オフショア開発の単価相場|国別の人月単価と今後の動向、SES営業が競合・協業で押さえる見方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

前提:オフショア開発とニアショア開発・国内SESの違い

オフショア開発とは、ソフトウェアやシステムの開発を、海外の開発会社や海外の自社拠点に任せることです。「オフショア(offshore)」は英語で「岸から離れた」という意味で、ITでは「海外で」という意味です。仕組みはオフショア開発とは?仕組みと国内SESへの影響を営業目線で解説で詳しく解説しています。

対になる言葉にニアショア開発があります。ニアショア開発とは、東京などの都市部から、国内の地方の会社に開発を任せることです。

比べる点オフショア開発ニアショア開発国内SES(常駐・リモート)
開発する場所海外国内の地方客先または国内
言葉通訳・ブリッジSEが要ることが多い日本語日本語
時差国により1〜3.5時間ほどなしなし
主な契約ラボ型・請負・SES請負・準委任準委任が中心

地方SESの提案方法は、ニアショア開発の単価相場|地方SESの提案単価と都内案件の取り方で詳しく解説しています。

オフショア開発の仕組みと契約の形

オフショア開発は「日本の発注企業」「日本側の窓口」「海外の開発チーム」の3者で動くのが基本です。日本側の窓口は、オフショア開発会社の日本法人や、日本語ができるブリッジSEが担います。

ブリッジSEとは、日本の発注企業と海外の開発チームの間に立ち、仕様の説明や通訳、進み具合の確認をする人のことです。オフショア開発の品質は、ブリッジSEの力で大きく変わると言われます。

契約の形は、主に3つです。

契約の形どんな契約か2025年版調査での割合
ラボ型(ラボ契約)一定期間、専属チームを確保する45%
請負契約決まった成果物の完成を約束する32%
SES契約エンジニアの作業時間に対して支払う20%

ラボ型開発とは、海外に自社専属の開発チームを一定期間確保し、仕事の中身を柔軟に変えながら進める契約のことです。人を確保する点で、国内のSES契約(準委任契約)とよく似ています。国内で結ぶときの注意点はラボ契約とは?SESとの違いと準委任で結ぶときの注意点7つで解説しています。

同じ調査では、SES契約の割合が前年の14%から20%に増えました。海外の会社も、人単位で提供する働き方を広げていることがわかります。

国別の人月単価の目安

オフショア開発の人月単価は、プログラマーで月27.5万〜58.3万円が目安です。人月単価とは、エンジニア1人が1か月働いたときの料金のことです。数字は、オフショア開発.comの「オフショア開発白書(2025年版)」によるものです。

国プログラマーシニアエンジニアPM
ベトナム40.1万円50.0万円71.4万円
中国58.3万円71.7万円84.6万円
インド37.5万円45.0万円67.5万円
フィリピン37.2万円47.5万円63.5万円
バングラデシュ33.8万円52.5万円72.5万円
ミャンマー27.5万円40.0万円57.5万円

ブリッジSEの人月単価は、同じ調査でベトナム59.0万円、インド60.0万円、中国75.8万円です。プログラマーだけを見ると安く見えます。ただし、実際の見積もりにはブリッジSEやPMの費用が加わります。

単価は年ごとに大きく動く

同じ調査では、前年からの変化も示されています。中国は31.3%上がり、インドは29.6%下がりました。ベトナムは1.8%の上昇で、ほぼ横ばいです。

単価は、為替や調査に答えた会社の顔ぶれでも変わります。客先に数字を示すときは、「2025年版の調査で」と出典と時期を必ず添えましょう。

現地のエンジニアの賃金水準(公的データ)

日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査では、実務経験5年程度の中堅技術者の月額基本給が、都市ごとに比べられています。単価の背景にある人件費の差がわかります。

都市月額基本給(米ドル)調査の対象
ホーチミン(ベトナム)619実務経験5年程度の技術者
ベンガルール(インド)587実務経験5年程度の技術者
ハノイ(ベトナム)520実務経験5年程度の技術者
マニラ(フィリピン)478実務経験5年程度の技術者
ヤンゴン(ミャンマー)351実務経験5年程度の技術者
ダッカ(バングラデシュ)241実務経験5年程度の技術者
東京(日本)2,636技術係長(平均43.4歳)

東京は比べる対象の定義が違うため、目安として見てください。また、この数字は製造業を含む日系企業の調査です。ソフトウェアのエンジニアだけの数字ではありません。

主な国の特徴(インド・ベトナム・中国・台湾など)

