SESのエンジニア採用単価の平均と手法別の費用|粗利から逆算する選び方
公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日
エンジニアの採用単価とは?計算式
採用単価とは、1人を採用するのにかかったお金の平均のことです。「採用コスト」とも呼ばれます。計算式は次のとおりです。
採用単価 = 採用にかかった費用の合計 ÷ 採用した人数
たとえば、1年間の採用費が600万円で、6人を採用したなら、採用単価は100万円です。
「採用単価」と「SESの単価」は別のもの
採用単価と、客先に請求するSESの単価(月額の契約金額)は別の数字です。SESの単価は売上側、採用単価はコスト側の数字です。この記事では、SESの単価から採用費を何か月で取り戻せるかまで計算します。
採用費は「外に払うお金」と「社内でかかるお金」の2つ
採用費には、外部コストと内部コストの2種類があります。外部コストだけで計算すると、本当の採用単価より安く見えてしまいます。
| 種類 | 中身の例 | 見落としやすさ |
|---|---|---|
| 外部コスト | 求人広告費、紹介手数料、スカウトサービスの利用料 | 請求書が来るので把握しやすい |
| 内部コスト | 面接する社員の人件費、リファラルの報酬、採用担当の給与 | 請求書がないので見落としやすい |
SESでは、営業が面接や候補者との面談を兼ねている会社が多いです。営業が採用に使った時間も、内部コストとして数えておきましょう。
エンジニア採用単価の平均はいくら?公的データと調査結果
エンジニアの採用単価について、国が出している公的な統計はありません。そこで、民間の大規模な調査の数字を目安として使います。
株式会社マイナビの「中途採用状況調査2026年版」は、採用費用の管理に携わる人事担当者1,500名に聞いた調査です。2025年の実績として、次の数字が出ています。
| 項目 | 金額(平均) | 何の数字か |
|---|---|---|
| 中途採用費の合計 | 609.9万円 | 1社あたりの1年間の合計 |
| そのうち人材紹介 | 375.5万円 | 1社あたりの1年間の人材紹介費 |
| そのうちダイレクトリクルーティング | 173.9万円 | 1社あたりの1年間のスカウト費 |
| 転職サイトの求人広告費(ITエンジニア) | 57.1万円(中央値30.0万円) | 採用した人1人あたり |
ITエンジニアの1人あたり求人広告費は、前年より17.7万円増えています。全職種の平均は36.7万円なので、ITエンジニアはおよそ1.5倍かかっています。
平均57.1万円に対し、中央値(真ん中の会社の値)は30.0万円です。一部の会社が大きな額を使い、平均を押し上げています。自社の予算は、まず中央値の30万円前後を目安にして比べましょう。
採用単価が上がっている理由
エンジニアの採用単価が高いのは、求人の数に対して応募する人が少ないからです。厚生労働省の「一般職業紹介状況」で、2026年3月(令和7年度末)の数字を見ます。「情報処理・通信技術者」の新規求人倍率は2.66倍です。
求人倍率とは、仕事を探している人1人に対して、求人がいくつあるかを表す数字のことです。2.66倍なら、仕事を探す1人に対して求人が2.66件ある計算です。同じ月の全職業の新規求人倍率は1.82倍なので、ITの職種は取り合いが激しいことがわかります。
※ 一般職業紹介状況はハローワークの数字です。転職サイトや紹介会社の動きは含まれません。
さらに経済産業省の試算では、2030年にIT人材が最大で約79万人不足するとされています。人が足りない状態は続くと考え、採用費は上がる前提で計画を立てましょう。
SESの採用手法5つと費用の目安
SESでよく使う採用手法は、求人広告・人材紹介・スカウト・リファラル・BP活用の5つです。費用は「成果が出たときだけ払う」か「先に払う」かで大きく変わります。
| 手法 | 費用のかかり方 | 1人あたりの費用の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 求人広告(転職サイト) | 掲載料を先に払う | ITエンジニアで平均57.1万円 | 同じ職種を何人も採りたい |
| 人材紹介 | 入社したら手数料を払う | 理論年収×手数料率(下の計算例) | 経験者を早く採りたい |
