SESの案件動向2026|募集要件・リモート可否の変化と、要件に合う人材が少ないときの営業の打ち手5つ
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
SESの案件動向2026は「案件はあるが、要件が厳しい」
2026年のSES案件は、数が急に減ったわけではありません。ただし、1件ごとの募集要件が細かく、厳しくなっています。営業は「案件がない」ではなく「合う人がいない」で悩む場面が増えています。
SES案件の募集要件とは、発注する会社がエンジニアに求める条件のことです。スキル・経験年数・工程・勤務地・出社頻度・年齢や国籍の条件などが入ります。案件メールでは「必須」「尚可」の形で書かれることが多いです。国籍の条件の確認のしかたは「SESの外国籍不可案件の理由|営業が確認すべき法律と提案の進め方」で解説しています。
公的データで見る2026年の状況
公的データを並べると、「人は足りないが、誰でもよいわけではない」という流れが見えます。数字は2026年9月時点で確認したものです。
| 出典 | 数字 | SES営業への意味 |
|---|---|---|
| IPA「DX動向2026」 | DX人材が不足している日本企業は85.5% | スキルのある人への需要は強い |
| 厚生労働省「一般職業紹介状況」 | 2026年3月の情報通信業の新規求人は前年同月比15.8%減 | 「とりあえず人を」という募集は減りつつある |
| 厚生労働省「一般職業紹介状況」 | 有効求人倍率(全職業)は2025年度平均1.20倍(前年度1.25倍) | 採用市場全体の過熱は少し落ち着いた |
| 厚生労働省「一般職業紹介状況」 | 2026年7月の情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.50倍(常用・パート除く原数値。前年同月より0.13ポイント低下) | IT職の人手不足は続くが、求人の勢いは弱まった |
| 総務省「令和8年版 情報通信白書」 | 生成AIを活用する方針の日本企業は68.9%(前年度49.7%) | 決まった作業の案件は減る可能性がある |
新規求人の15.8%減は、1か月だけの数字です。これだけで「案件が減った」と決めつけることはできません。それでも、DX人材の不足と並べると、求める人の条件が絞られていると読むのが自然です。
有効求人倍率とは、仕事を探している人1人に対して、求人が何件あるかを表す数字のことです。倍率の推移は「ITエンジニアの有効求人倍率の推移|公的データで見る採用と営業の今」で詳しく解説しています。
募集要件が厳しくなっている4つのポイント
案件メールで厳しくなりやすいのは、経験年数・担当工程・出社の条件・面談回数の4つです。どれも、発注側が「入ってすぐ動ける人」を求めていることの表れです。
この4つは公的統計ではなく、SES営業の現場で案件メールを読むときに変化が出やすい項目として整理したものです。自社でも当てはまるかは、案件メールを数えて確かめてください。
| 要件 | 厳しくなった書き方の例 | 営業が困る場面 |
|---|---|---|
| 経験年数 | 「実務3年以上」「リーダー経験必須」 | 経験1〜2年の若手が出しにくい |
| 担当工程 | 「要件定義から」「上流工程の経験」 | 製造・テスト中心の人が通らない |
| 出社の条件 | 「週3出社」「初月フル出社」 | 遠方の人・在宅希望の人が出せない |
| 面談回数 | 「面談2回」「最終は元請け同席」 | 決まるまでの日数が延びる |
経験年数と工程:若手の案件は「数が少なく、取り合い」
経験年数の条件は、若手の提案にいちばん響きます。「実務1年以上」だった案件が「3年以上」になると、提案できる人が一気に減ります。若手の決め方は「SESの若手アサインが難しい理由5つと対策|経験1〜2年の提案術」にまとめています。
工程の条件も同じです。上流工程とは、要件定義や基本設計など、何を作るかを決める前半の工程のことです。生成AIで作業の一部が早くなるほど、上流を任せられる人の価値は上がります。
出社の条件:「フルリモート可」は減り、「一部出社」が増える流れ
出社の条件は、「フルリモート可」から「週◯日出社」や「初月は出社」に変わる例が目立ちます。出社回帰とは、在宅勤務を減らし、会社や現場への出社を増やす動きのことです。
ただし、SES案件全体のリモート比率を示す公的データは、確認できませんでした。そのため「リモート案件は◯%減った」とは言えません。自社に届く案件メールで数えるのが、一番確実な方法です(手順は「自社の案件メールで動向を数える5ステップ」で紹介します)。
参画中の案件が出社必須に変わったときは「SESのリモート案件が出社必須に変わったら|交渉と退場の判断」で解説しています。在宅での常駐の指示の出し方は「SESのテレワークは偽装請負になる?在宅常駐のOK・NG基準」で確認できます。
面談回数:決まるまでの日数が延びる