依頼先の国は、単価だけでなく、日本語で話せる人の多さと時差で選ばれています。2025年版の調査では、オフショア開発.comに寄せられた相談の発注先の国別割合は次のとおりです。

順位国発注先の割合日本との時差
1ベトナム43%2時間
2中国21%1時間
3インド14%3時間30分
4バングラデシュ・フィリピン各5%3時間・1時間

ベトナム

ベトナムは、日本向けの開発会社が多い国です。日本語を学ぶ人も多く、発注先の割合(43%)は2位の中国(21%)の約2倍です。単価と話しやすさのバランスで選ばれやすい国です。

インド

インドは、エンジニアの数が多く、英語で仕事を進める会社が中心です。2025年版の調査では単価が大きく下がりました。英語で仕様をやりとりできる客先に向いています。

中国

中国は、日本のオフショア開発で長い歴史がある国です。日本語ができるエンジニアも多い一方、プログラマーの単価は6か国の中で最も高くなっています。

台湾

台湾は、日本との時差が1時間です。2025年版の調査では、主な国として単価が示されていません。台湾への依頼を検討する客先には、個別の見積もりで確かめるよう伝えましょう。

オフショア開発のメリットと注意点

メリットは「人を確保しやすい」「人件費を抑えやすい」の2つです。注意点は「言葉と時差」「管理の手間」「情報の持ち出し」の3つです。

区分内容SES営業から見たポイント
メリット国内で集まらない人数を確保できる大人数の開発案件が海外に流れやすい
メリット人件費の低い国の単価を使える客先は国内の単価と比べてくる
注意点仕様の伝達に時間がかかる日本側の要件定義・テストに人が要る
注意点個人情報や技術の海外持ち出しに決まりがある国内でしか扱えない案件が残る

情報の海外持ち出しには法律の決まりがある

個人情報を海外の会社に渡すときは、個人情報保護法第28条の決まりを守る必要があります。原則として、あらかじめ本人の同意が要ります。例外は、日本と同じ水準の制度があると認められた国(EU・英国)の場合などです。相手の会社が日本の法律に沿った対策をとる体制を整えている場合も、例外になります。

また、軍事に使われるおそれのある技術を海外に提供するときは、外為法(外国為替及び外国貿易法)の許可が要る場合があります。こうした理由で「国内の人しか入れない」案件は、国内SESの出番です。

オフショア開発の今後

オフショア開発は、コスト削減の手段から「人手不足を補う手段」に変わりつつあります。2025年版の調査では、オフショア開発を検討した理由の1位が「開発リソースの確保」(31件)でした。「コスト削減」は26件で、前年の42件から大きく減りました。

背景には、国内のIT人材不足があります。経済産業省の2019年の試算では、2030年にIT人材が約16万〜79万人(中位で約45万人)足りなくなります。詳しくはIT人材不足の2030年予測とデータ|経産省試算を営業目線で解説をご覧ください。

一方で、中国のように単価が上がった国もあり、「海外なら必ず安い」とは言えなくなってきました。客先が開発を社内に戻す動きはSESへの内製化の影響|ユーザー企業の動きと営業の打ち手5つで解説しています。

SES企業にとっては競合でもあり協業相手でもある

オフショア開発は、SES企業にとって客先の予算を取り合う競合です。同時に、日本側の人材を必要とする協業相手でもあります。営業の現場では、次の3つの場面で出会います。

場面何が起きるか営業の動き方
競合になる客先が「開発はベトナムに出す」と決める要件定義・テスト・運用など国内の工程を提案する
協業になるオフショア会社が日本側のPMやブリッジ役を探す日本語で調整できる人材を提案する
比べられる客先が国内単価と海外単価を並べる管理費を含めた総額と品質で説明する

オフショア会社の中には、日本法人がSES企業と同じように人材を探している会社もあります。海外チームを取引先(BP)の1つとして見ると、商談の幅が広がります。

SES営業がオフショア開発と向き合う5ステップ

まず客先の方針を聞き、国内に残る工程を見つけて提案します。次の5ステップで進めましょう。

  1. 客先の方針を聞く:「今後、海外への発注を考えていますか」と、定例の場で聞いておく。

  2. 国内に残る工程を洗い出す:要件定義、受け入れテスト、運用・保守、客先常駐が要る作業を書き出す。

  3. 持ち出しの制限を確かめる:個人情報や機密を海外に出せない案件かを、客先の担当者に確認する。

  4. 総額で比べる資料を作る:プログラマー単価だけでなく、ブリッジSE・PM・日本側の管理の手間を足して比べる。

  5. 国内で担う人材を提案する:日本語で調整できるPMや、海外チームとやりとりできる人材を候補に出す。

客先で確かめる質問チェックリスト

  • 海外に出す予定の工程はどこか(設計・製造・テスト・運用)