| スカウト(ダイレクトリクルーティング) | 利用料や成功報酬を払う | サービスごとに違う | 狙ったスキルの人に会いたい |
| リファラル(社員紹介) | 紹介した社員に報酬を払う | 自社で決めた報酬額 | 定着する人を採りたい |
| BP・フリーランス活用 | 採用費はほぼなし。毎月の支払いに上乗せがある | 採用費はかからない | 案件の期間が短い、急ぎ |
1. 求人広告(転職サイト)
求人広告とは、転職サイトなどに求人を載せ、応募を待つ方法のことです。掲載料は採用できなくても返ってきません。
同じ職種を何人も採るときは、1人あたりの費用が下がります。反対に、1人しか採れないと割高になります。
2. 人材紹介
人材紹介とは、紹介会社が候補者を探し、入社が決まったら手数料を払う方法のことです。入社するまでお金がかからないので、失敗したときの損が小さいのが特徴です。
紹介会社の手数料は、職業安定法で決め方が定められています。手数料の種類は大きく2つです。
| 種類 | 決め方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 上限制手数料 | 支払われた賃金の11%まで(免税事業者は10.3%) | 6か月を超える雇用は6か月分の賃金が基準 |
| 届出制手数料 | 紹介会社が厚生労働大臣に届け出た額や率 | 年収に対する割合で決めることが多い |
エンジニアの紹介では、年収に対する割合で決める届出制手数料が多く使われます。率は紹介会社ごとに違うので、契約の前に必ず確認しましょう。
紹介会社の手数料表は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で会社ごとに調べられます。交渉の前に、候補の2〜3社を見比べておくと話が早く進みます。
計算例(手数料率を35%とした場合)
理論年収500万円のエンジニア:500万円 × 35% = 175万円
理論年収600万円のエンジニア:600万円 × 35% = 210万円
年収が高い人ほど手数料も上がります。「早く辞めたときに手数料が返ってくるか(返金規定)」も、契約書で確認しておきたい点です。
3. スカウト(ダイレクトリクルーティング)
ダイレクトリクルーティングとは、企業がデータベースから候補者を探し、直接スカウトを送る方法のことです。料金の形はサービスごとに違い、大きく2つに分かれます。
| 料金の形 | 払い方 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 定額型 | 月額や年額の利用料を先に払う | 毎月何人も採る会社 |
| 成功報酬型 | 採用が決まったときに払う | 採る人数が少ない会社 |
定額型は、スカウトを送る担当者の時間も内部コストになります。送る数と返信の数を記録し、1人あたりの費用を出して比べましょう。
マイナビの調査で、IT・通信・インターネット業界の結果を見ます。「ダイレクトリクルーティング」で応募者が出た割合は、全体より10ポイント以上高い結果でした。エンジニアの採用では、待つよりも自分から声をかける方法が効きやすいといえます。
4. リファラル(社員紹介)
リファラル採用とは、社員に知り合いを紹介してもらう採用方法のことです。マイナビの調査では、メインで使った手法の満足度が93.8%と、いちばん高い結果でした。ただし、リファラルをメインにした会社は32社と少ない点に注意しましょう。
ただし、報酬の払い方には注意がいります。職業安定法第40条は、募集に関わる社員への報酬を、賃金・給料などとして払う場合に限っています。紹介報酬は就業規則や賃金規程に定め、給与と一緒に払う形にしましょう。
5. BP・フリーランス活用
BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。BPのエンジニアや、ITフリーランスに案件に入ってもらえば、採用費はかかりません。
その代わり、毎月の粗利は自社の社員より小さくなります。次の章で、どちらが得かを計算します。
→ SESのBPマッチングが難しい理由5つと成約率を上げるコツ
正社員採用か、フリーランス・BP活用か?粗利から逆算する方法
