デジタル人材不足の最新データ7つ|IT人材白書の後継「DX動向」から、SES営業が提案資料と採用説明に使える数字
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
デジタル人材不足のデータはどこで見る?(IT人材白書→DX白書→DX動向)
デジタル人材不足の公的な最新データは、IPAが毎年公表する「DX動向」で確認できます。以前の「IT人材白書」は2020年版で終わり、DX白書を経てDX動向に引き継がれました。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)とは、経済産業省が所管する公的な機関のことです。国の機関が出すデータなので、顧客や社内への説明で「出典」として使いやすいのが特長です。
| 時期 | 名前 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 2009〜2020年 | IT人材白書 | IT企業・ユーザー企業のIT人材の過不足、学び、転職 |
| 2021年12月・2023年3月 | DX白書2021/DX白書2023 | 日米の企業のDXの取り組み(戦略・人材・技術) |
| 2024年〜毎年 | DX動向2024/2025/2026 | DX・AI活用の進み具合と、人材の過不足 |
DX動向とは、DX白書を引き継いで毎年公表されている、IPAの調査報告のことです。2026年9月時点の最新版は「DX動向2026(広がるAI導入、DXは変われるか)」です。
ユーザー企業とは、自社の業務のためにシステムを使う、IT企業以外の会社のことです。SESでいう「エンド」にあたります。
IT人材白書2020(最終版)の不足データ
参考として、最終版の数字も押さえておきます。2019年度に、IT企業996社・ユーザー企業821社から回答を集めた調査です。
ユーザー企業でIT人材の「質」が大幅に不足している割合は、2019年度に39.5%でした。2016〜2018年度は33%前後です。
従業員1,001名以上のユーザー企業では、この割合が48.3%でした(前の年度は38.1%)。
ただし、どちらも新型コロナの流行前の数字です。2026年の提案資料では、次の章の新しい数字を優先しましょう。IT人材白書そのものの中身や読み方は、IT人材白書とは?DX白書との関係とSES営業が使えるデータ5つで詳しく解説しています。
→ 2030年に最大約79万人不足という将来の試算は、IT人材不足の2030年予測とデータ|経産省試算を営業目線で解説で解説しています。ここでは、IPAの調査の「今の不足感」のデータに絞ります。
デジタル人材不足の「量」と「質」とは?
IPAの調査は、人材の不足を「量(人数)」と「質(スキル)」の2つに分けて聞いています。SES営業が提案で使うときも、この2つを分けて話すと説得力が上がります。
| 区分 | 意味 | 顧客の言葉にすると |
|---|---|---|
| 量の不足 | 必要な人数がそろっていない | 「手が足りない」「人を増やしたい」 |
| 質の不足 | 必要なスキルを持つ人がいない | 「できる人がいない」「経験者がほしい」 |
DX推進人材とは、会社のDX(デジタル技術で事業や業務を変えること)を進める役割を持つ人材のことです。どんな人をDX推進人材とするかは、回答した企業ごとの考えによります。
SESのエンジニア全員がDX推進人材にあたるわけではありません。資料で使うときは「DXを進める人材が不足」と、調査の言葉どおりに書きましょう。
SES営業が使える最新データ7つ
提案資料や採用の説明に使いやすいのは、次の7つの数字です。どれもIPAなどの公的な資料で確認できます(2026年9月確認)。
| # | 数字 | 出典(調査時期) |
|---|---|---|
| 1 | DXを進める人材が「不足」している日本企業は85.5% | DX動向2026(2026年4〜6月) |
| 2 | 日本の不足感は米国・ドイツより目立って高い | DX動向2025(2025年2〜3月) |
| 3 | 人材の「量」が大幅に不足:日本49.6%、米国3.3% | DX白書2023(2022年度調査) |
| 4 | 人材の「質」が大幅に不足:日本51.7% | DX白書2023(2022年度調査) |
| 5 | 人材の「量」が充足している企業:日本10.9%、米国73.4% | DX白書2023(2022年度調査) |
| 6 | 国内のIT人材の推計は約142.5万人 | DX白書2023(2021年度調査・2022年1月実施) |
| 7 | IT人材の所属:IT企業73.6%、それ以外26.4% | DX白書2023(2020年国勢調査を集計) |
1. DXを進める人材の不足は85.5%(DX動向2026)
最新の調査でも、日本企業の8割以上がDXを進める人材の不足を感じています。DX動向2026は、2026年4月17日〜6月12日に1,799社が回答した調査です。「大幅に不足」「やや不足」の合計は85.5%でした。
IPAによると、この割合は2023年度・2024年度の調査とほぼ同じ水準です。一時的な話ではなく、数年続いている状態だと説明できます。
2. 日本の不足感は米国・ドイツより強い(DX動向2025)
DX動向2025では、日本の不足の課題は米国・ドイツより大きいと報告されています。日本は8割を超える企業が、DX推進人材の不足を答えました。米国・ドイツでは、人材不足の課題はより限られていました。