  • 個人情報や機密情報を扱う案件か

  • 客先との契約で、再委託(下請けに出すこと)や海外への再委託が禁止されていないか

  • 日本側の窓口(PM・ブリッジSE)はだれが担うか

  • 納期と、仕様が変わる可能性の大きさ

客先に「海外の方が安い」と言われたときの返し方(例文)

「ありがとうございます。プログラマーの単価だけで見ると、海外のほうが安いことが多いです。一方で、ブリッジSEやPMの費用、仕様の説明にかかる御社の工数も合わせると、差は小さくなる場合があります。要件定義と受け入れテストだけでも国内で担う形はいかがでしょうか。10月14日(水)までに、総額で比べた資料をお持ちします。」

総額で比べる計算例(6か月・プログラマー3名の場合)

次は説明のための試算です。海外の単価は2025年版調査のベトナムの数字、国内は仮の数字です。

項目ベトナムに発注国内SES
プログラマー3名40.1万円×3名=120.3万円65万円×3名=195万円
ブリッジSE・PMブリッジSE 59.0万円国内リーダーが兼ねる(0円と仮定)
月額の合計179.3万円195万円
6か月の合計約1,076万円1,170万円

この例では、差は6か月で約94万円です。客先の仕様説明の手間や、やり直しの時間を足すと、差はさらに縮みます。数字は案件ごとに入れ替えて使ってください。

国内SESとの詳しい比べ方は、オフショア開発と国内SESを比較|単価・品質の違いと営業の提案方法でまとめています。

チョータツで「国内で担う人材」をすぐ探す

オフショア開発と比べられる場面では、国内の人材をすぐ出せるかが勝負になります。自分で探すなら、BPから届くメールやExcelの人材一覧を1件ずつ見て探します。

チョータツを使うと、この探す手間を減らせます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
国内の人材を探すBPのメールを1通ずつ読む連携した他社の営業中人材をデータベースで見られる
自社の人材をまとめるExcelとスキルシートが別々人材の情報として管理・共有できる
人材を知らせるBCCで一斉送信メール配信機能でパートナーに配信できる
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チョータツは3,000社以上が利用しており、無料で始められます。客先が海外と迷っている間に、国内で担える人材を先に提案できます。

よくある質問

Q. オフショア開発の単価は、国内より本当に安いですか?
プログラマーの単価だけなら安い国が多いです。ただし、ブリッジSE(2025年版調査でベトナム59.0万円、インド60.0万円)やPMの費用が加わります。日本側の管理の手間も足して総額で比べると、差は小さくなることがあります。
Q. オフショア開発の費用(人月単価)はいくらですか?
2025年版のオフショア開発白書では、プログラマーでミャンマー27.5万円から中国58.3万円です。実際の見積もりには、ブリッジSEやPMの費用も加わります。
Q. インドのオフショア開発の単価は?
同じ調査で、プログラマー37.5万円、シニアエンジニア45.0万円、PM67.5万円です。前年から29.6%下がっています。
Q. オフショア開発の注意点は何ですか?
言葉と時差による伝達の手間、管理の工数、情報の海外持ち出しの3つです。個人情報を渡すときは、個人情報保護法第28条の決まりを守る必要があります。
Q. オフショア開発は今後どうなりますか?
使う目的が「コスト削減」から「開発リソースの確保」に移っています。国内の人材不足が続くため、使う会社は増えると考えられます。一方で、単価が上がる国もあります。
Q. SES企業はオフショア開発とどう向き合えばいいですか?
競合として構えるだけでなく、国内に残る工程や日本側の窓口役を提案するのがおすすめです。オフショア会社をBPの1つとして見る方法もあります。

まとめ

  • オフショア開発の人月単価は、プログラマーで約27.5万〜58.3万円(2025年版調査)

  • 契約はラボ型45%・請負32%・SES契約20%(2025年版調査)

  • 実際の見積もりにはブリッジSEやPMの費用が上乗せされ、単価は年ごとに大きく動く

  • 発注先の割合はベトナムが43%で1位。検討理由は「リソース確保」が1位

  • 個人情報や技術の海外持ち出しには法律の決まりがあり、国内でしか扱えない案件が残る

  • SES営業は、客先の方針を早めに聞き、国内で担う工程と人材を提案する

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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