SESでは、採用費を1人が生む月の粗利で割って、回収にかかる月数を出すと判断しやすくなります。回収の月数が、案件の期間や定着の見込みより長いなら、正社員採用は損になりやすいです。
粗利とは、売上から、その売上のために直接かかったお金を引いた残りのことです。SESでは「客先からもらう単価 − エンジニアにかかるお金」が1人あたりの月の粗利になります。
3つのパターンを比べる(試算例)
次の表は、客先からもらう単価を月70万円としたときの試算例です。数字は考え方を示すための仮の値です。自社の数字に置きかえて計算してください。
| パターン | 1人あたりの月の粗利 | 採用費 | 採用費の回収 |
|---|---|---|---|
| 正社員(月給40万円+会社負担の社会保険料を約15%と仮定) | 約24万円 | 150万円(紹介会社を使用) | 約6.3か月 |
| ITフリーランス(月60万円で契約) | 10万円 | 0円(直接スカウト) | 初月から黒字 |
| BPのエンジニア(月63万円で仕入れ) | 7万円 | 0円 | 初月から黒字 |
正社員の粗利の計算は「70万円 −(40万円 + 40万円 × 15%)= 24万円」です。月の粗利は正社員がいちばん大きいですが、採用費を取り戻すまでに約6か月かかります。
判断の目安
試算から、次のような使い分けが見えてきます。
案件が1年以上続き、同じスキルの需要が多い:正社員採用で長く粗利をとる
案件の期間が6か月未満、または終わった後の次の案件が見えない:フリーランスかBPで埋める
急ぎで、1〜2週間で人を入れたい:BPとフリーランスに同時に声をかける
スキルが特殊で、社内に同じ仕事がない:フリーランスを優先する
正社員は、案件が終わると待機が生まれます。待機とは、次の案件が決まらず売上がない期間のことです。待機が2か月続くと、回収の計算が大きく狂います。
→ SESの待機期間の給与と対応 / SESの粗利率の平均と計算式 / SESの稼働率の平均と待機を減らす打ち手
フリーランスやBPを使うときの注意
フリーランスやBPのエンジニアに、自社の社員が直接仕事の指示を出すと、偽装請負と判断されるおそれがあります。偽装請負とは、契約は準委任や請負なのに、実態は派遣のように指揮命令している状態のことです。契約形態と現場での指示の出し方を、事前に確認しておきましょう。
SESの採用担当の役割5つ
SESの採用担当の役割は、「営業が売れる人」を、決めた予算の中で採ることです。人事の仕事だけでなく、営業との連携が成果を左右します。
採用計画をつくる:営業から、3か月先までに増えそうな案件のスキルと人数を聞く
手法と予算を決める:職種ごとに、上の回収月数を計算して手法を選ぶ
求人票をつくる:案件の例、単価に応じた給与の決め方、待機中の扱いを具体的に書く
候補者と営業をつなぐ:面接に営業も入り、提案できる案件があるかをその場で確かめる
採用単価を記録する:手法ごとに、費用・応募数・入社数・3か月後の定着を記録する
手法ごとの記録がないと、どの手法が得だったのかが翌年わかりません。Excelで手法ごとの表をつくり、四半期ごとに見直しましょう。
小さなSES企業は「営業が採用も担う」形が多い
社員が数十名までのSES企業では、採用の専任を置かず、営業が採用も担当する形がよく見られます。その場合は、採用の時間を週何時間までと決めておくのがコツです。営業の時間を採用に使いすぎると、既存の案件の提案が遅れ、売上が下がります。
採用単価を下げる方法5つ
採用単価を下げるには、高い手法に頼る割合を減らし、安い手法で採れる人を増やすことです。優先して取り組みたい順に並べます。
リファラルの制度を整える:報酬額と支払い時期を賃金規程に書き、全社員に知らせる
スカウトに切りかえる:待つ求人広告より、狙ったスキルの人に直接声をかける
求人票に案件の例を書く:業界・技術・単価帯の例を載せると、応募の質が上がる
紹介会社の数を絞る:実績のある2〜3社に絞り、手数料率や返金規定を交渉する
短期の案件は採用しない:6か月未満の案件は、フリーランスかBPで埋める
xhoursとチョータツブーストで、採用費をかけずに人をそろえる
ここまでの方法は、すべて自社だけで進められます。そのうえで、採用費を毎回かけずに案件の人手をそろえたいなら、DrivenXの2つのサービスが役立ちます。
| 悩み | 自分でやる方法 | もっと楽にする方法 |
