IT人材不足の2030年予測とデータ|経産省の「最大約79万人」試算の読み方と、SES営業が人材を確保する5つの打ち手
公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日
IT人材不足の2030年予測は「最大約79万人」
経済産業省の試算では、2030年にIT人材が最大で約79万人足りなくなります。ただし、79万人は3つのシナリオのうち、最も需要が伸びた場合の数字です。
IT人材不足とは、IT人材を必要とする数(需要)に対して、働けるIT人材の数(供給)が足りない状態のことです。需要と供給の差を需給ギャップと呼びます。
この試算は、経済産業省が2019年4月に公表した「IT人材需給に関する調査」です。みずほ情報総研株式会社(当時)が事務局となり、2018年から2030年までを試算しました。
3つのシナリオ別の不足数
試算では、2030年のIT人材の供給を約113万人と見込んでいます。そのうえで、IT需要の伸び方を3通りに分けました。
| シナリオ | 需要の伸び(年平均) | 2030年の需要 | 不足数 |
|---|---|---|---|
| 高位 | 約4.4% | 192万人 | 約79万人 |
| 中位 | 約2.7% | 158万人 | 約45万人 |
| 低位 | 約1% | 130万人 | 約16万人 |
※ 労働生産性が毎年0.7%上がる前提の数字です。中位の45万人は、報告書の表にそのまま書かれています。高位と低位は、需要と供給の表の差から計算した値で、端数の扱いで1万人ほどずれることがあります。
高位シナリオの根拠は企業アンケート
高位シナリオの伸び率4.4%は、企業へのアンケートから決められました。2018年10月にIT企業とユーザー企業の計6,000社に聞き、2,173社が答えています。
中位は高位と低位の中間です。低位は、民間の市場予測をもとにしています。
2018年の時点で約22万人が足りなかった
中位シナリオでは、IT人材の不足は2018年の時点ですでに約22万人でした。不足は2030年に突然始まる話ではありません。
| 年 | 不足数(中位シナリオ) |
|---|---|
| 2018年 | 約22万人 |
| 2020年 | 約30万人 |
| 2025年 | 約36万人 |
| 2030年 | 約45万人 |
一方で、IT人材の供給は2018年の約103万人から、2030年には約113万人に増える見込みです。人は増えても、需要の伸びに追いつかないという試算です。
生産性が上がれば不足は消える
報告書には、もう1つ大事な数字があります。労働生産性(1人が生み出す成果)が毎年3.54%上がれば、2030年の需要と供給は釣り合うと書かれています。
実際の前提は、毎年0.7%の上昇です。つまり、1人あたりの成果を今の約5倍のペースで伸ばせるかが、不足の大きさを左右します。
経産省の試算を読むときの3つの注意点
経産省の試算は、3つの点に注意して読む必要があります。「2019年の公表」「数える職業は3つだけ」「人材の種類で結果が逆になる」の3点です。
1. 公表は2019年で、新しい数字ではない
生成AIが広まる前の試算です。2026年9月時点で、同じ方法で試算し直した公式の数字は見当たりません。「最新の予測」として紹介するのは避けましょう。
2. IT人材の範囲は3つの職業だけ
国勢調査の「システムコンサルタント・設計者」「ソフトウェア作成者」「その他の情報処理・通信技術者」を数えています。SES企業の営業担当者などは入っていません。
3. 足りない人材と、余る人材がいる
報告書は、IT人材を「先端IT人材」と「従来型IT人材」に分けて試算しています。分け方によって結果が大きく変わるので、次の見出しで詳しく説明します。
足りないのは先端IT人材、従来型は余る可能性もある
