SESのエンジニア採用が難しい理由5つと対策|職種別の採用経路と面接のコツ

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

エンジニア採用が難しい背景:求人倍率のデータ

エンジニアの採用が難しいいちばんの理由は、求人の数に対して、仕事を探すエンジニアが足りないことです。数字で確かめます。

求人倍率とは、仕事を探している人1人に対して、求人がいくつあるかを表す数字のことです。1倍を超えるほど、会社どうしで人を取り合う状態になります。

厚生労働省の「一般職業紹介状況」から、2026年3月(令和7年度末)の数字を比べます(常用、パートを含む)。

職業新規求人倍率有効求人倍率
職業計(すべての職業)1.82倍1.10倍
専門的・技術的職業2.84倍1.82倍
情報処理・通信技術者2.66倍1.39倍

新規求人倍率とは、その月に新しく出た求人と求職者で計算した数字のことです。有効求人倍率は、前の月から続いているものも含めた数字です。どちらで見ても、IT職種は全体より取り合いが激しいことがわかります。

※ 一般職業紹介状況はハローワークの数字です。エンジニアは転職サイトや紹介会社を使う人が多いため、実際の取り合いはもっと激しい可能性があります。

求人は減っても、人手不足は続く

同じ統計では、情報処理・通信技術者の新規求人は前年同月より16.3%減りました。それでも倍率は2倍を超えており、エンジニアが足りない状態は変わっていません。

経済産業省の試算でも、2030年にIT人材が最大で約79万人不足するとされています。採用難は一時的なものではないと考え、採用以外の人の集め方も持っておきましょう。

→ IT人材不足の2030年予測とデータ|経産省試算を営業目線で解説

採用担当の8割が「厳しかった」と感じている

マイナビの「中途採用状況調査2026年版」では、2025年の中途採用を「厳しかった」と答えた人が80.6%でした。2021年以降、約8割が続いています。採用で苦労しているのは、自社だけではありません。

SESのエンジニア採用が難しい理由5つ

SES企業の採用が、自社開発の会社などよりさらに難しくなるのは、働く側から見た不安が大きいからです。代表的な理由は次の5つです。

#理由候補者が感じている不安
1待機が不安案件が切れたら給与が減るのでは
2案件が見えにくいどこで何の仕事をするのかわからない
3給与の決まり方が不透明単価が上がっても給与に反映されるのか
4キャリアの先が見えない同じような現場が続き、スキルが伸びないのでは
5競合が多い自社開発・大手SIer・フリーランスの方が条件がよい

5つの不安の根っこには、「SESは客先常駐でつらい」という世間のイメージがあります。イメージは言葉では変わりません。求人票と面接で、事実(案件の例・待機中の給与・給与の見直しルール)を見せることが一番の対策です。

理由1:待機が不安

待機とは、次の案件が決まらず、エンジニアが現場に入っていない期間のことです。候補者は「待機中に給与が減らされないか」を気にしています。

会社の責任で休ませる場合は、平均賃金の60%以上の休業手当が必要です(労働基準法第26条)。まずは法律を守ったうえで、待機中の給与の扱いを求人票や面接で先に説明すると、不安を減らせます。

→ SESの待機期間の給与と対応|休業手当と早く案件に入れる手順

理由2:案件が見えにくい

SESでは、入社してから配属先の案件が決まることが多く、候補者は働く場所や仕事内容を想像しにくいです。2024年4月から、求人に明示する条件が増えました(職業安定法施行規則の改正)。追加されたのは「就業の場所の変更の範囲」「従事すべき業務の変更の範囲」などです。

客先常駐の可能性がある場合は、その範囲をきちんと書く必要があります。あわせて、今ある案件の例(業界・技術・勤務地・リモートの有無)を3〜5件載せると、応募の質が上がります。

理由3:給与の決まり方が不透明

還元率とは、客先からもらう単価のうち、エンジニアの給与として払う割合のことです。「単価はいくらで、そのうち何割が給与になるのか」がわからないと、候補者は不安になります。

還元率そのものは公開しなくてもかまいません。「単価が上がったら、給与はいつ・どう見直すか」のルールは説明できるようにしておきましょう。

→ SESのマージン率の平均と相場|適正ラインと説明のしかた

理由4:キャリアの先が見えない

同じような現場が続くと、スキルが伸びないと感じる人がいます。商流が深い案件ばかりだと、上流の仕事に関わる機会も減ります。商流とは、仕事が発注元から何社もの会社を通って流れてくる経路のことです。