面談が2回になる案件が増えると、提案から参画までの日数が延びます。その間に別の案件で決まってしまう人も出ます。並行で提案するときのルールは、BPと事前に決めておきます。
同時に複数の案件に通ったときは「SESで複数の案件に同時合格したら|選ぶ基準と断り方の例文」にまとめています。
自社の案件メールで動向を数える5ステップ
案件の動向は、自社に届く案件メールを1か月分集計すると、数字でつかめます。公的データより細かく、自社の商流に合った傾向がわかります。
案件メールとは、BPや元請けから届く「こんな人を探しています」という案件紹介のメールのことです。
期間を決める:2026年9月1日(火)〜9月30日(水)のように、1か月分を対象にします。
集計する項目を決める:職種・経験年数・工程・出社の条件・面談回数・単価の6つがおすすめです。
1件ずつ表に書き写す:同じ案件が複数のBPから届くことがあります。案件名と場所で重複を消します。
割合を出す:「フルリモート可」「一部出社」「常駐」の件数を数え、全体に対する割合を出します。
3か月ごとに比べる:同じ項目を3か月後にも数え、増えた要件・減った要件を確認します。
集計の表は、次の形で作ると、あとで比べやすくなります。
| 項目 | 記入のしかた | 例 |
|---|---|---|
| 職種 | 案件の職種を1つ選ぶ | インフラ構築、PMO、Java開発 |
| 経験年数 | 必須の年数を数字で書く | 3(年以上) |
| 出社の条件 | 3つのどれかに分ける | フルリモート可/一部出社/常駐 |
| 面談回数 | 数字で書く | 2(回) |
集計した結果は、営業会議で次のように使います。
| 集計で見えたこと | 営業の打ち手 |
|---|---|
| 「一部出社」が半分を超えた | 都内に通える人の提案を優先し、在宅希望の人は条件の相談から入る |
| 「実務3年以上」が増えた | 経験2年の人は体制提案か、条件の低い案件を持つBPに回す |
| 面談2回の案件が増えた | 参画可能日を1〜2週間後ろにずらして提案する |
| 特定の職種の案件が増えた | その職種の人材を持つBPに、先に声をかけておく |
要件に合う人材が少ないときの提案の工夫5つ
要件に合う人が少ないときは、必須と尚可を分け、近い経験を言いかえ、条件をBPに相談するのが基本です。あきらめる前にできることが5つあります。
| 工夫 | やること | 効きやすい場面 |
|---|---|---|
| ① 必須と尚可を分けて確認 | 本当に外せない条件を聞く | 条件がたくさん並ぶ案件 |
| ② 近い経験を言いかえる | 似た業務をスキルシートで見せる | 経験年数が少し足りない |
| ③ 出社の条件を相談する | 初月だけ出社などを提案する | 遠方・在宅希望の人 |
| ④ 体制で提案する | 経験者と若手を組にする | 若手を出したい |
| ⑤ 提案を早くする | 案件が出た当日に出す | 取り合いの案件 |
① 必須と尚可を分けて確認する
必須スキルとは、それがないと面談に進めない条件のことです。尚可スキルとは、あれば有利になる条件のことです。案件メールでは、この2つが混ざって書かれることがあります。
BPに「どこまでが必須ですか」と聞くだけで、提案できる人が増えることがあります。例文は次のとおりです。
件名:【ご確認】◯◯案件の必須条件について(株式会社◯◯ 田中)
◯◯株式会社 佐藤様
いつもお世話になっております。株式会社◯◯の田中です。
2026年9月28日(月)にいただいた◯◯案件について、確認させてください。
「実務3年以上」は、2年半でも面談の対象になりますか。
「週3出社」は、初月のみ週5で、その後週2でも相談できますか。
「AWS経験」は必須ですか、それとも尚可ですか。
近い経験の要員がおりますので、条件が合えば本日中にご提案します。
よろしくお願いいたします。
② 近い経験を言いかえて伝える
経験年数が少し足りなくても、似た業務の経験があれば通ることがあります。たとえば「クラウド構築1年」でも、オンプレミスのサーバー構築が3年あれば、合わせて伝えます。
ただし、経験を大きく見せるのはやめましょう。面談で経歴と話が合わないと、自社の信用まで落ちます。「経歴を盛って」と言われたときは「SESで経歴を盛る指示の断り方|例文と営業が負う法的リスク」で紹介しています。
③ 出社の条件を相談する
「フル出社」の案件でも、初月だけ出社、その後は一部在宅なら受けてもらえることがあります。立ち上がりの期間に顔を合わせたい、という理由の案件が多いからです。相談するときは、エンジニア本人の希望も先に確認しておきます。
④ 体制で提案する
1人では要件に届かなくても、経験者と若手の2名体制なら通ることがあります。発注側は、経験者がいれば若手の育成も任せやすくなります。ただし単価と役割は、1人ずつはっきり分けて伝えます。体制の組み方は「SESのチーム提案のやり方|複数名の体制の組み方と単価の出し方」が参考になります。