2030年に大きく不足するのは、AIやIoTを扱う先端IT人材です。昔ながらの開発や保守を担う従来型IT人材は、学び直しが進まないと余る可能性があります。
先端IT人材とは、IoTやAIを使ったITサービスに関わる人材のことです。従来型IT人材とは、これまでのシステムの受託開発や、保守・運用に関わる人材のことです。
報告書は、従来型から先端に移る人の割合をリスキル率と呼びます。リスキル(学び直し)がどれだけ進むかで、2030年の姿は次のように変わります。
| 学び直しの進み方 | 従来型IT人材 | 先端IT人材 |
|---|---|---|
| よく進む(平均年3.8%) | 約18万人不足 | 約27万人不足 |
| あまり進まない(年2%) | 過不足なし | 約45万人不足 |
| 進まない(年1%) | 約10万人余る | 約55万人不足 |
※ 中位シナリオ(需要の伸び約2.7%、生産性0.7%上昇)での数字です。
SES営業にとっての意味
同じ「IT人材不足」でも、スキルによって状況は逆になります。先端スキルの人は取り合いになり、従来型のスキルだけの人は、案件探しに時間がかかるようになります。
つまり、SES営業は「人が足りない」とひとまとめに考えず、スキルごとに需給を見る必要があります。
最新データで見るIT人材不足の今
2025年以降の調査でも、IT・デジタル人材の不足ははっきり続いています。ただし、求人の数には落ち着きも見え始めています。
| 調査 | 内容 | 数字 |
|---|---|---|
| IPA「DX動向2025」 | DXを進める人材が不足している日本企業 | 85.1% |
| 厚生労働省「一般職業紹介状況」 | 2025年度平均の有効求人倍率(全職業) | 1.20倍 |
| 厚生労働省「一般職業紹介状況」 | 2026年3月の情報通信業の新規求人(前年同月比) | 15.8%減 |
IPA「DX動向2025」:日本企業の85.1%が人材不足
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、日本・米国・ドイツの企業を比べる調査をしています。2025年2〜3月の調査で、日本は1,535社が答えました。
DXを進める人材が「大幅に不足」「やや不足」と答えた日本企業は、合わせて85.1%でした。米国とドイツでは、「過不足はない」などの回答が多く、日本の不足感の強さが目立ちます。
求人の数には落ち着きも見える
有効求人倍率とは、仕事を探している人1人に対して、求人が何件あるかを表す数字のことです。厚生労働省によると、2025年度の平均は全職業で1.20倍でした。前の年度の1.25倍より下がっています。
また、2026年3月の情報通信業の新規求人は、前年同月より15.8%減りました。1か月だけの数字なので決めつけはできません。それでも、「どんな人でも取り合い」という時期ではなくなりつつあると考えられます。
IT人材不足はなぜ起こる?4つの理由
IT人材不足の主な理由は、「需要の伸び」「若い人口の減少」「生産性の伸び悩み」「スキルのずれ」の4つです。どれも経産省の報告書で試算の前提になっている要素です。
IT需要が伸び続けている:企業アンケートでは、IT需要は年3〜9%伸びると見込まれていました。DX(デジタル技術で仕事を変えること)の広がりが背景にあります。
働く人、とくに若い人が減っている:日本の労働人口と若年人口は全体として減っています。IT人材の供給は増えても、需要ほどは増えません。
1人あたりの生産性が伸びにくい:前提の伸びは年0.7%です。需要と釣り合うには、年3.54%の伸びが必要とされています。
スキルが需要に合っていない:先端分野は足りないのに、従来型の人は余る可能性があります。人数ではなく、スキルの中身がずれています。
営業の現場では、4つ目の「スキルのずれ」が一番身近です。「Javaの保守ならいるが、クラウドやAIの人がいない」という状況は、まさにスキルのずれです。
AIでIT人材不足は解消する?