面接では、過去に社員がどんな案件を経て、どう役割を広げたかの例を話せるようにしておきましょう。

→ SESの一次請け・二次請けの違い|単価差と商流を上げる方法

理由5:競合が多い

経験のあるエンジニアほど、自社開発の会社・大手SIer・フリーランスという選択肢があります。給与だけで勝とうとすると、採用費も人件費も上がり続けます。

SES企業が勝負しやすいのは、いろいろな業界や技術を経験できることと、案件を選べる仕組みです。この2つを、求人票と面接で具体的に伝えましょう。

職種別の採用が難しい理由と、効く採用経路

エンジニアの採用経路は、職種ごとに変えるのが効率的です。どの職種も同じ求人広告で募集すると、採りやすい職種に費用を使いすぎ、採りにくい職種は埋まりません。

職種採りにくい理由効きやすい採用経路
インフラ(サーバー・ネットワーク・クラウド)夜間や休日の対応があり、経験者が少ない未経験・運用監視からの育成、紹介会社
フロントエンド自社開発やフリーランスに流れやすいスカウト、フリーランスの活用
バックエンド(Java・PHPなど)経験年数の条件が高い案件が多いリファラル、スカウト、BPの人材
PM・PMO経験者の年収が高く、転職市場に出にくい紹介会社、フリーランスの活用

インフラエンジニア:育成の道をつくる

インフラエンジニアとは、サーバーやネットワーク、クラウドなど、システムの土台をつくり、動かし続けるエンジニアのことです。経験者は取り合いなので、運用監視など経験が浅くても入れる案件から育てる道をつくると採用しやすくなります。

求人票には、「運用監視 → 構築 → 設計」のように、何年でどこまで進めるかの道すじを書きましょう。資格の取得を会社が支援する場合は、その内容も具体的に書きます。

フロントエンドエンジニア:待たずに声をかける

フロントエンドエンジニアとは、ブラウザで見える画面をつくるエンジニアのことです。自社開発の会社に人気があり、フリーランスとして働く人も多い職種です。

求人広告を出して待つより、スカウトで狙った人に直接声をかける方が効きます。正社員にこだわらず、案件の期間だけフリーランスに入ってもらう方法も考えましょう。

バックエンド・PM・PMO:人のつながりを使う

バックエンドやPMは、経験年数の条件が高い案件が多い職種です。社員の知り合いを紹介してもらうリファラル採用や、取引先のBPから人材を提案してもらう方法が効きます。

→ SESのPMO単価相場|経験別の目安と提案単価の決め方

採用難に効く打ち手6つ(優先順)

採用難への打ち手は、お金をかける前に、求人票と面接を見直すことから始めます。効果が出やすい順に並べます。

  1. 求人票に案件の例を3〜5件書く:業界・技術・勤務地・リモートの有無を具体的に

  2. 待機中の給与の扱いを先に書く:休業手当を含め、会社のルールを明記する

  3. 給与の見直しルールを説明できるようにする:単価が上がったときの反映の時期と方法

  4. 職種ごとに採用経路を分ける:上の表を参考に、職種ごとの予算を決める

  5. 面接に営業も入る:提案できる案件があるかを、その場で確かめて伝える

  6. 採用以外の経路を持つ:短い案件や急ぎの案件は、フリーランスとBPで埋める

どの経路にいくらかかるかは、採用単価で比べると判断しやすくなります。

→ SESのエンジニア採用単価の平均|手法別の費用と採用担当の役割

SESの採用面接のコツと質問例

SESの採用面接では、「営業が案件に提案できる人か」と「長く働いてくれそうか」の2点を確かめます。あわせて、会社側の情報をしっかり伝える場にします。

面接の進め方5ステップ

  1. 会社側から先に説明する:案件の例、待機中の扱い、給与の見直しルールを5分で話す

  2. 経歴をスキルシートの形で聞く:現場ごとに、期間・技術・役割・人数を聞く

  3. 深掘りの質問をする:自分で判断したこと、困ったことへの対応を具体的に聞く

  4. 希望の案件を聞く:技術・勤務地・リモート・単価の希望を、優先順つきで聞く

  5. 営業がその場で案件を当てる:提案できそうな案件があるかを伝える

マイナビの調査では、応募者1人あたりの面接回数はWEB面接で平均3.0回、対面で平均2.8回でした。回数が多いほど、ほかの会社に先を越されやすくなります。面接は2回以内で結論を出すのが目安です。

面接で使える質問例

  • 「直近の現場で、あなたが担当した範囲を、設計・開発・テストのどこからどこまでか教えてください」

  • 「そのチームは何人で、あなたはどの役割でしたか」

  • 「一番苦労したトラブルと、あなたがとった対応を教えてください」

  • 「次の案件で、使いたい技術と避けたい条件は何ですか」

  • 「リモートと出社の希望は、どちらを優先しますか」

経歴の中身は、現場ごとに具体的な数字(期間・人数・担当範囲)で聞くと、あとで食い違いが起きにくくなります。

→ SESの経歴詐称がバレたら?営業がやる対応6ステップ / エンジニアのスキルシート書き方例|職種別サンプル / SES面談の質問内容|営業が聞くべき深掘り質問27