|---|---|---|
| 案件に合うフリーランスが見つからない | SNSや知人をたどって探す | xhoursで、ITフリーランスに直接スカウトする |
| 人材を出してくれるBPが少ない | 募集ページや交流会で1社ずつ探す | チョータツブーストで、新しいパートナー企業を開拓する |
xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトを送れるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから、案件に合う人を探せます。紹介会社を通さないので、入社ごとの紹介手数料を前提にしない人集めができます。
チョータツブーストとは、SES営業向けツール「チョータツ」の中で、新しいパートナー企業を開拓できる機能です。チョータツは3,000社以上が使っており、無料で始められます。BPが増えるほど、自社で採れないスキルの人材を提案してもらえる機会が増えます。
おすすめの使い方は、長く続く案件は正社員採用、短い案件や急ぎの案件はxhoursとBPという分け方です。採用費の回収を気にせずに、案件を受けられる数を増やせます。
よくある質問
- Q. エンジニアの採用単価の平均はいくらですか?
- 公的な統計はありません。マイナビの2025年実績の調査では、ITエンジニア1人の転職サイト求人広告費が平均57.1万円(中央値30.0万円)でした。人材紹介を使うと、理論年収に手数料率をかけた額になり、これより高くなることが多いです。
- Q. SESの採用で一番安い手法は何ですか?
- 外部に払う費用が少ないのは、リファラル採用とBP・フリーランスの活用です。ただしリファラルは報酬を賃金として払う必要があり、BP・フリーランスは毎月の粗利が小さくなります。
- Q. 人材紹介の手数料に上限はありますか?
- 上限制手数料を選んだ紹介会社は、支払われた賃金の11%(免税事業者は10.3%)までと決まっています。多くの紹介会社が使う届出制手数料は、各社が届け出た率で決まるため、会社ごとに違います。
- Q. リファラル採用で社員に報酬を払ってもいいですか?
- 払えます。ただし職業安定法第40条の決まりがあるため、就業規則や賃金規程に定め、給与として払う形にしましょう。
- Q. 採用費は何か月で回収できればよいですか?
- 目安は、案件の期間より十分に短いことです。回収の月数が案件の期間に近い、または超えるなら、フリーランスやBPで埋めることを考えましょう。
- Q. 採用担当がいない小さなSES企業はどうすればいいですか?
- 営業が採用を兼ねる場合は、採用に使う時間の上限を決めます。求人を出して待つより、スカウトとBPへの声かけを組み合わせると、少ない時間で人を集めやすいです。
まとめ
採用単価は「採用費の合計 ÷ 採用人数」。社内の人件費などの内部コストも入れて計算する
転職サイトでのITエンジニアの求人広告費は1人平均57.1万円。人材紹介は年収×手数料率で、さらに高くなりやすい
SESでは「採用費 ÷ 1人の月の粗利」で回収月数を出し、案件の期間と比べて手法を選ぶ
長い案件は正社員採用、短い案件や急ぎの案件はフリーランスとBPで埋める
採用担当は、営業と一緒に「売れる人」を採り、手法ごとの採用単価を記録する
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日
参考資料(2026年9月28日確認)
株式会社マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」(Q35:中途採用費用の予算と実績、Q38:1人あたりの転職サイト求人広告費)
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」(参考統計表:職業別の求人倍率)
経済産業省(みずほ情報総研)「IT人材需給に関する調査 報告書」(2019年3月)
e-Gov法令検索「職業安定法」(32条の3:手数料、40条:報酬の供与の禁止)
厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領 第6 手数料」(上限制手数料の最高額)
厚生労働省「人材サービス総合サイト」(職業紹介事業者の手数料表の検索)