AIで一部の作業は減りますが、IT人材不足がすぐに解消するとは言えません。AIを作る人・使いこなす人の不足が、新たに大きくなるからです。
AI人材は2030年に最大約12.4万人不足
経産省の同じ報告書は、AI人材の不足も試算しています。AI人材とは、AIのしくみを研究する人や、AIを使ったシステムを作る人、AIを使った商品を企画・販売する人のことです。
AI市場が年16.1%伸びる場合、AI人材は2030年に約12.4万人不足します。伸びが年10.3%の場合は、約1.2万人の不足まで縮まります。
企業の生成AI活用は半分ほどに広がった
総務省の「令和7年版 情報通信白書」は、企業の生成AIの活用方針を調べています。「積極的に活用する」「領域を限定して活用する」と答えた日本企業は49.7%でした。前の調査の42.7%から増えています。
生成AIとは、文章や画像、プログラムなどを自動で作るAIのことです。プログラムを書く作業の一部をAIが手伝うようになり、エンジニアに求められる力も変わり始めています。
「2025年の崖」とレガシー刷新も人材不足を強める
2025年の崖とは、古いシステムが足かせになってDXが進まず、経済損失が出るおそれを表した言葉のことです。経済産業省が2018年の「DXレポート」で使いました。
経済産業省は2025年5月のレポートで、ユーザー企業にシステムの内製化と上流人材の育成・確保を求めています。古いシステムの刷新と内製化を担える人材は、これからも不足しやすいと考えられます。
営業としての見方
私たちは、AIの広がりで「人数」より「スキルの中身」の不足が強まると考えています。AIを使って早く作れるエンジニアには、今後も案件が集まるでしょう。
反対に、決まった作業だけをする案件は、AIに置きかわって減る可能性があります。提案する人材のスキルを、先端側へ少しずつ寄せていくことが大切です。
人材不足がSES営業に与える4つの影響
IT人材不足は、SES営業に「案件は来るのに人がいない」状態をもたらします。とくに次の4つの影響が出やすくなります。
| 場面 | 起こりやすいこと | 営業の打ち手 |
|---|---|---|
| 人材の確保 | 自社だけでは案件を埋められない | BP(取引先の会社)を増やす |
| 単価 | 先端スキルの人は単価が上がりやすい | 根拠をそろえて単価交渉する |
| 待機 | 従来型スキルだけの人は次が決まりにくい | 学び直しと案件選びを一緒に進める |
| 採用 | 自社のエンジニア採用が難しくなる | フリーランスへの直接スカウトも使う |
「単価が上がりやすい」は、先端スキルの人が足りないという試算から考えられる傾向です。実際の相場は職種によって違うので、SESの単価相場と調べ方で確認してください。
値上げを切り出す時期と例文は、SESの単価交渉のタイミングにまとめています。待機が長引いたときの給与の扱いは、SESの待機期間の給与と対応で確認できます。
SES営業が人材を確保する5つの打ち手
人材不足の中でSES営業がやるべきことは、「集める先を増やす」「人を育てる」「条件を上げる」の3方向です。具体的には、次の5つを順番に進めます。
BP(取引先)を増やす:自社のエンジニアだけで埋めようとせず、他社の営業中人材を提案できる状態をつくります。探し方はSESパートナー募集企業の一覧と探し方7選にまとめています。
フリーランスに直接声をかける:会社に属さないITフリーランスにも、案件を直接紹介します。BP経由より商流(仕事が流れてくる経路)が浅くなり、条件を合わせやすくなります。
エンジニアの学び直しを後押しする:従来型スキルの人に、クラウドやAIの経験が積める案件を優先して紹介します。報告書が示すとおり、学び直しが進むほど不足は小さくなります。
商流を上げて単価を上げる:人が足りない分野ほど、上流の会社は条件を上げてでも人を求めます。元請けに近い会社と取引し、エンジニアへの還元も増やします。
採用のしかたを見直す:求人の出し方や面接のしかたを変えます。詳しくはSESのエンジニア採用が難しい理由5つと対策を参考にしてください。手法ごとの費用はSESのエンジニア採用単価の平均で比べられます。
5つのうち、すぐに効果が出やすいのは1と2です。3と4は時間がかかりますが、会社の力を長く支えます。
自分で人材の情報を集めて管理する方法
ツールを使わずに人材を集めるなら、届いた情報を1か所にまとめることが一番大切です。次の手順で始められます。
情報の入り口を決める:BPからの人材メール、交流会でもらった情報、フリーランスからの連絡を洗い出します。
Excelに一覧をつくる:氏名(イニシャル)、スキル、単価、稼働開始日、所属会社、商流の6項目を並べます。
毎日決まった時間に更新する:人材情報は数日で古くなります。朝と夕方など、更新する時間を決めます。
スキル別に絞り込めるようにする:「Java」「AWS」「PMO」など、よく使うスキルで分けておきます。
