の対応や、重い機材を運ぶ作業があるということでしたら、その業務内容を条件としてお書きいただけると助かります。弊社は性別で要員を選ばない方針でして、条件を業務の中身でいただければ、合う人をすぐに探せます。」

例3:配信先のBPから「年齢は?」と聞かれたとき

「こちらの案件は、年齢ではなくスキルと経験でご判断いただいています。Java経験5年以上で、設計から担当された方でしたら、ぜひご紹介ください。」

BPとは、ビジネスパートナーの略で、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。年齢条件の話は、BPから届く人材情報の聞き方にも関わります。

配信する案件情報の書き方

自社からパートナーに配信する案件情報では、年齢・性別の条件を書かず、スキル・経験・業務の中身で書くのがおすすめです。条件付きの表記を転送すると、自社の表記として広がってしまいます。

配信前のチェックリストです。

  • 「〇代まで」「〇歳以下」「若手のみ」など年齢の条件が残っていない

  • 「男性」「女性」など性別の条件が残っていない

  • 求めるスキルが、言語・経験年数・担当工程で書かれている

  • 夜間対応・出張・力仕事など、業務の中身が具体的に書かれている

  • 契約形態(準委任・派遣)と、再委託してよいかが書かれている

  • 上位の表記をそのまま貼らず、自社の表記に直している

案件メールに入れる項目はSESの条件面の書き方|案件・人材メールに入れる14項目と記入例で解説しています。国籍の条件についてはSESの外国籍不可案件の理由|営業が確認すべき法律と提案の進め方も参考にしてください。

違反するとどうなる?

労働施策総合推進法第9条や均等法の違反には、すぐに罰金が科されるわけではありません。厚生労働大臣(実際は都道府県労働局)が、助言・指導・勧告を行います(労働施策総合推進法第33条、均等法第29条)。

均等法の違反で勧告に従わない場合は、企業名が公表されることがあります(均等法第30条)。取引先や求職者の信頼を失うことを考えると、罰金がないから大丈夫とは言えません。

チョータツで、配信する案件情報をそろえる

自分でできる対策は、上位から届いた案件を自社の表記に直し、チェックリストで確かめてから配信することです。ただ、案件メールを1通ずつ手で直すと、直し漏れのまま転送してしまうことがあります。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。

やること自分でやる場合チョータツを使う場合
案件情報を整える届いたメールを手で書き直す1か所で管理し、AIが入力を手伝う
パートナーに配信するメールソフトで1通ずつ転送メール配信機能で送れる
他社の営業中案件を見る届くメールを待つ連携した会社の営業中案件がデータベースになる

条件の表記を社内でそろえておくと、どの担当者が配信しても同じ基準の案件情報になります。若手の要員を提案するときの考え方は、SESの若手アサインが難しい理由5つと対策|経験1〜2年の提案術も参考にしてください。

よくある質問

Q. SES案件の「40代まで」という年齢制限は違法ですか?
準委任の客先は要員の雇い主ではないため、労働施策総合推進法第9条の違反にそのまま当たるわけではありません。ただし、客先が年齢で人を選ぶことは偽装請負を疑われる行為です。自社が社員を募集するときに同じ条件を付けると、第9条に反するおそれがあります。
Q. SES案件で「男性のみ」と性別を指定されたら、どうすればよいですか?
条件の理由を聞き、夜間対応など業務の中身の条件に言いかえてもらいます。自社の社員の配置を性別で決めると、男女雇用機会均等法第6条に反するおそれがあります。
Q. 業務委託(フリーランス)の募集で年齢制限を書くのは違法ですか?
フリーランス法に年齢制限そのものを禁じる条文はありません。ただし、うその表示や誤解させる表示は禁止されています(第12条)。実態が雇用なら、社員と同じルールがかかります。
Q. 派遣で年齢や性別を指定するのは違法ですか?
派遣先の指針で、派遣契約に性別を書くことは禁止されています。若い人に限るなど派遣労働者を特定する行為も、行わないよう定められています。
Q. 年齢制限の違反には罰則がありますか?
労働施策総合推進法第9条には罰金の定めはなく、労働局による助言・指導・勧告の対象です。均等法の違反で勧告に従わないと、企業名が公表されることがあります。

まとめ

  • 年齢・性別のルールは、雇い主が社員を募集・採用・配置するときの法律

  • 準委任の客先の年齢・性別条件は、そのまま同じ条文の違反ではないが、偽装請負を疑われる

  • 自社が社員を募集・配置するときに条件をそのまま使うと、自社が違反を問われるおそれがある

  • 派遣は指針で、派遣契約への性別の記載や、若い人に限るなどの特定行為をしないよう決められている

  • 条件はスキル・経験・業務の中身に言いかえ、配信する案件情報から外す

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

関連する記事