面接でやってはいけないこと

  • 案件が決まっていないのに「すぐ入れる」と言う:入社後に待機が続くと、早期退職につながる

  • 給与の見直しを口約束だけにする:条件は書面で示す

  • 本人の適性と関係ない質問をする:家族や出身地などは、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」でも避けるべき事項とされている

内定辞退を防ぐ:カジュアル面談と内定後のフォロー

内定辞退を減らすには、選考の前後で「会話の場」を増やすことです。エンジニアは複数の会社を同時に受けていることが多く、最後は安心できた会社を選びます。

  1. 選考前にカジュアル面談を入れる:合否をつけない30分の面談で、案件の例と働き方を話す

  2. 現場のエンジニアと話す場をつくる:同じ職種の社員に、実際の案件の様子を話してもらう

  3. 内定の連絡は面接から3日以内に出す:待たせるほど、ほかの会社に決まりやすい

  4. 内定時に最初の案件の候補を示す:入社後すぐに待機にならないことを見せる

  5. 入社日まで週1回は連絡する:営業から案件の状況を伝え、不安を早めに聞く

入社後3か月は、営業が月1回は面談しましょう。現場の不満を早く拾えば、早期退職を防げます。

xhoursとチョータツブーストで、採用だけに頼らない

ここまでの打ち手は、すべて自社で進められます。そのうえで、採用が決まるのを待たずに案件を埋めたいなら、DrivenXの2つのサービスが役立ちます。

悩み自分でやる方法もっと楽にする方法
フロントエンドなど、採りにくい職種が埋まらない求人広告を出して応募を待つxhoursで、ITフリーランスに直接スカウトする
自社にいないスキルの案件を断っている交流会や募集ページで取引先を探すチョータツブーストで、新しいパートナー企業を開拓する

xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトを送れるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから探せるので、採用市場に出てこない人にも声をかけられます。

チョータツブーストとは、SES営業向けツール「チョータツ」の中で、新しいパートナー企業を開拓できる機能です。チョータツは3,000社以上が使っており、無料で始められます。BPが増えるほど、自社で採用できないスキルの人材を提案してもらいやすくなります。

おすすめは、長く続く案件は正社員の採用、採りにくい職種や急ぎの案件はxhoursとBPという使い分けです。採用に失敗しても、案件を断らずにすみます。

フリーランスやBPのエンジニアには、自社の社員が直接仕事の指示を出さないよう注意しましょう。偽装請負と判断されるおそれがあります。

→ 偽装請負の判断基準 / SESのBPマッチングが難しい理由5つ

よくある質問

Q. エンジニアの採用が難しい一番の理由は何ですか?
求人に対して、仕事を探すエンジニアが足りないことです。2026年3月の情報処理・通信技術者の新規求人倍率は2.66倍で、全職業の1.82倍を大きく上回っています。
Q. SES企業が求職者に避けられるのはなぜですか?
待機への不安、配属される案件が見えにくいこと、給与の決まり方が不透明なことなどが主な理由です。求人票と面接で、案件の例と待機中の扱いを具体的に示すと不安を減らせます。
Q. インフラエンジニアの採用が特に難しいのはなぜですか?
夜間や休日の対応がある現場が多く、経験者が少ないためです。運用監視など経験が浅くても入れる案件から育てる道をつくると、採用の幅が広がります。
Q. エンジニアの中途採用で、面接は何回がよいですか?
2回以内で結論を出すのが目安です。マイナビの調査では、面接回数の平均はWEB面接で3.0回、対面で2.8回でした。回数が多いと、ほかの会社に先を越されやすくなります。
Q. SESの面接では何を確認すればいいですか?
「営業が案件に提案できる人か」と「長く働いてくれそうか」の2点です。現場ごとに期間・技術・役割・人数を聞き、次の案件の希望を優先順つきで確かめます。
Q. SESの内定辞退を減らすにはどうすればいいですか?
選考前のカジュアル面談と、早い内定の連絡が効きます。内定時に最初の案件の候補を示し、入社日まで週1回は連絡しましょう。
Q. 採用がどうしても間に合わないときは?
ITフリーランスやBPのエンジニアで案件を埋める方法があります。xhoursでフリーランスに直接スカウトしたり、チョータツブーストで新しい取引先を開拓したりできます。

まとめ

  • 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は2.66倍。エンジニアの取り合いは続いている

  • SES企業が避けられる理由は、待機・案件の見えにくさ・給与の決まり方・キャリア・競合の5つ

  • 求人票に案件の例と待機中の扱いを書き、2024年4月からの明示ルールも守る

  • 採用経路は職種ごとに分ける。インフラは育成、フロントエンドはスカウトとフリーランスが効きやすい

  • 面接は2回以内で、会社側の説明を先にし、営業がその場で案件を当てる

  • 採用だけに頼らず、フリーランスとBPで案件を埋める経路も持つ

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料(2026年9月28日確認)

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