2025年2〜3月に、日本1,535社・米国509社・ドイツ537社が回答した調査です。顧客に「日本だけの特殊な事情」と説明するときに使えます。
3〜5. 「量」も「質」も、明確な不足が半数に(DX白書2023)
DX白書2023では、「大幅に不足している」と答えた日本企業が、量・質ともに約半数まで増えました。1年で急に増えたのが特徴です。
| 項目 | 日本 2021年度 | 日本 2022年度 | 米国 2022年度 |
|---|---|---|---|
| 量が大幅に不足 | 30.6% | 49.6% | 3.3% |
| 質が大幅に不足 | 30.5% | 51.7% | 7.6% |
IPAは、不足が増えた理由として「DXに取り組む企業が増え、人材のニーズが増えたこと」を挙げています。日本でDXに取り組む企業は、2021年度の55.8%から2022年度は69.3%に増えました。
6〜7. IT人材の約7割はIT企業にいる(DX白書2023)
日本のIT人材は、約7割がIT企業に所属しています。2020年の国勢調査をもとにした集計では、IT企業73.6%、IT企業以外26.4%でした。米国は逆で、IT企業35.1%、IT企業以外64.9%です。
この数字は、SES営業にとって大切です。日本のユーザー企業は社内にIT人材が少なく、外部のIT企業に頼る構造になっています。SESや受託開発の需要が続く理由を説明するときの根拠になります。
IPAの2022年1月の調査にもとづく推計では、国内のIT人材は約142.5万人です。内訳は、IT企業に約107.9万人、事業会社に約34.6万人です。
顧客への提案資料に数字を入れる方法
提案資料では、「顧客の悩み→公的データ→自社の提案」の順に1枚でつなげると、数字が生きます。数字だけを並べても、顧客には「だから何?」と思われてしまいます。
提案資料に入れる手順
顧客の悩みを「量」か「質」かに分ける(人数が足りないのか、スキルが足りないのか)
悩みに合う数字を1つだけ選ぶ(量なら#1や#3、質なら#4)
出典を「IPA『DX動向2026』(2026年7月公表)」のように、名前と時期まで書く
数字のすぐ下に、自社が出せる人材・体制を具体的に書く
最後に、次の打ち合わせで決めたいことを1つ書く
会社紹介の資料では、市場の説明のページにデータを置くと自然です。構成はSESの会社紹介資料の作り方|BP・エンド向けの構成10枚が参考になります。エンドに体制ごと提案するならエンド直案件の提案書の作り方|SESの体制提案の構成と見本も参考になります。
提案メールの例文
件名:DX推進体制の強化に向けたご提案(株式会社△△) 株式会社〇〇 情報システム部 □□様 いつもお世話になっております。株式会社△△の◇◇です。 IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、 DXを進める人材が不足している日本企業は85.5%でした。 貴社でも、年度内のシステム刷新に向けて 設計経験のある方をお探しと伺っております。 弊社では、次のような体制をご用意できます。 ・AWSでの設計・構築経験5年以上のエンジニア1名(11月から稼働可) ・同じチームで動ける開発メンバー2名 ご都合のよい日に、30分ほどお打ち合わせできれば幸いです。 よろしくお願いいたします。
数字を使うときにやってはいけないこと
古い版の数字を「最新」と書く:IT人材白書2020の数字は2019年度の調査です
「DX推進人材」を「エンジニア全体」と言いかえる:調査の対象と言葉がずれます
調査名と年度を書かない:顧客が確認できず、資料の信頼が下がります
不足を強調しすぎて不安をあおる:顧客の悩みの解決策とセットで伝えます
採用方針の説明に使う方法
経営層への説明では、「不足は数年続いている」「外部の人材も組み合わせるのが普通」の2点をデータで示します。
経営層への説明で使える数字
DX動向2026の85.5%は、前の年度とほぼ同じ水準です。不足はすぐには解消しない前提で、採用計画を立てる根拠になります。
DX白書2023では、人材確保の方法で最も多いのは日米とも「社内人材の育成」でした(日本54.9%)。
日本では次いで「既存人材の活用」(47.7%)、「外部採用(中途採用)」(44.3%)が多くなっています。「社外の専門家との契約」は37.1%です。
米国は「特定技術を有する企業や個人との契約」が42.5%で、日本より社外の人材をよく使っています。
社内説明の例文
【採用方針の見直しについて】 IPAの「DX動向2026」では、DXを進める人材が足りない企業は85.5%で、 ここ数年ほぼ同じ水準が続いています。 自社採用だけで人数を増やすのは、今後も難しいと考えられます。 そこで来期は、 ①自社エンジニアの育成(資格取得の支援) ②パートナー企業との連携強化 ③フリーランスへの直接の声かけ の3本立てで、提案できる人材を増やします。
採用が難しい理由と職種別の対策は、SESのエンジニア採用が難しい理由5つ|職種別の対策と面接のコツで解説しています。
最新のIPAデータを自分で確認する方法
IPAの調査は無料で公開されているので、提案の前に最新版を自分で確認できます。確認は5分ほどで終わります。
IPAのサイトで「DX動向」のページを開く
いちばん新しい年の版(2026年9月時点では「DX動向2026」)を選ぶ
「人材」の章で、DXを進める人材の過不足の図を探す
数字と一緒に、調査時期・回答社数をメモする