⑤ 提案を早くする
要件が厳しい案件ほど、合う人は各社で取り合いになります。案件が出た当日に提案できるかで、結果が大きく変わります。人材の情報を日ごろから1か所にまとめておくと、探す時間が短くなります。
案件情報の集め方:まずは自分でできる3つ
案件の動向を早くつかむには、案件情報の入り口を増やし、届いた情報を1か所にまとめることが大切です。まずはお金をかけずにできる方法から始めます。
BPを増やす:取引先が増えるほど、届く案件の種類も増えます。
案件の獲得経路を分ける:BP経由・マッチングサービス・元請けへの直接営業を使い分けます。
届いたメールを同じ形で残す:ExcelやGoogleスプレッドシートで、集計の表と同じ項目に書き写します。
商流が深い案件ほど、要件が途中で書きかえられることもあります。商流とは、エンドから元請け、一次請けへと仕事が流れる経路のことです。商流を上げると、要件を直接確認しやすくなります。
もっと楽にするなら:チョータツで案件情報をまとめる
自分で集計する方法は、案件メールが1日数十通になると続きにくくなります。そこで使えるのが、SES営業の案件・人材の管理・共有ツール「チョータツ」です。
届いたメールの仕分けから楽にしたい場合は「チョータツメールAI」も使えます。メールをAIで処理し、案件メールと人材メールの2つに切り分けます。
チョータツで他社と連携すると、連携先の営業中案件・営業中人材をデータベース化できます。メールを1通ずつ書き写さなくても、案件情報を1か所で見比べられます。
| やりたいこと | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 案件情報を集める | メールをExcelに書き写す | 連携先の営業中案件がデータベースになる |
| 人材を探す | 自社とBPのリストを別々に見る | 営業中人材も同じ場所で探せる |
| 提案を知らせる | 1社ずつメールを送る | パートナーへのメール配信機能を使う |
| 入力の手間 | すべて手入力 | AIが入力を手伝う |
チョータツは3,000社以上が利用しており、無料で始められます。要件が厳しい案件ほど、情報をすばやく見比べられることが提案の速さにつながります。
よくある質問
- Q. 2026年のSES案件は減っていますか?
- 一律に減ったとは言えません。2026年3月の情報通信業の新規求人は前年同月比15.8%減でしたが、1か月の数字です。DX人材が足りない日本企業は85.5%あり、スキルのある人への需要は続いています。
- Q. SES案件の募集要件が厳しくなったのはなぜですか?
- 発注側が「入ってすぐ動ける人」を求めるようになったためと考えられます。生成AIを活用する方針の日本企業は68.9%に増え、決まった作業だけの仕事は減る可能性があります。
- Q. SESのリモート案件は減っていますか?
- SES案件全体のリモート比率を示す公的データは、確認できませんでした。自社に届く案件メールを1か月分集計し、「フルリモート可」「一部出社」「常駐」の割合を3か月ごとに比べるのが確実です。
- Q. 要件に1つ足りない人材は、提案してもよいですか?
- 提案する前に、BPへ「その条件は必須か尚可か」を確認しましょう。尚可なら、近い経験を正直に書いて提案できます。必須なのに黙って出すのは、信用を落とすので避けます。
- Q. 若手エンジニアを決めるには、どうすればよいですか?
- 経験者と組にした体制で提案する方法が効きやすいです。経験年数の条件が低い案件を扱うBPを増やすことも大切です。
- Q. ITエンジニアの有効求人倍率は下がっていますか?
- 少し下がっています。2026年7月の情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.50倍でした。前年同月より0.13ポイント低い数字です(常用・パートを除く原数値)。
まとめ
2026年のSES案件は、案件はあるが、要件が細かく厳しい状態です。
厳しくなりやすいのは、経験年数・担当工程・出社の条件・面談回数の4つです。
リモート可否などの動向は、自社の案件メールを1か月分数えると、数字でつかめます。
要件に合う人材が少ないときの打ち手は5つです。必須と尚可の確認、近い経験の言いかえ、出社条件の相談、体制での提案、提案の速さです。
案件情報は、BPを増やし、1か所にまとめるほど早く動けます。チョータツの連携を使うと、連携先の営業中案件・人材をデータベース化できます。
参考資料(2026年9月30日確認)
IPA(情報処理推進機構)「国内企業のDX動向・AI活用動向のポイントを公開」(2026年7月16日:DX動向2026)
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」(参考統計表:職業別有効求人倍率)
厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日