決まった人・終わった人を消す:古い情報で提案すると、相手の信頼を失います。
この方法は無料で始められます。ただし、BPが10社、20社と増えると、メールを読んで転記する手間が一気に増えます。
チョータツとxhoursで人材確保を楽にする
人材不足の中で提案のスピードを上げるなら、DrivenXのツールで「集める」「探す」をまとめると楽になります。自分でやる方法と比べると、次のように変わります。
| 場面 | 自分でやる場合 | DrivenXのツールを使う場合 |
|---|---|---|
| BPの人材を把握する | メールを読んでExcelに転記 | チョータツで連携すると、連携先の営業中人材がデータベースになる |
| 人材情報を届ける・もらう | BCCでメールを一斉送信 | チョータツのメール配信機能でパートナーに配信 |
| フリーランスを探す | SNSや知人の紹介で1人ずつ | xhoursで、ITフリーランスに直接スカウト |
チョータツでできること
チョータツとは、SES営業の案件・人材を管理・共有するためのツールのことです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。
自社の案件・人材の情報を管理・共有できる(AIが入力を手伝う)
他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる
パートナーへのメール配信機能がある
人材不足の時期は、「どこかの会社にいる、今動ける人」を早く見つけられるかが勝負です。BPの営業中人材が1つのデータベースにまとまると、探す時間を短くできます。
xhoursでフリーランスに直接スカウトする
xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトを送れるサービスのことです。数千名のフリーランスのデータベースから、案件に合う人を探せます。
BPの人材だけでは埋まらない案件でも、フリーランスまで範囲を広げると、提案できる人が増えます。→ xhoursでITフリーランスを探す
よくある質問
- Q. IT人材は2030年に何人不足しますか?
- 経済産業省の2019年の試算では、約16万〜79万人です。IT需要の伸びが中くらいの場合は、約45万人の不足とされています。
- Q. 「79万人不足」の出典はどこですか?
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年4月公表)です。IT需要が年約4.4%伸びる高位シナリオで、需要192万人に対し供給が約113万人となる差です。
- Q. IT人材不足はなぜ起こるのですか?
- IT需要の伸び、若い働き手の減少、生産性の伸び悩み、スキルのずれの4つが主な理由です。とくに先端分野のスキルを持つ人が足りません。
- Q. AIが広まるとIT人材不足はなくなりますか?
- すぐにはなくなりません。作業の一部はAIに置きかわりますが、AIを作る人・使いこなす人の不足が大きくなると試算されています。
- Q. 最新のIT人材不足のデータはありますか?
- IPAの「DX動向2025」では、DXを進める人材が足りない日本企業は85.1%でした。2025年2〜3月の調査です。
- Q. 2025年の崖とIT人材不足は関係がありますか?
- 関係があります。古いシステムの刷新や内製化を進めるには、上流を担える人材が必要です。経済産業省は2025年5月のレポートで、上流人材の育成・確保を求めています。
- Q. SES営業は人材不足にどう備えればいいですか?
- まずBPを増やし、ITフリーランスにも声をかけて、提案できる人の数を増やしましょう。あわせて、エンジニアの学び直しを後押しし、先端スキルの人を増やします。
まとめ
経産省の試算では、2030年のIT人材不足は約16万〜79万人。中位シナリオでは約45万人
79万人は、IT需要が最も伸びた場合の数字。2019年公表の試算である点に注意する
不足するのは先端IT人材。従来型IT人材は、学び直しが進まないと余る可能性がある
最新調査でも、日本企業の85.1%がDX人材の不足を感じている
SES営業は、BPを増やす・フリーランスに直接声をかける・学び直しを後押しする、から始める
運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日
参考資料(2026年9月28日確認)
経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」(2019年4月)
IPA(情報処理推進機構)「「DX動向2025」を公開」(2025年6月26日)
経済産業省「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」(2025年5月28日)