過去の数字が必要なら、DX白書2023や、IT人材白書のアーカイブを開く
IT人材白書の過去の版は、IPAのアーカイブページにあります。2020年版より前の版は、国立国会図書館のインターネット資料収集保存事業(WARP)で見られると案内されています。
数字の管理のコツ
顧客ごとに「どの数字を、いつの版で見せたか」を残しておくと、次の提案で数字を更新しやすくなります。営業チームで1つの一覧にまとめ、年1回(DX動向の公表後の7〜8月ごろ)に見直しましょう。
人材不足の市場で案件を取りこぼさないために
人材が足りない市場では、顧客の要望に「早く」人を出せる会社が選ばれます。データで需要を説明できても、提案できる人材がいなければ受注にはつながりません。
自分でできる対策は、次の3つです。
| 対策 | 自分でやる方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自社の人材の把握 | 稼働予定・スキルをExcelで一覧にする | 更新が遅れると、提案の機会を逃す |
| パートナーの人材の把握 | 届いた人材メールを読み、一覧に転記する | メールが多く、見落としが出やすい |
| 提案の速さ | 案件が来たら一覧から候補を探す | 一覧が古いと、確認の手間が増える |
求人の動きはITエンジニアの有効求人倍率の推移|公的データで見る採用と営業の今もあわせて確認してください。提案の順番はSESの待機エンジニアが複数いるときの営業の優先順位|判断表つきで解説しています。
チョータツで人材の情報をまとめて提案を速くする
チョータツは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールです。人材不足の市場で「すぐ出せる人」を把握するための手間を減らせます。
| 場面 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 人材情報の管理 | Excelに手で入力する | 案件・人材を登録して管理・共有。AIが入力を手伝う |
| パートナーの人材を知る | メールを読んで一覧に転記 | 他社と連携すると、他社の営業中人材をデータベース化 |
| 自社の人材を届ける | BCCで一斉送信 | メール配信機能でパートナーへ配信 |
チョータツは3,000社以上が使っていて、無料で始められます。届く案件メール・人材メールが多い場合は、チョータツメールAIで、AIがメールを案件メールと人材メールに切り分けます。
フリーランスのエンジニアに直接声をかけたい場合は、DrivenXのxhoursが使えます。ITフリーランスに直接スカウトを送れます。
よくある質問
- Q. IT人材白書の最新版はどこで見られますか?
- IT人材白書は2020年版が最終版です。最新のデータは、後継にあたるIPAの「DX動向」で確認できます。2026年9月時点の最新版は「DX動向2026」です。
- Q. 日本と米国で、デジタル人材の不足はどのくらい違いますか?
- IPAの「DX白書2023」では、人材の「量」が大幅に不足する企業は日本49.6%、米国3.3%でした。「量」が充足している企業は日本10.9%、米国73.4%です。
- Q. デジタル人材の不足は今どのくらいですか?
- IPAの「DX動向2026」では、DXを進める人材が不足している日本企業は85.5%でした。2023年度・2024年度の調査とほぼ同じ水準です。
- Q. 「IT人材が79万人不足」はIT人材白書の数字ですか?
- いいえ。経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」の試算です。79万人は需要の伸びが最も大きい場合の数字で、中位の試算は約45万人です。
- Q. 提案資料にIPAの数字を載せてもよいですか?
- 出典として調査名・公表時期を明記して、数字を引用する形なら使いやすいです。図表をそのまま転載する場合は、IPAのサイトの利用条件を確認してください。
- Q. 内製化が進むと、SESの需要は減りませんか?
- 内製化を進める企業でも、DXを進める人材の不足は続いています。社内の人材が育つまでの支援として提案する方法もあります。
まとめ
デジタル人材不足の最新データは、IPAの「DX動向2026」。IT人材白書(2020年版で終了)の後継調査
DX白書2023では「量」の大幅不足が日本49.6%・米国3.3%。「質」の大幅不足は日本51.7%
DXを進める人材の不足は85.5%(DX動向2026)。数年ほぼ同じ水準が続いている
日本のIT人材の約7割はIT企業にいる。ユーザー企業が外部に頼る構造がSESの需要を支える
資料では「顧客の悩み→公的データ→自社の提案」の順に、調査名と年度を添えて使う
人材不足の市場では、すぐ出せる人材を把握している会社が選ばれる
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
IPA(情報処理推進機構)「IT人材白書」(アーカイブ:IT人材白書2020、2020年8月31日発行)
IPA「IT人材白書2020 概要」
IPA「DX白書2023」(2023年3月16日発行)
IPA「DX白書2023(本文PDF)」
IPA「DX白書」
IPA「DX動向」
IPA「国内企業のDX動向・AI活用動向のポイントを公開」(DX動向2026)
IPA「「DX動向2025」を公開」(2025年6月26日)